寒暖差からくる疲労の予防対策~健康カプセルゲンキの時間より

春は気候もよく、生活しやすい季節ですが…

「春先は体調のだるさを感じる」
「めまいがする」
「季節の変わり目になると膝が痛む」

など、体調を崩す人が増える時期でもあります。
春にこれらの症状が出る場合は、「寒暖差疲労」である可能性があります。
春は、昼は暖かいですが夜は冷え込むことも多く、例えば2017年4月14日の東京の最高気温と最低気温は21.5℃と7.4℃と、気温差が14℃もありました。これが体調に悪影響を及ぼすのです。
今回は、寒暖差疲労について解説していた『健康カプセルゲンキの時間』を中心に、寒暖差疲労に関する情報をまとめていきたいと思います。

 

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寒暖差疲労が生じる仕組み

1日に10℃以上の寒暖差があると、疲労を感じる人が多くなります。
2017年4月の東京では、そんな日が15日もありました。ほぼ2日に1回は激しい寒暖差があったのです。
番組でアンケートを行ったところ、9割以上の男女が「春に体調不良があった」と答えたそうです。

この現象について、東洋医学研究所附属クリニックの川嶋朗氏によると「寒暖差が激しいと体調が崩れる原因は活性酸素である場合が多い」といいます。
活性酸素というのは、その強い殺菌力で体内に入ってきた細菌などを撃退する役目がある重要な物質です。しかし増えすぎてしまうと正常な細胞まで攻撃してしまい、体のあらゆる場所を酸化させて害を及ぼすこともあるのです。

活性酸素と寒暖差との関係を見るために、番組では、寒暖差を感じたときの体の酸化具合を計測していました。
まず、被験者(男女各2人)の唾液を綿棒で採取し、実験前の酸化度を計測します。

健康カプセルゲンキの時間より

ひとりだけ年齢の影響で酸化していますが、他の人は正常値でした。
この4人を、2017年4月14日の寒暖差を再現した、室温が違う2つの部屋を15分ごとに交互に往復してもらいます。
1時間の実験後に感想を聞くと、「寒い部屋から暖かい部屋に入っても、まだ寒さが体に残っていて疲労感があった。」という声や、「まだ体がだるい…」などの感想が上がっていました。
そして再度唾液を計測すると、4人全員が酸化していました。

健康カプセルゲンキの時間より

川嶋氏によれば、「この理由には、自律神経が大きく関わっている」といいます。

自律神経とは、無意識のうちに体の各機能を自然に調整している神経で、内臓の働きなどをつかさどっている神経です。緊張状態の時に優位になる「交感神経」と、リラックスしているときに優位になる「副交感神経」で構成されています。

寒いところでは交感神経が優位になり、暖かい場所で副交感神経が優位になります。寒暖差が激しくなるとこの切り替えが生じるためストレスになり、交感神経が優位になりっぱなしになってしまいます。
このとき、活性酸素が増えるそうです。

さらに、春は寒暖差以外にも自律神経を乱す要因があります。
例えば気圧の変化や、生活面での変化(転勤や新入学など)によるストレスなども、自律神経を乱す可能性があります。

自律神経と活性酸素

大阪市や大阪市立大学、食品・医薬品メーカーなどが進めている疲労に関する共同研究「疲労プロジェクト」が、人間の“疲れ”について研究し、自律神経と活性酸素、そして疲れの関係について明らかにしました。
寒暖差疲労にも深く関わる内容ですので、ぜひご確認ください。

運動時は体温や心拍の調整をするために交感神経が活発に働きます。すると神経細胞内に活性酸素が大量に発生し、細胞にダメージを与えます。自律神経などの細胞が活性酸素によって酸化されてダメージを受けると、老廃物の増加が合図となって疲労因子が発生します。その情報が大脳に伝わって、人間は疲労を感じるのです。

体を動かさなくても、たとえば長時間のデスクワークなどによる眼精疲労や、事務作業に集中しているときなども交感神経が活発に働くため、疲労感が生まれます。

参考:
活性酸素と自律神経
体の疲労「脳が原因」 交感神経酷使、細胞にダメージ

寒暖差が引き起こす様々な症状

Kさん(53歳男性)は昨年の4月、朝起きると鼻水が止まらなくなっていたそうです。「風邪でもひいたかな」と考えて熱を計りましたが、平熱でした。その後も昼夜を問わず鼻水が止まらないことがしばしばあったため、Kさんは「花粉症になったのかな?」と考えて市販の花粉症薬を飲んだそうですが、効果はなかったそうです。
不思議に思ったKさんが川嶋氏の病院を訪れたところ、「血管運動性鼻炎」という自律神経の乱れが原因として考えられる病気と診断されました。

鼻の毛細血管は、鼻付近の体温を調整するために、寒いときには交換神経の働きで縮み、暖かいと副交感神経の働きで広がります。ところが、早朝などに急激な寒暖差を感じると自律神経が乱れてこれが機能しなくなり、鼻水が止まらないなどの症状が引き起こされるようになるのです。
この他にも「発熱がない」「(花粉症と違って)目のかゆみや充血がない」などの特徴があるときは、血管運動性鼻炎かもしれません。

自律神経の乱れは気管支ぜん息やアトピー性皮膚炎のようなアレルギーの病気も悪化させる可能性があり、最悪の場合にはうつ病を引き起こすこともあります。
緊張やストレスがかかって交感神経が優位になると、脳を活性化させるドーパミンやセロトニンが分泌され、活動状態になります。そこに寒暖差の影響でストレスが加わって限界を超えると、自律神経のスイッチが突然切り替わることがあります。非常に張りつめていた交感神経が急に副交感神経に傾くと、元に戻らなくなってしまいます。自律神経は180度ひっくり返る性質を持っているため、ピークに達すると途端に副交感神経が優位になるのです。こうして生じた副交感神経が優位な状況では、やる気を起こさせるドーパミンやセロトニンが減るため、うつ病と同じ状態になるのです。

寒暖差への耐性には個人差がありますが、これは生活習慣によって左右されることも多いといいます。
例えば、寒暖差に弱い人には以下のような特徴があります。

健康カプセルゲンキの時間より

飲酒量が多いと、アルコールを分解するために体内で余分なエネルギーが消費され、寒暖差に影響を受けやすい体になってしまいます。
冷え性や熱中症の経験がある人は、体質的に寒暖差に弱い傾向があるそうです。
生活リズムが不規則だと、自律神経が整いにくくなるそうです。

自律神経を整えるには

体には、自律神経を整える“3つのスイッチ”があります。
川嶋氏によると「現代社会はストレス社会で常に交感神経にスイッチが入っているような状態なので、日ごろから副交感神経を優位にするように自律神経のバランスを整えるようにするとよい」そうです。

1つ目のスイッチは「目」にあります。
目の奥には「動眼神経」という目を動かす神経があります。この神経は副交感神経なので、適度に刺激をすることで副交感神経のスイッチが入ります。
スイッチを入れるには「目元温め法」が有効です。タオルを水で流してから軽く絞ります。100ワットの電子レンジで約40秒、人肌より少し熱いくらいまで温めます。これを目の上にのせて2分間のっけるだけで副交感神経に切り替わるそうです。これを寝る前に行うと、翌日のお化粧ののりが良くなるという効果もあるそうです。

2つ目のスイッチは「指先」にあります。
爪の生え際には、井穴(せいけつ)というツボがあります。体の末端である指先には動脈から静脈に血管が切り替わるポイントがあり、それが井穴です。ここの血行が良くなると心臓への血流が促進され、体全体が温まり、リラックスするそうです。

健康カプセルゲンキの時間より

爪の両側を指で強めに挟み、ぐりぐりと左右にひねります。指一本につき10秒〜20秒行います。
薬指以外の4本の指のツボは副交感神経を、薬指のツボは交感神経を刺激するので、シャキッとしたいときは薬指を、リラックスしたい時はそれ以外の指の井穴をマッサージしましょう。

3つ目のスイッチは「呼吸」です。
おへその下に両手を置いてから、お腹と一緒に手が上がるように鼻からゆっくりと3秒息を吸い、6秒かけて吐きます。このように腹式呼吸で深い呼吸を行うと副交感神経が優位になります。
立った状態でも横になった状態でも良いそうですが、必ず姿勢が良い状態で行います。10回ほど繰り返すと効果が期待できるそうです。

根本的に体質を改善するには、適度な運動が必要になります。
「適度な運動」というのは自分にとって少しだけキツイ運動ということです。たとえば、普段より1.5倍くらいのスピードで歩いたり、階段を使ったり、電車では立つようにしたりなどの工夫を日常生活に取り入れれば、忙しい方でも運動をすることができるようになります。

まとめ

今回は多くの人が経験する寒暖差疲労についてご紹介してまいりました。
「自律神経が原因」と聞くと難しそうですが、対策法はどれも簡単に行えるものばかりです。季節の変わり目が苦手な人は参考にしてみてください。


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