がん予防を秋津壽男医師が解説<検診・遺伝・生活習慣>~バイキングより

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日本人の死因のおよそ3割を占める「がん」。
その言葉の響きには、とても重いものがあります。
しかし、国立がんセンターの統計によると男性のがんの半分以上、女性のがんの3分の1以上が、実は予防可能だったというのです。
生活習慣の改善まで含めれば、がんの発症の9割は予防できるとも言われているそうです。
そこで今回は、『がんにならないのはどっち?』がベストセラーとなった秋津壽男医師が「癌になりやすい人、なりにくい人」というテーマで解説していた『バイキング』をまとめておきたいと思います。

【秋津壽男医師の著書】


お酒と大腸がん

お酒ががんの要因になることはよく知られたことです。
アルコールを大腸で代謝するときにアセトアルデヒドという悪玉物質ができます。これが大腸の粘膜を傷つけて発がんリスクを高めてしまうのですが、飲酒量と大腸がんの発生率を見てみると、面白い事実が浮かび上がってくるのです。

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バイキングより

なんと、お酒を全く飲まない人よりも月に1〜3回飲む人の方が、がんの発生率が下がるのです。
秋津医師によれば、1合の半分くらいの量を毎日飲むと心臓の動脈硬化を防ぎ、大腸がんの発症リスクも下げると言われているそうです。
以下の引用を参考にして程よい量を意識し、お酒を楽しむようにしましょう。

アルコールの功罪

マイナスとなる影響は、高血圧以外にも多く、心臓については不整脈(期外収縮や心房細動など)を誘発しますし、心肥大や心不全の原因になるのです。さらに脳出血やクモ膜下出血の危険因子となります。当然ながら、これらの危険性は、飲酒量が増えるにしたがって大きくなります。
(中略)
飲み過ぎによって、肝臓や胃腸をいためますし、多量の飲酒は精神・神経系にも悪影響を及ぼします。また、アルコール依存症の人が増え、これらは医学的にも社会的にも大きな問題です。
(中略)
アルコールの作用は、悪いことばかりではありません。古来、「百薬の長」などと持ち上げられてきた長所も、医学的にはっきりしてきています。
心筋梗塞や狭心症など虚血性心臓病には、アルコールが予防する効果が確かめられています。
虚血性心臓病の危険度は飲酒量の多少にかかわらず、飲まない人より低く抑えられるのがはっきりしています。
脳梗塞については、少量のアルコールが予防的に働きますが、大量になるとリスクを高めるようです。
心臓や頸部、手足などの血管の動脈硬化の程度も、飲む人が飲まない人より軽いことが認められています。
こうした「功」の面は、HDLコレステロールが増えることや、血液が血管の中で詰まりにくくなるための効果と考えられます。アルコールがそれほど血圧を上げないことも関係しているでしょう。
「功」の効果は、アルコール飲料の種類にかかわらず認められています。ただ、赤ワインには、細胞の酸化を防いで動脈硬化の抑制に働く「ポリフェノール」という成分も含まれています。赤ワインがブームになったのも、この点が注目を集めたからのようです。
また最近、お酒を少し飲む人は心不全やがんになる危険性も小さいことがわかってきました。アルコールを少量、つまり1日30ミリ・リットル(日本酒1合、ビール大瓶1本に相当)以下をたしなむ人は、まったく飲まない人に比べると、循環器病による死亡率、全死亡率ともに少ないのです。

国立循環器病研究センターHPより

がんのリスクを下げる酒のおつまみ

秋津医師によれば、「卵」をお酒と一緒に食べると更に発がんリスクが下がるそうです。
腸内でのアセトアルデヒドの分解を助けるLシステインという物質が含まれているからだそうです。
覚えておくと良いでしょう。

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L-システインとはアミノ酸の一種になります。ここで指摘されていることの他に、二日酔い対策、倦怠感を改善、肌トラブルの解消といった働きが知られています。
L-システインを配合した医薬品もあり、シミの予防・解消や肌荒れ・ニキビを改善する『ハイチオールC』が有名です。

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運動とがん

番組では「毎日ランニングをする人」と「毎日買い物に歩いて行く人」の、どちらががんになりにくいか?という問いが出題されていました。
あなたはどちらだと思いますか?

答えは「毎日買い物に歩いて行く人」です。

私たちの体の中では、毎日数千個ものがん細胞が生まれています。
それを「NK(ナチュラルキラー)細胞」が毎日退治してくれることで健康を維持できているのですが、必要以上に激しい運動をするとNK細胞の活動が低下してしまうのだそうです。
ある調査によると2時間半のランニングでNK細胞の能力が50%もダウンしてしまったそうです。かと言ってまったく運動をしないでいると、それはそれでNK細胞の活力が落ちてしまうのだそうです。

秋津医師によれば「本人が“楽しい”と思えるレベルの運動」でNK細胞が活性化するそうですから、日常生活の中での適度な運動を心がけましょう。

また、笑うこともNK細胞を活性化させるそうです。
日常の中で笑う機会を増やせるといいですね。

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胃がん

次に取り上げられていたのは「胃がん」です。

「ストレスで胃が痛くなる人」と「胃もたれで食欲がなくなる人」のどちらががんになりやすいと思いますか?

答えは「ストレスで胃が痛くなる人」だそうです。

胃がんは、ストレスで胃炎になった際にそれを修復する、の繰り返しの過程でエラーが起こることで生まれてしまうそうですから、ストレスが胃にくる人の胃がんリスクは高くなってしまいます。
慢性的な胃炎となると、遺伝子の修復が間に合わなくなってしまうそうです。

胃がん予防法

胃がんの発症源はピロリ菌と言われています。ピロリ菌は幼少時にしか感染しないのですが一度感染してしまうと一生胃に存在し続けます。
胃にピロリ菌がいると高確率で萎縮性胃炎が起こるため、それによってがんのリスクが高まるというわけです。

そこで有効なのがピロリ菌の除菌です。
1週間、専用の除菌薬を飲むことでおおかた除菌できて、除菌してしまえば再感染はまずないそうです。
除菌薬は抗生物質の一種で、1週間分でも6000円ほどで済みます。

ピロリ菌さえいなければ8〜9割の胃がんは発症しないとも言われているそうですから、気になる方は医師に相談してみましょう。

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お茶とがん

「がん死亡率が低い街ランキング」というものが存在しています。
それを見てみると……

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バイキングより

男女ともに静岡県掛川市が1位となっています。その秘訣は何にあるのでしょうか?

掛川市は静岡県内第3位のお茶処です。
番組で掛川市の人にインタビューをしたところ、皆さん1日に7杯以上は飲んでいるようでした。小学校でも児童持参のマイコップにお茶を注いで飲んでいるほどです。

西台クリニックの済陽高穂医師によると、「緑茶にはカテキンやビタミンCが含まれており、身体のサビつきを防止するため、がん予防に効果がある」そうです。

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済陽高穂医師はがん研究の第一人者であり、著書には食事によるガンの病状改善へのアプローチを説いたものがいろいろあります。


がんのもとになる活性酸素を、緑茶に含まれるカテキンやビタミンCが除去してくれるというのです。

でも、お茶ががん予防に効果的なら、お茶の生産量が静岡県内3位の掛川市より多くのお茶を生産している牧之原市や島田市も「がん死亡率が低い街ランキング」にランクインするはずですよね。
にもかかわらず掛川市が1位を独占しているのには、掛川市独特のお茶の製法に秘密があるそうです。

掛川市のお茶は「深蒸し」という製法でつくられています。
深蒸し茶は、お値段は普通のお茶と変わりませんが、お茶の葉を通常より約2倍長く蒸してつくったお茶で、βカロテンやビタミンE、クロロフィルが含まれています。

βカロテンには活性酸素を消す作用があり、ビタミンEには体の血行を良くする作用があり、クロロフィルには遺伝子の損傷を修復する作用があるそうです。

掛川は他の街よりも日照時間が長いため、渋めのお茶葉ができます。
以前は渋すぎる、という理由から不人気だったそうですが、その渋みを和らげようと試行錯誤した結果「深蒸し茶」の製法が考案され、渋みの問題を解決したそうです。

このような経緯から生み出されたものに偶然、高いがん予防効果が生じたのです。

深蒸し茶の作り方

まず、1リットルの水道水を沸騰させてカルキを飛ばし、冷蔵庫で約3時間冷やします。
次に、水1リットルに対して茶葉を約30グラム入れて、さらに1時間冷蔵庫で冷やします。

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バイキングより

これでがん予防に最適な「水出し深蒸し茶」が完成です。

水出し深蒸し茶には、「エピガロカテキン」という防腐性が強くて細菌やウイルスを抑制する物質が含まれるので、これがまたがん予防に効果的なのだそうです。
冬の時期にはインフルエンザ予防にも有効だそうです。

カフェインが少なくて子供でも飲みやすいそうですから、家族みんなで飲むようにしましょう。

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遺伝するがんと、遺伝しないがん

秋津医師によれば、がんには遺伝リスクの高いものと低いものがあるそうです。

低いものは外部要因やその人の生活習慣によって引き起こされる確率が高い、ということになります。

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バイキングより

一方でこれら遺伝リスク上位にあるがんが親族10人のうち2,3人いるようなら「がん家系」と考えたほうがいいそうです。
大腸がんはポリープがあってそこから発生します。ポリープの出来やすさには体質もあるので、遺伝に左右されるのです。
また、乳がんや卵巣がんは女性ホルモンの影響を受けて生じるがんであるので、ホルモンに対して感受性が高かったり、やっつける遺伝子が壊れていたりするとリスクが高まります。
最近では、ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーが検査の結果高リスクであるということで、がんになる前に卵巣と卵管を摘出したという出来事がありました。

その上で、日本人には気になるデータがあります。

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バイキングより

先進国における乳がんの検診率を見比べてみると、日本は大変低いことがわかりますね。
秋津医師も受診を強く勧めていました。
乳がん・子宮がんの発症リスクには個人差があるので、検査後に「以後は3年に1回来てください」と言われることもあれば、「毎年受けてください」と言われることもあるそうです。
それを知るためにもまずは検診を受けるようにしましょう。

胃がん・肺がん・大腸がんも、検査を1年に1回受ければかなりの確率で見つけられるそうですから、ぜひ受けるようにしましょう。
胃がん検査に関してはバリウム検査と胃カメラ検査を交互に受けるのがオススメだそうです。

がん検診の無料クーポンを配布する自治体もあるので、ホームページをチェックしたり役所に問い合わせてみたりすると良いでしょう。

まとめ

40歳を超えてがん検診を受けていない人は絶対に受けに行くべきですし、がん家系と思われる人は40歳と言わず30歳を超えたら必ず受診するようにしましょう。

「がんの発症の9割は予防できる」という事実をふまえ、運動や除菌、お茶などをフル活用して、がんにならない人生を目指しましょう。

 


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