先日の『羽鳥慎一モーニングショー』では、寒い季節に増えるヒートショックの予防法について、血液や血管の病気を専門とする池谷医院院長の池谷敏郎先生が解説していました。
血液や血管の専門家としてテレビ出演の多い池谷先生は、血管を健康にするための方法を解説した本を多数執筆しています。
ヒートショックとは?
ヒートショックとは、急激な温度の変化によって血管に異変が起こることをいうそうです。特に、冬の寒い時期の入浴時に発症することが多く、ヒートショックによる死亡件数は年間約1万7000人で、この数は年間の交通事故による死者数の4倍とのことでした。
下の表からもわかるように、入浴時の死亡者数は、12月から2月に集中しています。
羽鳥慎一モーニングショー
ヒートショックが引き起こす病気には、心筋梗塞、脳梗塞、失神などがあるそうです。
[sc:アドセンスレスポンシブ ]入浴による血圧の変化
冬は特に入浴中のヒートショックが起こりやすくなります。これは、入浴時に血圧の変化が大きくなるからだそうです。
まず、脱衣所が寒いと服を脱ぐときに血管が収縮して血圧が上がります。
お湯に浸かるときは、お湯の熱さから体が受ける刺激で、さらに血圧が上がります。
そして、体が温まってくると血管が緩んで血圧が下がります。
最後に、お風呂から出て着替えるときには、脱衣所が寒いと血圧が上がると番組で説明がありました。
羽鳥慎一モーニングショー
この入浴時の血圧の変動を少なくすることがヒートショックの予防につながるそうです。
[sc:アドセンスレスポンシブ ]ヒートショックを予防する湯船の温度
番組で紹介されたお風呂のお湯の温度についてのアンケート調査(東京ガスが実施)によると、多くの人がお湯の温度を40度から42度に設定していました。
羽鳥慎一モーニングショー
池谷先生によると、適温は41度までで、それ以上の温度のお湯に入ると体が熱の刺激を強く感じるそうです。先ほどのアンケートの結果によると、4割ほどの人達が適温よりも高く温度設定をしています。
41度のお湯では、体が温まった気がしないという人は、最初は41度のお湯に入って少しずつ温度を上げていくと、体への刺激をやわらげることができるそうです。近年、様々な研究の結果、入浴と病気の関係がわかってきているそうです。それらの研究によると、お湯の温度を1度下げただけでも、病気の発症が減るということがわかっているとのことです。
ヒートショックを予防する入浴時間
番組が実施した街頭アンケートの回答者の平均入浴時間は14.9分でした。けれども、10分以上の入浴は危険だと池谷先生は話していました。それは、長時間の入浴で体が温まると、体の温度を下げようとして血圧が下がります。さらに、汗をかくことで脱水状態になるので、さらに血圧が下がるそうです。そのことによって、脳の血流が悪くなって入浴中の事故につながるそうです。
正しい入浴姿勢
湯船に入るときは、体が受ける水圧を弱くするために、心臓の位置を高くして、体をななめにしてゆっくり入るのが良いそうです。また「あー、気持ちいい」などと声を出しながら入ると、体の緊張が弱まるので、血圧の上昇をゆるやかにする効果があるそうです。
湯船から出る時も、突然出るのではなくゆっくり出ることで、急激に血圧が下がるのを防ぐことができるとのことです。
その他の入浴時の注意点
池谷先生は、サウナと水風呂の往復は、温度差が激しいのでもっとも危険な入浴方法だと説明していました。また、シャワーだけで湯船に入らない人は、血圧への影響は少なくなりますが、体が温まらないので眠りの質が悪くなるそうです。シャワーだけの人も週2回は安全に湯船に入ることを池谷先生は勧めていました。
リビングと脱衣所・浴室の温度差を少なくする工夫
ヒートショックの原因は急な温度の変化ということで、リビングと脱衣所・浴室の温度差を少なくするアイディアが番組では紹介されていました。脱衣所にヒーターを置いたり、浴室に窓がある場合はカーテンをつけたりすると、脱衣所と浴室の温度が上がるそうです。さらに、洗い場にお湯をまくのも浴室の温度を上げるのに効果があるとのことです。番組での実験によると、数分間洗い場にお湯をまくことによって浴室の温度が12度から18度に上昇しました。リビングの温度が20度だったので、これで2箇所の温度差はかなり縮まったことになります。
実は間違っている健康法
番組の街頭インタビューの結果、様々な人たちが、冬の健康維持のために運動や対策をしていることがわかりました。けれども、その中には、健康のためにはならず、逆にヒートショックの原因となったり、睡眠の質を低下させたりするものがあると池谷先生から指摘がありました。
[sc:アドセンスレスポンシブ ]早朝のジョギング
朝起きたときは血圧が上がるので、起床してからの1時間は、脳卒中や心筋梗塞を発症するリスクが1日の中で一番高いそうです。そして、冬は、ジョギングのために暖かい室内から急に寒い外にでることになるので、血管が収縮してさらに血圧が上がり、ヒートショックが起こる可能性が高くなります。特に40代以上は危険なので注意が必要とのことです。健康のためにジョギングをする場合は、朝ではなく1日体を動かした後の、夕方にするのが良いと池谷先生は説明していました。
毎朝の散歩
暖かい室内から寒い外に急にでると、その激しい温度差がヒートショックの原因になるそうです。ですから、朝散歩に行く場合は、家の中で準備運動をして体を温めてから外にでると寒さによる体への刺激をやわらげることができるとのことです。
睡眠時の靴下の重ねばき
熟睡するためには、睡眠中に体温が下がらなくてはいけないそうです。ですから、靴下を重ねてはいて寝ると、体温が上がったままになって熟睡ができない原因になるとのことです。池谷先生は、冷え性の人も足が温まったら、靴下を脱いで寝ることを勧めていました。
就寝前に水を飲む
池谷先生によると、普通に生活している場合、冬は夜寝る前に水を飲む必要はないそうです。就寝前に水を飲むことによって、夜中にトイレに行くことになるかもしれません。そして、布団の中の温度と寝室の温度、トイレの温度の差が大きい場合には、ヒートショックが起こる可能性があると池谷先生は説明していました。また、朝、目が覚めて布団からいきなり出るのではなく、布団の中で脇や足を1分ぐらいこすり合わせて体を温めてから出ると、布団の中と寝室の温度差から受ける刺激を弱くすることができるとのことです。
[sc:アドセンスレスポンシブ ]その他の注意点
加齢や生活習慣病からできる血管内のコブにも要注意です。特に糖尿病や高血圧の人は血圧の変化や過剰な糖の影響で血管に傷ができやすくなります。血管に傷ができると、そこに血が固まって血管が詰まってしまい、心筋梗塞などの原因になります。ですから、暴飲暴食を控えるなど、生活習慣を改善して、しなやかな血管を保つことが大切だと池谷先生から説明がありました。
まとめ
健康のためと思ってしていることが、実は、自分の命を危険にさらしていることがあるということがわかりました。家族や友人たちにも正しい入浴方法や運動方法を広めて、突然の悲劇が起こらないように気をつけたいですね。