日本は、2015年に世界保健機関(WHO)から「はしかの排除国」に認定されています。けれども、2016年8月から9月にかけて、関西空港の利用者や感染者を治療した医療関係者にはしかが広がってしまいました。先日の「くらし☆解説」で、はしかの予防対策について説明していたので、まとめておきます。
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はしかのワクチン接種の歴史
日本では1978年(昭和53年)に、はしかのワクチン接種(予防接種)がはじまりました。現在、はしかのワクチン接種は、1歳と小学校入学前に合わせて2回接種することが徹底されてきています。国は、2008年からはしかの全感染者の統計を取るようになりました。2008年は、はしかの感染者数が1万1,013人だったのが、2009年以降は1,000人以下に激減しています。感染人数が激減した理由は、はっきりとはしていないそうですが、ワクチン接種がこの頃に1回から2回に増えたのが理由だと考えられています。
くらし解説より
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はしかの原因と症状
はしかは、はしかウイルスによって発症する感染症です。はしかウイルスは感染力がとても強く、飛沫感染だけではなく空気感染でも広がるそうです。ですから、マスクで感染を予防するのは難しいとのことです。
はしかの初期症状は、かぜの症状に似ていて、38度台の発熱、せきや鼻水などの症状が出ます。そして、発疹期には、体に発疹が出て、体温も39度から40度まで上がるそうです。過去のデータによると、発症した子供の1,000人に1人が死亡しているとのことです。また、妊娠中に感染すると流産や早産の危険性が高まると番組では説明をしていました。
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はしかの免疫力と感染しやすい年代は?
はしかのワクチンは、2回接種することでほぼ十分な免疫力がつくそうです。また、すでにはしかに感染したことがある人は、免疫ができているので感染することはありません。特に、40代以上の人たちの多くは、子供のころにはしかに感染しているので感染の心配は少ないです。はしかのワクチン接種は1回では、5%の人には感染を防ぐための十分な免疫ができないそうです。また、時間が立つと免疫力が低下してしまうとのことです。2016年末までに、26歳になる人以降から、ワクチンの2回接種が始まっています。けれども、2回接種になった初めのころは、2回接種が徹底されていなかったので、この年代でも1回しかワクチン接種を受けていない人もいるそうです。
2016年8月から9月に、はしかに感染した人の60%が20代と30代だったそうです。この世代は、ワクチン接種を1度しか受けたことのない人が多いので、はしかに感染しやすいというわけです。
くらし解説より
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はしかを予防するための対策
はしかの感染拡大を防ぐためには、自分にはしかの免疫があるかどうかを知ることが大切です。ワクチン接種の有無は、母子手帳で確認できます。母子手帳がない人やワクチン接種を1度しか受けていない人は、医療機関で相談することを番組では勧めていました。そして、必要に応じてワクチン接種を受けるようにしてください(妊娠中や妊娠予定の人は、ワクチン接種ができません)。
また、血液検査で、はしかの免疫があるかを調べることができます。ワクチン接種も免疫検査も保険適用外なので、自費で受けることになります。費用は、ワクチン接種が数千円から1万円、免疫検査が数千円から5千円だそうです。すでに、はしかに感染したことがある人は、ワクチン接種も免疫検査も必要ありません。
くらし解説より
日本の場合、国内にはしかウイルスがあるのではなく、感染源は海外から入ってきたウイルスです。アフリカや東南アジアは感染リスクが高いので、これらの国に渡航する予定のある人は、はしかの免疫があるかどうかを事前に確認して、予防対策をしておくことが重要だそうです。
予防接種は「効く」のか?ワクチン嫌いを考える (光文社新書)
岩田 健太郎
まとめ
はしかに数十万人が感染していた1950年代から1960年代に比べれば、2016年8月から9月の4週間に報告された96人という感染者数は、大したことがないように感じるかもしれません。けれども、はしかは死亡の恐れもある感染症です。日本全国にはしかの感染が広がらないように、特に20代から30代は感染やワクチン接種の有無を確認しておきましょう。