あまり聞きなれない病気ですが、中高年以降の方で、歩き始めにズキンとした痛みが足裏にある場合は、“足底腱膜炎”という病気が疑われます。この病気は、足の裏、特にかかとに、立ったり歩いたりした際、痛みが起こる病気です。
中高年以上、特に50代、60代の女性や仕事で歩く量が多い男性にも多いそうです。
NHK「きょうの健康」で特集していましたのでまとめておきます。解説は獨協医科大学の栃木祐樹医師がされていました。
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足底腱膜の場所
足底腱膜とは、足裏のかかとから指先まで広範囲にある腱組織を指します。
特にかかとの部分に負担がかかりやすく、炎症が起きやすい場所になります。
足底腱膜炎になっている患者さんのレントゲン写真です。まるく囲った部分が炎症を起こしているそうです。足底腱膜炎は内部で起こっている炎症のため、腫れや赤みといった見た目でわかる症状があまりないのが特徴です。
足底腱膜炎の痛みの特徴
一定の時間足を使ってない状態が続いた後の歩き始めにズキンという痛みが起こるのが大きな特徴です。痛むのは歩き始めの最初のみというケースも多く、しばらくすると痛みが引いていきます。
足を使ってない状態が一定時間続けば足裏への負担はなくなり、足底腱膜が固くなっていきます。その状態から歩き始めると、足底腱膜がいきなり引き伸ばされてしまって急激に負担がかかり、痛みが出やすくなるのだそうです。
足底腱膜炎発症の仕組み
⇒古くなったゴムが引き伸ばされるとひび割れが起こるようなイメージ
2.繰り返しの負担によって傷が治りきらないうちに次の傷が追い打ちをかける
⇒歩きすぎ、立ちすぎ、スポーツなど
肥満の場合は小さな要因でもより大きな負担となる
ふくらはぎの硬さも大きな要因となっていく
1と2の要因により、慢性の炎症や痛みにつながっていく。
痛みを改善するためには
痛みを改善するためには、足への負担を減らし炎症を改善することが重要です。主には生活習慣を改善すること、投薬による痛みの軽減、日々のストレッチの実施などがあります。
〇生活習慣を改善
足の使いすぎを控える
クッション性の高い履物や中敷きの使用
肥満を解消する
〇投薬
飲み薬や貼り薬で痛みを和らげる(治るわけではない)
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が使われることが多い
〇ストレッチ
足を使う前に行う
足底腱膜炎になった後の運動
足底腱膜炎は腱組織に傷が入っている状態です。傷がある状態で運動してしまうと傷がさらに悪化する可能性があります。特に痛みが出たきっかけがウォーキングやジョギングなどの運動の場合は運動そのものを控える必要があります。
ただし、内科的な病気の対策で運動をしなければならない人は、水泳や自転車など、かかとへの負担がごく軽い運動に切り替えれば継続しても大丈夫なのだそうです。要は傷ついた箇所をしっかり休めることが重要ということです。
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日常の動きでの注意事項
傷ついた箇所をしっかりと休めることが重要とはいっても、日常生活で歩いたりすることは避けられません。そこで大切になってくるのがストレッチです。歩き始める前にストレッチをすることで、痛みを和らげることが可能です。
ストレッチは長期間続けることで9割以上の患者さんが傷みが気にならない程度にまで痛みが引いているという調査結果もあるくらいに重要な対策になります。
ストレッチ
足裏のばし
指を反らせて足底を10秒程度揉む(痛みがある部分はさける)
10回が1セット
朝、昼、晩3セット行う
クリームなどをつけて滑らせるように押していくのも良い
アキレスけん伸ばし
電話帳くらいの厚みのあるものを敷いて、足先を乗せて、かかとは床につけて立つ。
10秒間を10回する
朝、昼、晩行う
物足りない場合は厚みをさらに増す。ざぶとんを折り曲げて使うなどしても良い。
このやり方で痛みがある場合は、かかとをつけずに行うアキレスけん伸ばしをする
このストレッチで状況が改善しない場合は、足裏を専門としている整形外科医の受診をしましょう。
また、歩いてない時に痛みがある、表面から見て腫れていたり赤みが出ている、痛みが足裏全体に広がっている場合には他の病気の可能性があります。整形外科を受診しその旨伝えてください。