声のかすれ~老化?ガン?〜『チョイス@病気になったとき』より

ふとしたときに思うように声が出ない・・・。
声がかすれる・・・。

そんなこと、ありませんか?
カラオケなどで熱唱した後などにもよくなりますから、「風邪かな…」と軽く見てしまいがちです。しかし実は、そんな「声のかすれ」が命をおびやかすとってもキケンな病気のサインかもしれないのです。

今回は、NHK『チョイス@病気になったとき』で声のかすれをテーマに取り扱っていたので、まとめておきます。命に関わる大事に至る前に病気を発見するテストや、かすれた声の回復トレーニングなども紹介されていたので、皆さんもぜひやってみてください。

 

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声のかすれに潜む病とは?

「あれ、声が思うように出ない…」

Iさん(70代女性)は、声のかすれに1ヶ月間悩まされたそうです。

自らカラオケスナックを営むほどの歌好きであるIさんは、日頃からのどのケアには人一倍気を使っていたにもかかわらず、体調を崩して店を休業したころから徐々に声がかすれていったそうです。

最初は、風邪だと自己判断していたIさん。病院に3件行ってみても、診断結果はどこも風邪。風邪薬を飲んで安静にしていましたが、症状は一向に良くなりません。それどころか次第に日常会話が厳しくなり、筆談を余儀なくされるまでに症状が悪化していったそうです。

これは風邪じゃない・・・。
そう考えたIさんが国立病院の耳鼻咽喉科を受診してみると、診断はなんと「声帯萎縮」

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『チョイス@病気になったとき』より

声帯は気管の入り口にあるもので、これを肺からの空気で振動させることで私たちは声を出しているそうなのですが、「声帯萎縮」になってしまうと、声帯と周囲の筋肉が痩せてしまって隙間ができ、空気が漏れてしまうので声帯が振動せず、うまく声を出すことが出来なくなってしまうというのです。

それにしても、人一倍のどをケアしていたIさんがどうして声帯萎縮になってしまうのかと思うのですが、国立病院機構東京医療センター・耳鼻咽喉科の角田晃一医師によると、

「お仕事を辞めてから会話をする機会が減って、声帯の筋肉が痩せてしまったからだろう」

とのこと。つまり、大声で熱唱したりするようなのどの使いすぎもよくないけど、使わなすぎてもよくない、ということなんだそうです。また、高齢になるほど声帯の表面にある粘膜の水分が減るので、それも声帯の振動を阻害する要因になるそうです。
同じような理由から、70歳以上の方のおよそ7割が「声帯萎縮」を発症しているのだそうです。

 

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声帯萎縮の症状

番組では、声帯萎縮の症状として
・声がかすれる
・声が出にくい
・声が続かない
・むせやすい

などが挙げられていました。
「むせやすい」というのは、声帯が萎縮してできた隙間から食べ物や飲み物が気管・肺の方に入ってしまう際にむせるそうで、これが続くと「誤嚥性(ごえんせい)肺炎」という肺炎までひきおこしてしまう可能性もあるそうです。

【誤嚥性肺炎とは?】
 誤嚥性肺炎は、細菌が唾液や胃液と共に肺に流れ込んで生じる肺炎です。高齢者の肺炎の70%以上が誤嚥に関係していると言われています。再発を繰り返す特徴があり、それにより耐性菌が発生し、抗菌薬治療に抵抗性をもつことがあります。そのため優れた抗菌薬治療が開発されている現在でも治療困難なことが多く、高齢者の死亡原因となっています。
一般社団法人日本呼吸器学会HPより

このように、「声帯萎縮」は侮れない症状ですので、声のかすれが2週間以上続いたら、耳鼻咽喉科で内視鏡検査を受けることが奨励されているそうです。

そうは言っても、忙しくて耳鼻咽喉科になかなか行けないこともありますよね。
そんな時のために、自分一人でも「声帯萎縮」になっているかどうかを診断できるカンタンチェック法も併せて紹介されていました。

声帯の異常をチェックする

まず息を大きく吸ってから、普通の大きさの声で「あー」と発声します。
それが出しっぱなしで何秒続くかを計測する、というのがカンタンチェック法。
3回やってみてその中の一番いい結果が、男性なら15秒未満、女性なら12秒未満だと、声帯萎縮の可能性があるということです。

Iさんが声のかすれが起きていた時に計測してみたところ、なんとたった5秒しか声が続かなかったそうです。

しかし、そんなIさんですが、「声帯トレーニング」なるものを始めたことで声のかすれを改善することができたそうです。

声のかすれを改善する「声帯トレーニング」

この声帯トレーニングもとても簡単です。
胸の前で合わせた腕など、体のどこかに軽く力を入れた瞬間に声を出す、それを繰り返せばいいだけだそうです。10回発声するのを2セット、朝晩2回で1日合計4セット行えば十分とのこと。

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『チョイス@病気になったとき』より

ただし力み過ぎは禁物だそうです。キュッと力を入れてその瞬間に「いち!」「にっ!」「さん!」と声を出します。
こうすることで、声を出す瞬間だけ声帯のまわりにある筋肉が膨らんで自然と声帯が閉じ、力を緩めると声帯も開く、ということが、声帯の筋肉が弱まってしまった人でもしやすくなるのだそうです。これを繰り返せば、弱くなっていた声帯自体の筋肉もトレーニングされて、かすれずに声を出せるようになるというわけです。

東京医療センターの調べでは、声帯トレーニングを行った65歳以上の男女70名のうち、なんと68名に声の改善が見られたといいます!

Iさんはこのトレーニングに加えて普段から歌を口ずさんだりすることで、たった2ヶ月で声が元通りになったそうです。

 

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大病にまで至ってしまうと、声を失う

次に登場した元営業マンのSさん(70代男性)は、お得意先とカラオケに行った際、思うように演歌のこぶしをきかせられなくなったことで、のどの異変に気づいたそうです。
しかし、やはりこちらも病院では風邪と診断され、なにより仕事の忙しさがあって、異常を感じつつもそのままにしてしまいました。

異変に気づいてから半年。

ついには声を出すことすら困難になったSさんが専門の医療機関を受診すると、診断結果はなんと「喉頭がん」。

喉頭がんとは
頭頸部(主として耳鼻咽喉科が診療する領域)にできたがんを頭頸部がんといいます。喉頭がんが進行すると、発声、誤嚥防止、気道確保などの喉頭の機能が損なわれます。
最新の統計データによると、喉頭がんの発生数はがん全体の0.6%ほどであり、人口10万人あたり3.4人が喉頭がんに罹患しています。
喉頭がんの発生は女性より男性が10倍ほど多く、50歳代から80歳代までに急激に増加します。また、喫煙によってリスクが確実に高くなることがわかっており、患者さんの90%以上が喫煙者です。喫煙と飲酒はそれぞれが別々に、または双方が相乗的に働いて、喉頭がんの発生リスクを高めます。その他、アスベストなどの職業性の曝露(ばくろ)との関連が指摘されています。

がん情報サービスより

Sさんは1ヶ月に20回もの放射線治療を試みましたが、それでも進行が食い止められないほどにまで至ってしまっていたそうです。
残る手段は喉頭の全摘出。
喉頭には声帯が含まれているので、摘出するということは声を失うことを意味しますが、Sさんは命を守るために、喉頭全摘出の手術を決意せざるを得なかったそうです。

 

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大事なのは早期発見

角田医師によると、「なんか声がおかしいよ」と家族や友人、同僚に指摘された際は、なるべく2週間以内に耳鼻咽喉科を受診すべきだそうです。

早期発見できれば、放射線治療だけで完治させられる可能性が7割近くもあるそうですから、命だけでなく声を守るためにも、気をつけたいですね。

喉頭を全摘出することになっても、声は取り戻せる!

手術後、退院したSさん。声を失ったSさんは、夫婦の会話も筆談で行っていました。
一生この状態が続いていくのか・・・と、思いきや、筆談の生活はたった3ヶ月で終了したのだそうです。
というのも、Sさんは東京都港区にある公益社団法人銀鈴会にて、「食道発声」の勉強をはじめたのです。

「食道発声」というのは、口から吸い込んだ空気を食道に取り込み、ゲップの要領で空気を戻しながら食道を震わせることで音を出す発声方法のこと。

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『チョイス@病気になったとき』より

Sさんも術後すぐにこちらで食道発声の訓練をはじめて、3ヶ月ほどで日常会話ができるレベルにまで、声を取り戻したのだそうです。

他にもある!声を取り戻す方法

また、食道発声を習得するのが難しいような、力の弱い高齢の方でも声を取り戻す方法はあるそうです。

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『チョイス@病気になったとき』より

電気喉頭
器具を使ってのどを外側から振動させる発声法。機械音がすることや、器具の購入に5〜7万円が必要になることがネックですが、訓練しなくてもすぐに会話することができるそうです。自治体によっては助成金が出る場合もあるそうです。

シャント発声
器具をのどに取り付けた上で、しゃべる瞬間に気管の入り口を指で塞ぎ、空気を食道に送って発声する方法。
肺からの空気を利用できるので、食道発声よりも大きな声を出すことができるそうですが、器具の交換に毎月2万円ほどかかるそうです。ただし、障害者の日常生活用具給付制度によって助成金がでる地域も一部あるそうなので、自治体に問い合わせてみると良いでしょう。

3つの方法のうち自分にはどれがいちばん合っているかを、患者自身の目標や体力、金銭面などを総合的に考慮して、医師や家族とも相談しながら決めていくのがいいようですね。

 

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他にもある…声のかすれに潜む病

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『チョイス@病気になったとき』より

画像の病名のうち、上段の4つは脳にある反回神経を傷つけてしまい、それによって声がかすれてしまうんだそうです。
逆流性食道炎は、逆流した胃酸により声帯が炎症を起こし声がかすれ、気管支喘息では気管が炎症して狭くなることで声がかすれるそうです。

このような大病の兆候が声のかすれとしてあらわれていることもあるので、注意が必要です。

まとめ

以上、みてきたように、「声のかすれ」を甘く見てはいけないことがよくわかると思います。幸い、声のかすれや喉の異物感というのは自覚できる症状です。こうした声からのSOSを見逃さずにキャッチして、面倒くさがらずに耳鼻咽喉科を受診し、早期の対応を心がけることがなにより重要です。

 


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