脳梗塞の検査と予防~動脈硬化と心房細動について~きょうの健康より

先日の『きょうの健康』では、「脳梗塞 完全理解」と題した特集の一環として、脳梗塞の検査と予防について伝えていました。2大原因である動脈硬化と心房細動の予防やチェック方法、心房細動の新薬、そしてその他の脳梗塞のリスクについて伝えていました。
解説をするのは、神経内科医で特に脳卒中の診断、発症直後の治療が専門の、日本医科大学大学院の木村和美教授です。

 

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脳梗塞の予防で重要なこと

木村教授によると
「脳梗塞の予防で重要なのは、自分が脳梗塞のリスクが高いのかどうかを知ること。脳梗塞の原因である<動脈硬化>と<心房細動>について知り、検査と予防を行うことが大事だ」
と呼びかけます。

動脈硬化の検査

脳梗塞の原因の6割は動脈硬化とのこと。その動脈硬化の検査は「頚動脈エコー検査」で行います。頚動脈の動脈硬化の状態をみることで、脳を含む全身の動脈硬化の状態がわかるそうです。
血管は内膜、中膜、外膜の3層でできていて、内膜+中膜の厚さが通常では1ミリメートル以下のところ、これが1.5ミリメートルを超えると動脈硬化と診断されるとのこと。

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きょうの健康「脳梗塞完全理解」より

実際の頚動脈エコー検査の画像ですが、この画像では内膜+中膜の厚さが2ミリメートルあり、動脈硬化があると判定されます。

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きょうの健康「脳梗塞完全理解」より

 

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心房細動とは?

脳梗塞の原因の3割を占める心房細動は、心臓にある心房の収縮が不規則になり、細かく震える状態です。すると心房内で血液がよどむため固まりやすくなり、血栓をつくるのです。この血栓が脳に到達して血管をつまらせると、脳梗塞になります。

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きょうの健康「脳梗塞完全理解」より

心房細動によりできる血栓は2ミリメートルに達するなど大きなものが多く、脳梗塞になると重症化するそうです。心房細動による脳梗塞では、実に8人に1人が死亡しているのだそうです!
また、心房細動がある人は、ない人と比較して3~5倍も脳梗塞のリスクが高くなっているとのことです。

 

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心房細動を自分でチェック

心房細動は、自分で脈をとることで簡単に確かめることができるそうです。脈の取り方ですが、

①どちらかの手首を外側に回して、手のひらを上に向ける

②手首を少し曲げると小じわができるので、

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きょうの健康「脳梗塞完全理解」より

③その小じわの位置に反対側の手の薬指を置き、中指・人さし指もそえるように軽くあてて、脈がとれる場所をさぐる。指の腹ではなく、指先を少し立てて触れたほうがわかりやすいそうです

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きょうの健康「脳梗塞完全理解」より

④30秒ほど脈に触れてリズムを確認する
トン・トン・トン・トン・トンと、規則正しいリズムであれば正常ですが、
トン・ト・トン・トン・ト・トンと乱れていれば、さらに1~2分調べ、それでも不規則なら医療機関で診断してもらいます。

医療機関での心房細動の検査

医療機関では心電図による検査を行います。
心房細動では脈がばらばらで、ピークとピークの間で細かくふるえる脈が見られます。

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きょうの健康「脳梗塞完全理解」より

ただ、心房細動には「持続性心房細動」「発作性心房細動」の2種類あり、持続性のものはいつ心電図検査を行っても発見できるものの、発作性のものは発作が短時間しか起こらないため、心電図検査でもわからないことがあるといいます。

心電図をとって異常がなくても、患者が問診で動悸や脈の乱れなどを訴えている場合には、24時間継続して心電図を計測できる「ホルター心電図」使います。小型で携帯できる心電計を装着し、通常の生活の中で24時間脈拍を測定します。

 

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動脈硬化と心房細動の予防は?

動脈硬化と心房細動の原因には次のようなものがあります。

高血圧、
糖尿病、
脂質異常症、
肥満、
慢性腎臓病、
喫煙、
大量の飲酒 など

生活習慣に気をつけることが大事です!

また、男性のほうが脳梗塞になりやすいそうです。女性は、女性ホルモンのエストロゲンによって動脈硬化から守られているためです。ただ、女性でも50歳を過ぎるとエストロゲンの分泌が減少するので、更年期からはやはり動脈硬化に注意が必要とのことです。

50歳以下で脳卒中になる人の多くは独身男性で、そのことについて木村教授は、私見としながら
「食生活の乱れや飲酒、喫煙というリスクを抱えながら生活している人が多いように感じる」
と述べ、注意を促します。

心房細動の薬

心房細動には血液を固まりにくくする「抗凝固薬」が使われます。従来は「ワルファリン」のみでしたが、ここ5年で次のような抗凝固薬の新薬が出て脳梗塞が予防できるようになったそうです。

ダビガトラン
リバーロキサバン
アピキサバン
エドキサバン

新薬は、脳出血のリスクが高くなり使用が難しかったワルファリンと同等の効果がありながら、脳出血のリスクは少なくなっている点で違っています。またワルファリンは定期的な血液検査で用量を調節しなければならなかったり、納豆やほうれん草といった一部食品や他の薬に作用するので制限がありました。新薬にはそのような煩わしさがないとのことです。

新しい抗凝固薬について木村教授は
「安全性が確かに高い一方、薬価はワルファリンの10倍以上するので、医師と相談して薬を選んでほしい」
とアドバイスします。

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薬価が高いものの、何かとメリットが多い4種の新薬。それぞれどのような特徴があるかは、次のページの「豆知識」で簡単にまとめていますので、薬の違いが気になる方は参考にされてはいかがでしょうか。

心房細動の治療と脳梗塞

脳梗塞のリスクが高い人

動脈硬化と心房細動にも、睡眠時無呼吸症候群があると脳梗塞のリスクが高くなり、脳卒中患者の実に9割が睡眠時無呼吸症候群なのだそうです!

脳梗塞とも大きな関連がある睡眠時無呼吸症候群。ざっとおさらいしたい人には次のサイトがあります。

睡眠時無呼吸なおそう.com

睡眠時無呼吸症候群の症状や起こるメカニズム、どんな人がなりやすいか、そして予防法などがわかりやすくまとめられています。
次のページではセルフチェックもできます。

睡眠時無呼吸症候群セルフチェック表

参考にされてはいかがでしょうか。

 

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まとめ

脳梗塞の原因となる動脈硬化や心房細動を防ぐには、日頃の生活習慣が大事だということがわかりました。脳梗塞の予防には、自分がリスクが高いのかどうかを知ることも重要なので、動脈硬化が気になる方は頚動脈エコー検査を、心房細動が気になる方は心電図検査を、医療機関で受けてみられてはいかがでしょうか。


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