食中毒対策(バーベキューの食材管理)とカビ対策~ゲンキの時間より

暑い時期に気をつけなければならないことのひとつに、「食中毒」があります。
消費者庁が2000人を対象に行なった調査によれば、「バーベキューで食べたものが原因で体調を悪くしたことがある」と答えた人は6.6%(つまり132人)もいたといいます。
しかし、身近にある食中毒の脅威について基礎的な知識を持っていれば、リスクはぐんと下げられるはずです。
そこで今回は、食中毒を招く危険な行動や、家の中にいるカビで引き起こされる病気などについて紹介していたTBS『健康カプセル!ゲンキの時間』をまとめておきたいと思います。

 

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バーベキューでやりがちな危険なこと

食中毒を引き起こす菌は、あらゆる食材に付着している可能性があります。
牛肉にはO157などの腸管出血性大腸菌が、鶏肉にはカンピロバクターとサルモネラ属菌が、そして魚類には腸炎ビブリオなどが、調理の過程で付着している可能性があるそうです。
潜伏期間は菌によって異なりますが数時間〜数日ほどで、発症すると下痢や嘔吐、激しい腹痛が数日間続くそうです。食べた量やそのときの体調によっては命の危険もあるので、食材の管理は徹底しなければなりません。

そこで番組では、食中毒菌に詳しい東京顕微鏡院の伊藤武氏(獣医学博士)が実際にバーベキュー場に行って、危険と思われる行為を具体的にひとつずつ指摘していました。

・正しい食材の保管方法
バーベキューをしていたあるグループは、肉を買い物カゴに入れたまま放置していました。買ってから2時間半も経っていましたが、本人たちは「冷凍の肉だから解凍がてらに…」という意識でそのままにしていたようです。
伊藤氏はこれを「危険」と指摘しました。
外気温での解凍はとても危険なのだそうです。

肉に微量の大腸菌を付着させてから常温で解凍させるとどうなるかを実験すると…

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健康カプセル!ゲンキの時間より

こちらが解凍前。紫色の部分が大腸菌です。
これを常温の場所に放置してみると…

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健康カプセル!ゲンキの時間より

増殖していることがわかります。およそ8倍にも増殖したそうです。高齢者やお子さんなら、この量でもじゅうぶん食中毒になる可能性があるそうです。

また、クーラーボックスに入れておくだけではよくありません。
冷凍肉を入れたクーラーボックスを、夏場を想定した30℃の保温庫に放置する実験では、3時間後にクーラーボックス内の温度が25.7℃にまで上がり、肉の表面も17.1℃に上昇していました。
ですから、クーラーボックスを用いる際は、保冷剤や氷を必ず一緒に入れるようにしてください。冷気は上から下に下がるので、保冷剤を食材の上に置くようにしましょう。冷気が下までしっかりと降りるようにするには食材を入れすぎず、中に空間を作るようにするのがポイントです。

・肉の正しい焼き方
多くの人が犯す危険な間違いは、生肉を触っていたトングで、焼き上がった肉を小皿に取り分ける行為です。
これをすると、トングに付着した菌が焼けた肉にもついてしまいます。これでは、せっかく火を通しても意味がありません。
ちょっとつまんだだけでも菌が肉に移りますから、「焼く用のトング」と「取り分け用のトング」をかならず用意するようにしましょう。

・その他の危険な行為
つぎのうち、危険な行為はどれだと思いますか?

A、特製ダレで肉を漬け込んだものを持参すること
B、肉と野菜をカットした焼きそばセットをつくってくること
C、素手で握ったおにぎりを焼くこと

伊藤氏によれば、これらはすべて危険な行為なのだそうです。
1つずつ見ていきましょう。

A、特製ダレで肉を漬け込んだものを持参すること
食中毒菌は通常、肉の表面にしか付着していないのですが、肉を揉んでからタレに漬け込むことによって、肉の筋などからタレと一緒に肉の内部に侵入していってしまうそうです。
漬け込んだ肉を調理する場合には、肉の中心が褐色に近くなるまで火を通す必要があります。

B、肉と野菜をカットした焼きそばセットをつくってくること
生肉に細菌がついているとそれが野菜に移ってしまうので、セットにするのではなく、別々の容器や袋に入れるようにするべきだそうです。

C、素手で握ったおにぎりを焼くこと
おにぎりでは、手の傷などから付着することが多い黄色ブドウ球菌による被害が多いといいます。
黄色ブドウ球菌は増殖すると毒素を出します。黄色ブドウ球菌自体は加熱で死滅させさることができても、その毒素は熱でも消えないのだそうです。
おにぎりを握るときには、ラップやビニール手袋を使うと安全です。

 

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食中毒になってしまったら

食中毒のかかりやすさについて慶応義塾大学の森正明医師は、「胃酸による殺菌力や腸内環境の抵抗力には個人差があるし、夏バテなどその時の体調も影響する。」という趣旨の話をしていました。つまり、食中毒になりにくい人はいても、誰にでもなってしまう可能性は十分にあるということです。

もし食中毒になってしまったら、下痢止めなどで下痢を止めることはせずに菌を排泄させつつ、それによる脱水状態にならないようにしっかりと水分補給をすることが重要だそうです。

バーベキュー場では「虫」にも注意を

バーベキュー場では虫刺されにも気をつけましょう。
「ブヨ」に咬まれてしまうと、数日後にその部分がパンパンに膨れ上がってしまうこともあります。

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健康カプセル!ゲンキの時間より

小さなハエのような見た目をしており、皮膚を噛みちぎって血を吸います。その際に毒素を体内に注入するため痒みや痛みを伴います。
咬まれてしまったらすぐにその部分を冷やしましょう。血管を収縮させることで毒素が身体中に行き渡るのを防ぎます。そして、なるべく早く皮膚科を受診するようにもしてください。

 

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生えているものを採取するときの注意

採取した野菜などの“食べ間違え”が頻繁に起きていることをご存知でしょうか?
たとえば、ニラとスイセンは見た目が非常によく似ているため、食べ間違えの被害が今年(平成28年)だけで26件も起きています。

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健康カプセル!ゲンキの時間より

スイセンの花は5月には散ってしまうため、夏頃になるとニラと見分けるポイントがなくなってしまうのです。
スイセンにはリコリンなどのアルカロイド(自然毒)が含まれており、これを体内に入れると下痢や嘔吐などの食中毒症状が現れることがあります。

両者を見分けるポイントは “におい”です。
スイセンは無臭です。葉をちぎって、それを揉んでからにおいを嗅げば、ハッキリと違いがわかるはずです。

 

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家の中のカビと肺炎

Yさん(50代男性)は、ある日突然、熱と咳に苦しめられました。
最初は「風邪かな」と思っていましたが、次第に呼吸が困難になってきたため病院を受診。症状が重かったため急遽入院することになってしまいました。
1週間後には退院することができたのですが、帰宅後3日ほどでまた発熱や呼吸困難の症状が再発してしまいました。
そこでYさんは再び病院へ行くと、「夏型過敏性肺炎」と診断されました。

昭和大学の相良博典教授によれば、この肺炎は「カビの一種であるトリコスポロンが関係しているアレルギー性の肺炎」だそうで、肺の組織が破壊されてしまう病気だそうです。
入院によって症状が改善しても、抗原であるカビのいる家に戻ると再発する可能性があります。

トリコスポロンは気温が20℃以上、湿度90%以上になると活動をはじめ、高温多湿になるほど繁殖するため、夏型過敏性肺炎は6〜9月が発症のピークになっています。
家のなかで特に注意したいのは「水回り」です。

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健康カプセル!ゲンキの時間より

タイルに付いたカビなどの目につくものは掃除しますが、「洗濯カゴ」に意外な落とし穴があります。
汗などを含んだ洗濯物を入れておくと湿度が高くなり、カゴの中は微生物が発生しやすい環境になります。番組で行った実験では、24時間で菌が30倍も増殖していました。
洗濯後の衣類を、洗濯前の衣類を入れていた洗濯カゴに再び入れてしまうと、せっかく洗った衣類にまた菌が付着してしまうことになります。しかも、菌は天日干しでは死滅しないそうです。
洗濯カゴもアルコール消毒をして、風通しの良いベランダで干すようにしましょう。

夏風邪と見分けるポイントとしては、夏型過敏性肺炎では鼻水が出ることがないという特徴があるそうです。
また、旅行などで自宅を離れると症状が改善するなどの傾向が見られる場合も、夏型過敏性肺炎を疑ってみてください。

まとめ

しっかりと火を通せば大丈夫と思ってしまいがちなバーベキューにも、また、家の中にも、気をつけなければならないことはたくさんあったのですね。
バーベキューに関しては、子どもやお年寄りと一緒に行く際はより注意が必要になります。
「自分たちは大丈夫」と油断せずに、今回得た知識を活用して食中毒などをしっかり予防しましょう。


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