今回のテーマは多くの女性を悩ませる“冷え性”です。
この冷え性に対して皆さん様々な対策をとっていますが、『たけしのみんなの家庭の医学』によると、そんな冷え性対策の中に冷えを悪化させる落とし穴が潜んでいるそうです。
冷え性対策の落とし穴
冷え性に対して、間違った対処法で身体を温めていると、かえって冷え性が悪化してしまうと順天堂大学の小林弘幸医師は言います。一体、どのような対策が冷え性を悪化させてしまうのでしょうか。
Aさん(48歳)は深刻な冷え性に悩まされており、室内でもムートンブーツを履き、その中にもフリースの靴下カバー、ボア靴下、裏起毛ストッキングを重ねて履いています。実際にどのくらい冷えているのか、サーモカメラで足の状態を撮影してみた画像が以下に示すものです。
『たけしのみんなの家庭の医学』より
正常の人であれば上の画像のように足全体がオレンジや黄緑色に写りますが、下のAさんの画像は真っ青、さらに足先は写っていませんでした。実際に足の表面温度を測定してみると、健康な人なら30℃はあるところが、Aさんは19.6℃と非常に冷たい状態であることが分かります。
この冷え性歴30年のAさんが行っている冷え性対策は以下の4つです。
①重ね着をして身体を温める
②生姜料理を食べ身体を温める
③電気毛布で布団を温める
④42℃のお湯に30分浸かる半身浴
小林弘幸医師によると、この中に誤った対策があるそうなのですが、わかりますでしょうか?
もう1人の冷え性に悩む女性、Bさんは室内でもコートがかかせません。この女性のサーモカメラの画像も足全体が真っ青、指先が見えないくらいの状態です。
『たけしのみんなの家庭の医学』より
冷え性歴14年のBさんの冷え性対策は以下の3つです。
①ホットドリンクをたくさん飲む
②41℃のお湯に30分浸かる全身浴
③布団乾燥機で布団を温める
こちらも一見、よく身体を温めてくれそうな対策ばかりですが間違った対策があります。
果たして2人が犯していた間違った冷え性対策とは何だったのでしょうか。
[sc:冷え性サプリ ]間違った入浴方法と自律神経の関係
小林弘幸医師に2人の冷え性対策を見てもらったところ、温度が高過ぎる、入る時間が長過ぎるとのことでした。
そうです、間違っていたのは入浴方法だったのです。
入浴自体はすごく良いことですが、入り方を間違えると自律神経のバランスを崩し、冷え性を悪化させてしまうそうです。
私たちの身体は血管を拡張・収縮させることで血流量を変化させ、体温を調節しています。この血管の拡張・収縮を司るのが自律神経です。交感神経が優位になると血管が収縮し、末端の血流量は減少します。反対に、副交感神経が優位になると血管が拡張し、末端まで血液が流れるようになるのです。
熱いお湯に長い間浸かっていると、交感神経が優位になり血管が収縮、これによって末端の血流が減少し、冷え性が悪化してしまいます。さらに、入浴によって乱れた自律神経はなかなか元に戻らない、外に出ても自律神経の乱れが続く、といった状態を招きます。
さらに、毎日の入浴による慢性的な乱れからさらなる冷え性の悪化を引き起こしてしまいます。
『たけしのみんなの家庭の医学』より
上の図は冷え性でない人とBさんの入浴時の交感神経の活動です。黄色いグラフが冷えを感じていない人の10分間の入浴時の交感神経活動を表しています。入浴直後はお湯の温度に反応し、交感神経が上昇しますが、2分も経つと落ち着いて低い状態を維持し始めます。
一方、赤いグラフで示されるのが“41℃のお湯に30分浸かる全身浴”のBさんの入浴時の交感神経の活動です。こちらは浴槽に入った途端に交感神経はグングン上昇していきます。1分後には低下を始めますが、安定しないまま高い値で推移し、12分後には再度上昇を開始します。浴槽に入った直後と同じくらい高い値まで交感神経が過敏に反応し、26分が経ってしまいました。
『たけしのみんなの家庭の医学』より
次に赤いグラフが示すのは“42℃のお湯に30分浸かる半身浴”のAさんの交感神経の活動です。お湯に浸かると交感神経はすぐさま上昇を開始します。2分ほどで一旦下がりますが、下がりきらずに推移を続け、6分後には再度上昇を始めます。身体を洗い、再度入浴すると、交感神経は同じような反応を繰り返し、再入浴14分後から再び急激な上昇を示しました。
このように、2人とも半身浴と全身浴の違いこそあれ、お風呂の入り方が原因で自律神経のバランスを崩していることが分かりました。
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自律神経を整える入浴法
冷え性を改善するためには自律神経を整える入浴の仕方をすることが大切です。
人間の身体は体温と同じ37℃前後の血液が全身をくまなく流れています。しかし、自律神経の乱れによって血流が悪くなることで、手足まで十分に血液が行き渡らず、身体が冷えてしまいます。
厚着や生姜、ホットドリンクは身体を温めてくれる非常に良い対策ですが、根本となる自律神経が乱れていると、温めても血流不足のままになってしまいます。これでは、冷え性は改善できません。
小林弘幸医師がオススメする冷え性改善入浴法のポイントは以下の2つです。
②時間は全身浴1:半身浴2
入浴温度が39~40℃と言われると、ぬるいと感じるかもしれません。しかし、39~40℃でも、しっかりと入浴すると汗をかくほど温まることができるそうです。反対に42~43℃のお湯で入浴すると、湯船の中と外の温度差に身体が対応できなくなり、結果として交感神経が優位になり血管が収縮してしまいます。気をつけておきたいのは、熱いお湯で温かく感じるということと、血流が良くなるということは別である点です。
また、半身浴は両方行うのが好ましいそうです。合計を15分以内とし、全身浴5分、半身浴10分というのが、血流を非常に良くしてくれます。自律神経は温度差にとても弱いため、全身浴の前には、まずかけ湯をするのが良いそうです。また自律神経のセンサーが首にあるため、かけ湯で温度に慣れてから、首まで浸かって首を温めるとより効果的です。その後の半身浴は、外に出る準備になります。全身浴から急に外に出ると、温度差によって自律神経が乱れてしまうため、全身浴から半身浴を介することで、より冷えにくくなります。
この時の15分というのはあくまで目安ですので、熱いのに無理をして入浴を続けていると逆にストレスになってしまいます。心地よく感じる入浴時間で入ることが大切ということでした。
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冷え性に効く温泉浴
さらに温度と時間以外にも、プラスするとより冷え性に効果的なものが紹介されていました。
昨年、32年ぶりに温泉法が改訂されました。神経痛や筋肉痛、関節痛など温泉の効能として謳われていた様々な項目が大きく見直されたのです。医学的な知見と科学的根拠から温泉の成分と効能を改めて精査し、効能が確実なものを最新の注意書きとして定めたそうです。
この最新の注意書きにて冷え性改善の効能があるとされるのが、“塩化物泉”です。塩化物泉は塩分を多く含む温泉であり、身体に熱が伝わりやすく、すぐに温まるという特徴があります。さらに塩分濃度が高いほど身体が温まり、冷え性改善が期待されます。
塩化物泉は塩分が主成分の温泉です。日本全国に分布する数で言えば、単純温泉に次いで2番目に多い温泉と言われていますが、温泉の湧出量で言えば全温泉の50%近くを占めているという報告もあります。
『るるぶトラベル』より
『たけしのみんなの家庭の医学』より
また、保温効果が非常に高いのも塩化物泉の特徴です。普通のお湯と塩分を含んだお湯の入浴時の深部体温の変化を比べてみると、塩分を含んだお湯の方が体温の上がり方が高く、湯上がり後も保温効果が持続しているのが分かります。
ちなみに、冷え性改善が期待される塩分濃度が高い温泉ランキングは以下の通りです。
2位【青森県】小金崎不老ふ死温泉
3位【静岡県】浜名湖かんさんじ温泉
4位【石川県】和倉温泉
5位【和歌山県】白浜温泉
専門家の先生によると、毎日温泉に浸かることで段々と血管が拡張してきて、熱が保温されやすくなるそうです。そのため、塩化物泉に1週間入り続けることで冷え性の改善効果が得られるとのことです。
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塩化物泉で実際に冷え性が改善できるのか?
とはいえ、1週間もの間、地方で温泉に通うことは大変です。そのため、身近によくある塩化物泉に1週間通うことで冷え性が改善できるのか、挑戦をしてみました。
14年間冷え性に悩まされてきたBさんに、近場の塩化物泉に通ってもらいます。
番組で利用した温泉は都内の塩分濃度0.1%の塩化物泉、ロテン・ガーデンでした。
塩分濃度はやや低めですが、この温泉に1週間通い40℃のお湯に15分の入浴を続けます。
1日ではすぐに効果が実感できなかったBさんですが、1週間の検証を終えるとBさんは室内で七分袖を着られるようになっていました。実際に、入浴後12時間の保温効果をサーモカメラで検証してみると、しっかりと熱が保たれ、足の形がはっきりわかるようになっていました。6日前の状態と比較してみても、一目瞭然です。
『たけしのみんなの家庭の医学』より
末端の冷えもなくなったというBさんは冷え性改善の実感をはっきりと感じることができました。
正しい入浴法に塩化物泉をプラスすると、わずか1週間で冷え性を改善することができます。適切な入浴法で自律神経を整え、つらい冷え性を治しましょう。