2000年、2010年に引き続いて、ためしてガッテンで便秘を特集するのは3回目だそうです。
それだけ多くの人が悩んでいる便秘ですが、多い分だけ、世の中には便秘に対する大きな誤解があるのだそうです。
便秘薬で腸が真っ黒に?
小学校に上がる前から便秘に悩んでいた20歳の女性は毎日、便秘対策に取り組んでいました。野菜・海藻中心の食事、アロエ入りヨーグルト、漢方のお茶、便秘のツボマッサージ、市販の便秘薬、あらゆる対策をとりましたが、便秘は一向に改善しませんでした。
そこで、病院に行って腸の中を詳しく検査したところ、「大腸黒皮症」と診断されたのです。「大腸黒皮症」は別名「大腸メラノーシス」と呼ばれたりもします。
NHKためしてガッテンより
左が正常な腸の中の写真です。一方で、右の大腸黒皮症になった腸の中は真っ黒です。
この大腸黒皮症、なんと原因は便秘薬の飲み過ぎだったのです。
大腸黒皮症は便秘薬の成分によって起こるメラニン様色素沈着だそうです。この女性が飲んでいたのはアントラキノン系刺激性便秘薬、とされるもので、大腸を刺激することで蠕動運動を促します。しかし、長期間このアントラキノン系刺激性便秘薬を飲み過ぎてしまうことで、腸の粘膜細胞が大量に死んでしまい、蓄積されて、腸の壁が黒ずんでしまうそうです。
この大腸黒皮症、腸が黒ずんでしまうだけで病気というわけではないそうです。そのため、大腸黒皮症自体が、大きな問題を引き起こすわけではありません。大腸黒皮症は薬の飲み過ぎのサインであり、薬を減らすことができれば、腸の色は正常に戻っていきます。
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便秘薬は用法・用量を守って
便秘薬はもちろん、適切に飲めば非常に効果的です。しかし漫然と毎日、不適切に大量に飲んでしまうことで、かえって便秘を悪化させてしまいます。
アントラキノン系だけでなく、何らかの刺激性成分は市販の便秘薬の約8割に含まれているそうです。刺激性の便秘薬は腸を無理矢理動かすことで排便を促します。そのため、長期間使用すると、薬による刺激がないと腸が動かなくなってしまいます。また、薬に慣れてしまうことで、さらに量を増やさないと腸が動かないという悪循環に陥ります。
番組では、大腸刺激性成分の見分け方も紹介されています。
上記の成分が入っていることが箱に書いてある場合は、大腸刺激性の便秘薬ということになります。このような便秘薬は、便秘の症状がひどいときに飲む分には非常に効果的です。薬の注意書きをよく読み、用法・用量を守って飲む事が重要です。
薬の効果が感じられない場合は、薬を増やすのではなく、一度病院で診察を受ける方が良いそうです。便秘の場合は内科で診てもらうことができます。
市販の便秘薬で重要なことは、“自己判断で便秘薬を飲み過ぎない”ということなのです。
32年ぶりの便秘の新薬
便秘の治療薬として、ルビプロストンという新薬が32年ぶりに開発されたそうです。依存性・習慣性が極めて低いことが特徴ですが、病院で処方される薬のため、市販はされていないそうです。
便秘の原因は思い込み?
3日間、便が出ていないという男性は朝トイレに行ったことがほとんどなく、自らを慢性便秘症だと思っていました。
ところがこの男性、専門医の先生に検査をしてもらうと“便秘ではない”とのことです。
便というと、毎日出ないといけないという先入観がありますが、医学的に正常な排便回数は週3回〜1日3回とのことです。つまり週3回、2〜3日に1回出ていれば便秘ではない、ということです。
便秘とは腸の中に便が溜まっている状態ですので、3日に1回でも腸の中の便がしっかり出ている場合は、便秘とはなりません。つまり、実際には便秘ではないのに、便秘だと思い込んでいる人が多いのです。
ちなみに食べた物が便になるまでは、長い場合は3日かかるとのことであり、24時間とは限らないそうです。
自分が便秘だと思っている人はトイレに対するこだわりが非常に強い場合が多く、特に几帳面な人は毎日決まった時間にトイレに行かないと、自分が便秘だと思い込んでしまう傾向にあるそうです。
思い込みによる便秘の場合は、「便秘じゃないですよ」と言われただけで便秘が解消することもあるそうです。そのため、自分が便秘じゃない、という認識を持つことも非常に重要な治療となります。
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排便日誌
ある病院では、毎日排便しなければならないという思い込みをなくすために、排便日誌というものを付けているそうです。この排便日誌には、毎日の食事と飲んだ薬の内容、便がどのくらいの頻度で出ているかを記入していきます。
薬を毎日飲まないという飲み方に慣れていない人が圧倒的に多いため、記録をとっていくことで、どのタイミングで薬を飲んだらいいのかが見えてきます。
年をとると便秘になりやすい?
便秘というと女性に多いイメージですが、これは女性ホルモンが大腸の働きを抑えるためと考えられています。確かに、20代〜50代では圧倒的に女性の方が便秘人口が多くなっています。しかし、年をとるにつれて男性の便秘人口が急増していき、80代では男性の便秘人口が女性を上回ってしまいます。
NHKためしてガッテンより
男女に共通して言えるのは、便秘は老化現象の1つであるということです。年をとると、目が衰えたり、階段がしんどくなったりと身体機能が衰えていきます。この身体機能低下の一環としての排便機能も低下していくのです。
また、年をとると食事量も減っていきます。食事が減ると、当然便の量も回数も減っていきます。それにも関わらず、昔の排便習慣を思い出して、便秘であると思い込んでしまう高齢者も多いのです。番組では、『自分は便秘だ』と思い込んでいる年配の男性が、診断の結果『便秘ではない』との診断を受けるシーンもありました。
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食物繊維の取り方にも注意
薬を飲んでも出ない便秘に悩んでいた60歳の女性は、おなかの中でボールが動いたような違和感を覚え、病院を訪れました。医師による診察を受けると、なんと便が巨大な玉となり、大腸の出口を塞いでいたのです。
この原因は食生活、食物繊維の取り方にあったようです。
通常、食物繊維は消化されずに大腸の中で便のカサを増します。便のカサが増すことで腸への刺激となり、蠕動運動が活発となることで便を先へと押し出してくれます。しかし、高齢者は腸の機能が低下しており、食物繊維によって便のカサを増しても腸の動きは鈍くなりがちになってしまいます。カサの増した便が大腸の中をゆっくりと進む間に、水分が再吸収されてしまってカチカチの大きな便の塊となってしまうのです。
このような事態を防ぐために重要なのは、“水溶性”の食物繊維をとることです。水溶性食物繊維は水を抱え込みやすく、便を柔らかくして滑りを良くします。水溶性食物繊維の反対は不溶性食物繊維であり、番組内では以下のような食材が紹介されていました。
水溶性食物繊維・・・大麦、エシャレット、わかめ、ひじき
両方含んでいる物・・・じゃがいも、ごぼう、キウイ、プルーン、納豆
便のカサを増すこと自体は重要ですので、不溶性食物繊維ももちろん食べた方が良いのですが、それ以上に水溶性食物繊維もバランスよく食べることが大切になります。
座り方の工夫
便をスッキリ出すためには、排便時の姿勢も関係してきます。通常の座った姿勢よりも、前屈みの姿勢をとることで、便が出やすくなるのです。
これは大腸の出口のところ、直腸と肛門の角度に秘密があります。通常の姿勢では、直腸と肛門の角度が急であり、便が出にくい状態となっています。
NHKためしてガッテンより
これを、下図のように身体を前屈みにすることで、直腸と肛門の角度がまっすぐになり、排便しやすくなるのです。
NHKためしてガッテンより
まとめ
今回のためしてガッテンのまとめは
①薬の過剰服用をやめろ
②1日1回という排便神話をすてろ
の2点でした。