発熱というのは誰しもが経験することですが、通常は1日か2日安静にしていれば治る程度の認識しかないのではないでしょうか。
もし微熱が下がることなく続くようであればそこには何等かの病気が隠れている可能性を考えなくてはいけません。
しかし、中には具体的な病気ではないのに発熱が続くケースがあります。このことについてNHKのためしてガッテンで「取り戻せ免疫パワー 体温計で命を守る秘術」という特集をやってましたのでまとめておきます。
原因不明!病気でないのに微熱が下がらない
番組ではある女性のケースが紹介されていました。
【女性の事例】
この女性はある時期から疲れが取れず、微熱が出てしまったそうです。その熱はなかなか下がらず、結局一週間もかかったそうですが、その時にはまだ十分休みを取れば大丈夫だというしっかりした思いもありました。
しかし、その後にこの女性の父親が病気で入院、そのころから微熱が下がらなくなりました。
市販薬を飲んでもだめ、病院にも6軒も行って検査をしたそうですが原因不明。番組ではガン、リウマチ、結核、甲状腺、ちくのうなどの病名が出てきましたがそのどれでもなかったそうです。
そのうち全身の倦怠感がひどくなり、とうとう勤めていた会社も退職。
ところが、あるタイミングですっと熱が下がったそうです。
それは父親の余命宣告を受けた時です。
それまで父親の病気で思い悩み、先行きが見えない恐怖心でいっぱいだったのが、余命宣告されたことで現実を受け入れるようになった時点から発熱の回数がグッと減っていったとのことです。
この女性の場合は、ストレスが原因だったと思われます。
詳しくは『心因性発熱』といいます。心因性ですが、放置すると不眠、頭痛、高血圧などの症状があらわれてきます。
この場合、治療は通常の発熱治療ではなく診療内科的な治療になります。
一番大事なのは患者自身が自分は無理をしているんだという自覚を持つことです。そして無理のない生活を送るように心がけることです。ゆっくりと呼吸をし、ゆっくりとしゃべるなど、基本的な生活ペースをペースダウンさせるようにします。もしそれでも熱が下がらない場合には抗うつ薬を処方されることもあります。
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ストレスで発熱することを実証する実験
九州大学附属病院では変わった実験をしています。鏡に映した星印をなぞってもらい、体温の経過を測定する実験です。
この実験、非常に難しいために被験者はイライラとストレスを募らせながらやるのですが、そのイライラに比例するかのように被験者の体温は上がっていくそうです。
この実験から明らかになったことは、ストレスは発熱の原因になりうるということです。
そして、ストレスによる発熱を繰り返していると、最後には熱が下がらなくなってしまうのです。
この心因性の発熱は、
・内科で血液検査しても問題なし
・特定の出来事に反応して発熱
・解熱剤を飲んでも熱が下がらない
という特徴がありますのでそのような場合は心療内科の受診を検討してみましょう。
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発熱力~命を守るために必要なチカラ
国立国際医療研究センターの忽那医師によると、最近、発熱してしかるべき病気なのに発熱しない、高熱が出るはずなのに微熱で終わっているというケースが増えているそうです。
ある男性は体調が悪いのでかかりつけの医師に診てもらったところ、発熱もしてないので夏バテでしょうと言われました。様子見ということで自宅に帰ったものの、非常につらい様子だったため、家族に連れられて国立国際医療研究センターへ。そこで忽那医師に診断してもらったところ、結構進んだ肺炎になっていました。レントゲンでは肺が真っ白でした。悪化している状態だそうです。
この男性の場合は熱が出ないしかかりつけの医師も夏バテと言っているのでその診断を信じてしまったわけですが、実際には肺炎になっており、治療が遅れたせいで2週間もの入院を余儀なくされたそうです。
状況によっては命に関わることもある怖い事例です。
通常、病気にはそれに応じた症状というものがあります。
例えば肺炎は通常38度以上の熱が出るとされています。しかし、最近は75歳以上の3割は熱が出ない、あるいは微熱にとどまっているそうです。
他ではインフルエンザなのに高熱が出ないというケースもあります。じつに高齢者の5割、成人全体でも2割の人が38度以下の熱なんだそうです。インフルエンザというと39℃以上の高熱のイメージがありますが、全員がそうなるわけではないのです。
また腎盂腎炎という病気でも本来出るはずの高熱が出ないというケースが増えているそうです。
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発熱の必要性
通常、体内に細菌が入るとリンパ球が攻撃して細菌を滅ぼし、健康を維持します。
このリンパ球、体温が低い状態だと動きが鈍くなり、細菌を攻撃することが難しくなります。そのため、細菌など異物が入ってきたら発熱してリンパ球が動きやすい環境を作っていると考えられています。
上記の男性の場合、本来もっと体温が上がってリンパ球が活発に働けるようにすべきところなのに体温が上がらないために悪化していったわけです。
このように、発熱は人間にとってはなくてはならない自己防御機能なのです。
【実験】
番組で発熱力を比較する実験をしていました。
被験者は20代2人と60代、70代4人。
まず常温の部屋で体温を測定してから室温10℃の部屋に入ります。そこでしばらくじっとしていて体温がキープできない人、下がっている人は発熱力が下がっています。
実験結果は20代の若者二人と筋肉質の70代の男性が体温をキープしていました。他の60代、70代の男性は体温が35℃台にまですっかり下がってしまっています。
体温キープできた70代男性の特徴は筋肉質であるということです。
じつは筋肉の多さによって、体温キープ力の大小が変わってくるのです。具体的にはサルコリピンという筋肉に含まれるたんぱく質がATPというエネルギーに作用して熱に変化させるようになっています。つまり、
筋肉質=サルコリピンが多い=発熱力が強い
といことになります。
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ぐっすり眠るチカラ~体温と熟睡
実は、体温と睡眠にも深い関係があります。よく眠れる条件は、起床時の体温よりも就寝時の体温の方が高いこと。熟睡できる体温の法則は、
・就寝時体温と起床時体温の差が0.5℃以上
⇒起床時体温の方が0.5℃以上低いこと
ということになります。
通常、人間の体温は夕方が一番高く、起床時が一番低くなっています。そしてその落差が大きければ大きいほど、熟睡できるのです。
しかし年を取るとこの落差がなくなってきてしまい、これが睡眠力の低下につながっていると考えられます。しかし、体温は意識して運動をすることで上げることが可能です。重要なのは体を動かす時間帯で、夕方が体温が上がりやすい時間帯ですのでこの時間に運動することが一番効果的な体温の上げ方になります。同じ時間帯で体を動かすことを繰り返していくと体温が上がりやすくなり、運動後もしばらくその状態をキープ、結果として就寝時体温と起床時体温の落差が大きくなり、熟睡できるというわけです。
加齢から来る睡眠力の低下に悩んでいる方には夕方の運動がおすすめです。
なお、番組では、この運動についてもおすすめのメニューが紹介されていました。
それは『3分歩くだけ筋トレ』です。
やり方は簡単。軽く息切れする程度の早歩きを3分するだけです。
途中休憩してもOKですが、一週間で60分以上になるようにしてください。そして歩いた後は30分以内に牛乳をコップ一杯飲むようにします。
番組で紹介された効果は、
1週間で汗をかきやすくなり、
2週間で体重が1kg程度下がり、
1か月で歩くのが楽になり、
3か月で風邪をひきにくくなり、
5か月で筋力が10%程度向上、高血圧や高血糖が改善
というものです。
簡単ですから皆さんもチャレンジしてみてください。