食物繊維~糖尿病を防ぐ穀物~きょうの健康より

先日の『きょうの健康』では、「食物繊維のスーパーパワー」について特集されていました。食物繊維と言えば、野菜や果物から摂ることが真っ先に思い浮かびますが、食物繊維をたっぷりとる鍵は、実は「穀物」なのだという内容でした。食物繊維は体によい影響を与えてくれるものなので、どのようにすれば効率よくたくさん摂れるのか、しっかり学びたいものです。
解説をするのは、栄養疫学が専門で、日本人の食事摂取基準づくりにたずさわっているという、東京大学大学院の佐々木敏教授です。

 

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食物繊維の摂取量が減っている

食物繊維は、1952年には1日20.5g摂取されていましたが、2013年には14.2gと、3分の2に減っているそうです。
しかし14.2gという摂取量では、全く足りていないのだそうです。18~69歳の1日あたりの食物繊維の摂取基準は、男性で20g以上、女性で18g以上です。実際は14gしか摂取していないわけですから、不足は深刻なことがわかります。
その理由として野菜や果物の摂取量が減ったことが推測されますが、実は野菜や果物の摂取量はほぼ横ばいで、減っているわけではありません。

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きょうの健康より

減っていたのは、「穀物」でした。佐々木教授は、

「1952年頃には、十分な食物繊維が摂取できているが、これは当時大麦を入れた麦ご飯をよく食べていたから。その後、麦ご飯を食べることが減ってきて、1970年代頃からは白米を食べることが普通になったので、結果として食物繊維の摂取量が減った」

とのことです。白米には食物繊維がほとんど入っていないのです!1952年には穀物から摂取していた食物繊維が8gほどだったものが、2013年では3gと、劇的に減っているのです。

食物繊維の量の比較~白米 VS 玄米 VS 大麦

100gの精白米、玄米、大麦に含まれる食物繊維の量を表したグラフです。

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きょうの健康より

精白米にはわずか0.5gの食物繊維しか含まれていませんが、玄米だと3.0g、大麦になると9.6gも含まれます。
玄米には精白米の6倍の食物繊維が含まれていますが、それはお米の中で食物繊維が豊富なのは「皮」と「胚芽」の部分だからです。精白をすると、この「皮」と「胚芽」の部分が取り除かれてしまうので、食物繊維がほとんど残らないのです。

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きょうの健康より

 

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食物繊維の効果

食物繊維自体は、消化も吸収もされないものだそうです。しかし次のような効果があるとのことです。

―肥満予防
 食物繊維が多いと食べる速さが抑えられ、食べる量も減る

―動脈硬化予防
 食物繊維はコレステロールの吸収を阻害するので

―心筋梗塞予防
 動脈硬化が防がれるので、心筋梗塞の予防にもなる

このように、食物繊維は「生活習慣病」に大きな効果が期待されるものだったのです!

穀物の食物繊維の効果

穀物の食物繊維は、「糖尿病」の予防につながるそうです。
「食物繊維の摂取量」と「糖尿病の発症率」の関係をまとめた研究では、野菜から摂る食物繊維の量は、多くても少なくても糖尿病の発症率と関係がないものの、穀物から摂る食物繊維の量が少ない人は、多かった人に比べて発症率がかなり高くなっていることがわかります。

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きょうの健康より

穀物の食物繊維が糖尿病予防になる理由ですが、佐々木教授は、
「穀物の中の糖分が胃の中で消化・吸収されて血糖値が上がるが、皮があると内部の糖分が出てくることをブロックするので、糖分は徐々に出てくることになる。このことが血糖値の上昇をゆるやかにしているので糖尿病の予防につながっている」
と説明します。

 

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穀物から食物繊維を上手に摂るには

穀物から食物繊維を上手に摂る方法について、佐々木教授は次のようなことを挙げていました。

―麦ご飯にする(精白米に大麦を混ぜて炊く)

―玄米や胚芽米、五分づき米、七分づき米を食べる

このほかにも、食パンよりライ麦パンを選択する

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きょうの健康より

また、麺類に含まれる食物繊維は、うどん<中華麺<パスタ<そば の順になっているそうです。

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きょうの健康より

穀物から食物繊維を摂る際の注意点として、
「ラーメンなど麺を食べる際には、食塩に気をつけてほしい。スープだけでなく麺自体にも食塩が入っており、ラーメンを1杯食べると約6gの食塩を摂取してしまう
と佐々木教授は注意を喚起します。食事摂取基準で、食塩は男性は1日8g未満、女性は7g未満となっているので、ラーメン1食で6gだとかなり食塩が多いことがわかります。

 

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野菜と果物はどれぐらい食べればよいか

一日に食べる野菜と果物の量について佐々木教授は、
「野菜と果物を合わせて1日5皿食べてほしい。その根拠は、野菜と果物を合わせて1日5皿食べると死亡率が下がるという欧米の研究がある。死亡率が下げ止まるのが5皿ぐらいだった」
と解説します。5皿の目安ですが約400gで、画像のように果物2皿、野菜3皿が参考になりそうです。日によって前後してもよく、好みで果物と野菜の比率を変えてもよいとのことです。

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きょうの健康より

番組で紹介されていたように、毎日5皿の野菜や果物を食べられれば理想ですが、その量を見て「自分にはちょっと無理」と思った方も多かったのではないでしょうか?そこで、食物繊維の多い食品にはどんなものがあるか調べてみました。
こちらのサイト(http://www.eiyoukeisan.com/calorie/nut_list/fiber.html)に食物繊維の多い食品のリストがありました。上位を見るとゆでいんげん豆やゆであずき、ゆでひよこ豆など、豆類が多いことに気づかされます。それらに続いておからやエシャロットなどが続きます。乾物ではきくらげやせん茶の茶葉、とうがらし、ひじきなどが上位に入っています。
効率よく食物繊維を摂りたい方は、参考にされてはいかがでしょうか。

まとめ

佐々木教授は、
「文明が進んで食品加工ができるようになって、食物繊維は失われてしまった。人類の歴史を振り返ると私たちは何万年もの間、食物繊維を摂ってきた。野菜、果物、そして穀物などいろいろなものから毎日おいしく摂ってもらいたい」
と呼びかけていました。
穀物からこのように豊富な食物繊維を摂ることができるというのは驚きでした!生活習慣病を防いでくれる食物繊維ですが、現代人には圧倒的に不足しているようなので、ご飯を麦ご飯にしたり、毎日5皿を目標に野菜・果物をしっかり摂るなど、心がけたいですね!


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