カラオケや歌の健康効果~団塊スタイルより

今回のNHK団塊スタイルのテーマは“歌と健康”です。表情豊かに、口を大きく動かして歌を歌い、心も体も若返りましょう。

 

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シニア世代に大人気!歌声喫茶

20151029092408まずは、シニア世代の方々にはとても懐かしい歌声喫茶が紹介されていました。新宿にある60数年前から続く歌声喫茶では、多くの方々が集まり楽しそうに歌を歌っています。

歌声喫茶とは、お客さんがリクエストした歌をピアノやアコーディオンなどの生伴奏に合わせてみんなで歌う喫茶店のことを言います。

歌声喫茶の始まりは1950年代。地方から上京してきた若者達の集いの場所にもなっていました。その人気は全国各地に広がり一大ブームとなりましたが、ジュークボックスやカラオケの増加により、徐々に衰退していきます。その後、数十年が経過し、再び人気となった歌声喫茶、この新宿のお店のお客さんもほとんどがシニア世代です。

番組で紹介されていた小松さん夫婦は、この歌声喫茶がきっかけで知り合ったのだそうで、今も夫婦で歌声喫茶に通っています。夫婦でテーブルや椅子などの木工製品を作っている小松さん夫妻の作業場には、いつも懐かしの音楽が流れています。一仕事を終えた後、歌声喫茶で思いっきり歌うのが小松さん夫妻の何よりの楽しみなのだそうです。気分の切り替え、そしてストレスの発散に歌はとても良いのです。

そしてもう1つ、魅力的なのが交流の場となること。普段人と知り合う機会の少ないご夫婦にとって、歌声喫茶は普段知り合うことのない人と出会える貴重な場でもあるのです。

 

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認知症と音楽療法

淑徳大学教授、医学博士の髙橋多喜子先生は歌を歌うことで認知機能の維持・改善につなげる研究を行っています。

髙橋先生は歌を歌うことで元気になるし、多くの健康への影響がわかっていると言います。髙橋先生は歌を歌うことの良さを
・コミュニケーション効果
・回想効果
・運動効果

の3つにまとめていました。

コミュニケーション効果は歌声喫茶のように、歌を歌う場を訪れることで多くの人とおしゃべりをすることができます。そして、友達になって帰ってくるという、人とのふれあいをもたらす効果が期待できるそうです。

また、髙橋先生らは、軽度〜中等度の認知症高齢者を対象に好きな歌や懐かしい歌などの、なじみの歌を歌ってもらいました。すると、その当時の記憶や感情というのがよみがえってきたというのです。歌にはこのような回想効果もあるのです。

そして、重度認知症高齢者を対象とし、歌や合奏などの音楽療法を週1回やるグループとやらないグループを比較しました。すると、やらないグループは加齢に伴い収縮器血圧が上昇していくのに対し、音楽療法をやるグループは収縮器血圧の上昇が抑えられていました。このような有酸素運動を行うのと同様の運動効果も音楽療法にあることがわかりました。

また、番組の内容ではありませんが、三重大学と三重県にある自治体、あとヤマハが一年間にわたって行った高齢者を対象とした研究でも同じような報告がなされています。

音楽と運動を組み合わせたエクササイズは、健常高齢者の認知機能の維持・改善に有効であることが分かりました。これは、すでに認知症の予防効果が証明されている運動に音楽伴奏が付くことにより、知能や視空間認知に“上乗せ”の効果があったことを示しています。その機序としては、音楽が運動そのものの効果を高めたこと、音楽に合わせて運動を行うことにより運動と同時にある種の認知課題として作用したこと、さらに音楽が頭頂葉を刺激したことにより同じ頭頂葉が関与する視空間認知が改善したと考えられます。

ヤマハ音楽振興会ホームページより

このように、歌には多くの健康効果が期待できるそうです。

 

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歌って踊る須坂エクササイズ

番組では、歌と運動に注目して積極的に活動を行っている長野県須坂市の自治体も紹介されていました。

市の老人保険施設に響く歌声、その中では20人ほどが歌いながら、身体を大きく動かしています。市民の健康を守るために、保健保護員の方々楽しく運動できるようにと考案したのが、歌いながら運動をする須坂エクササイズだそうです。

そのうちの1つが県の歌、信濃の歌を歌いながら行うプログラムです。歌詞の1番に合わせて肩こり予防の運動を行います。肩甲骨をしっかり動かすことで、肩周りの筋肉が硬くならないようにします。歌詞の2番は腰痛予防、腰回りやお尻、太ももを動かし、血流を良くして筋肉をほぐします。他にもおさるのかごやを歌いながら、骨盤周りの筋力アップと尿の失禁予防の運動を行うプログラムも紹介されていました。

こちらでは2週間に1度、2時間ほど歌いながら体操を行っているそうです。一通り終えると、皆さん清々しい笑顔が浮かんでいます。

この須坂エクササイズが始まったのはおよそ30年前。はじめは、なかなか注目されませんでしたが、シニア世代を中心に取り組む人が増え、各地のイベントにも参加するようになり次第に定着していったとのことです。

歌に合わせて体操を行うこのプログラム。2つのことを同時にすることに重要な意味があるのです。踊りながら次の動きを考える、声を出しながら次の歌詞を考えるというさまざまなことを同時に行うことで、脳に刺激が与えられ、認知症予防に非常に効果があると言われています。

歌いながら身体を動かすと脳が活性化

東北福祉大学でも、歌って身体を動かすことに注目した研究が行われています。研究を担当したのは、高齢者の健康増進などを専門とした船渡忠男教授です。

研究では、一緒に歌ったり、歌いながら身体を動かしたりする90分間のプログラムを3ヶ月間行ったようです。プログラムの前後で記憶の程度や筆記テストを行い、心理面や脳機能などがどのように変化したかを調べます。

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NHK団塊スタイルより

思考や感情など、脳の機能の働きをグラフで表します。黄色がプログラムを行う前の脳の機能、赤色が行った後の脳の機能になります。特に、左脳の思考、感情、伝達、理解などが活性化していることがわかります。

この理由の1つは映像を見ての目からの刺激、そしてもう1つは大きい声を出して腹式呼吸をし、心肺機能を使うことが身体の健康にもつながり、脳への刺激になるのだそうです

淑徳大学の髙橋先生の研究でも、歌いながら身体を動かす、リズムをとることで前頭葉機能がアップしたとされています。

運動効果をアップさせる歌い方

実際に、簡単にできて、脳をより働かせ運動効果をアップさせる歌い方を髙橋先生が紹介していました。

日本の歌は4拍子が多く、1拍目と3拍目に手を叩くことがやりやすいそうです。実際、若者たちという歌は1拍目と3拍目に手を叩くととてもスムーズに行えます。これを少し、難しくします。手拍子をタタタン、タタタン、タンタンタンというリズムに変えて、歌いながら行います。

これだけでも、2つのことを同時に考えるようになり、脳への刺激を与えることができるのだそうです。

また、カラオケにあるようなマラカスやタンバリン、楽器を使うことでも運動効果をアップさせることができます。髙橋先生が実際に使用したのは、ペットボトルにビーズを入れて作ったシェーカー。楽器の代わりにこれを振りながら若者たちを歌います。少し高い位置で振ることで、さらに運動効果を上げることができます。

 

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歌うことで表情筋、口の機能が高まる

顔の表情を意識することに注目した講座も紹介されていました。そこでは、歌いながら顔や首周りにある筋肉、表情筋を鍛えています。

月に2回ほど開かれるこの講座は、その名も“表情筋を鍛えて歌おう!”。講師を務めるのは、オペラ歌手で歌って健康を作る活動を行っている常岡治恵さんです。

常岡さんが参加者の皆さんに渡したのはストロー。ストローを吹いて、袋を飛ばしたり、ティッシュペーパーをストローで吸いながらバトンリレーを行ったり、遊びの要素を取り入れながら表情筋を鍛えていました。

そしてもう1つ、歌詞をパ・タ・カ・ラに変えて歌を歌います。これは口腔ケアの分野でよく用いられている運動であり、パ・タ・カ・ラとはっきり発音することで、口の周りや舌の筋肉を鍛え、唾液の分泌を促すのだそうです。

歯と口の健康を専門としている鶴見大学歯学部の斎藤一郎教授も歌うことによる口の健康に着目しているそうです。唾液量の減少は口臭や虫歯、歯周病の原因となりますが、歌を歌った後には唾棄の量が増えるという研究結果も得られているそうです。また、食べ物や飲み物が気管に入ってしまう誤嚥を防ぐために重要となる、飲み込む力についても研究が行われています。普段カラオケに行かない人に、週4日程度、8週間にわたって歌を歌ってもらうと、4週間後、8週間後の双方で飲み込む力が強くなっていたとのことです。

歌を歌うことで、口の機能を維持するための筋力が鍛えられ、なおかつ気持ちに負担がある方のストレスの改善にもなるのだそうです。つまり、歌は心と身体、両方に良い影響を与えてくれます。

 

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歌って介護予防

東京都清瀬市では今年の6月から、脳トレ元気塾という取り組みが始まったそうです。自治体が中心となって始めたこの取り組みはおおむね60歳以上を対象としています。

参加者は歌を歌いながらペアになっての手拍子や、噛んだり飲み込んだりの力を鍛える歌のプログラムを行っています。これらは、厚生労働省が掲げる運動機能、口腔機能、認知機能の改善につながっているとのことです。

ここでは、大手カラオケ機器メーカーと大学が共同で開発したソフトを使って、プログラムを選ぶことができます。これによって、懐メロと体操を組み合わせた映像が表示され、歌いながら身体を動かすことができるのです。

講座には記憶力の向上を目的としたものもあります。画面を見てみると、下図のようにところどころの歌詞が隠されています。過去に聞いたことのある歌の歌詞を思い出しながら歌うことで、脳への刺激を与えることができるそうです。

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NHK団塊スタイルより

介護予防は継続してできるような楽しいものを用意することが大切なのだそうです。それを意識して、市民の方が気楽に出かけられる場所作りに自治体が取り組んでいるわけです。

歌はとても安価でお手軽に、楽しみながら歌うことができます。なおかつ、歌はウォーキングやストレッチと同じくらい健康への効果が期待されるとのことです。楽しく歌を歌って、健康な毎日を送りましょう。


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