先日の『きょうの健康』のテーマは、うつ病に似た症状のある病気でした。うつ病の診断と治療が専門の菊地俊暁先生(杏林大学講師、精神神経科医師)が双極性障害、認知症や脳梗塞などのうつ病に似た症状のある病気について、それらの病気の症状やうつ病と見分ける方法などについて説明をしていました。
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双極性障害とは?
双極性障害は、以前は「そううつ病」と呼ばれていて、患者はうつ状態とそう状態を繰り返すとのことです。
きょうの健康より
双極性障害でうつ状態のときには、うつ病と同様に憂うつな気分になったり、何に対してもやる気が出なくなったりするそうです。そう状態のときはうつ状態のときとは反対に、気分が高揚して、いろいろなことに興味を持つようになると菊地先生が説明していました。
双極性障害の場合、そう状態のときには自分が病気だとは気がつかず受診しないことが多く、うつ状態の時にうつ病を疑って受診をすることが多いとのことです。そして、医師との問診でも自分がそう状態が病気という自覚がないため、そのことを医師に話さないで、うつ病と診断されてしまうことがよくあると菊地先生は説明していました。
こうした病気の場合、問診が診断の重要な判断基準にもなりますから難しいところです。判断を間違えれば病状を悪化させる心配があります。
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双極性障害と抗うつ薬
双極性障害の患者がうつ病と診断され、抗うつ薬を服用すると病気が悪化してしまうそうです。番組では、30歳の男性が双極性障害をうつ病と診断された例が紹介されました。この男性は、仕事で追い詰められて、夜は眠れず、朝は起きられず、頻繁に遅刻をするようになり医師を受診しました。その結果、重いうつ病と診断され抗うつ薬を服用していました。けれども、数ヶ月経っても症状は良くならなかったそうです。その後、抗うつ薬を飲むと家族を怒鳴ってしまうということを医師に話したことから、うつ病ではなく双極性障害だということがわかったそうです。
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双極性障害のそう状態
双極性障害のそう症状には、気分が高ぶって、様々なことに興味を持つようになることに加えて、いくつか特徴的な症状があるそうです。例えば、金使いが荒くなり浪費してしまい、クレジットカードが止められてやっと病気に気がつくこともあるとのことです。また、自分が偉くなったように感じる、注意散漫になり1つのことに集中できなくなる、眠らなくても平気になるなどの症状もあると菊地先生が解説していました。
きょうの健康より
うつ症状からそう状態に変わると、うつ症状が良くなったと思い、医師にそのことを伝えないことが多いそうです。
そのため、双極性障害を診断するためには周りの人の気づきや協力がとても大切です。患者が症状を自覚するのは難しいですが、双極性障害を発症するとそれまでとは別人のようになってしまうので周りの人は変化に気がつきやすいとのことです。ですから、家族も一緒に受診して患者の状態を医師に説明することを菊地先生は勧めていました。
うつ病と双極性障害は専門の医師でも区別をするのが大変難しい病気のようですね。さらに詳しく双極性障害について知りたい方には、こちらの本がお勧めです。
双極性障害(躁うつ病)の人の気持ちを考える本 (こころライブラリーイラスト版)
加藤 忠史
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その他のうつ病に似た症状がある病気や薬
双極性障害の他にも精神疾患(不安症、パーソナイティ障害、適応障害)、認知症、脳梗塞、甲状腺の病気、依存物質(アルコールなど)、治療薬(インダーフェロンなど)によってうつ病に似た症状が出ることがあるそうです。番組では、認知症と脳梗塞をうつ病と間違えないための判断方法について詳しく説明をしていました。
認知症とうつ病
高齢者は親しい人との死別や病気に対する不安が原因でうつ病を発症することが多いそうです。また、過去にうつ病を患ったことがある人は、高齢になってから再発しやすいとのことです。うつ病から認知症になることがわかっているので、高齢者のうつ病は適切な治療を受けるのが大切だと菊地先生は説明していました。
うつ病と認知症を間違えるとうつ病が悪化してしまいます。間違えないために、問診で認知能力と意欲について確認するとのことです。
・ 意欲:うつ病の場合は何かをやってみようとは思えない状態で、認知症の場合はやってみようと努力はするけどできない状態です。
・ 認知能力:うつ病の場合は自分の能力が低下していることを理解できます。けれども、認知症の場合は自分の能力が低下しているということに気がつけません。
きょうの健康より
問診で認知症の疑いがあれば、脳の画像検査を受ける必要があるそうです。
脳梗塞とうつ病
脳の血管がつまる脳梗塞になると脳の働きが悪くなり、うつ症状が出ます。うつ病と脳梗塞を見分けるには、症状の出方を確認するそうです。うつ病は症状がだんだんと出て、脳梗塞は症状が突然出ると菊地先生は解説していました。
きょうの健康より
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まとめ
今回は、うつ病の他にもうつ症状が出る病気、薬、依存物質がいくつもあることがわかりました。誤診で自分の本当の病気ではない病気の薬を処方されると、さらに病気が悪化してしまうというのは恐ろしいです。自分のためにも大切な人のためにも、やはり日頃から様々な病気についての知識をつけておいて、受診をする際には、しっかり医師と話ができるようにしておきたいですね。