ヘスペリジン~冷え性や低体温の改善で注目

ヘスペリジンは栄養素

ヘスペリジンとは、ビタミン様物質の一つであるビタミンPで、ポリフェノールの一種になります。主にみかんなどのかんきつ類に含まれていることが知られています。

“ビタミン様物質”というのは、かつてはビタミンに分類されていたものの、実はビタミンではなかったものの総称です。

goo辞書では、

ビタミンに似た生理作用をもつ有機化合物。微量で体内の代謝に重要な役割を担うが、ビタミンとは違って体内で生合成できるため、栄養素として必ずしも摂取する必要がないもの。リポ酸・カルニチン・ユビキノン(ビタミンQ)・必須脂肪酸(ビタミンF)など。ビタミン様作用物質。

goo辞書

とありますが、ネットや書籍で調べてみてもその範囲は一様ではありません。種類も効果も様々であり、身体の中で日々作り出されているもの、はっきりとその構造さえわかってないもの、身体にとってはむしろ害となるものなど多くの種類があります。比較的知名度のある物質でいえば、カルニチンもビタミン様物質に分類されています。

ヘスペリジンは柑橘類に多く含まれている

ポリフェノールの一種というくらいですから、身体には良さそうだとわかる人も多いことでしょう。具体的には、ヘスペリジンはフラボノイドに分類されています。ポリフェノールの一種です。

古来より、このヘスペリジンは健康の面で注目されていました。とはいってもヘスペリジンが認識されたのは1900年代前半(昭和初期)、ビタミンCの発見者とされるノーベル賞受賞学者セント・ジエルジー(ハンガリー)によってでした。

しかし、昔の人はヘスペリジンという名前は知らなくとも、柑橘類を経験的に体に良い物ととらえ、何かと日常生活の中に取り入れていました。

たとえばゆず湯。
20150228171743冬至にゆず湯という風習は、江戸時代の頃からと言われていますが、『ゆず湯に入れば風邪知らず』と言われるくらいに身体の健康維持に役立つものという認識がされていました。

ゆず湯に関してはこんな実験結果もあります。

検査では、更湯(普通のお湯)と柚子湯に入浴後のノルアドレナリンを比べたところ、4倍の差が出た[1]。ノルアドレナリンは血管を収縮させる効果のある成分なので、それだけ血管が拡張していたことが分かる。果皮に含まれるクエン酸やビタミンCにより、ひび・あかぎれを改善したり、皮の芳香油が湯冷めを防ぐとされている。

ウィキペディア

他には漢方薬の原料である陳皮もみかんの皮で作られています。

熟したミカン科のマンダリンオレンジの果皮を干したもので漢方薬の原料のひとつ。日本では熟したウンシュウミカンの果皮を乾燥させたもので代用している。

ウィキペディア

この陳皮にはいろいろな効果が期待されており、整腸作用、咳止め、脂肪分解の促進、コレステロールの維持調整、血流改善などがよく言われている効果として有名です。

香り成分であるリモネンやテルピネンなどを主成分とする精油を含み、リラックス効果を持ちます。また、ポリフェノールの一種であるヘスペリジンも含まれており、毛細血管を強くして血流を改善する効果も持ちます。それ以外にも健胃・整腸効果や風邪予防などの効果も期待されています。

わかさの秘密

要するに、柑橘類というのは、私たちの健康に良い影響を与えるものとして昔から存在していたわけです。

ヘスペリジンの含有量は温州みかん

ヘスペリジンは柑橘類に多く含まれていますが、日本の場合でいえば、温州みかんに大量に含まれているという記述があちこちで見受けられます。

柑橘中ではフラバノンが多く含まれているが、その中でもヘスペリジンは温州ミカン可食部に100g中に100mgオーダーで含まれており、糖類、クエン酸に次ぐ主要成分となっている。
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食品中の健康機能性成分の分析法マニュアル

ウンシュウミカン1果を食べると 20~30mg ほどのヘスペリジンが摂取できると考えられる。

食品産業センターホームページ

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食品中の健康機能性成分の分析法マニュアル

やはり温州みかんが圧倒的に多いですね。甘夏や伊予かんにも含まれていますが、温州みかんが量としては抜き出ている感じです。

部位別にみると、

果実各部位のヘスペリジン含量は,アルベド3800mg/100g,じょうのう950mg/100g,フラベド830mg/100g,さじょう95mg/100gおよび果汁50mg/100mlの順であった。

温州ミカン搾汁工程中のヘスペリジンの挙動について

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みかん辞典

ということで、含有量が多いのはアルベドと呼ばれる白いワタの部分。次がじょうのうというみかんのふくろ部分、次がフラベドという一番外の皮の部分です。つまり、通常は食べることのない、皮の部分全般に多く含まれているわけです。

ヘスペリジンを含まない柑橘類もある

柑橘類に広く含有されているヘスペリジンですが、実はほとんど含まれていないものもあります。

ジャバラ
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フラボノイド含量は、ナリルチンやナツダイダインが特異的に多く含まれ、ナリンギンも多い。しかし、他の香酸柑橘カンキツ類(ユズ・スダチ・カボスなど主に香りと酸味を楽しむカンキツ類を指す)に多く含まれるヘスペリジンやネオヘスペリジンは全く含まれていない。
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食品産業センターホームページ

というわけで、ヘスペリジンを摂りたければ温州みかんを食べていれば大丈夫、、、といいたいところですが、実はみかんを食べてもヘスペリジンはさほど吸収されないことがわかっています。

ヘスペリジンは吸収が悪い

優れた効果が確認されているヘスペリジンですが、実はなかなか摂取できないことでも有名です。
柑橘類の部位の中で、ヘスペリジンが多く含まれるのは普段はあまり食べない皮の部分です。果実を包んでいる袋、その外側の白い綿の部分、そして一番外側の外皮。どれもあまり口に入れる機会はありません。さらに、それらを気を付けて食べたとしても、体に入ってから吸収されるのはごくわずかです。

優れた作用をもつへスペリジンですが、水に溶けにくい性質をもつため、体内への吸収性が低く、そこが最大の難点だと言えました。

糖転移ヘスペリジン・ビタミンP研究会

このフラボノイドは水溶性が極めて低く、その利用範囲は限られていた。

柑橘ポリフェノール「糖転移ヘスペリジン」の機能性食品分野における可能性

古くから健康維持に役立つ物質として知られているものの、従来のヘスペリジンは水に溶けにくく、体内に吸収されにくいものであった。

EconomicNews(エコノミックニュース)

そこで吸収率を上げるために開発されたのが糖転移ヘスペリジン

糖転移ヘスペリジンとは?

糖転移とは、糖を結合させることをいいます。糖転移ヘスペリジンとは糖を結合させたヘスペリジンということです。

なぜそのようなことをするのか、それにはグリコのホームページにわかりやすい記述があります。

糖は水に溶けやすいため、水に溶けにくい物質と結合することで、その物質を水に溶けやすくさせる性質を持ちます。

グリコホームページ

つまり、水に溶けにくいために身体への吸収もままならないヘスペリジンを糖と結合させることで身体への吸収率を上げてやろうということです。

こうすることで、ヘスペリジンの水への溶けやすさは1万倍、体への吸収も従来より3倍もよくなったそうです。

実際に調べてみると、「糖転移ヘスペリジン」は「ヘスペリジン」よりも水への溶解性が1万倍以上も向上し、体内への吸収性も3倍も高まっていることがわかりました。

グリコホームページ

このため、ヘスペリジンを使ったサプリは糖転移ヘスペリジンが使用されています。

ヘスペリジンの効果

ヘスペリジンがもたらす効果については身体の機能を調整するようなものが多くあります。血流を改善したり、免疫機能を改善したりします。結果、冷え性を改善したり、アトピーや花粉症を改善したりといった効果があることが研究機関から報告されています。

悪玉コレステロールの抑制

動物を使った実験では、血中脂質が正常なラットと高コレステロール血症を誘発したラットにヘスペリジンを投与すると、コレステロール値、LDL値(悪玉コレステロール値)、総脂質およびトリグリセライドの濃度を著しく低下させる一方、HDL値(善玉コレステロール値)の濃度を上昇させたという報告があります。

グリコホームページ

血圧上昇抑制

ヘスペリジン(ビタミンP)は、壊れやすいビタミンCを安定化させる働きがあります。ヘスペリジンに助けられたビタミンCは、活性酸素を撃退し、血流を改善する事によって血圧の上昇を防ぎます。

グリコホームページ

アレルギー症状の緩和

ヘスペリジンは、アレルギー反応に対しては、血管透過性を抑制する働きによって花粉症やアトピー性皮膚炎の症状を緩和すると考えられています。

グリコホームページ

血行不良の改善

糖転移スペリジンには、血流循環改善効果があります。そこで、サーモグラフィを使って冷え性の人の皮膚温の測定を行いました。
糖転移へスペリジンを摂取した後30分経過すると、サーモグラフィは赤色に。末梢の血行不良が改善され、手の皮膚温が上昇しています。その後、右手を冷水に1分間つけて負荷をかけると、皮膚温の回復が短時間のうちにみられました。
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糖転移ヘスペリジン・ビタミンP研究会

このように、ヘスペリジンという栄養素には数多くの健康効果があることが研究の結果わかってきています。

 


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