一週間歯磨きしないとどうなる?口内フローラの整え方と緑茶の効果~ガッテン!より

私たちの口の中には、たくさんの細菌が棲んでいます。

20161228110340

ガッテン!より

これらの菌が口にいてくれるおかげで、かぜやインフルエンザなどの感染症から身体が守られています。
ロンドン医科大学のスティーブ・グシュメッツナー氏は、走査電子顕微鏡を用いて口内細菌を撮影しており、これらに色を付けているそうです。

20161229102322

ガッテン!より

口内細菌はいろいろな形をしており、グシュメッツナー氏はこれまでに100種類以上の写真を撮ったそうです。

このように、口内細菌はさまざまな種類がいるので、それらが口内に広がって分布している様子は「口内フローラ」(フローラ=花畑)と呼ばれています。そして「腸内フローラ」と同じように、口内フローラの在り方によって身体全体の健康状態が左右されることが近年の研究によって明らかになりつつあるそうです。
今回は、口内フローラについて詳しく解説していた『ガッテン!』をまとめておきたいと思います。

 

スポンサーリンク

 

口内細菌も善玉菌と悪玉菌に分かれる

口内細菌も、種類によって善玉菌と悪玉菌に分類することができます。
そのバランスが崩れると全身の血管がボロボロになり、脳梗塞や心筋梗塞、認知症、がん、糖尿病、大動脈瘤破裂などを引き起こすことがわかってきました。

口内細菌は、健康な人でも1000億個ほど存在しています。子どもでも歯が生えてくる頃にはそのくらいの数の口内細菌が存在するようになっているそうです。
細菌の種類は500種類ほどで、外から入ってくる悪いウイルスや病原菌を口内で繁殖させないようにする役割を果たしています。
たとえば「黄色ブドウ球菌」という食中毒を起こす細菌があります。

20161229102544

ガッテン!より

これと口内細菌を一緒に繁殖させてみると、培養開始から24時間後、口内細菌のまわりだけが透明のままになっています。

20161229102639

ガッテン!より

細菌が酵素を出して、黄色ブドウ球菌の繁殖をブロックしているのです。
空気中にはその他にもインフルエンザウイルスやノロウイルス、サルモネラ菌、結核菌など、病原菌やウイルスがたくさん浮遊していますが、口内細菌が繁殖を抑えてくれているのです。

しかし、口内には「悪玉菌」もいます。
口の中にどんな細菌がいるかを調べる「次世代シークエンサー」という機械で善玉と悪玉の割合を調べてみると、健康な人はだいたい善玉菌が9割、悪玉菌は1割という結果になるそうです。

20161229102738

ガッテン!より

このバランスが崩れ、さらにあることが起こると、体調に異変が生じてしまいます。

 

スポンサーリンク

 

歯周病菌が身体中に…

大動脈にコブのようなものができてそれ(大動脈瘤)が破裂してしまうと、およそ9割の人が命を落としてしまいます。これは大動脈瘤破裂と呼ばれますが、その発現に口内細菌が深く関わっていることがわかってきました。
大阪大学歯学部の天野敦雄教授は手術で取り出した大動脈瘤を詳しく調べました。
すると、大動脈瘤の中にジンジバリス菌という口内にいるはずの悪玉菌が見つかりました。

20161229113844

ガッテン!より

ジンジバリス菌は、歯周病を引き起こす菌(いわゆる歯周病菌)です。
この結果を受けて、東京大学の鈴木淳一教授はねずみを使った実験を行いました。下図は正常な大動脈の断面図です。

20161229113950

ガッテン!より

ここに歯周病菌を加えると…

20161229114042

ガッテン!より

いびつに膨らんで、今にも割れてしまいそうになりました。鈴木氏によると「血管壁の部分が傷んできてしまって、やがて動脈瘤になってしまうことが考えられる」そうです。
他にも、認知症の人の脳や脳梗塞を起こした人の脳、心筋梗塞を起こした人の心臓、肝炎を起こした人の肝臓、がん患者のがん発生部位、関節リウマチを起こした人の関節からも、ジンジバリス菌が見つかっているそうです。
歯周病菌がどうやって病気を引き起こすかというメカニズムまではまだわかっていないそうですが、なんらかの悪さをしていることは間違いないと考えられています。

 

スポンサーリンク

 

1週間歯を磨かないと…

番組では、1週間歯を磨かないと口腔内がどうなるかという実験を行っていました。
1週間後、口内細菌の数は1兆個になっていると予想される被験者の血液を、東京歯科大学微生物学講座の石原和幸教授が採取して培養していました。歯周病菌が身体に入ってしまっていたら、血液中に確認できるはずです。
実験前の被験者の口内細菌の割合は、ほぼ正常でした。

20161229114223

ガッテン!より

しかし、歯を磨かずに1週間過ごすと…

20161229114318

ガッテン!より

悪玉菌の割合が激増していました。
こうなると血液中にも歯周病菌が侵入してしまっているだろうと思えますが、血液中からは歯周病菌が見つかりませんでした。つまり、口腔内の悪玉菌が増えたからといって血液中に菌が侵入してしまうわけではないのです。
血液中に歯周病菌が入ってしまった人の血液は、下図のようになってしまいます。

20161229114358

ガッテン!より

黒い点が歯周病菌です。
こうなると血管がボロボロになりかねない、大変危険な状態です。

次は、血管の中に歯周病菌が侵入してしまう“きっかけ”について見ていきましょう。

 

スポンサーリンク

 

歯周病菌が体内に入るきっかけ

嫌気性のジンジバリス菌は、歯の隙間や、歯と歯茎の隙間にいます。
空気が嫌いなのでどんどん歯茎の間を掘っていく習性があり、やがて歯茎の下の方の血管にまで到達してしまいます。すると血管に穴が空き、そこから血液中に入り込み、全身を巡ります。
傷ついてしまった歯茎から出血する場合などは一時的な傷ですから、歯周病菌はほとんど入りこみませんが、菌が掘り進めた歯茎の奥の血管の穴からは継続的にどんどん入っていってしまいます。
たとえば歯磨きで毎日のように血が出る人は、すでに菌が入り込んでしまっている可能性があります。
(ちなみに、歯の治療などで出血した人はその後3日間は献血ができないそうです。血液に菌が入り込んでいると輸血に使えないからです。)

口の悪玉菌について、日本大学特任教授の落合邦康氏は「歯に関しては虫歯菌、歯肉に関しては歯周病菌と考えて良い」と話していました。
歯周ポケットについては「基本的に歯周病菌がつくるが、年齢の影響もあって、炎症が起こると歯周ポケットが深くなる。深くなると歯周病菌が入る条件が整うので、歯周病菌が元気になってしまい、増えていく」といいます。

歯周病の発症については「私たちの身体の免疫状態と菌との力関係によるので、発症には個人差がある」ということでした。菌の数が少なくても免疫力が落ちていれば歯周病になってしまうのです。落合氏によると「若い人の口の歯周ポケットから歯周病菌が見つかっても、歯肉がきれいな人がいる。しかしある一定の年齢以上の人から同じくらいの菌が出ると、相当重症の歯周病になっていることが多い。免疫力が落ちると歯周病菌が悪さをする」とのことでした。
3〜5歳の子どもと、75〜89歳のお年寄りの口内フローラのバランスを見比べてみると…

20161229114500

ガッテン!より

抵抗力の落ちるお年寄りのほうが、どうしても悪玉菌が多めになってしまうようです。

 

スポンサーリンク

 

口内フローラの異常を自分で知る方法

以下のようなことがあると、口内フローラに異常が生じている可能性があります。

・歯茎が腫れる
歯茎が腫れている状態は、身体が細菌と戦っている状態です。今まで通りにしているのに歯肉が腫れているというような場合は、歯周病の可能性があります。

・歯磨きをするたびに出血してしまう
ふつうに歯磨きをしているだけなのに出血してしまうときは、歯周病が進んでいる可能性があります。

・急に口が臭くなった
自分では気が付きにくいですが、これも歯周病の前兆です。

・口がよく乾燥する
唾液には菌を発育させない物質や溶かす物質が入っており、口内フローラを正常に保つのに重要な役割を果たしています。これが減って乾燥してしまうと、悪玉菌は発育し、最悪の場合は舌の表面にカビが生えてしまうこともあるそうです。

 

スポンサーリンク

 

口内フローラを整える方法

毎日の歯磨きが大事なのは言うまでもありませんが、歯周病菌は歯磨きだけでは取り除けないそうです。
できれば毎日、歯間ブラシや糸ようじを用いて歯周病菌が棲んでいる場所もきれいにするようにしましょう。

20161229114549

ガッテン!より

少なくても1週間に1回はこれらを用いるべきだそうです。
さらに、定期的に歯医者さんに行き、歯周病菌が増えすぎていないかをチェックするようにしましょう。
1年に1回、心配な人は半年に1回の検査がオススメだそうです。

悪玉菌の繁殖を抑える物質

ある健康センターでは、緑茶の成分が配合されたジェルを歯茎に塗っていました。
こちらの機関で継続的にこのジェルを塗ってもらっているという女性は「(以前は)朝起きた時に口の中がぱさぱさになったが、これを着けているうちにそういう感覚はなくなってきた」と話していました。
緑茶の効果を見るため、歯周病菌がいるシャーレに緑茶ゼリーを入れる実験をしていました。培養開始から48時間経過したときの様子を見てみると…

20161229114646

ガッテン!より

緑茶ゼリーの周りだけ、悪玉菌の繁殖が抑えられています。
その一方で、善玉菌と一緒に培養する実験を行ってみると、善玉菌の繁殖は抑えられていないことがわかります。

20161229122833

ガッテン!より

つまり、緑茶の抗菌成分は悪玉菌の繁殖のみを抑えるのです。
以下のように、緑茶以外でも口内フローラを整える効果が期待できる飲み物はあるようです。

20161229122953

ガッテン!より

しかし、落合氏によると「紅茶などでもある程度の抗菌作用はあるが、茶葉の処理の仕方や温度のかけ方などでカテキンの変化がある」といいます。間違いなく効果を発揮してくるのは緑茶であるようです。

効果を高めるためには、100mlの水またはぬるま湯にティースプーン山盛り1杯分の粉末緑茶を混ぜた液体で、就寝前や歯磨き後に、口をゆすいだりうがいをしたりするといいそうです。

20161229123048

ガッテン!より

緑茶のカテキンが歯に着色することはほとんど無いので、歯が変色することを心配する必要はありません。
ただし、歯についたものや溝に入ったものをうがいだけで取り除くのは難しいので、落合氏は「ブラッシングをして物理的に取り除いた後に緑茶うがいをすることが重要」と話していました。

 

スポンサーリンク

 

まとめ

口内フローラと歯周病の関係について深く知ることができる特集でした。
日々の歯磨きに歯間ブラシや糸ようじを加えること、そしてその後に緑茶で口をゆすぐことを習慣にして、大病を未然に防いでいきましょう。


スポンサーリンク

コメントは受け付けていません。