今回の特集は「外反母趾」です。
身近な疾患なので軽視されることも多いですが、進行すると足がこのような状態になってしまいます。
きょうの健康より
親指が人差し指側に20度以上曲がっている状態を「外反母趾」といいます。出っ張りが靴にあたってとても痛いそうです。
女性に多いという外反母趾の原因や治療法について『きょうの健康』にて詳しく解説していましたので、まとめておきたいと思います。
スポンサーリンク
外反母趾の概要
奈良県立医科大学教授で整形外科医の田中康仁氏によると、足の形は3種類に大別できるそうです。
きょうの健康より
この中で、一番右の絵のように親指が長い人が外反母趾になりやすいそうです。
ただし、親指が短くても、圧迫が強い靴を履いていると外反母趾になることがあります。
きょうの健康より
透明な素材で足の状態が見られるようにすると…
きょうの健康より
親指が人差し指側に曲がっているのがわかります。
X線写真でもよくわかります。
きょうの健康より
かなり負荷がかかっているのが一目瞭然ですね。これが長時間、長期間になると外反母趾になりやすいというわけです。
また、外反母趾は先が狭い靴だけでなく、かかとが高い靴でもなりやすいそうです。
親指の付け根には「内側側副靭帯」があります。これには親指が人差し指に向かって曲がるのを突っ張って防ぐ役割があり、ふつうはこのようにピンと張っているのですが…
きょうの健康より
かかとを高くすると緩んでしまいます。
きょうの健康より
こうなるとつっぱりがなくなり、親指が人差し指に向かって曲がりやすくなってしまいます。
さらに、体重が指先にかかって靴の狭い部分に指が追いやられるので、外反母趾になりやすくなるのです。
スポンサーリンク
外反母趾の治療
田中氏によると、治療が必要になるのは痛みが出たときだそうです。(外反母趾は変形していても痛みがないことがあるそうです。)
とは言っても、変形が著しくなると治療が必要になってしまいます。
きょうの健康より
これは『亜脱臼』と呼ばれる、関節が半分脱臼した状態です。脱臼した関節は踏ん張りがきかないため、靴を履いた際にその圧迫をダイレクトに受けてしまいます。中指方面へどんどん曲がりこんでいき、治療しないとどんどん進行していくそうです。
外反母趾の治療法には、「保存療法」と「手術」があります。
保存治療には以下のものがあります。
きょうの健康より
1の「靴の指導」では、先が細くなくてかかとが高くない靴が勧められます。
きょうの健康より
しかし、現代社会においては靴も時と場所によって履き分けないとならないケースもあります。そうした場合は、できるだけ指に負担のない履き方をすることが大事です。
例えばハイヒールを履きたいときは…
きょうの健康より
これらを守り、靴の中敷きにすべり止めを入れるなどの工夫も必要です。
2の「足の指の体操」は、母指外転筋という筋肉を鍛えるものです。
きょうの健康より
指をすべて折り曲げて…
きょうの健康より
すべて開きます。
きょうの健康より
これをゆっくり繰り返します。できれば毎日続けましょう。
体操ができる間は外反母趾の進行が止まります。軽度から中程度なら改善が期待できるそうで、気になりだした人の予防にも良いそうです。
中程度を超えた人はストレッチで関節を柔らかくしていきます。
きょうの健康より
親指の付け根を両側から押さえてから親指を持ってねじれているのを戻し、外側へひっぱります。これで変形の進行をおさえることができるそうです。
痛みが気になるときは装具を用います。
・トースプレッター
きょうの健康より
親指と人差指の間に入れて変形を防ぐ装具です。
・足底挿板
きょうの健康より
靴に入れて使います。母指外転筋を適度に圧迫して、親指が外側に引っ張られやすくします。
手術
田中氏によると、手術は最後の手段になるそうです。
親指の付け根の「中足骨」を切ってまっすぐにします。
手術は、外反母趾の進行度によって方法が変わります。
きょうの健康より
・遠位骨切り術
きょうの健康より
骨片をずらしてまっすぐにする方法です。
・近位骨切り術
きょうの健康より
骨を足首側で切る方法です。
・水平骨切り術
きょうの健康より
中足骨を足底と平行に切る方法です。
手術前後を見比べてみると…
(白い部分は金具です。)きょうの健康より
親指がまっすぐになっていることがわかります。
術後、完治まで4〜6週間はかかるそうです。
しばらくはかかと歩きで生活する必要があり、完治には3ヶ月必要だそうです。
まとめ
外反母趾は予防が大事です。
田中氏も「靴の見直しや体操で予防できる。手術にならないように日頃から努力をしてもらえれば」と話していました。
軽視せずに、日頃から予防を心がけるようにしましょう。