胃がんと抗がん剤~1次治療と2次治療~きょうの健康

先日の『きょうの健康』のテーマは「胃がんの抗がん剤治療」でした。消化器内科医の三輪洋人兵庫医科大学主任教授が、胃がんの抗がん剤治療の進歩や最新の治療法について説明をしていました。

 

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胃がんの抗がん剤治療の進歩

三輪先生によると、20年から30年前は抗がん剤治療での生存期間は平均3か月だったそうです。また、現在と比べると抗がん剤の効果の予測も難しかったとのことです。けれども、長年の研究の成果によって、現在の抗がん剤使用での生存率は平均1年半で、がん細胞が完全に消えた人、手術が不可能だったがんが小さくなって手術ができるようになった人もいるとのことです。特にこの5年間で、新しい薬がたくさん開発されたそうです。また、副作用対策も進歩していると三輪先生は説明していました。

胃がんの治療に抗がん剤を使う理由

胃がんの治療に抗がん剤を使う理由は、がんが離れた場所に転移していて手術ができない状態のときや手術後にがんが再発した場合、手術前にがんを小さくして手術しやすくするため、手術後の再発防止のためです。

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きょうの健康より

番組では、手術ができない胃がんの抗がん剤治療について詳しく説明をしていました。

 

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HER2検査

胃がんの手術ができない場合に、使用する抗がん剤を決めるためにHER2検査を行うそうです。HER2はがん細胞が増えるのを刺激する物質で、このHER2の有無で1次治療に使用する抗がん剤が決まるとのことです。

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きょうの健康より

 

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HER2検査が陰性の場合の抗がん剤の1次治療

HER2検査が陰性の場合の第1選択はS-1とシスプラチンの併用だそうです。けれども、患者の健康状態によってはこれらの抗がん剤が使用しにくいことがあるので、カペシタビンとシスプラチン、S-1とオキサリプラチン、カペシタビンとオキサリプラチンで治療が行われることもあるとのことです。例えば、シスプラチンは腎障害のある人には副作用の関係で使用が難しいと三輪先生は説明していました。

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きょうの健康より

「S-1+シスプラチン」の治療サイクルと副作用

「S-1+シスプラチン」の治療は5週間で1サイクルです。S-1は1日2回3週間服用して2週間服用を休みます。シスプラチンは通常2週間目の初めに1度点滴するそうです。

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きょうの健康より

S-1の副作用には、白血球の減少、下痢、口内炎、皮膚の色素沈着、食欲不振がありますが、副作用はあまり強くないとのことです。また、シスプラチンの副作用には、白血球減少、腎毒性、食欲不振、強い吐き気があるそうです。以前は、強い吐き気に耐えられず、抗がん剤治療を続けられない人もいましたが、現在は、吐き気を抑える薬を使用して副作用を軽減していると三輪先生は説明していました。

 

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HER2検査が陽性の場合の抗がん剤の1次治療

HER2検査が陽性の場合の第1選択薬は、カペシタビン、シスプラチン、トラスツズマブの3剤併用だそうです。第1選択薬の使用に問題がある場合は、S-1、シスプラチン、トラスツズマブの3剤を併用します。

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きょうの健康より

「カペシタビン+シスプラチン+トラスツズマブ」の治療サイクル

「カペシタビン+シスプラチン+トラスツズマブ」の治療は3週間で1サイクルです。カペシタビンは1日2回2週間服用して1週間服用を休みます。シスプラチンとトラスツズマブは各治療サイクルの1日目に1度点滴するそうです。

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きょうの健康より

 

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抗がん剤の2次治療

抗がん剤の2次治療は、1次治療の効果が落ちてきたら始めるとのことです。従来は、パクリタキセル、イリノテカン、ドセタキセルのどれかを使っていたのですが、2015年からはパクリタキセルと新薬のラムシルマブを併用するようになったと三輪先生は説明していました。
がん細胞は増殖するために血管を作って栄養を吸収する働きがあるのですが、ラムシルマブはその働きを妨害する効果があるそうです。ラムシルマブとパプリタキセルを併用することでパプリタキセルの単独使用よりも生存期間が平均2.2か月伸びたという研究結果が番組で紹介されていました。

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きょうの健康より

「パクリタキセル+ラムシルマブ」の治療サイクル

「パクリタキセル+ラムシルマブ」は4週間で1サイクルです。パクリタキセルは1週間に1回の点滴を3週続けたら1週休みで、ラムシルマブは2週間に1回の点滴とのことです。

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きょうの健康より

<豆知識>

mametisiki抗がん剤治療以外の胃がんの最新治療法にも興味のある方には「胃がん 完治をめざす最新治療ガイド」がお勧めです。

胃がん 完治をめざす最新治療ガイド (健康ライブラリーイラスト版)
佐野 武

まとめ

胃がんの抗がん剤治療と言えば、効果が未知数なのに激しい副作用に苦しまなくてはいけないというイメージでした。けれども、治療効果の高い新しい抗がん剤や副作用を抑える薬が開発されるなど進歩しているのですね。最新の抗がん剤治療を受けられる医療機関は限られているようなので、より多くの場所で最新の治療が受けられるようになることを願いたいです。


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