家庭血圧の正しい測り方・仮面高血圧・早朝高血圧~主治医が見つかる診療所より

今年の1月下旬、“突然死を防ぐ!血圧の新常識”というテーマで「主治医が見つかる診療所」の放送がありました。

日本人の死因の24.5%が心疾患+脳血管性疾患となっており、血管の病気の原因となっているのが高血圧なんだそうです。

番組を見るまで、血圧を気にすることは全くなかったのですが、その日以来、自分の血圧について身近に考えるようになりました。番組で明らかとなった血圧の新常識とは? そのほか事例なども含めてその内容をまとめてみました。

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アコーディオン奏者・桑山哲也さんの事例

女優・藤田朋子さんの夫・桑山哲也さん(43歳)は普段の血圧は測らないと言います。その理由を
「太っている」
「汗っかき」
「よく頭が痛くなる」
から、血圧が高いのは間違いないと思っていて、現実を見たくないからなんだそうです。ほかのゲストも桑山さん含む3人が測らない。1人だけが毎日測るとのことでした。

VTRでは、そんな桑山さんの1日について密着。24時間血圧計で測定した数値と共に、1日目の昼食時から翌日まで、仕事や食事、就寝などの様子も紹介されていました。

熱いお風呂での入浴や午前5時就寝など、見るからに不健康な生活だなという印象で、体には相当な負担がかかっていると素人目にも明らかでした。

昼食後の測定値は155
5時間のリハーサルを終えた夕方は161
ライブ公開収録・ビール飲酒後は急上昇の195

午後11:30に帰宅、晩ご飯にうな丼を食します。また、本人は嫌がりながらも横にいる奥さんから促されサラダも完食します。

その食後は178でしした。

次に入浴です。44℃のお湯に1時間入浴、ハァハァと息を切らして少し苦しそうです。
その際の数値は163
翌朝5時に腰が痛くなるという理由でベッドではなくソファで就寝、
睡眠中の血圧は124
起床後はグッと上がって167

となりました。言うまでもなくかなり高血圧ですね。

医師たちは、この生活について「危険」「自殺行為」だと口を揃えて言います。医師のなかには、

脳動脈瘤という爆弾を抱えているのだから生活態度を改めるべき」

という趣旨の忠告や

「生活習慣を自制しても血圧はもう下がらないのでは?」
「降圧薬を服薬しての治療が必要だ」

というアドバイスなどが展開されました。

当の桑山さんは、「2年前と比べると生活は変わったし、お酒も週に2回程度だ」と自分なりに考えて行動してきたと自負して答えている様子だったのですが、桑山さんが同調を求めた妻・藤田さんは「でも、飲むときは飲むんです」と心配している様子がとても印象的でした。

禁煙をしてもなお、高血圧という結果は驚きですが、自覚症状がなければ桑山さんでなくともついつい放置してしまいがちです。そうならないよう普段から自分の血圧を知ることがいかに大事かがわかります。

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高血圧患者数は推定4300万人

日本高血圧学会によると、日本の高血圧推定患者数は4300万人。うち約2000万人は高血圧であることを自覚していないのではないかと考えられているそうです。

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日本高血圧学会とは、東京都に事務局を構えるNPO法人です。団体ホームページではお役立ち情報や高血圧専門医名簿も閲覧できるようになっています。

日本高血圧学会:The Japanese Society of Hypertension

足切断を免れたAさんの事例 

Aさん(58歳)は2014年発症。45~46歳のとき、会社の健康診断で「ちょっと血圧が高い」と指摘されていたにもかかわらず、自覚症状がなかったことから対処をしなかったそうです。

ところが、その10年後、仕事帰りに歩き出したところで、突然、右足全体にズキーンと電気が走ったかのような激痛に襲われたそうです。その痛みは何とも言い難いもので、歩けないくらいひどいものだったといいます。

受診した整形外科では「肉離れ」と診断され、痛み止めを処方され様子を見ることになったようです。改善は見られず痛みも治まらなかったものの、痛み止めを飲めば治っていたとのことで、重篤な症状だと気付かず深刻に考えることもなく放置したそうです。

さらに1年が経過しても一向に改善傾向が見られないAさんは、肉離れではないのでは? と疑問を持つようになります。

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主治医が見つかる診療所より

そして、Aさんは内科で診てもらいます。「血圧脈波検査」の結果、診断は高血圧による動脈硬化。血液がほとんど流れていない状態だったそうです。

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主治医が見つかる診療所より

「足を切断することになるよ」

これが医師から受けた宣告でした。

Aさんの場合、両足の動脈が狭くなっている場所があったそうです。当時、Aさんを診察した内科医の小林英雄氏によると、狭窄が余程ひどくならなければ症状は出ない。まったく症状が出ない動脈疾患を持っている人はたくさんいると言われていました。

その後、すぐに血管のバイパス手術を受け、足を切断しなくて済み、術後1カ月で元のとおり普通に歩けるまでになったそうです。

足切断の危機に瀕したAさんは、現在、毎日、血圧を必ず測るようにしているそうです。

高血圧を放置することがどんなに怖いことなのか理解できました。

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血圧脈波検査について詳しく調べてみると、検査ではまず、脈波伝播速度を割り出すそうです。これで動脈の硬さがわかります。血管が硬くなっている人は速度が早いんだそうです。動脈の硬さのことを別名CAVI(キャビィ)ともいうようです。

次に、血管の詰まり具合が上腕と足首の血圧を比較することでわかるようです。普通なら足首の血圧がやや高いとされているそうで、上腕の血圧が高いなど逆転している場合は血管が詰まっていることが疑われます。別名ABI(エービーアイ)といわれているそうです。

血圧脈波検査の手順ですが、ベッドに横になって胸部と両手首にベルトを装着します。両上腕部と両足首の血圧を同時に測定します。15分程度ですぐに結果がわかる検査となっているそうでバリウム検査などと比べればうんと楽で気軽に受けやすい検査ですよね。

岩手県花巻市大迫町の事例

後半は、高血圧の新常識として「家庭血圧」のことが特集されました。家庭血圧は普段の血圧のこと。どんな時間帯でも測れることがメリットだというのです。

事例として町全体での取り組みが紹介されました。大迫町では脳卒中で死亡する町民が多かったそうです。そこで1986年(昭和61年)、地元住民に毎日、家で血圧を測定し記録するように指導をします。

近隣の町が増加傾向にあったにも関わらず1年間に死亡した人の割合が大迫町だけ1割ほど減らすことができたそうです。

大迫町では今でも町民の8割が家庭で血圧を測定していました。希望者全員に血圧計を貸し出したことが現在につながったようです。

当時、この取り組みの考案者でもあった現在、東北大学大学院教授で循環器内科医・今井潤氏によると、毎日、町民に血圧を測ってもらうことによって健康への意識が高まると考えたそうです。

この取り組みは行政や医療機器メーカーも協力し「大迫研究」というプロジェクトとして始まったのです。

30年という長い年月をかけた約1万5000人のデータから新しい2つの発見もあったそうです。それは、病院での測定値と自分での測定値が違うこと、そして後者“家庭血圧”のほうがより重要な血圧ということでした。

病院での測定値は家庭での測定値よりも高い。この事象について今井氏は次のように説明します。

これは「白衣現象」といいます。医師を目の前にすると緊張する。そのため、血圧が高くなる傾向があるとのこと。

家庭血圧のほうが重要な血圧、これはどういうことかといえば、家庭血圧のほうが将来、脳卒中や心臓病を起こすかなどの予測能力が高いということ。この発見は大迫研究の大きな成果として公表されたそうです。

家庭血圧は、リラックスしたいつもの環境で測ることができるため、自分の体の状態が正しく把握できることから将来の病気の予防に大きく役に立つと判明したのです。

その結果、大迫町では、脳卒中や心筋梗塞など血管の病気によって死亡する確率がおよそ3分の1にまで減少したんだそうです。

家庭血圧を測ることで、正常なときの数値、体調が悪いときの数値がわかり、客観的に体調がわかるようになったという町民の方。なかには腎臓病、人工透析を未然に防ぐことができた方もおられたようです。

心療内科医・姫野友美氏は、

「環境、気圧、ストレスなどでも血圧はカンタンに変動しやすい。血圧が上がったり下がったりすることは何らかの警告。だから、自分の血圧がどのくらいかを知ることは重要。」

また、そのほか医師2名も、

「脈拍も注目すること、起きてスグに測ることが重要だ。」

と語ります。

覚えておきたい血圧基準値

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主治医が見つかる診療所より

診察室血圧の基準値は140、家庭血圧の基準値は135。それ以下なら正常血圧。そのほか、図を参照いただきたいのですが、高血圧、白衣高血圧、仮面高血圧と分類されます。

なかでも、要注意なのが仮面高血圧血管の病気になる確率が2~3倍といわれています。また、血圧は、起床後と仕事中は高くなる傾向があるんだそうです。

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突然死を起こしやすい早朝高血圧

今井氏によると早朝高血圧は仮面高血圧のひとつ。早朝、起床後は自律神経が活発に働き血栓ができやすい、血管も詰まりやすいと注目されているのだそうです。それは早朝高血圧の人が突然死を起こしやすい危険な時間帯であることを意味しているようです。

仮面高血圧を見抜くためには、どうすれば良いのか?
それは家庭血圧を正しく測定することだといいます。番組調査では8割の方が正しく測れなかったそうです。

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血圧の正しい測り方について

日本高血圧学会のガイドラインによると、

①朝と夜の2回ずつ測ります
②朝は起きた後1時間以内でトイレの後、朝食前に行います
③服はたくし上げず、薄手の服なら上からカフを巻きます
④椅子に座って1~2分は安静にします
⑤測定中は会話をしたり足を組んだりしません
⑥2回測定の平均値を記録します

腕に巻くカフは、指1~2本入るくらいゆるく締めるほうが良いようです。

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日本高血圧学会(高血圧治療ガイドライン作成委員会)によるガイドライン(書籍)はネット上でも手に入れることができます。探してみると『高血圧治療ガイドライン2014』『高血圧治療ガイドライン2014ダイジェスト』の2冊がヒットしました。


血圧の薬についての注意点

最後に、内科医・秋津壽男氏から、家で血圧を測ることで、血圧が低いから薬を止める、高いから薬を増やすなど自己判断はしないでほしい。そう思うときはデータをもって医師に服薬について相談をしてくださいと注意喚起がありました。

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まとめ

高血圧によって起こる疾患のほとんどは自覚症状がないもので、自分も医師も見抜けない「仮面高血圧」が存在することもわかりました。生活習慣に気をつけるのはもちろんですが、血圧計を購入して自分の「家庭血圧」を正しく測定して知ることが健康への第一歩だと感じました。


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