毎朝「まだ寝ていたい…」と思っていませんか?
そんな方は、“睡眠負債”がたまっているかもしれません。
睡眠負債がある状態というのは、睡眠不足が重なって身体が悲鳴を上げている状態です。
最新の調査によると、睡眠時間が6時間以下という人が全体の4割にものぼるといいます。
そこで今回は、睡眠時間の確保が難しい現実の中で、どのようにして睡眠負債を返済していくかについて解説していた『あさイチ!』をまとめておきたいと思います。
快眠の極意や、寝てくれない子の寝かしつけ術、フルタイムで働きながら子育てをしている女性が8時間半睡眠を実現した方法などを紹介していましたので、参考にしてみてください。
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睡眠負債について
休日に寝すぎてしまったという人は、実は睡眠負債がたまっている状態かもしれません。「私はすぐに寝付けるから、睡眠の悩みはないよ」と思っている人でも、実は睡眠負債がたまりすぎているからこそすぐに寝つけているのかもしれないそうです。
まずは睡眠の基本的な情報について、Q&Aの形で整理しておきましょう。
Q,寝だめはできる?
A、できません。医学博士の白川修一郎氏は、「長く寝るのは睡眠不足を解消しようということで起こる現象だが、やってしまうと夜が眠れなくなり、その日の睡眠時間が減ってしまう。これでは悪循環」と話し、休みの日だけ長く寝るような考え方に注意を促していました。
Q,肌のためには夜10時〜深夜2時に寝たほうがいい?
A,関係ないそうです。成長ホルモンが出るという理由で子どもはその時間に寝た方がいいといいますが、大人の肌だけに注目すると関係ないそうです。肌にとって重要なのは「睡眠の質」で、成長ホルモンは7時間寝るとよく出ることがわかっているといいます。そして、毎日同じようなリズムで規則的に寝たほうが質の良い睡眠は取りやすいので、規則正しさも心がけるとよいでしょう。ちなみに、睡眠時間が7時間以上になると逆に成長ホルモンの分泌量は減っていくそうです。
Q、運動は朝に行った方がよく眠れる?
A、睡眠に直結させるには、運動は夕方に行ったほうがいいそうです。睡眠中は体温が下がります。逆に起床中にもっとも体温が高くなる時間帯が夕方なので、そのタイミングで運動をするとメリハリが付き、寝ている時に必要なところまで体温が下がりやすくなるそうです。
突然死がいちばん多い時間帯が朝方であることも運動を夕方に行うべき理由のひとつです。血圧が高い人や血管に問題がある人は、朝の運動は控えるべきでしょう。時間の都合などから朝方に運動をせざるをえない場合は、身体をある程度温めてから行うようにしましょう。
Q、眠れない夜はホットミルクがいい?
A、牛乳に含まれるトリプトファンの効果で睡眠に導かれるとされていますが、実際に効果が現れるのに必要な量を摂取するには牛乳を100リットル飲む必要があるので、現実的ではないそうです。
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快眠の極意
白川氏によると、以下の点に気をつけると快眠につながるそうです。
・ 午前中に陽の光を浴びる。
・ 食事の時間は一定にする。
・ 運動をするなら夕方に。散歩でもいい。
・ カフェインとお酒は寝る3時間前までに。
・ 寝る2時間前から(パソコンやスマートフォンを含めた)強い光を避ける。
・ お風呂は寝る30分前に入る。
・ 寝室は18〜26度に保つ。
・ 布団でもスマホやゲームはご法度。
・ 「寝なければ」と焦ってはいけない。
「寝酒」という言葉もありますが、微量のお酒でも興奮作用があるので本来は避けるべきだそうです。
また、ベッドの上でのスマホは光で脳が興奮してしまうので避けるべきですが、読書は大丈夫だそうです。「これをしたら眠る」という習慣をつけるとその行為が「睡眠儀式」という条件付けになるので、その意味でも良いかもしれません。
質の良い睡眠なら4時間半でも大丈夫?
睡眠に関しては“俗説”も多くあります。
たとえば「3時間刻みに周期が来る」「90分の倍数で起きると良い」「質が良ければ短時間睡眠でもいい」などがあり、これらの情報から「睡眠時間は90分☓3の4時間半でも大丈夫」という説がありますが、これは本当なのでしょうか。
番組では白川氏監修のもと、4時間半睡眠を3日間続ける実験を行っていました。
成人男性3名が活動レベルを測る機械を手首につけて実験を行います。
1日目の朝、被験者たちは一様に「思った以上にスッキリ起きられた」「しっかり寝られた」などと語っていました。
手首の機械が計測した身体のリズムを見てみると…
線が下につくと寝ている状態を示すので、比較的よく眠れていることがわかります。
しかし、被験者のひとりであるSさんは、日中は元気に過ごしていたのですが、夜には電車の中で寝落ちしてしまっていました。
2日目の夜には、寝る予定の時間よりも1時間早く寝落ちしてしまった人もいました。何度か起きようとした形跡がグラフから見て取れますが、翌朝も寝過ごしてしまっていました。
2人目の被験者Jさんは、1日目の夕方から元気がありませんでした。
2日目の朝にはかなりつらそうになり、三回も二度寝してしまっていました。
3人目のCさんは2日目も3日目も元気に生活していましたが、夜には強い眠気を感じていたそうです。グラフを見ると日中にも関わらず寝落ちを連発し、気合でなんとか乗り越えていた状態だったようです。
これは、判断力や体の反応が鈍っている危険な状態です。
以上の実験からもわかるように、4時間半睡眠はとても不健康です。
白川氏は4時間半睡眠について「身体はどうにかなるが、脳が回復していない。やはり睡眠は6時間以上必要」と話していました。
また、日中にとる15分の昼寝などはリフレッシュにはなっても睡眠負債の返済にはならないそうです。
「90分の倍数ならさっぱりと目覚められる」というのも問題がある俗説だそうです。レム・ノンレム周期というのは70〜110分の間で個人差が大きいそうです。しかも日中の活動によって同じ人でもその周期が日ごとに微妙に変わっているそうです。
また、短時間睡眠(ショートスリーパー)の人もいるにはいるといいますが、それは200人に1人の割合なので「自分は寝なくても大丈夫」などと早合点しないほうが良さそうです。ショートスリーパーは遺伝形質や生育環境などに因るといわれているそうですが、まだよくわかっていないそうです。ただし、なろうとしてもなれるものではないことは確かだといいます。
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どれくらい寝ればいいのか
その人にとって何時間睡眠がベストなのかを知ることは、現在の科学・医学でもまだできませんが、今の睡眠で足りているかどうかはわかるそうです。
白川氏によれば、例えば6〜7時に起床した日の午前10〜12時に眠くなると睡眠が足りていない証拠になるといいます。この時間は十分に睡眠がとれていれば一番眠くないはずの時間だそうで、この時間に眠気があるようなら睡眠時間が足りていないといいます。また、夕方に居眠りしてしまうようでも睡眠時間が足りていないそうです。
寝だめにも関係しますが、週末に平日より2時間以上長く寝てしまう人は睡眠負債がたまっている可能性が高いそうです。こういう習慣のある方は、週末ではなく週の真ん中(水曜や木曜)に睡眠時間をプラス30分ほどした方が効果的だそうです。
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睡眠時間のつくり方
Sさん(41歳女性)は、フルタイムで働きながら3歳の双子を育てているにも関わらず、平日に睡眠時間8時間半を確保しているそうです。
以前は6時間しか寝ていなかったというSさんですが、「子どもを9時半に寝かせて自分は12時まで起きていたが、それだと日中の集中力がなくなった」ことがきっかけで生活を見直しはじめたといいます。
通勤を含めた仕事の時間はどうにもなりませんから、残りの時間から2時間半を絞り出して8時間半睡眠を実現しようと試みました。
1つ目に削ったのは買い物の時間です。ネットスーパーで買い物をすることで、スーパーに行く時間をなくして30分を捻出しました。
2つ目は常備菜です。調理時間を短くすることで30分を捻出します。さらに、Sさんはもうひと工夫を加えました。短時間料理でも月火水は常備菜を用いて、木曜はめん料理で時短を実現しつつ変化を加え、金曜日は旦那さんにつくってもらうようにしたそうです。
3つ目は子どもの寝かしつけを早めることです。8時半には消灯し、早めに暗くすることで、子どもたちに早寝の習慣をつけました。これでまた30分の捻出が可能になったそうです。そしてSさんも子どもたちと一緒に寝てしまうそうです。ゆっくり過ごす自分の時間は週末に回して、睡眠時間を30分捻出するのです。
翌朝は6時半に起床し、7時には家族と朝食をとります。
その後の子どもの着替えと保育園への送りは旦那さんが担当することで、ここでも30分の捻出が可能になります。
以上のように、小さな30分を積み重ねて、Sさんは2時間半をゲットしました。
「眠る時間をつくる」ということを先に考えて逆算していくと、Sさんのように睡眠時間を増やせるかもしれません。
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寝ない子供の寝かしつけのポイント
3歳の息子の寝かしつけに苦労しているKさんは、子どもの寝かしつけに1時間、下手すると2時間かかってしまう日もあるそうで、遅い日は深夜1時まで寝ない日もあるそうです。
番組では、ある日のKさんの様子を定点カメラで観察していました。
夜7時半に夕食をとりますが、息子さんは食べることに飽きてなかなか食事が進みません。この日は夕食に1時間もかかってしまっていました。
午後9時半頃から寝かしつけの時間になります。部屋の電気を暗くしても、息子さんはまだまだ遊びたい様子です。お父さんが優しく声をかけるも寝ることを嫌がり、半ば無理やり寝室に連れて行ってもまったく寝付く様子がありません。終いには寝室におもちゃを持ち込んで遊び始める始末でした。
結局、この日寝たのは11時を回った頃になっていました。
Kさんは「保育園に間に合うように7時には起こしたいんですけど、なかなか起きてくれないので8時を過ぎてしまったりして、親が出勤するのに本当にバタバタしてしまう」と、その苦労を話していました。
これまでに3000人以上の寝かしつけをサポートしてきたという、寝かしつけの専門家の清水悦子氏はこの映像を見て、「改善の余地がある。いろいろなところで時間が短縮されていくはず」と話しました。
清水氏が指摘したのは以下の点です。
1,何をしている時間かをしっかりと意識させる
「今はごはんを食べている時間だ」「今は寝る準備をしているときだ」というように、自分がいま何をしている時間なのかを子どもがしっかりとわかっていることが大切だそうです。「こういうことをしたら自分は眠るんだ」というような心と身体の準備になるそうです。
2、寝室に行くタイミング
清水氏は映像を見て、「寝室に行くタイミングが少し早い」と指摘しました。「眠る準備自体がお子さんにできていないというのが気になる」そうで、寝る環境の悪さも寝かしつけ時間を引き伸ばしている要因として指摘していました。「おもちゃを持って寝室まで入ってこられる状況は、眠る環境には好ましくない」とのことでした。
3、子どもが寝室から出てしまったときの対応
子どもが寝室から出ていってしまった時に丁寧に扱うこともよくありません。そこでかまってあげるというのは「起きていてもいいよ」と言っているのと同じだそうです。
清水氏が挙げたポイントをまとめると、以下のようになります。
「イチャイチャタイム」は、寝かしつけのタイミングの前に親子でゆっくりと過ごす時間のことです。そうしてある程度落ち着いたところで寝室に行くことを習慣づけると、イチャイチャタイムがひとつの区切りとなり、スムーズに寝付きやすいといいます。
これらを指摘されたKさんは、以上のポイントを生活に取り入れました。
たとえば「夕食をダラダラ食べさせないように量を少なめにして、短時間で食べ終わるようにしてみた」そうです。そして30分早く寝かしつけを始め、イチャイチャタイムをつくりました。
これらの工夫を取り入れてから3日経つと、お子さんは9時半には自らベッドへ向かうようになったといいます。
大変な進歩ではありますが、映像を見ると、やはり10分ほどでリビングへ飛び出してしまいました。ここでもKさんは清水氏が指摘したポイントを踏まえて、子どもに丁寧に接することはせず、「今は寝る時間だよ」と言い聞かせ、遊びの相手もしてあげませんでした。
すると、お子さんはソファの上でそのまま寝落ちしてしまいました。結局この日は以降一度も目覚めず、朝まで寝てくれたそうです。
お子さんが元気な日はうまくいかない日もあるといいますが、平均して30分〜1時間ほどは時間を短縮することができるようになったそうです。
最後に、清水氏は「泣いているからといってすぐ起きて相手をしてしまうと、子どもは“泣けば相手をしてくれる”と覚えてしまうので、少しの間我慢して様子を見るようにするとよい。そうしていると自然に泣き止むことが多い。」と話していました。
適切な接し方をとれば、無駄な時間は減るようです。
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睡眠に関するあれこれ
・冷たい布団で寝ても大丈夫か
白川氏によると、冷たい布団は良くないそうです。
眠るときは末端の血管を広げて体温を逃がし、深部体温を下げているのですが、冷たい布団だと血管が収縮してしまってそれがうまくいかなくなるためです。
・あんかをつけたまま寝ても大丈夫?
あんかをつけたまま寝ると、低温やけどになる可能性があるそうです。タイマーなどで切れるようにしておくほうが良いようです。
・睡眠薬がないと寝つけない。依存性はない?
この質問に対して東京薬科大学教授の井上雄一氏は、「少量を短期間使う分にはまったく問題ない。長期間服用や、量が増えると問題が出てくる。症状が安定してきたら減らしたり時々休んだりするような工夫が必要。最近出てきた薬にはまったく依存性がないものもあるので主治医と相談してみては」と話していました。
そして「市販の薬はあまり作用が強くないので、治療には適さない。病気の場合は病院で診てもらうべき」とも話していました。市販のものは「睡眠改善薬」であり睡眠薬ではないことを覚えておくと良いでしょう。
こんな人は病院へ
以下の症状が1ヶ月くらい続くようなら病院を受診するといいそうです。
・ 30分以上寝付けない…入眠障害
・ 夜中に何度も目覚める(年齢を重ねて何度もトイレに目覚めるようなケースも含む)…中途覚醒
・ 予定より2時間以上早く目覚める(睡眠時間5時間以下)…早朝覚醒
・ 睡眠時間を十分とっても眠い…熟眠障害
こういう症状があっても日中困らないというのであればそのままでも大丈夫だそうですが、どうしても辛いというような状態なら治療を受けるべきだそうです。
井上氏によると「不眠症は、寝つけないことと眠りが浅いことが一緒に出てくるのが普通。(それとは異なり)寝付きは悪くないのに眠りが浅くてすっきりしないという人は睡眠を壊す現象が隠れていることがある。一番多いのは睡眠時無呼吸症候群など。こういうものは専門医療機関で診てもらわないとなかなかわからない」といいます。
様々な要因で不調は引き起こされますから、少しでも気になることがあれば病院で診てもらうようにしましょう。
まとめ
今回は睡眠に関するさまざまな話題が取り上げられていました。
現代社会は睡眠不足に陥りやすい社会です。身体に不調を感じた場合は日本睡眠学会のホームページ(http://jssr.jp/)から睡眠の認定医や認定医療機関を探し、受診するとよいでしょう。