イライラしない方法~アンガーマネジメント~チョイス@病気になったときより

現代社会を生きていく上で、避けることができないのが「イライラ」の感情です。
「夫が子供の面倒をみてくれない」
「部下が期待する仕事をしてくれない」
といったようなイライラが続いてしまうと、健康にまで悪影響が出てくるといいます。
また、それとは逆に、病気になることで人が変わったように怒りっぽくなるというケースもあるそうです。
今回は、イライラの感情と病気との関係や、イライラを上手にコントロールする方法などを紹介していたNHK『チョイス@病気になったとき』をまとめておきたいと思います。

 

スポンサーリンク

 

イライラしていると病気になる

Sさん(50代男性)は10年前、右脇腹にチクチクとした痛みを覚えました。
脇の下や背中に水ぶくれが出てきたため「毛虫が入ったのかな?」と思い皮膚科を受診すると、「帯状疱疹」と診断されました。
帯状疱疹とは、痛みを伴った赤い帯状の水ぶくれが現れる病気です。体内の水疱瘡ウイルスが、ストレスや疲れによって活性化し、発症します。
Sさんはその時期、海外とのやり取りが多かったそうで、文化の違いなどにイライラすることが多かったといいます。

病院で処方された薬を飲んだ結果2ヶ月で完治しましたが、1年後に再発してしまったそうです。
Sさんは医師から「生活を直さないとマズいよ」と言われたそうですが「休みなさいと言われても休み方がわからなかった。身体を休めても頭がはたらいてしまう」と、休むことの難しさを語っていました。

帝京大学心療内科教授の中尾睦宏氏によれば、正しく休むためには4つのポイントがあるそうです。

・静かで落ち着ける環境   …部屋を薄暗くする、など
・楽な姿勢           …締め付けない服装で楽な姿勢をとる
・流れに身を任せる気持ち …「まぁいいか」など
・一つの行為に集中する  …音楽を聴く、など

この中でも特に「一つの行為に集中する」のがポイントだそうです。
中尾氏が紹介していた具体的なイライラ解消法を見ていきましょう。

 

スポンサーリンク

 

イライラ解消法

「自律訓練法」
人間は「交感神経」が昂ぶると、力んだり手が冷たくなったりなどの緊張状態になります。
そこで、逆に「いま自分の手足は温かいんだ…力が抜けているんだ…」などとイメージすることで身体の方から気持ちを変えるアプローチのイライラ解消法です。

「筋弛緩法」
手や顔の表情など、筋肉にギュッと力を入れたあとに緩めます。
これを繰り返すことで身体の緊張がほぐれていくそうです。

「イメージ療法」
「旅行で行った山の頂上から見た景色」など、自分で体験した素晴らしいことを頭のなかからイメージして、そのときに聞こえた音や自分の感情などまで具体的にフォーカスさせることで心身をリラックスさせる方法です。

イメージするときには、
腹式呼吸で鼻から3秒息を吸い、1秒止めて、6秒吐くようにする
といいそうです。

空想の出来事よりも、実体験したことの方が具体的にイメージできるためいいそうで、その出来事が起きた時に誰にも邪魔されなかったような思い出だと尚良いそうです。
これは10〜20分かけてもいいですし、2分1セットを何度か繰り返すのでもいいのですが、普段から練習しておいて、イライラした時には短時間でイメージの世界に入り込めるようにしておくのが大切だそうです。
また、イメージ療法を行う際には、イメージの世界に入り込んだ状態から現実に戻るための“取り消しの動作”も普段から練習しておくといいそうです。たとえば筋弛緩法を応用して、身体に力を入れてから緩める、という動作を現実に戻るスイッチとしてクセづけしておくのもいいかもしれません。

 

スポンサーリンク

 

イライラ解消法は場所を選んでしまう

イライラ解消法として、Sさんはヨガを始めたそうです。
以前は飲酒や食べることでストレスを発散していたそうですが、もっと身体にいいことをやろうと思い、ヨガを始めたそうです。ほどよい疲労感でとても効果的ではありましたが、仕事中にオフィスでヨガをやるわけにはいきません。

そこでSさんが始めたのが「アンガーマネジメント」です。日本人にはなんだか聞き慣れない言葉ですね。
1970年代にアメリカで創始されたアンガーマネジメントは、怒りの感情とうまく付き合うための心理トレーニングで、いわば“怒りのコントロール術”として普及しています。
イライラすること自体は悪いことではありませんから、「不必要にイライラしない」という方向性で、怒りの感情と上手に付き合えるようにしていく方法だそうです。

 

スポンサーリンク

 

アンガーマネジメントの具体的な方法

・6秒間怒りをやり過ごす
イラッとした時には、余計なことをしないのが大切です。
怒りの感情は、イラッとして最初の6秒が一番強いと言われているので、このときに目の前にあるモノを観察したり、その場を離れたりするなどしてやり過ごすのです。
身動きがとれない状況なら、頭のなかで100から3ずつ引きながら「100、97,94…」というふうに数えていくというのも効果的だそうです。

・怒りを分類する
自分の目の前で起こることには、自分の力で変えられることと変えられないことがあります。さらに、自分にとって重要な事もあれば重要でないこともあります。
そこで、怒りを4つに整理してみます。

20160731093634

チョイス@病気になったときより

「いま起こっていることは、この4つの分類だとどれに当てはまるかな?」と考えてみて、どこに分類されるかで自分が取るべき考え方・行動を変えれば良いのです。

20160731093801

チョイス@病気になったときより

Sさんはこれらのアンガーマネジメントを実行して、「怒らなくていいことは怒らなくて済むので、気持ちが楽になった」そうです。
中尾氏によれば「いっぺん怒ってしまうと、その怒りはしばらく続いてしまう。イライラという衝動は数秒で終わるが、怒りモードに入ると2時間は続くと言われている」そうです。
それなら6秒で終わらせてしまうのが合理的ですから、アンガーマネジメントを思考に取り入れるべきでしょう。

「そう言われても、自分はすぐに怒ってしまう」という方もいらっしゃるかもしれません。
そういう方には、怒りやすい体質を改善するための「怒り日記」という方法があるそうです。

20160731094116

チョイス@病気になったときより

これをイライラした直後に書く習慣をつけることで、自分のイライラを客観的に捉えることができるようになります。
まずは頑張って3週間続けてみましょう。


病気が原因でイライラしやすくなる

もともと穏やかな性格だったHさん(51歳男性・コンピュータ関連業務)は、5年前の仕事の繁忙期に強いイライラを感じるようになりました。
納期が迫っているのに仕事が進まず、思うように作業をこなせない自分に対して「今までと違うな」という違和感とイライラを募らせていたそうです。家でも愚痴をこぼすことが多くなり、奥さんとしばしばケンカをするようになってしまいました。

不安感や集中力の低下、眠れないなどの症状から、Hさんはうつ病を疑いましたが、心療内科で診てもらってもうつと診断されませんでした。「それなら脳梗塞か?」と考えて脳神経外科でMRIを受けたといいますが、こちらでも異常は見つからなかったそうです。

「年齢的なところからくる疲れや老いかな?」と諦めかけていたころ、ふと見たサイトのセルフチェックを受けてみるとことごとく自分に当てはまったそうです。
そこで男性専門外来を受診し、問診や血液検査を受けた結果、Hさんは「男性更年期障害」と診断されました。
男性更年期障害は、精巣でつくられる男性ホルモン「テストステロン」の減少によって引き起こされると考えられています。筋肉をつくることや物事の判断、性機能などに関わるテストステロンが減少することで、筋力ややる気や性機能などが低下し、イライラまで引き起こされると考えられています。
テストステロンは加齢によって徐々に減少しますが、過度のストレスなどが原因で急激に減少することがあります。するとさらにイライラを感じやすくなり、テストステロンの減少に拍車がかかる、という悪循環に陥ってしまうのです。

しかし、「自分のイライラは男性更年期障害に原因がある」と気づく人は少ないのが現状です。
順天堂大学浦安病院泌尿器科の辻村彰氏によれば、自分で気づくには「病院へ行ってテストステロンを測定し、問診などと照らしあわせて診断するしかない」そうです。
そもそも、テストステロンが減少していても症状がない場合は治療の必要はないそうですが、「家族が見ていて普段よりイライラすることが増えたり、ほてりを訴えていたり、元気・やる気が無い様子で朝起きてこないなどの症状があったりする場合はこの病気を疑うべき」だそうです。

男性更年期障害の治療

テストステロンが急激に減ったときに、男性更年期障害の症状が現れると考えられています。
Hさんは注射でテストステロンを補充する「ホルモン補充療法」で治療を受けました。
Hさんによれば「翌日には活力が出てきた。劇的に改善してびっくりした。かなり頭で考えることもできるようになり、仕事も順調に。夫婦喧嘩も少なくなった」といいます。今でも月に1度ホルモン補充療法をうけているそうです。

ホルモン補充療法は目安として2週間に1回、肩などの筋肉に注射しますが、1週間に1回を目安に「hCGホルモン」を注射で補充する治療法もあります。
hCGホルモンは、脳から精巣へのテストステロンをつくる指令を強めるホルモンです。精巣の機能が落ちていないのにテストステロンが減少している比較的若い人が対象になる治療法です。

また、補助的に陰嚢の皮膚にテストステロンの軟膏を直接塗る治療法もあるそうです。こちらは自分で行う治療法で、1日に1〜2回の塗布が目安となるそうです。

ホルモン補充療法の副作用として前立腺肥大やがんがあるのでは、という説もあるそうです。
他にも…

20160731095837

チョイス@病気になったときより

これらの副作用の懸念や、治療を受けられない場合があるようです。

男性更年期障害が疑われる場合は泌尿器科、または最近増えている更年期の専門外来・クリニックを受診しましょう。
費用は以下の通りです。

20160731095923

チョイス@病気になったときより

辻村氏によれば、男性更年期障害の予防・改善には生活習慣の改善が何より大切だそうです。
さらに、趣味ややりがいを感じる活動などで気持ちを前向きにすることができれば、テストステロンは増えていくそうです。

 

スポンサーリンク

 

まとめ

以上、イライラと病気との関係などについてまとめてまいりました。
「イライラ解消法」と「アンガーマネジメント」を普段から行っていくことで、ストレスに右往左往しない自分になれたらいいですね。
どうしてもイライラがやまず、今までの自分と違うな、という場合には、男性更年期障害を疑って、病院を受診するようにしましょう。


スポンサーリンク

コメントは受け付けていません。