手足が冷たくない冷え性「内臓型冷え性」の改善法~主治医が見つかる診療所より

「手足は冷たくないのに、なんだか寒い」

なんて経験、ありませんか?
このような症状は「内蔵型冷え性」と呼ばれ、近年増加傾向にあるそうです。
今回は、まだあまり知られていない冷え性である「内蔵型冷え性」の特徴や対策などについて解説していた『主治医が見つかる診療所』をまとめておきたいと思います。

 

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内蔵型冷え性とは

北里大学の伊藤剛医師はここ数年、手足を触ると温かいのに「寒い」と訴える患者が多いことを不思議に思っていたそうです。
通常、人間は寒い環境に身をおくと、自ら身体の中心部の血流を増やし、内臓の熱が奪われないように調節するため、手足の末端に血液が十分に届かなくなって、手足が冷たくなるはずです。血流が行き届かなくなるから冷えるわけですが、そういう通例とは違う事例が多くなってきているわけですね。

詳しく調べるために、伊藤氏が患者の身体のさまざまな部分の温度を計ってみると、身体の中心部の温度だけが下がっていることがわかったそうです。
これが「内臓型冷え性」と呼ばれる状態です。
本来の体温を調節する働きが衰えて内臓の温度が低下してしまうため、腹部を中心に強い冷えを感じてしまいます。

代表的な症状としては、冷えて動きが悪くなった腸にガスが溜まって生じる便秘と、それに伴うお腹の張りなどが挙げられるそうです。
しかし、それでも手足の温度は変わらないため、「冷え性である」と自覚するのが難しいといいます。

内蔵型冷え性になる原因

伊藤氏によると、交感神経系が弱くなっていることが原因だそうです。
自律神経は交感神経副交感神経からなり、お互いがバランスをとり合って身体の機能を調節しています。しかし、これに偏りが生じて交感神経の方だけが弱くなりすぎると、熱が逃げて内臓が冷えてしまうのです。

内蔵型冷え性は感染症や免疫力低下を引き起こす

内蔵型冷え性は内蔵疲労につながるそうです。
血液があまりまわってこないと内蔵の機能が落ちてしまいますから、感染症に弱くなったり、身体全体の機能が弱まったりしてしまいます。
一説によると、体温が1度下がるだけで免疫力は30%も低下するそうです。

アトピーや花粉症、喘息の人が内蔵型冷え性を発症しやすい

アトピー性皮膚炎の人は、内蔵型冷え性を発症する確率が高くなるそうです。
皮膚の表面に炎症があるとそこから熱が逃げていってしまうので、身体の中心部が冷えてしまうのです。

また、花粉症などのアレルギー体質の人や喘息の人も同じような理由から発症しやすくなりますし、腹部の手術を受けたことがある人も発症しやすくなるそうです。これは、腹部にメスを入れると血管や神経が断裂するため、血液の流れが悪くなって冷えやすくなることが原因と見られているそうです。

他にも…

・昼と夜逆転するような生活を送っている人
・天気の変化で体調を崩しやすい人
・肥満気味で運動をほとんどしていない人

などは、内蔵型冷え性を発症しやすいそうですから注意しましょう。

夏に悪化しやすい

内臓型冷え性の人は、体温の調節が難しくなってしまいます。
寒さを感じるからといって服を着込んだとしても、体表面は温かいので汗をかいてしまいます。そうなってから暑さを感じて服を脱いでしまうと、汗の蒸発によってどんどん熱が逃げていってしまうので、余計に寒くなってしまいます。
このような難しさから、内蔵型冷え性は夏に症状が悪化しやすいそうです。

 

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危険度チェック

以下の項目に一つでも当てはまれば、あなたも内蔵型冷え性である可能性があります。

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手足が温かいのにお腹が冷える
昼夜が逆転することがある
天気が悪い日に体がだるい
太り気味で運動不足
アレルギー体質
お腹が張ってガスがたまりやすい
お腹を手術したことがある

主治医が見つかる診療所より

病院では、聴診器で腸の動く音を聞いてみてあまり音がしないと、内蔵の働きが低下しているということで内蔵型冷え性と診断されるそうです。
内臓型冷え性のままでいると、やがて肝臓や腎臓、女性なら卵巣などの機能も落ちてくるので、早いうちに手を打つ必要があります。

 

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予防と改善

伊藤氏が勧めていたのは、1日10分の全身浴でした。
お湯は40〜42度に設定するといいそうです。

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主治医が見つかる診療所より

最初の5分間は首までしっかりと浸かるようにします。水圧が身体全体にかかるので、冷えている身体の中心に血液が集まっていきます。

この間に肩甲骨を2回程度、5秒ほどかけてゆっくりストレッチするといいそうです。
背筋が動くことで交感神経が刺激されて、暖める効果が上がるそうです。
次の5分間は胸元までの入浴です。脳にまわる熱を減らすことでのぼせを防ぐと同時に、下腹部に熱をまわして内臓を温めます。

入浴するとなかば強制的に体温が上げられるため、それを調節しようと自律神経が働きます。これを繰り返すことが自律神経のトレーニングになるそうで、予防にも効果があるといいます。(ちなみに、シャワーだけでは効果があまり期待できないそうです。)

注意点としては、ぬるめのお湯では逆効果になるということです。
伊藤氏によれば「内臓型冷え性の人はもともと熱を放散しやすい体質なので、ぬるめのお湯に入ると体温がむしろ下がってしまう」といいます。
また、汗をかきすぎると熱が奪われてしまうため、長風呂も避けるべきだそうです。

よく、

ぬるめのお湯に長めに入るのが良いお風呂のは入り方

なんていいますが、これは心身をリラックスさせるための入り方であって、伊藤氏のいう入り方とはまた目的が違うんですね。伊藤氏の入り方は熱いお湯に我慢しながら入ることで血圧を上げ、血流を改善させるというやり方です。体質によっては逆効果になりますから冷え性でもない人がやるのは控えたほうが良いかもしれません。また、心臓の弱い人など他の病気をお持ちの方は、主治医と相談してから実践するようにしましょう。

 

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まとめ

以上、内蔵型冷え性についてまとめてまいりました。
「可能性のある人」として挙げられていた項目は多くの人に当てはまるものばかりなので、実はあなたも気づいていないだけで、内臓型冷え性になっているかもしれません。
ご自分の生活を振り返ってみて思い当たる点があれば、病院を受診するようにしましょう。


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