心臓病で亡くなる人は20万人で年々増加中なんだそうです。死亡原因もガンについで第二位。
これはちょっと他人事ではありません。
それだけ一般的な病であれば、検査して心臓病をできるだけ早く発見したいところ。毎年人間ドッグに入ってチェックをすればどうかと思いますが、これが実は簡単なことではないようです。
聴診が有効なケース
番組内で紹介された男性は、検査の心電図で異常なしと診断されたにもかかわらず、実は危険な心臓病だったそうです。
この男性がラッキーだったのは、医師が聴診器で心臓音に雑音(心雑音)が混じっていることを発見したからです。この音の違いは些細な違いですから、いくら医師といえども聞き逃してしまうかもしれないのですが、幸運にも発見してくれたおかげで精密検査を受けることになり、心臓病だとわかったわけです。この男性は『僧帽弁閉鎖不全症』という病気でした。
この病気は、全身に血液を勢いよく送り出す役目を果たす心臓内の僧帽弁という弁の開閉が緩くなり、全身に送り出すはずの血液の一部が逆流して心不全を誘発、場合によっては命にかかわることも少なくない怖い病気です。
一般的に心臓弁膜症と呼ばれるこの病気の患者数は実に推定で200万人にも上り、毎年17000人もの人が手術を受けているといわれています。200万人という数にピンと来ないかもしれませんが割と認知度の高い睡眠時無呼吸症候群の推定患者数も200万人といえば感覚的にはわかりやすいのではないでしょうか。
要するにそんなに特別な病気ではないということです。
番組に出演している医師によると、聴診はほぼ例外なく健康診断で実施されますが、悲しいかな、その聴診では必ずしも心臓音を聞いているわけではないそうです。胸に聴診器を当てていると言っても聞こえる音、聞いている音はさまざまで、どの音を聞こうとしているのかによって聴診器を当てる場所もかなり変わってきます。いくら医師といえども、肺や背中から呼吸音を聞こうとして聴診しているのであれば、心臓の異常を聞き分けることは難しいということです。
また、心電図では波形を見ての診断になるのでその波形に異常がなければ異常なしになっていまいます。実際、番組で取り上げられた事例でも、心電図は健康そのものの波形を表していました。そもそも、この弁膜症は血流の異常であって、脈拍の異常ではないので心電図では発見できないわけです。
しかも、この弁膜症は症状が進めば息切れ、呼吸困難、胸の痛みといった症状が見られますが、初期段階では自覚症状がありません。
こうした状況もあって早期発見が難しい病気と言われています。
番組では70歳くらいからは一年おきくらいのペースで心臓音を聞いてもらうなどの対応をしておいた方が良いということでした。
この聴診で弁膜症の疑いがある場合は心臓エコー検査を行い、弁膜症かどうかの診断が下されます。
ちなみに、弁膜症と診断されても、初期から中期程度であれば、経過観察で半年に一回の検査をするのみです。症状が進んでいる場合は手術などのより積極的な治療がとられます。
手術は開胸手術が行われ、緩くなった僧帽弁を取り、機械弁か生体弁のどちかと入れ替えます。難しそうな手術ですが、通常の手術であれば安定して高い成功率を出している安全な手術だそうです。
機械弁
生体弁(牛)
こうした人工弁に取り換えることで、普通の人とほぼ同じように生活できるようになります。
結果オーライな安心の不整脈
また別の男性は年によって検査結果が正常になったり異常になったり。異常の時は不整脈と診断されています。
異常があるのかないのか、放っておいて大丈夫なのか、これでは素人での判断はつきません。
そこで精密検査をうけることにしたそうです。検査は24時間心電図(ホルター心電図)という検査です。これなら24時間記録するのでわずかな以上でも捉えることが可能になります。
その結果、この男性の不整脈の原因は期外収縮ということが分かったそうです。この期外収縮は心臓が鼓動を打つテンポが変わることで脈が乱れるもので、特に治療の必要はない安心なものだとわかったそうです。
期外収縮の原因はストレスや睡眠不足、喫煙やアルコール、珈琲などといわれています。これらのものが自律神経を乱して期外収縮を引き起こしていると考えられています。
一般的に期外収縮というのはそれほど心配することはないようですが、自分で判断するのは非常に危険ですので、必ず医師の判断を仰ぎましょう。
危険な不整脈
次に紹介された女性は健康自慢だったそうですが、ある日、階段をのぼった時に激しい動悸と息切れに襲われたそうです。ご主人の勧めで病院に行き、やはり24時間心電図で検査したところ、心房細動と診断されました。
心房細動とは心房という場所が細かく痙攣する病気です。放置していると心房という場所に血液が滞って固まり、やがてその塊が血管をとおって脳でつっかえ、脳こうそくを引き起こしてしまうこともある怖い病気です。
この女性は投薬治療で症状を抑え、元気に生活されているそうです。