脳梗塞の前兆TIA(前触れ発作)~主治医が見つかる診療所より

先日の『主治医が見つかる診療所』では、「脳梗塞最新情報SP」と題し、脳梗塞の前兆に関して特集していました。

最近の研究では、脳梗塞になる人の4人に1人に前触れがあったことがわかってきたのだとか。前触れがわかれば脳梗塞の発症を防ぐことができるということで、番組では前触れの代表的なものや対処の仕方、そして脳梗塞予防のために日常生活で気をつけたいことなどについて、最新情報を交えて伝えていました。

脳卒中は、毎年25万人以上がを発症している病気です。
この脳卒中には、脳内の血管が破れる脳出血やクモ膜下出血と、血管が詰まってしまう脳梗塞という2つのタイプがあるとのこと。そして脳卒中の8割は「脳梗塞」だというのです。
脳梗塞になると、血管が詰まっているため、血液が行き届かない脳の部分が酸素欠乏や栄養不足で壊死してしまいます。

 

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脳梗塞の「前触れ」

これまでは、脳梗塞には前触れがなく、前もって対処することが難しいいとされてきました。しかし、最近では脳梗塞を発症した人の4人に1人に前触れがあったことがわかったそうです。
脳卒中科で川崎医科大学附属病院教授の八木田佳樹医師は、その前触れはTIA=一過性脳虚血発作と呼ばれると解説。脳の血管が一旦閉塞するけれどもすぐに再開するので、症状は消えてしまうそうです。
一時的に起こるTIAの症状を見逃さずに早く対処できれば、脳梗塞のリスクを大きく下げることができるとともに、脳梗塞の発症そのものを防ぐこともできます。
脳神経外科で禎心会病院 脳疾患研究所所長の上山博康医師によると、脳梗塞で亡くなったり後遺症に苦しまないために大切なことは、「タイム・イズ・ブレイン」の意識だとのこと。脳梗塞は時間、スピードが命。どれだけ治療可能な早期に治療を始めるかがが重要だと言います。

さて、TIAが何の頭文字なのか番組中で触れられることがなかったので、調べてみました。英語でTransient ischemic attackでした。Transient=一過性の、Ischemic=血流が乏しくなる、Attack=発作。(脳梗塞の”前触れ”- 一過性脳虚血発作とは?
英語で言うにしても、日本語で言うにしても長くて言いづらいので、略語が使われているようですね。

 

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前触れ発作、TIA(一過性脳虚血発作)とは?

ほとんどの人になじみのないTIAという言葉ですが、上山医師によると、TIAの定義は24時間以内に症状が治ってしまうこと。実情としてTIAのほとんどはほんの数秒から数分しか続かないのだそうです。この時間の短さのため、脳梗塞の前触れであるにも関わらず、「気のせい」で片付けられてしまうことも多いのだとか。前触れがあった人が、TIAの段階で治療をしていれば脳梗塞を未然に防げただろうというのが上山医師の予想です。
TIAが起こる原因は2つあり、ひとつは、動脈硬化で血管が狭まっているケースで、血圧の低下や水分不足で脳への血流が悪化した際に起こるとのこと。この場合、血圧や水分不足が回復することによって症状が治まります。

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主治医が見つかる診療所より

もうひとつは、血栓(血のかたまり)が頚動脈や脳の血管に詰まることによって、脳への血流が止まってしまうパターンです。こちらは、血栓が流れて詰まりがとれることで症状が治まるとのことです。

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主治医が見つかる診療所より

どちらが原因でも症状はすぐに消えますが、例え一過性で症状は消えても、原因が解決されていないので大変危険なサインだと、八木田医師は警鐘を鳴らします。TIAも軽症の脳梗塞であり、すぐ再発するかも知れないという危機感を持って欲しいと語っています。

 

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TIAの体験談 その1 「目の奥に違和感」

ナレーターでフリーアナウンサーの女性Nさん(51歳)が脳梗塞を発症したのは42歳のとき。MRI画像を見ると、左側頭葉に大きなダメージを受けていたことがわかります。

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主治医が見つかる診療所より

ある日、車を運転していると、右目は普通なのに突然左目だけ目の奥が重たく感じられ、見えづらくなったそうです。すると今度は体が重くなり、右手でハンドルを持つことができなくなったのだとか。
危ないので車を停め、30分の仮眠をとったNさん。仮眠から覚めると症状は消えていたので、そのまま運転したそうですが、目の違和感や体の重さはTIAだったのです。
その3日後、今度は頭痛と疲労感に襲われたものの、このぐらいで仕事は休めないと我慢したNさん。
一般的には脳梗塞では頭痛は起こらないとされているものの、50歳ぐらいまでに発症する若年性脳梗塞では、頭痛がすることもあるのだとか。
それからさらに2日後、深夜にトイレに行こうとして目を覚ましたときのこと。強烈な頭痛とだるさ、吐き気に襲われ、翌日に病院に行くと、そのまま入院して精密検査を受けるように言われたそうです。診断は脳梗塞。すぐに血栓を取り除く治療を受け、一命を取り留めました。
一命は取り留めたものの、名前を聞かれてもわからず、メールも打てない。ひらがなの本が読めなかったり、考えを言葉にすることができなくなりました。脳梗塞の後遺症の「失語症」に悩まされたそうです。このあと3ヶ月のリハビリに励み、仕事復帰できたそうです。
脳神経外科で獨協医科大学越谷病院の兵頭明夫医師が、片目だけが見づらくなった理由について説明しました。目には脳の血管から血が流れていくので、血栓が目の血管の方面に流れて詰まれば一時的に見えなくなるとのこと。右腕が上がらなくなったのは、左脳の運動領野(手足の動きをつかさどる場所)に障害が起こると、反対側の手足の力が抜けたり痺れるからとのことです。

 

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TIAを疑ったら受診することの大切さ

脳神経外科で神戸市立医療センター中央市民病院の坂井信幸医師によると、TIAを起こす20人に1人は、2日以内に脳梗塞になったとか、TIAを放置する人の3割は脳梗塞になるというデータがあるとのこと。このデータに基づくと、TIAが2-3回あると非常に高い確率で脳梗塞になると言うことができ、TIAが起こったら症状が治まったとしてもすぐ病院に行かないといけないと力説します。
内科で秋津医院院長の秋津壽男医師は、みんな病気が怖いために、TIAが起こっても「気のせい」だと自分をごまかしがちだと分析。異常があったということは、脳梗塞の前兆かも知れないので、自分で判断しないで、医師の診断を受けることが大事だと訴えました。
だるさや頭痛はともかく、片目が見えづらいとか片方の腕の力が入らないといった症状はそうそう起こることではないと指摘するのは、内科・リウマチ科でそしがや大蔵クリニック院長の中山久德医師。脳に何か起きていると思ったら、すぐ専門家に診てもらうことを勧めています。治療の機会を失うと、治るものも治らないし、一命は取り留めても麻痺が残って健康寿命を短くしてしまうと警告していました。

 

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脳梗塞医療の最前線に密着

岡山県倉敷市は、脳卒中対策が住民に浸透する街として注目されているのだそうです。その中心が川崎医科大学付属病院で、年間600人ほどの脳卒中患者を受け入れています。ここでは2006年に全国に先駆けて脳卒中を専門に治療する「脳卒中センター」を開設し、脳卒中科だけでなく8つの診療科が連携して運営されています。

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主治医が見つかる診療所より

この日運ばれてきた急患は73歳男性。脳卒中は、血管が破れるタイプと血管が詰まるタイプにより治療法が違ってくるので、まずはどちらのタイプかを見極めないといけません。
この患者は両腕をまっすぐ上に伸ばすように促されるものの、保つことができません。足の感覚も調べますが、右足に触れられたときには認識できるのに、左足の感覚は鈍っているようです。また、自分の名前や今いる場所は把握できても、携帯電話を見せられてもそれが何だかわからない状態です。
この状態からは脳梗塞の疑いが濃いとのことで、脳CT検査を実施すると、出血が確認されました。そこで即手術が行われ、男性の命は助かりました。

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主治医が見つかる診療所より

 

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TIAの体験談 その2 「脳梗塞を未然に防げた」事例

TIAの段階で病院に駆けつけたため、脳梗塞を未然に防げたのは、米農家のMさん(73歳男性)。
ある日Mさんはスーパーで買い物をしていたところ、突然、言葉が出なくなってしまいました。同行していた奥さんを呼ぼうにも、頭に浮かんでいる言葉が声にならなかったと言います。ちなみに痛みや苦しみはなく、言葉だけが出なかったのだとか。この経験したことのない感覚は、時間にしてわずか2-3分。そのあとすぐ普通に戻ったそうです。
これはTIAの発作だと思ったMさんは、症状が消えたにもかかわらず救急車で病院へ向かいました。川崎医科大学付属病院でMさんを診察したのが八木田佳樹医師です。脳梗塞になる確率が大変高いので、外科的に治療をしていくことにしました。
Nさんの状態は、脳に血液を送る2本の頚動脈のうち、1本は血栓で完全に詰まり、もう1本は動脈硬化で動脈の半分まで狭まるという危険な状態でした。

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主治医が見つかる診療所より

結局、血栓は薬で溶かし、動脈硬化の部分は手術ではがすことに。治療は成功し、5ヵ月後の今は、薬を飲み、定期健診に行くだけで、普通に生活できているそうです。麻痺などの後遺症もありません。
MさんはTIAの発作について知識があったために、救急車で病院に向かい、命に関わる危機を回避することができました。なぜTIAについて知っていたかと言うと、「テレビで見たことがあった」からだとか。岡山県では啓蒙活動が進み、CMやニュースで脳卒中についてよく紹介されているのだそうです。Mさんが実際に見ていたCMは「突然のへんな症状には救急車を」と呼びかける、次のようなものです。

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主治医が見つかる診療所より

またMさんは、2時間以内に行けば「溶かす薬」で助かることも知っていたため、救急車を呼ぶという選択もできました。この「溶かす薬」とは、「t-PA」という血栓溶解剤のことで、この薬を使えるのは発症から4時間半以内なのです。上山医師の解説によると、4時間半を過ぎると薬による脳出血のリスクが上がるというのです。病院で検査を受ける間にも時間は経過してしまうので、患者は発症から2時間以内に病院に行くことが望まれるというのです。
Mさんを診察する脳神経外科で川崎医科大学附属病院教授の宇野昌明医師は、症状が軽くてもすぐ救急車を呼んだMさんの行動を絶賛します。

 

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TIAの症状、まとめ

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主治医が見つかる診療所より

坂井医師によると、アメリカではTiAの症状がひとつでも出ると72%、2つ出るとほぼ確実に脳梗塞の前触れだというデータがあるとのこと。TIAの症状にめまい、吐き気、失禁、痙攣といった症状が伴うと、緊急事態だととらえるべきだと言います。
日本薬科大学 学長で漢方・統合医療・未病学の丁宗鐵(てい むねみつ)医師は、TIAのひとつである視野の異常について、正しい確認方法を説明していました。両目で見ていると補正してしまうことが多いので、異変をチェックするときは必ず片目ずつ視野欠損(見えないところがないか)を確認しないといけないと指摘しました。
秋津医師は、バレーサイン(バレーアームサイン)という、腕に現れるTIAの症状を自分でも簡単にチェックできる検査について解説しました。

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主治医が見つかる診療所より

どちらかの手が自然と回ってしまったり、

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主治医が見つかる診療所より

手が自然と落ちてしまうようだとTIAの可能性があるので、すぐ病院へ行くよう呼びかけています。
上山医師は、手遅れになると医師が助けることはできないので、脳に問題が起こっていると思ったら1分1秒でも早く救急車で病院に行くようにと呼びかけます。

子どもに「FAST」を教える活動

兵庫県明石市では、国立循環器病センターが制作した教材を使って、消防署員が小学生に脳卒中の初期症状を教える授業をしているそうです。
「FAST」というキーワードでTIAの典型的な症状のわかりやすい見分け方と対処法を教えています。

Face「顔」  突然、顔の半分がゆがむ
Arm「うで」 突然、体の半分に力が入らなくなる
Speech「言葉」 突然、うまくしゃべれなくなる
Time「時間」 これらの症状が出たら、すぐに119番を

この取り組みは全国的に広がっているとのこと。高齢者の発症が多いのに、子どもにFASTを教えるのはなぜでしょうか?脳卒中の啓蒙活動に力を入れる、獨協医科大学越谷病院 救急医療科救命救急センター長の池上敬一医師は、孫が「救急車を呼んだほうがいい」と言うと、おじいちゃんおばあちゃんはいやと言わないからだと説明します。
近所への迷惑を考えて救急車を呼ぶことを遠慮する人ほど、治療機会を逃してしまうのだとか。そういう人に対して、すぐ119番通報することを啓蒙したいと池上医師は語ります。また、家族の中の一人でも「違うんじゃない?」と言うと救急車を呼べない状況になるので、家族全員で脳卒中の初期症状について同じ知識を共有することが大事だと言います。
上山医師は、医師の立場として、軽い症状であっても来てくれることのほうを歓迎すると言います。患者の思い過ごしを怒るような先生には診てもらわなくてよい、とも。

脳卒中にならないために、普段の生活で気をつけるべきこと

中山医師は、これからの寒い時期が脳卒中を発症しやすく、気温差が激しい環境がよくないと言います。お風呂の脱衣室に暖房器具を置いたり、夜中にトイレに行くときも、廊下を一晩中暖房しておくのは難しいので、必ず温かいものを羽織ってから行くようにするなど、温度差をなくす心がけを提案していました。
ひめのともみクリニック 院長で心療内科の姫野友美医師は、ストレスや働きすぎ、睡眠不足は交感神経を緊張させて血管を収縮させ、血液の粘稠度(粘り気や濃さ)を上げると指摘。そうなると血栓もできやすくなるので注意して欲しいと呼びかけました。

恐ろしい病気である脳卒中。ほかにも普段から気をつけられることはないか、調べてみました。脳卒中になりやすいのは「高血圧」や「糖尿病」、「高脂血症」などの危険因子を持っている人なので、まずは日ごろからこういう症状を治療や予防することが重要のようです。また、食生活に気をつけることも大切で、食塩をとり過ぎないようにすることで血圧を抑えたり、肥満にならないよう炭水化物の量にも気をつけることも、生活習慣病、ひいては脳卒中の予防にもなるようです。
また、タバコや大量の飲酒、運動不足がよくないという指摘もあるので、気をつけたいものです。

番組のポイント、まとめ

  • 脳梗塞の前触れ発作TIAの症状が、ひとつでもあらわれたら、症状が治まったとしてもすぐに病院に行くこと
  • 脳卒中で亡くなったり後遺症を患わないためには、素早い対応が大切なので、そのためにも家族全員がFASTを覚えて、誰かに症状が出たときはすぐに救急車を呼ぶこと

以上の2つのことがとても大事だということがよくわかる特集でした。FASTについては確実に覚え、自分はもちろんですが、身近な人の異変に気がついたら指摘してあげたいですね。


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