近年、胃カメラやマンモグラフィなどのがん検査を受ける人が急増しているそうです。
罹患数3位の肺がんや2位の胃がんを抜いて、現在は大腸がんが1位になっていて、毎年5万人が亡くなっていることも背景にあるようです。
大腸がんの検査として有効なものとして「内視鏡検査」がありますが、その検査の際に“あること”を医師に尋ねることで、自分が大腸がんになりやすい体質かどうかを知ることができるそうです。また、がんにならない身体になる方法もあるそうです。
今回は、大腸がんの早期発見から予防法まで紹介していた『ガッテン!』をまとめておきたいと思います。
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内視鏡検査を受けると…
大腸内視鏡検査を受けると、副産物としてさまざまな悩みが解決することがあるそうです。
たとえば、
「肌の調子が良くなった。吹き出物が出なくなった」
「以前は食事が美味しく感じないのでごはん1杯くらいしか食べていなかったが、検査が終わってからは食事が美味しくなった。」
「体重の増減が激しく4〜5キロ増えたり減ったりしていたが、検査を受けてからは体重のキープが簡単になった。」
などの声がありました。
Sさん(70代男性)は検査後、便秘が治ったそうです。
大腸内視鏡検査を受けることになったのは、5年前に父親が大腸がんで亡くなったことがきっかけで検便を受けたところ「要精密検査」との結果が出たためだそうで、幸い検査結果は「異常なし」だったのですが、その日から不思議と便秘が改善してしまったそうです。
30代女性のNさんも便秘が治ったそうです。「検査を受けてから2日に1回は出るようになった」と話していました。
この現象について久里浜医療センターの水上健氏は「便秘の患者は、硬い便が腸に引っかかっているためになかなか排便できなくなってしまい、それによって便がさらに硬くなって、もっと出にくくなってしまう、という悪循環になっている人が多い」といいます。
大腸は下図のように人によって形が違うため、ねじれているとそこに便がつまって便秘になることもあるのです。
しかし、内視鏡検査をするときには事前に強力な下剤を飲んで腸内を完全にからっぽにするため、つまってしまっている状態を一旦リセットすることになり、便秘の悪循環が絶たれることによって便秘がよくなることもあるそうです。
このような副産物もある大腸の内視鏡検査ですが、本来の目的はもちろん、大腸の異常を見つけることです。
次からは内視鏡検査について詳しく見ていきましょう。
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大腸がんになりやすい人となりにくい人がいる
番組では、大腸がんが気になるという5人の方に大腸内視鏡検査を受けてもらい、その様子を撮影していました。担当していたのは大腸がん治療のスペシャリストである京都府立医科大学の石川秀樹医師です。
石川氏は内視鏡で腸内の様子を確認しながら、青い液体を大腸内に吹きかけていました。この青い液体は医療用の青色2号です。かき氷のシロップなどに使う青色1号とほぼ同じものだそうです。そうして様子を確認したあと、石川氏は「これで5年は大腸がんになる心配はない」と話していました。
ポリープには2種類の模様があります。青色2号をポリープにかけるとポリープの模様を目視で確認することができるようになるため、大腸がんになりやすい体質か、なりにくい体質かを見極めることができるようになるといいます。
なりにくい方のポリープであれば基本的に5年はがんができる心配がないため、石川氏は「これで5年は〜」という発言したのです。
番組で取材を受けていたTさん(72歳男性)は大腸がん2回、胃がん2回、肺がん1回と、人生で5回もがんを経験してきました。「リンチ症候群」と呼ばれるがんになりやすい体質だそうです。
しかし、青い液体を用いる検査を受けるようになってからは、「大腸がんは怖くなくなった」と話していました。
Tさんが定期的に通っている内視鏡検査を取材すると、青い液体をかけることでがんの芽である「腺腫」を発見することができ、それをそのまま切除する様子が撮影されていました。
「腺腫」について少し詳しく見ていきましょう。
大腸のポリープは3種類に分類されます。
このうち、「良性」のポリープの今後の行く末を見極めるのに青い液体を用いるのです。
腺腫があれば大腸がんになりやすい
ポリープに浮かび上がる模様は水玉状と脳みそ状にわかれます。脳みそ状の方が「腺腫」で、将来がんになる可能性が高い良性のポリープです。石川氏は「腺腫の1〜5%くらいが大腸がんになる、いわば将来のがんの芽」と話していました。
腺腫がなければ将来的にも大腸がんになりにくい体質で、腺腫がある人は大腸がんになりやすい体質であることがわかるのです。腺腫がひとつ見つかると大腸内の他の場所にも腺腫が出てくる可能性があります。(ちなみに、胃などの他の場所のポリープとはあまり関係がないそうです。)
大腸がんになりやすい体質でも若いうちは腺腫が出てこないことがあるので、50歳を過ぎたころに腺腫が出ているかどうかが問題になります。つまり、40代で検査を受けて腺腫が見つからなくても、まったく油断できないということです。
大腸がんになりにくい体質の人は基本的に便潜血検査を続けていけば十分だそうですが、大腸がんになりやすい体質の人は1〜3年おきに大腸内視鏡検査を受けるように、とのことでした。
石川氏によると、「ドックや健診を受けに来る人は健康に気をつけている人なので2〜3割の人にしか腺腫は見つからないが、飲酒や喫煙をし、運動もしていない人なら半分は腺腫を持っているだろう」ということでした。
番組で内視鏡検査を受けた5人は全員飲酒・喫煙をしており、4人から腺腫が見つかったそうです。1人で6つも腺腫ができている人もいたそうです。
大腸内視鏡検査を受けた際、ポリープが腺腫であるかどうかはとても重要な情報ですから、必ず「腺腫だったかどうか」を医師に聞くようにしましょう。それによって自分が大腸がんになりやすい体質かどうかを知ることができるので、絶対に忘れないようにしてください。
予防方法
腺腫のできやすさは遺伝だけでなく、生活習慣の影響が大きいそうです。
飲酒のしすぎや喫煙、運動不足が大変な悪影響を及ぼすため、これらを改善すれば大腸に腺腫ができにくくなることが確認されているそうです。
石川氏は「運動がとても大切。大腸がんは運動で減らすことのできる数少ないがんの一つ。身体を動かすと腸が動く。ジョギングや早足や水泳など、全身運動をすることで大腸がんのリスクが下がる」と話していました。
石川氏の患者さんで社交ダンスをやっている方がいるそうで、その方にはとても良い効果が出ているそうです。
予防薬としてはアスピリンに予防効果があるのはほぼ間違いないと言われているそうです。腺腫を持っている人なら飲んでから4年は腺腫ができにくい体質になるそうです。ただし、まだ研究段階であるので、現時点では研究が進むことを待つしか無いようです。
アメリカではCMなどで内視鏡の効果をPRし、50〜64歳の人は無料で受けられるようにしたことで、効果を上げているそうです。
以前は毎年10万人が大腸がんで死亡していたそうでが、CMを見た多くの人が内視鏡検査を受けて腺腫を切り取った結果、大腸がんになる人が3分の2に激減したそうです。
このことからもわかるように、現時点では内視鏡検査がもっとも有効な予防手段なのです。
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便潜血検査
多くの市区町村では、40代になった住民に対して便潜血検査を受けるようにとのお知らせが送られてきます。
しかし、せっかく検査を受けても、あることに気をつけておかないと間違った結果が出てしまうこともあるそうです。
下図は、検便による大腸がんの発見率についての研究結果です。
季節によって発見率に差が出ていたのです。
この理由は温度にあります。
下図は大腸内のがんです。
がんは表面から出血をしていることが多く、便がその部分を通過する際に、血が便に付着します。
(緑色のものが便です)
便潜血検査はこの血を確認することで異常の有無を判断するのですが、温度が高いと便の中にいる腸内細菌の活動が活発になるため、血液を分解してしまうことがあるそうです。30度を越えるところに保管しておくと分解が進んでしまうので、理想の保存温度は4度前後になります。冷蔵庫か保冷剤で保存するようにしましょう。
もうひとつコツがあります。
1回の便潜血検査での大腸がんの発見率45%と言われています。
つまり、半分以上は発見できません。
2日分で発見率は70%になり、翌年以降に検査を受ければ受けるほど100%に近づいていくということになります。
大腸がんは進行がゆっくりなので、発見に3〜4年かかってもそれほど心配することはないそうです。
便潜血検査を毎年続けることで、大腸がん死亡率は6割も減らせるそうです。
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内視鏡検査に関するあれこれ
内視鏡検査には「痛い」「苦しい」のつらさがつきまといますが、そんな苦痛を和らげる裏技があるといいます。
大腸が痛かったり苦しかったりするのは、カメラが腸の壁を押してしまうからなのだそうです。押してしまうと腸が緊張して収縮し、それによってカメラはさらに壁に当たりやすくなってしまいます。
そんなときは、目を閉じるといいそうです。すると、リラックスした腸が開きます。
これを覚えておくだけで、検査が格段に楽になるそうです。
大腸内視鏡検査の費用
便潜血検査で陽性またはなんらかの症状がある場合は保険が適用され7千円〜3万円ほどの費用でうけることができます。症状がない場合は自由診療となり3〜9万円ほどかかるそうです。
日本消化器内視鏡学会のホームページ(http://www.jges.net/index.php)には詳しい情報が掲載されていますから、参考にしてみて下さい。
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まとめ
大腸内視鏡検査にも便潜血検査にも“コツ”のようなものが求められることがわかる特集だったと思います。
それでもそれらのコツをおさえて活用すれば比較的予防しやすいがんであるということなので、今回の情報をぜひ参考にして、検査を受けてみて下さい。