心房細動の治療と脳梗塞~カテーテル治療~きょうの健康より

先日の『きょうの健康』は、心房細動の治療がテーマでした。薬物療法や最新技術を用いたカテーテル治療について詳しく解説されていました。心房細動は早期発見して適切に治療すれば、8-9割の人は治るとのことで、技術の進歩や安全性、患者の体への負担の軽さなどに感心させられる内容でした。
解説の専門家は、循環器内科医師で不整脈や心臓病が専門の、弘前大学大学院の奥村謙教授です。

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心房細動が起こるしくみと問題点

正常な心臓では、

心臓上部の心房から心臓下部の心室へ電気が流れる

ことにより収縮しています。
これが心房細動では、心房内で異常な興奮が無秩序で発生して痙攣した状態になり、収縮がうまくできなくるそうです。そうなると心室も1分間に100回以上収縮して「頻脈」になります。

これが長く続くと心臓の働きが弱くなり、心不全につながるのです。

『心房細動の大きな問題は、心房内で血液がよどんで血栓ができやすくなる。この血栓がはがれて脳の血管に詰まると、重症の脳梗塞を引き起こすことだ。』

と奥村教授は解説します。

脳梗塞の中でも、心房細動が原因のものは高齢化とともに年々増加しており、寝たきりになるケースも多いとのことです。なので、心房細動を早く見つけて重い脳梗塞患者を減らすことが大切です。

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心房細動の治療

心房細動の治療の主なものには、次の3つがあります。

薬物治療
心房細動の治療の中心となる。

電気ショック療法
例えば1週間以上心房細動が続き薬でも止まらない場合や、症状がきつい場合に薬物療法と並行するなど、限定的に行われる。あくまでも一時的なもので、根治や発作予防ではない。

カテーテル治療
心房細動を根治させる治療。初期の発作性心房細動の段階であれば、9割近い確率で治せる。発作性心房細動、一年以内の持続性心房細動で用いられることが多い治療法。

薬物療法について

心房細動で防ぎたいのは脳梗塞なので、脳梗塞予防のための治療が優先されます。そのため、投薬されるのは心臓に血栓をできにくくする薬=「抗凝固薬」になります。勝手な判断で服用を止めず、継続することが大事です。

以前は「ワルファリン」という薬が唯一の抗凝固薬で、長く使われてきましたが、効き方に個人差があり、危険な副作用もあるなど処方が難しい薬だったとのことです。それが2011年以降、新薬が続々と登場し、患者の負担が減っているとのことです。

新薬はダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバンという名称のもので、脳出血のリスクが低く、ワルファリンのような用量調節の難しさや食事制限の必要もないなどのメリットがあります。採血検査も年に1-2度で済むので、患者の負担軽減にもなるそうです。

ただし、この新薬が適さない患者、そして今ワルファリンを飲んでいて効いている患者は、ワルファリンを服用するそうです。

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これら新薬はどのように使い分けられるのか気になったので調べてみました。次のサイト(https://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03088_03)によると、脳梗塞の再発予防効果がワルファリンに勝っているのはダビガトランだけなので、ダビガトランを第一候補に考えるようです。
使い分けの結論について引用すると、「おおまかには、脳梗塞再発防止を重視すればダビガトラン高用量、幅広い患者層に適合するアピキサバン、1日1回の服用ならリバーロキサバン、といった特徴を目安とするとよいでしょう。」とのことです。
医療関係者向けのサイトのようですが、参考になりました。

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薬物療法を用いるケース

抗凝固薬の服用

抗凝固薬を服薬しないといけないのは、心房細動が原因の脳梗塞になる危険因子を持っている人です。
危険度について、奥村教授は点数をつけて解説しました。

危険度1点
心不全、高血圧、65歳以上(75歳未満)、糖尿病がある人は、いずれも1点

危険度2点
75歳以上、脳梗塞、一過性脳虚血発作(TIA)を起こしたことがある人

合計点数が2点以上で脳梗塞の危険度が高いと考えるので、危険度2点の因子をひとつでも持っていれば服用ということになるそうです。また、新薬については危険度が1点でも服用が勧められるそうです。

抗不整脈薬の服用

抗凝固薬以外に、不整脈そのものを治療する薬=「抗不整脈薬」があります。
抗不整脈薬には次の2つのタイプがあるそうです。

発作を抑える薬
異常な電気信号を抑える 発作性心房細動の再発予防に使われる

心拍数を減らす薬
心房細動が長く続いている人の「頻脈」を予防

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カテーテル治療

心房細動を根治させるための治療で、特に初期の発作性心房細動の段階ではこの治療で8-9割は治るそうです。発作性心房細動に対して行われることが主ですが、最近は1年以内の持続性心房細動であれば積極的に行われているとのことです。

主に行われる「カテーテル・アブレーション」という治療法は、心臓の中にカテーテルを入れて、異常な電気を発生させている部分、あるいは電気の経路に内側から高周波電流を流して焼きます。こうすることで正常な拍動に戻したり維持したりする治療だそうです。
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電流で「焼く」ということで心配になりますが、奥村教授によると、

『2012年以降、カテーテル先端の接触圧=「コンタクトフォース」を測定できるようになり、高い効果と安全性が担保されるようになった』

ということで、カテーテル治療を躊躇する患者も前向きに考えてもらいたいと言います。

この治療後に再発する患者も一部いて、そういう場合は再度、カテーテル・アブレーションを行います。2度行うことで多くの患者で発作が起きなくなるとのことです。

コンタクトフォースは、最新のテクノロジーでコンピューターを使って制御し、X線による透視時間を5分以内に短縮できるようになったと言います。
コンピュータ上でカテーテルの動きを操作し、連続的に焼くことで治療するのだそうです。心房細動の原因となる異常な興奮は肺静脈から出やすく、画像の赤い部分が、肺静脈を囲むようにカテーテルで焼いた部分です。

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きょうの健康より

カテーテル・アブレーションは、以前は4時間以上かかることもあったのが、最新技術では2時間以内で完了するようになったそうです。日本ではほとんどの施設でコンピュータ化された治療システムが導入されているそうで、患者には心強い限りです。

最新!冷凍凝固アブレーション

数ヶ月前からはさらに新しいカテーテル治療として、「冷凍凝固アブレーション」が導入されたそうです。
カテーテルの先端に風船(バルーン)がついており、このバルーンを左心房に入れて膨らませ、肺静脈の入り口に押し当てて亜酸化窒素ガスを流し込みます。そうすると心房がマイナス50℃まで冷却され、冷凍凝固するのだそうです。こうすることで、肺静脈から来る異常な電気信号が左心房に伝わらなくなる=心房細動が起きなくなるというしくみです。

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きょうの健康より

この術により治療の所要時間がさらに短くなりますが、奥村教授によると、

『まだ始まったばかりなので、長期成績は今後の検討を要する』

とのことです。いずれにしても、カテーテル治療は技術革新が大幅に進んでいます。

カテーテル治療が適するのは、体力がある人で、最近では80歳以上でもカテーテル治療を行っているそうです。
また、カテーテル治療が適用されるのは、次のような人だそうです。

・発作性心房細動
・症状がある
・薬では発作の再発が抑えられない
・重い心臓病がない

技術の進歩によっては適用範囲が広がっていくと予想されます。

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まとめ

『不整脈は誰にでも起こりうるもので、心不全や脳梗塞、最悪では突然死の原因にもなる。早期発見、早期治療が必要なので、そのためにも普段から自分の脈をとる習慣をつけてもらいたい』
と、奥村教授は呼びかけます。
最新技術により治る確率は高いとのことで希望がもてますが、その治療が有効なのも早期発見があってこそ。普段から自分の脈を気にすることが大切だと感じました。

 


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