そのうつ病、もしかすると「双極性障害」かも?~たけしの家庭の医学より

いまや現代病の代表格ともいえる、うつ病などの精神疾患。
平成8年には約189万人ほどだった精神疾患の患者数は、この18年で約129万人も増加しています。

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たけしのみんなの家庭の医学より

この背景には、女性の社会進出によって増加した女性のストレスや、社会の高齢化に伴う介護ストレスの急増などがあります。それらの悩みやストレスは一人で抱え込んでしまうことが多く、本人が自覚しないうちに病気が進行しているケースも多いといいます。

だからこそ、周りの人が異変に気づき、早期に発見してあげることが、精神疾患の重篤化を防ぐ第一歩です。
そこで今回は、精神疾患について特集していた『たけしの家庭の医学』をまとめておきたいと思います。番組では、家族などの周りの人間が気をつけるべき「心の病」がランキング形式で紹介されており、さらにはうつ病と間違えやすい“ある病気”についても解説されていましたので、参考にしてみてください。

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いま気をつけたい精神疾患

今回、“いま気をつけたい精神疾患”として3つの精神疾患をランキング形式で紹介していたのは、NTT東日本関東病院精神神経科の秋山剛医師。
秋山医師は、初診に1時間もの時間をかけることで、血液検査などの数値検査では表せない心の病を正確に診断し、1万人以上の患者を救ってきたそうです。
秋山医師によれば「うつなどの精神疾患になる可能性は全員にある」そうですから、以下のランキングを見てみて当てはまる人が身近にいないかどうか、チェックしてみましょう。

第3位「強迫性障害」
平成8年の年間患者数は8千人ほどでしたが、18年後の平成26年には3万3千人にまで増加した病気です。
戸締まりや火の元を何度も確認したり、長時間執拗に手を洗い続けたりしなければ気が済まなくなるなどの症状が現れます。自分でも「やり過ぎだ」と思いながらも強迫観念を消せず、その行為を繰り返してしまいます。
いわゆる“きれい好き”などとの境界について、秋山医師は「手を洗う時間が5分なら良いが、10分、30分、1時間になったら生活に影響を及ぼしてしまう。また、鍵を5回、10回、20回も確認しに戻るようになってしまったら外出できなくなってしまう。」と説明していました。
本人が「自分でもやめたいけどやめられない」状態になっていますから、家族から見て生活に支障をきたしているようなら病院へ行くようにしましょう。
治療は「確認することを我慢しても悪いことは起きない」という経験をさせる認知療法を何度も繰り返すなどして、少しずつ治していきます。根気がいることですが、快方に向かうことは不可能ではありません。


第2位「社会恐怖症」
平成8年には1000人ほどだった患者数が、平成26年までの18年間で3万4千人にまで増えてしまいました。
症状としては、大勢の人が集まる会合などの場で、緊張による赤面や冷や汗が出てしまったり、言葉がつまったり、手が震えたり、頭が真っ白になったりしてしまいます。
「人前で恥をかくのでは」という心配が強い苦痛となり、その結果、自律神経の働きが乱れ、様々な症状を引き起こすと言われています。
人前に出ると緊張してしまうことは誰にでもありそうなものですが、秋山医師によれば
「スピーチが出来無いだけなら大きな障害はない。しかし、外出したときに道行く人が自分を見ているのではないか、と思って不安や緊張が高まり、家に引き返してしまう、というところまでいくと外出できなくなってしまう。」
と社会恐怖症の症状について解説していました。
家族が気づくべきポイントは、「ただの“緊張”ではなく、人に対して恐怖を感じているかどうか」を見てあげると良いそうです。人前を避けるようになっていたら、早めに病院へ連れて行ってあげましょう。
治療は、恐怖感を抑える薬を服用し、時間を駆けて治療していくのだそうです。


第1位「うつ病」
秋山医師が今最も気をつけてほしいのが「うつ病」だそうです。
平成8年には20万7千人だった患者数が、平成26年には52万人以上増えて72万9千人に達しています。
うつ病になると、憂鬱な気分で落ち込み、身体までだるくなり、無気力な状態が2週間以上続くようになります。
人間関係などの精神的ストレスや過労による肉体的ストレスが原因となって発症します。
私たちが高揚したり、逆に落ち込んだりする「気分」というものは、脳内の神経伝達物質によってコントロールされ、バランスを保っているのですが、強いストレスが続くと、神経伝達物質が少なくなって気分の落ち込んだ状態が続いてしまうのだそうです。
うつ病の生涯有病率は、男性が10人に1人、女性が5人に1人ですので、かなりの割合の人が一生に一度は罹患する病気といえます。


このように、「いつでも誰でも起こりうる病気で、患者数が増えているから」という理由以外にも、秋山医師がうつ病を第1位にした理由があるといいます。

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「うつ病」かと思いきや…

こんな実例が番組で紹介されていました。

8年前の秋、Iさん(48歳女性)は輸入雑貨の会社で買い付け部門の責任者に昇進し、仕事にバリバリ取り組んでいました。その同時期に義理の母が転倒して骨折。仕事と介護で睡眠不足の日が続いていました。
そんな生活が続く中で、ある日、小さな異変が起きました。

20160304102646いつもなら先回りして仕事をこなすようなIさんだったのですが、「請求書の作成は済んでいるか」と上司に尋ねられたときにはまだ手を付けていない状態だったのです。その頃のIさんはなぜか気分が落ち込み、いつもの様にバリバリと仕事がこなせなくなっていたといいます。
身体を休めてみても気分の落ち込みは治らず、何をするのも億劫で、やる気が起きなかったそうです。ときには、介護中の義母の昼食を作ろうとしても身体が重くて動けなくなってしまい、つくることができないほどの無気力さでした。

おかしな様子に気づいたIさんの夫は、母親の介護をヘルパーさんに頼んでIさんの負担が減らすようにしたところ、Iさんは半年ほどで徐々に元気を取り戻し、1年経つと以前よりも積極的に仕事に打ち込むようになりました。

これで一安心…かと思いきや、この「気分の落ち込みからの回復ぶり」が、ほんとうは、隠された病のサインだったのです。
回復したかに見えてから1ヶ月ほど経つと、再び気分が落ち込むようになってしまいました。
身体が重くてベットから起きることもできず、仕事も休みがちになってしまったIさんを見た夫は「うつ病」を疑い、近所の心療内科を受診。
するとやはり「うつ病」と診断され、気分を上向きにする抗うつ薬による治療が始まりました。

休職し自宅静養をはじめて2週間。少しずつ外出できるようになり、半年後には休職中の職場に新しいアイデアを披露するまでに回復しましたが、その元気の良さは1ヶ月ももたず、また気分が落ち込むようになってしまいました。
1年のうち10ヶ月以上は鬱の状態で過ごしていたといいます。

さらに、今まで見たこともないような行動を取るようになってしまいました。
夫が帰宅すると50万円のダイヤの指輪を衝動買いしていたり、騒音を発していない隣家に「テレビがうるさい!」と怒鳴りこんだりしたというのです。

なにか大変なことが起きていると感じた夫は、総合病院の精神神経科に連れて行きました。問診でこれらの出来事を話すと、Iさんはうつ病ではなくて「双極性障害」であると診断されたのです。

双極性障害は通称「躁うつ病」と呼ばれ、躁状態と鬱状態が交互に現れる病気です。まだ詳しくはわかっていませんが、脳内の神経伝達物質のバランスが乱れるのが原因と言われています。

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発症の原因は睡眠不足とストレスです。結婚や出産、昇進などの喜ばしい出来事もストレスとなって発症することもあるそうで、Iさんの場合は昇進のストレスと介護による睡眠不足とが重なって発症したと考えられるそうです。

やっかいなことに、双極性障害は、よく「うつ病」と誤診されてしまいます。
躁状態の期間が極めて短い(1年の内数日から数週間である)ことと、躁状態のときに「うつ病が治ってきた」と見えてしまうことから、双極性障害であることに気づきにくいのです。
さらにやっかいなことに、処方される薬がうつ病と双極性障害では全く違います。
うつ病では気分を向上させる「抗うつ薬」ですが、双極性障害では気分の振れ幅を減らす「気分安定薬」が処方されます。
ほんとうは双極性障害なのにうつ病と診断されて「抗うつ薬」を飲み続けていると、躁の状態がさらに増してしまうことになります。高額商品の衝動買いなどは、その典型的な症状だそうです。
また、抗うつ薬の服用によって躁状態と鬱状態の振れ幅が大きくなると、鬱状態も悪化してしまいます。こうなると、「自分が偉い、正しい」という傲慢な態度になってしまい、人間関係を壊してしまうこともあるそうです。

現在、うつ病と診断された患者の約10人に1人は、のちに双極性障害と診断されています。しかも、双極性障害と診断されるまでに要する時間は約10年もかかっているそうです。

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双極性障害を見極めるポイント

秋山医師によれば、躁うつ病の兆候には以下のようなものがあります。

1、睡眠時間が短くても元気
2,周囲の迷惑を顧みないほど積極的
3、イライラして「自分が偉い」という態度になる

こうした傾向が見られたら双極性障害を疑い、専門医を受診するように勧めましょう。

双極性障害の患者数は年々増加しています。
最新の調査では約22万人ですが、これはあくまで病院を受診した人の数であって、実際の患者は人口100人につき1〜2人の割合でいると言われています。

双極性障害になりやすい人

以下の6つのチェック項目のうち3つ以上当てはまる方は、軽い躁状態になりやすいそうです。

1、たくさんの人と話したり会いたくなったりする
2、アイデアがよく浮かぶ
3、派手な服装や化粧をする
4、せっかちでイライラしやすい
5、口論になりやすい
6、大胆な買物をする

3つ以上当てはまっても、体調の波が小さくて健康な状態を保てていればむしろ生活面でプラスになる特徴なのですが、睡眠不足や強いストレスが続くと、テンションが異常に上がったり気分が落ち込んだりするリスクが高いのだそうです。
これを放置しておくとその躁鬱の波が大きくなり、双極性障害になることがあるそうですから、要注意です。

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まとめ

今回の特集からは、双極性障害もけっして特殊な病気でないことを自覚するのが重要であるとわかりました。
チェックテストで躁状態になりやすいことがわかった方は、

・睡眠時間を確保する
・スケジュールをつめ込まない
・パーティや飲酒などの刺激をたまには避ける

などの小さな注意を日常生活で意識して、予防することを心がけましょう。


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