認知症の新薬に有望なカイコ冬虫夏草の話~『夢の扉+』より

厚生労働省によれば、10年後には65歳以上の5人に1人が認知症をわずらうそうです。団塊の世代が続々とリタイアし、日本の人口ピラミッドのもっとも多いボリュームゾーンの世代が高齢者の仲間入りをしていきます。必然的に認知症を患う方も増加する可能性が高く、認知症の予防や治療は今や日本の医療界の一大テーマといってもよい状況です。

 

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カイコで認知症に挑む

TBS『夢の扉+(プラス)』でカイコを利用した認知症の改善に取り組んでいる型破りな学者さんが紹介されていました。岩手大学の特任教授で農学博士の鈴木幸一氏です。

鈴木氏は福島県にある研究所で、カイコと冬虫夏草を使って認知症に挑んでいます。

カイコ(蚕)とは

カイコ(蚕、蠶)はチョウ目(鱗翅目)・カイコガ科に属する昆虫の一種。正式和名はカイコガで、カイコは本来この幼虫の名称だが、一般的にはこの種全般をも指す。クワ(桑)を食餌とし、絹を産生して蛹(さなぎ)の繭(まゆ)を作る。有史以来養蚕の歴史と共に各国の文化と共に生きてきた昆虫。

ウィキペディアより

冬虫夏草とは

冬虫夏草は、ガの仲間に寄生するキノコの一種。中医学・漢方の生薬や、薬膳料理・中華料理などの素材として用いられる。

ウィキペディアより

どちらも名前は知られたメジャーな存在で、特に冬虫夏草は薬効に着目した漢方や料理の材料として知られています。

中国では冬虫夏草の子実体を菌核化した宿主をつけたまま採集して乾燥し、漢方の生薬もしくは中華料理の薬膳食材として珍重してきた。

~中略~

他に、生薬として健肺、強壮効果、抗がん効果があるとも言われ、薬酒を作る材料として、また、健康食品としてのエキスを抽出するのにも利用される。董艶梅、姜波、曲雲霞ら、馬俊仁コーチが指導した馬軍団所属の陸上競技選手は冬虫夏草エキスを摂取して好成績を残したとも言われる。

ウィキペディアより

 

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冬虫夏草は漢方の生薬として高値で取引されたりもしていますが、鈴木教授が研究しているのはカイコのさなぎに菌を植え付けた「カイコ冬虫夏草」です。

鈴木教授は5年前、このカイコ冬虫夏草がマウスの脳を修復することを発見、このカイコ冬虫夏草を人体に使用すれば認知機能の改善に役に立つのではないかという仮説を立て、その仮説を実証すべく医学博士と共に研究に取り組んでいるのだそうです。

臨床試験

番組では、認知症を患う92歳と82歳の男性2人に、認知症薬と共にカイコ冬虫夏草の粉末を飲んでもらっていました。

まず92歳の男性の場合です。
この男性は認知症と診断されてから、病院に通っています。この男性が病院ですることは認知症薬の仕分けです。仕分けといっても難しいものではなく、2、3種類の薬を日付が書かれた袋に入れるという単純作業です。しかし認知症患者にとっては簡単なことではなく、なかなか正しく仕分けができな状態だったそうです。
しかし、カイコ冬虫夏草を飲み始めてから3ヶ月も経つと、自ら仕分けしやすいようにと順番に並べることができたのです。このようなことはそれまでになかったことでした。
また、歯医者に行った際も、勘定の計算ができず、小銭で払えるのに一万円札を出したり、手持ちの小銭をすべて出したりといった具合だったのが、服用後は以前に比べスムーズに勘定を済ませることができるようになったそうです。

82歳の男性の場合も、日付が数えられない等の症状があったそうですが、服用2ヶ月後には奥さんの留守中に電話があったことなど、伝言ができるようになったのだそうです。
こうした改善を目の当たりにして、家族間の雰囲気も非常によくなったそうです。

こうした事例を聞くと、カイコ冬虫夏草には認知症への効果があると考えてもよさそうなものですが、そうは問屋がおろしませんでした。実は細かい項目の検査を実施したところ、あまり良い結果が出なかったのです。

認知症患者は「アセチルコリン」という神経伝達物質の分泌量が少なくなっているということが分かっています。逆に言えば、カイコ冬虫夏草が認知症に良い作用をもたらしているのであれば、このアセチルコリンの分泌量が増加している可能性が少なからずあるわけです。ところが、「アセチルコリン」を患者から採取して数値を以前と比較したところ、数値は上がってないばかりか、むしろ下がっているという検査結果が出てしまったのです。

 

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新たなる挑戦

臨床実験では、数々の認知症の改善点が見られ、その結果、家族の認知症患者に対する不安が少し減り、家族間の雰囲気がよくなったという良い面が報告されています。しかし数値面では改善が認められず、カイコ冬虫夏草の効果というのは決定的になったとは全く言えないものでした。

ただ、マウスの認知能力が改善したというのは紛れもない事実です。カイコ冬虫夏草には認知能力を向上させる作用があるはずだと信じる鈴木教授は、カイコ冬虫夏草が持つ約1万種類もの物質を研究し、絞り込みを始めました。

カイコから新たな物質発見

臨床実験での結果を踏まえて、鈴木教授はカイコに含まれるマウスの認知機能改善物質の研究を進めて結果、新たな物質「X」を発見しました。そして、その物質をマウスに投与する実験を重ねた結果、成果が出始め、マウスの認知機能回復の実現に成功しました。

しかし。

医学の道も茨の道です。第3者の研究者の意見では、やはり人体での症例が少なくとも100件以上はないと、信用性にかけるという意見を受けてしまいました。
また、動物実験ではうまくいっても人体ではほとんど効果がない薬がほとんどなのだそうです。つまり、まだまだ新薬とは言い難いということです。

そうはいっても、今回の物質の発見は、カイコ冬虫夏草による認知症の新たな薬の誕生に大きく貢献する可能性があることは確かだと思われます。鈴木教授は更なる実用化のために研究を積み重ねていくそうです。

 

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まとめ

今回はカイコ冬虫夏草という聞き覚えのないものから、認知症の新たな薬を作るという目標を持った教授の話でした。

まったく誰も予想しなかったものからの挑戦です。一筋縄にはいきませんが、実際に臨床実験を2名の患者に行い、映像で経過を見てきた結果、数値上では変化が見られないものの、実際に介護や接している家族からは認知症が少し改善されているとの報告を受けるに至っています。カイコ冬虫夏草の可能性を大きく示すものです。

鈴木教授は、研究者は常に挑戦しなければならないと言い、今も新たな認知症薬の発明に挑戦し続けています。学生時代に宮沢賢治の言葉に感銘を受けてから数十年、カイコ一筋の研究を行ってきました。認知症患者のための新薬開発に向け、カイコ冬虫夏草はますます注目を浴びています。


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