「巻き肩」という言葉を聞いたことがありますか?
巻き肩とは、両肩が前に出て、身体を包みこむように内側に巻いてしまっている状態のことをいうそうです。正しい姿勢よりも肩が前に出るために肩コリが増え、さらに精神的な不安感やストレスも増してしまうそうです。
今回は、そんな巻き肩を解消する方法を紹介していた『健康カプセルゲンキの時間』をまとめておきたいと思います。
巻き肩になると見た目年齢も上がってしまうそうなので、女性も必見です。
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巻き肩になると…
番組の冒頭では、街ゆく人に「その場に立って肩の力を抜き、楽な姿勢になってください」とお願いし、やってもらっていました。
すると、多くの人の手の甲が前に向いていることがわかりました。
こうなってしまう人は「巻き肩」かもしれないそうです。
巻き肩になると肩甲骨が外側に引っ張られて広がります。
番組に登場した巻き肩の5人と正常な人の肩甲骨の位置を比較すると…
ハの字型に、外に広がっています。こうなると、肋骨と肩甲骨をつなぐ小胸筋というインナーマッスルが縮こまったまま固まって、良い姿勢が取れなくなってしまうそうです。
このため、手の甲が前を向いてしまうのです。
巻き肩矯正のプロである鍼灸師のさかえみきこ氏によると、巻き肩には大きく分けてふたつのタイプがあるそうです。
・猫背型
背中が丸まっているので頭が前に出て、耳の位置が肩よりも前に出た状態になります。
・隠れ巻き肩
隠れ巻き肩の人は一見きれいな姿勢に見えますが、本当は巻き肩のまま姿勢を正そうとしているので反り腰になってしまっている状態のことをいうそうです。
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巻き肩とは
まず、猫背との違いについて昭和大学江東豊洲病院の富田一誠氏は「猫背も巻き肩も病気ではない」と指摘した上で、「猫背は胸の部分の胸椎が歪んで大きく曲がった状態で、巻肩は背中の肩甲骨が外側に広がって肩が前に出て巻いてくる状態」と説明していました。そして「両者は密接に関係しているので、巻き肩を治さないと猫背になってしまう」と話していました。
巻き肩が肩コリを引き起こす理由は「巻き肩になると周囲にある筋肉の血流が停滞し、血流が悪くなる」ためだそうで、番組では巻き肩の人と正常な人を比較する実験を行っていました。軽い運動をして体を温めた後に体表面の温度を測定する実験で、血流が悪いほど体がすぐに冷えるはずなので、その違いを見る実験です。
運動の直後は…
両者に違いはありません。しかし、30分経つと…
巻き肩の人は体表面の温度が下がっています。血行が悪いので、身体が早く冷えたのです。
これが肩コリの原因です。
さらに、手や指先にしびれや冷えを起こすこともあるそうで、富田氏によると「首や肩の筋肉が固くなるために、その間を通っている神経や血管が締め付けられて症状を引き起こす」といいます。
顔のたるみや二の腕が太くなるなどの見た目の問題も生じます。
二の腕がねじれることで腕の内側にある肉が露出し、二の腕のたるみが目立ちます。
首のたるみや二重あごも現れやすくなります。
巻き肩になると顔が下向きになるので、ほうれい線や目の隈がくっきりと見えるようになってしまいます。そして、筋肉が下に引っ張られるので顔がたるんで見えます。
横向きで見ると、二重あごになってしまうことがよくわかります。
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巻肩になる原因
富田氏によると、「(現代人は)コンピューターの作業などで身体が前かがみになってしまうために、結果として筋肉が固まって巻き肩になってしまう」と話していました。特にスマートフォンの長時間利用には注意が必要です。
腕や脚をよく組む人や横向きで寝る人、ハイヒールをよく履く人なども要注意です。
五十肩などの年齢肩との関係もあるそうです。巻き肩になると腕の骨が上がりづらくなり、肩甲骨と腕の骨が当たって痛みが出て、関節が硬くなってしまうそうです。
呼吸への影響で気持ちが不安に
東京有明医療大学の本間生夫氏によると、巻き肩は呼吸への影響も及ぼすそうです。
人間は姿勢を変えるだけで、呼吸が変わります。巻き肩のときのほうが吐く息は小さくなってしまいます。
被験者も正しい姿勢のほうが「息が吐きやすい」と話していました。
肺活量を測定しても、良い姿勢のほうが良い数値を出していました。
肩が巻いて胸郭が潰れると、横隔膜を圧迫し、呼吸が浅くなるのです。
本間氏によると「呼吸が浅くなると呼吸数が増え、呼吸が早くなる。呼吸の数は不安などの感情に影響する」と話していました。早い呼吸が不安感を生むというのです。
本間氏の研究によれば、感情を司る扁桃体は呼吸のリズムに影響を受けるそうです。
扁桃体は恐怖や不安、怒りなどの感情が生まれる場所で、呼吸の回数が増えるほど活発に活動してしまいます。
巻き肩の人に不安度のテストを行うと、ほとんどの人の不安度が高めという結果が出ていました。
免疫力の低下やホルモンバランスが崩れることもあるそうですから、巻き肩は少しでも早く改善する必要があります。
巻き肩の改善法
鍼灸師のさかえ氏によると、「(筋肉を)無理やり引っ張ると、逆に縮んで緊張を起こしてしまう。痛気持ちいいという刺激は、身体にとってあまり嬉しいことは起きない」と話していました。(伸ばそうとすると縮こまる減少を伸張反射というそうです。)
これを避けて、巻き肩を正しく改善するには小胸筋と肩甲骨がポイントになります。
「小胸筋」は大胸筋の下にあるインナーマッスルです。肩甲骨と肋骨をつなぐもので、巻き肩になると固くなってしまいます。「肩甲骨」は巻肩になると広がるので、これを正しい位置に引き寄せることが大切です。
これを実現するためには、以下のような方法が有効です。
・腕プラ体操
巻き肩になると腕がねじれながら前に出るので、それとは逆方向にねじって手の平が外に向くようにして、腕を柔らかく、だらーんと下に落とします。
それから目線を少し上げて、片方の手を頬に軽くあてます。
さかえ氏によると「咀嚼筋が緊張しやすいので、優しく弱く触れる」ことによってそこを意識するそうです。鼻でゆっくりと呼吸し、腕をプラプラとさせます。
これを片腕30秒間ずつ、ゆっくりとした呼吸を4回分行います。
1日3セット以上、座ったままでもいいので行いましょう。入浴前に行うとより効果的だそうです。
・呼吸筋ストレッチ
膝を軽く曲げ、背筋を伸ばします。
息を吐きながら両手を胸の前で組みます。
大きなボールを抱えるように手を伸ばしながらゆっくりと息を吸います。
それから、肩甲骨を広げるように意識して、手を胸に戻しながら、ゆっくりと息を吐きます。
これを3〜10回、朝昼夜の1日3セット行います。(就寝前に行うと寝付きが良くなるそうです。)
肩甲骨の内側にある菱形筋を使って引き寄せる意識で、息を吐く時に背中を引き寄せるようにするといそうです。
巻き肩の被験者たちも、この改善法を実施して2週間で姿勢が正しくなり、呼吸数や肺活量も改善していました。
不安な気持ちも改善したそうで、「気持ちが軽いし、いろんなことに動きやすいので気分がすごく楽しい」という声や「視線が高くなったので前向きになった」などと話していました。なかには肩コリや冷え性の改善を実感した人もいました。
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まとめ
巻き肩は、日々の蓄積でいつの間にかなってしまうものです。
逆に言えば、今回紹介された改善法を実行すればしっかりと改善することができるということです。
巻き肩の人は前述の改善法を習慣化して、正しい姿勢のとれる健康な体を目指してみてください。