「うっ、お腹が痛い・・・(冷汗)」
大事なことをしているときに突然お腹が痛くなって、原因不明の下痢だったという方はたくさんいると思います。今回は「ためしてガッテン」で「おなかの新犯人!下痢ピンチ解決スペシャル」として放送されていましたのでまとめておきます。あまり一般的には知られていなかった「糖」と「胆汁」が原因の下痢の仕組みや対策について知ることができます。
[sc:アドセンスレスポンシブ ]下痢とは
まず最初に下痢とはどういう状態なのかを説明します。
下痢とは、本来は水分を吸収して便を作る大腸が何らかの原因によって刺激を受け、水分を正常に吸収できなくなったり、大量の水分を分泌したりすることによって水分が増えた状態の便のことを言います。 ちなみに健康的な便の水分量が70%〜80%なのに対して、下痢便の水分量は90%以上です。
番組では、下痢の新犯人の説明の前に、一般的に考えられている下痢の原因についての紹介がありました。
ゲストのつるの剛士さんは「ラーメンを二日続けて食べた後(脂が原因だと思っていた)」、中村玉緒さんは「舞台に出演するストレス」が原因の下痢を経験したことがあるそうです。
ためしてガッテンより
「糖」が原因の下痢について
オーストラリアのモナシュ大学教授のピーター・ギブソン博士の研究では食品の中に含まれる糖には下剤と同じ役割をするものがあることがわかったそうです。それらの糖とは、小麦やネギ類、大豆等に含まれる「フルクタン」の一種、乳製品に含まれる「乳糖」、果物や蜂蜜、人工甘味料に含まれる「果糖」や糖が集まってできた甘い物質のことです。
ためしてガッテンより
毎日食べている物の中に、下痢の原因になる物がこんなにたくさんあったとは驚きですね。ちなみに、ご飯や大豆を加工した製品(納豆や豆腐)に含まれる糖は消化吸収されやすいので下痢の原因にはならないそうです。
ギブソン博士は慢性の下痢に悩む10人に、これらの「糖」を含む食材を食べるのを2週間避けてもらいました。その結果、10人中8人の下痢の症状が改善したそうです。中には症状が8割も減った人がいました。
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牛乳でお腹がゆるくなる仕組み
それでは、実際に下痢の原因となる「乳糖」を含む牛乳を飲んだ時に腸がどのような状態になっているのかを見ていきます。
番組では、牛乳を飲むと下痢になりやすい番組ディレクターが牛乳を約1リットル飲んだ時の腸の変化を東邦大学医療センター大森病院の瓜田純久教授の協力で検証しました。
牛乳を飲んだ40分後は小腸に牛乳がある状態でした。そして、大腸には特に変化が見られませんでした。画像に大腸が黒く写っているのは、水分が吸収された状態だからです。
ためしてガッテンより
牛乳を飲んでから2時間後、ディレクターの大腸に変化が表れました。
ためしてガッテンより
画像を見ると牛乳を飲む前よりも、大腸が膨れています。素人にはわかりませんが、飲んだ牛乳よりも水分が多い状態になっているのだそうです。どうして、このような状態になってしまうかというと、乳糖が小腸で分解されずに大腸に侵入してしまったからです。そして、大腸が乳糖に敏感に反応して水分が大量に分泌されたので下痢になってしまったそうです。
[sc:アドセンスレスポンシブ ]小腸の働きと下痢の関係
さて、小腸には食べ物を分解して栄養を吸収する働きがあります。番組では小腸の分解酵素をハサミに例えて、その働きを説明していました。
ためしてガッテンより
まず、牛乳を飲んでも下痢にならない人の場合は、牛乳に含まれる乳糖が小腸に入ってくると、ハサミが細かくそれを切ります。正しく言うならば分解酵素が乳糖を分解するわけです。そして、細かく切られた乳糖は体に吸収されます。けれども、牛乳を飲むと下痢になる人の場合は、このハサミの切れが悪く、乳糖を切ることができないそうです。それで、乳糖がそのまま大腸に侵入して、大腸が糖を薄めるために大量に分泌した水で水分の多い便が作られて下痢になってしまうのです。
瓜田教授によれば、日本人は特に乳糖の分解酵素が弱いので、9割ぐらいの人が6歳までにハサミの切れ味が悪くなってしまうそうです。このハサミは、研ぐこともできなければ、取り換えることもできないとのことです。
次に、小腸の働きとパン(小麦)を食べて下痢になる仕組みですが、人間は、小麦に含まれるフルクタンという糖に似た物質を分解するハサミをもともと持っていないのだそうです。そのため、フルクタンは大腸に容易に侵入し、それに過敏に反応した大腸が大量の水を分泌する、、、というのが小麦によって下痢をする仕組みなのですが、これには個人差があるので、大きく反応してしまう人は下痢をしますが、そうでもない人は異常を感じることがありません。
このように、人間には分解ができない糖というものがあり、そこに個人差も加わって下痢をする人、しない人がでてくるのだそうです。要するに糖に対する大腸の反応次第ということです。
[sc:アドセンスレスポンシブ ]「糖」が原因の下痢の対策
さて、下痢を予防するために、これまでに紹介してきたような、“糖を含む食べ物”は食べないほうがいいのでしょうか?
瓜田教授によると、これらの食べ物には大切な栄養素が含まれているので、問題がない人は食べたほうが良いそうです。けれども、下痢の回数が月に3回以上の人や、医師に過敏性腸症候群と診断されている人は注意をしたほうが良いとのことでした。
それでは糖に弱い大腸を持っている人が、下痢を予防するためにできる3つのことを紹介します。
下痢になった時には、前日に食べたものを思い出し、何をどれくらい食べたら下痢になってしまうのかを知るのが大切です。苦手な食材は、一度に食べる量を減らしてみると下痢の症状が表れないこともあるそうです。
すきっ腹の時には、特に大腸が過敏になるので下痢の原因になる糖をたくさん食べるのは控えた方が良いそうです。また、消化のいい食べ物の後に食べることが下痢の予防になるとのことです。
一つの食材をたくさん食べるのではなく、いくつかの食材を組み合わせてバランスよく食べることが下痢の予防にもつながるそうです。
「胆汁」が原因の下痢について
次に胆のうが原因の下痢について解説がありました。
胆汁は肝臓で作られ、胆のうの中に溜められている消化液です。食事の時に胆のうが収縮して胆汁を小腸に送り込み脂肪の消化や吸収を助けます。
ためしてガッテンより
胆汁の約90%以上は小腸の出口10cmぐらいのところで吸収されて胆のうに戻るそうです。そして、胆のうに戻れなかった胆汁は便や尿として排泄されます。
「胆汁」が原因の下痢で悩んでいた人の証言
Yさんは通勤途中の下痢に悩んでいたので、医者の診療を受けました。すると医者は、Yさんの下痢はストレスが原因ではないかと診断しました。けれども、仕事を楽しんでいるYさんは、ストレスが原因だとは思えませんでした。そこでYさんは、下痢の原因を知るために、朝食の時間とメニュー、そして下痢をもよおした時間の記録をつけておくことにしたそうです。
Yさんが下痢の原因がストレスではないと確信をしたのは、会社が休みの日も朝食の後に下痢の症状があったからです。さらにYさんは、朝食を食べて1時間後に必ずお腹の調子が悪くなることを発見したそうです。Yさんのように朝食の約1時間から2時間後に下痢になる人は、胆汁が原因のことが多いということでした。
「胆汁」と下痢の関係
それでは、どうして胆汁が下痢の原因となるのでしょうか?
まず、食事の後に分泌した胆汁には下剤と同じく大腸を刺激して大量の水分を出させたり、活動を活発にさせたりする作用があります。健康な人でも胆汁の10%弱は便や尿に混ざって排泄されます。けれども、何らかの原因で通常よりも大量の胆汁が大腸に流れ込む場合があります。
役割を終えた胆汁は小腸の出口から10cmぐらいのところで吸収されて胆のうに戻ります。けれども感染症や食あたり等でその部分が炎症を起こしたり、機能が弱ったりしている場合は、多くの胆汁が吸収されずに大腸に流れていってしまい下痢を引き起こすそうです。また、手術で小腸の胆汁を吸収する部分を切除した場合も胆汁がそのまま大腸に運ばれてしまうので、下痢になりやすくなるそうです。
「胆汁」が原因の下痢の見分け方
瓜田先生によると、胆汁は夜眠っている間に作られるので、朝に一番多くの胆汁が胆のうに溜まっているそうです。それが朝食後にたくさん分泌されるので胆汁が原因の下痢は朝食の約1時間〜2時間後が多いそうです。また、痛みを感じないことが多く、一度排泄してしまえば治るそうです。
ちなみに、朝食後すぐに便意をもよおすのは「胃直腸反射」と言って問題はないそうです。
胆汁が原因の下痢の場合は、朝食を食べる時間を変えることで、トイレに行くことができない時間(例えば通勤時間)に下痢をもよおすことを避けることができるそうです。例えば、朝食を早めに食べて家を出る前にトイレをすませるというのは有効な方法です。また、朝食の量を減らすことによって、胆汁が大腸に流れ込む量を減らして下痢になるのを防ぐこともできます。
下痢止めを使ったほうが良い下痢と悪い下痢
番組では、胆汁が原因の下痢には下痢止めは効かないとの説明がありました。
それで番組では説明はありませんでしたが参考までに、下痢止めを飲むか飲まないかをどのように判断すれば良いかをまとめておきます。ストレスや冷えによる下痢(感染症ではない下痢)の場合は、症状を抑えるために下痢止めを服用しても良いそうです。けれども、細菌やウィルスが原因の場合の下痢は、便と一緒に悪い菌を体の外へ追い出しているので、下痢止めは使わないほうが良いそうです。同じ下痢という症状であっても、対応は180度異なりますので、状況を見て受診するのが一番です。
まとめ
トイレに行けない事情があるときに下痢で苦しむことになっては大変です。大切な行事がある当日は飲食にも気を配る人は多いですが、さらに一歩踏み込んでどの食品が下痢を引き起こしているのかを知っておけば不意の下痢に悩まされる可能性はさらに低くなります。今回学んだ下痢対策をしっかり実践したいところですね。