急性膵炎～お酒と胆石が二大原因～きょうの健康より

先日の「きょうの健康」では、近年患者数が増えている急性すい炎の仕組み、原因、治療法などについて、三重大学大学院教授で消化器外科医（膵臓が専門）の伊佐地秀司先生が解説をしていました。また、急性膵炎での入院経験があるゲストの堀ちえみさんの壮絶な闘病の経験からも急性膵炎の恐ろしさを知ることができました。

膵臓の仕組み

膵臓は胃の後ろ側にあり十二指腸と接続している臓器です。

きょうの健康より

伊佐地先生によると、膵臓には大きく分けて二つの働きがあるそうです。

１つ目は、膵臓の中にあるランゲルハンス島からインスリンを分泌して体内の血糖をコントロールする働きです。この働きが上手くいかないと糖尿病になってしまうとのことです。

そして、２つ目は、最も強力な消化液であるすい液をすい管から分泌する働きです。分泌されたすい液は乳頭から十二指腸へ運ばれて消化を助けます。

きょうの健康より

番組では、乳頭の様子を内視鏡で撮影した画像が紹介されていました。

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急性膵炎とは？

急性膵炎は、通常、膵臓の中では活性化しないすい液の酵素が何らかの原因によって活性化されて膵臓を溶かしてしまう病気だそうです。すい液が膵臓を溶かしてしまうことを自己消化というと伊佐地先生が説明していました。

堀さんの場合は、特発性の重病急性膵炎で膵臓が炎症を起こしてすい液が膵臓から漏れて、その他の臓器（腎臓、肺、腸）も溶かし始めていたとのことです。伊佐地先生によると重症の急性膵炎の死亡率は１０％だそうです。昔に比べればガイドラインの普及で低くなっていますが、死につながる怖い病気であるということに変わりはないという説明がありました。

急性膵炎の原因

急性膵炎の原因は性別によって随分違いがあるそうです。

男性の急性膵炎の原因の約半数（４６．２％）がアルコールなのに対して、女性の場合、アルコールが原因の急性膵炎は１割ほど（９．９％）です。女性の急性膵炎の原因として最も多いのが胆石（４０．３％）で、次に多いのは原因が特定できない特発性（２２．８％）だそうです。

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アルコールが急性膵炎を起こす原因

伊佐地先生によるとアルコールが急性膵炎を起こす原因はまた解明されていないとのことです。それで、番組ではアルコールが急性膵炎の原因となる仕組みの仮説を紹介していました。大量のアルコールが膵臓の中の活性酸素を増やすことによって膵臓の中が酸性になります。それが原因で、膵臓の中で消化酵素（トリフシノーゲン）が活性化して自己消化を始めるのというのが仮説です。

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胆石が急性膵炎を起こす原因

胆かんから落ちてきた小さな石が乳頭を塞いでしまうことがあるそうです。すると、すい液が膵臓から出られなくなって、すい液の圧力が高くなります。その結果、膵臓のなかで消化酵素が活性化して自己消化が始まるとのことです。

伊佐地先生によると日本人のうち約１千万人が胆石を持っているそうです。胆石とアルコール２つの原因が重なって急性膵炎が発症することも多いと番組で紹介されていました。

急性膵炎の治療法

急性膵炎の主な症状は、みぞおちや背中の耐え難い痛みと吐き気だそうです。そして、急性膵炎には軽症と重症の２種類があり、８割が軽症で２割が重症だそうです。軽症と診断された場合でも２４時間から４８時間で重症化することもあると伊佐地先生は説明していました。
軽症、重症どちらの急性膵炎も入院治療が必要です。飲食をするとすい液が活性化されるので絶食、絶飲だそうです。堀さんは、急性膵炎で入院中４０日間絶食したとのことです。
それから、膵臓と脂肪が溶かされてそこから水分が逃げてしまうので、水分補給のために大量の点滴を投与する必要があります。また、感染症の予防のために、鼻から細い管を入れて小腸に直接栄養を送る経腸栄養という治療をするそうです。さらに、感染症を予防する抗菌薬（発症から４８時間以内に投与が効果的）と膵臓の働きを制御するすい酵素阻害薬の２種類の薬物治療が行われると伊佐地先生から説明がありました。

急性膵炎の再発を防ぐには？

アルコールを飲むと約３割が急性膵炎を再発するそうです。ですから、急性膵炎の再発を防ぐためにはアルコールを控えることが大切とのことです。また突発性の急性膵炎の再発防止のためには暴飲暴食や油っぽい食事、そしてアルコールは控えたほうが良いと伊佐地先生から説明がありました。

伊佐地先生の説明から、急性膵炎の再発防止には食事の管理が重要だということがわかりました。制限のある中で、日々の食事を考えるのは大変ですようね。そのような悩みを解決してくれるレシピの本が出版されているので紹介します。

膵炎の人の食卓 (美味しい・ヘルシー・クッキング)
検見崎聡美

胆石・胆のう炎・膵炎の人の食事 (健康21シリーズ)
田中照二

まとめ

すい液が膵臓やその他の臓器を溶かしてしまうほど強力な消化液だということに驚きました。急性膵炎の痛みは耐え難いほど激しいようです。みぞおちや背中にこれまでに感じたことのない激痛を感じたら、そのうち治るだろうとは考えずにすぐに病院へ行かなくてはいけませんね。