アルツハイマー病の初期症状や予防法、改善事例など~駆け込みドクター!より

先日の『駆け込みドクター!』では、日本のアルツハイマー病最新事情と予防法について特集されていました。知っているようで知らないアルツハイマー病の知識や、発症する前にリスクを判定して予防につなげる検査、そして効果的な予防法などについて伝える内容でした。

まず、アルツハイマー予防に関する健康クイズがいくつか出題されました。

問題
毎日○○をすると、アルツハイマー病にリスクが5分の1になる

答え
昼寝をする。国立精神・神経医療研究センターによると、30分以内の仮眠がアルツハイマー病のリスクを下げるのだとか。短時間の昼寝で精神的にも肉体的にもストレスが軽減し、脳の働きが活性化するのだそうです。
消化器内科の大竹真一郎医師によると、「30分以内」というのが重要で、60分以上寝ると、逆に発症リスクは上がるのだとか!また、夜の睡眠の質が悪い場合も、ぐっすり寝ている人に比べてリスクは5倍になるそうです。

問題
○○が遅くなるのはアルツハイマー病の兆候

答え
歩く速さ。アメリカ・イェシーバー大学の調査によると、歩く速度が時速3.5km以下の人は、アルツハイマー病の発症率が2倍だったとか。
内科・皮膚科の友利新医師によると、加齢によって歩くスピードは誰でも遅くはなるものの、まわりに気づかれるぐらい急に遅くなると、それがサインになるとのこと。

 

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大山のぶ代さんを通して見る、アルツハイマー病の実態

大山のぶ代さんがアルツハイマー病であることは大々的に報道され、広く知られています。夫の砂川啓介さんは、2008年に大山さんが脳梗塞で倒れた時に異変を感じたと語ります。脳梗塞から回復しはじめた頃、通院先の病院で突然医師に叫び、力づくで止めないといけないぐらいだったとのこと。

料理本を出すほどだった料理の腕前も、鍋が焦げても気がつかなくなるといった具合。そんなことが続き、砂川さんは精神的に参ってしまいます。先に死にたいと思ったこともあったのだとか。今はそういう感情は克服されている様子です。

番組では芸能人である大山のぶ代さんの認知症にスポットが当てられていましたが他にも同じような病になった方もおられます。
例えばすでに亡くなられましたが、かつてご意見番的な存在だった山城信吾氏、女優の南田洋子さんは闘病の様子が密着番組になって放送され物議をかもしたりもしました。
アメリカ元大統領のロナルド・レーガン氏が自ら病気を公表したときには世界に大きな衝撃が広がりましたし、鉄の女と呼ばれたイギリス元首相のマーガレット・サッチャー氏も晩年は認知症を患っており、その様子は映画にもなっています(マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙)。

 

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アルツハイマー病の基礎知識

日本国内の認知症患者数は、2012年の厚生労働省の発表によると462万人。これが2025年には700万人と、65歳以上の5人に1人が認知症になると予測されているのだそうです。

アルツハイマー病とは、脳の中で老廃物が溜まり、情報伝達をする神経細胞が破壊されて、脳が萎縮してしまう病気です。その結果、記憶や言語、行動に障害を伴うそうです。
健康な人とアルツハイマー病の人の脳のMRI画像を比較すると、アルツハイマー病の人の脳は萎縮してすきまができていることがわかります。

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駆け込みドクター!

脳の奥の「海馬」は記憶をつかさどっていますが、ここが萎縮することにより記憶力が低下するのだそうです。

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駆け込みドクター!

脳の外側は「大脳皮質」と言われますが、ここの萎縮は認知能力の低下につながるのだとか。

アルツハイマー病の症状例

- 日付、場所などがわからなくなる(「失見当識」と言うそうです)
- 携帯などの道具がうまく使えなくなる(「実行機能障害」)
- 好きだった趣味などを辞めてしまう(「意欲低下」)

身近な人にこのような状況が出たら、注意したほうがよさそうです。

 

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アルツハイマー病の初期症状

精神科の吉田勝明医師によると、病院に来る患者さんが一番悩んでいるのは、高齢による物忘れなのか、あるいは認知症のアルツハイマー病による物忘れなのかわからないことだそう。特徴としては、早い段階で嗅覚に障害が出ることがあること。しょっちゅう吐いたり下痢をしたりする場合は、腐ったものがわからなくなっていることが多いのだとか。そういうことも症状の手がかりになるのだそうです。
嗅覚機能の低下 → 認知能力の低下の危険性が高まります。

アメリカ・ラッシュ大学医療センターの調査によると、嗅覚の弱かった人は、認知機能低下のリスクが1.5倍高かったといいます。
鳥取大学の浦上教授の発表によると、アロマオイルなどを使って嗅覚を刺激することで、アルツハイマー病の予防に効果があるのだそうです。

 

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認知症検査とはどんなもの?

芸能界のご意見番で豪快なイメージのある和田アキコさん。実はこれまで結構な数の病気を経験されています。

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駆け込みドクター!より

今回は認知症を徹底検査。
まずはMMSE。記憶力、言語、計算力を見極めます。「今年は何年ですか?」、「100から7を引き、そこからまた7を引くことを繰り返してください」といった質問が出され、30点満点で判定されます。
判定基準は次のとおりです。

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駆け込みドクター!より

次は、脳のMRI。記憶をつかさどる「海馬」が萎縮していると認知症の疑いが高まるので、ここを重点的に検査していました。
そして血液検査。将来の認知症リスクがわかるために未然に防げるという、始まったばかりの最新の検査なのだとか。

筑波大学医学医療系の内田和彦准教授によると、「アポリポタンパク質」、「補体タンパク質」、「トランスサイレチン」という、血液の中のタンパク質3種を調べるそう。この3種のタンパク質には、認知症の原因となる物質である「アミロイドベータペプチド」を排除する働きがあるので、3種のタンパク質が多いとアルツハイマー病になりにくく、逆に少ないとアルツハイマー病になりやすいと言えるのだそうです。

検査の精度は約80%。全国の約600の医療機関で検査が受けられるとのこと。
検査の判定は、タンパク質の量によってA(問題なし)、B(リスクは小さい)、C(中程度のリスクがあるので予防が必要)、D(高リスクなのでただちに専門医の診察が必要)の4段階で判定します。

 

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和田アキ子さん、検査の結果は?

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駆け込みドクター!より

MMSEは、30点満点中、30点満点。
脳のMRIも問題なし。予防医療の細井孝之医師によると、萎縮していない非常に若々しい脳とのこと。

次に軽度認知症のリスクがあるかを判定する血液検査ですが、「C判定」という結果でした。細井医師によると、Dに近いC判定で、今、予防をして欲しいとのこと。
内科の森田豊医師によると、認知症は一度症状が出てしまうと、進行を抑えることはできても、治すことはできないと言われているそう。和田アキ子さんに関しては、まだ症状は出ておらず、対策ができるので、検査をしてよかったと前向きにとらえては、と森田医師は語っていました。

実際のところ、早い段階でわかるというのは重要なことで、例えば認知症と思っていたら実は認知症以外の治療可能な病気だったということもありますし、アルツハイマーであれば進行を遅らせることが可能になっています。つまり進行後のことをいろいろ想定して自分の意志で生活習慣を変えていく、あるいは後見人等を自分で決めておく、などといったことが可能になってきます。

 

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おすすめ予防法

予防の方法としては、生活習慣の改善。特にお酒に気をつけることだそうです。もはや常識といってもいいですが、お酒は量が過ぎると認知症だけでなく他の病気のリスクにもなります。適量を守ることが重要です。

日本人のお酒の1日の適
ビールで中ビン1本
日本酒では1-2合
焼酎では半合弱
赤ワインでグラス2杯

酔いつぶれた経験のある人は、認知症になりやすいそうで、このことからも大量の飲酒はよくないことがわかります。
また、運動もアルツハイマー病の予防に有効なのだとか。歩くのはよいことで、回数を増やしていってほしいとのアドバイスでした。

ちなみに、神奈川県が推奨して、全国的な広がりを見せている「3033運動」というのがあるそうです。これは、1日「30」分の運動を、週に「3」回、「3」ヶ月続けるという意味。運動を生活の一部に組み込むことで、生活習慣病の予防や筋力維持、そしてストレスの解消につながるとのことですが、認知症の予防や改善も期待されているそうです。
精神科の吉田医師が薦める認知症予防のための生活習慣は、「涙が出るほど感動する事」。感情を大事にすることを続けることが大切だと精神科医の立場から力説しています。そういう意味では読書をしたり映画を見たりといったことが有効といえるのではないでしょうか?
特に、映画であれば最近は1000円ほどの定額で何万本もの映画が見放題な動画配信サービスが花盛りです。一度検討してみると良いでしょう。

小金沢昇司さんの介護体験

夫婦で飲食店を営んでいた小金沢さんの母親は、夫の死をきっかけに元気をなくしていきました。働き者だったのに「もう働きたくない」と気力を失い、何かにつけ昔の思い出ばかり語るなど、異変が感じられるようになったそうです。

アルツハイマー病と診断され、病状の進行とともに母親には笑顔がなくなり、歩けなくなりました。そこで小金沢さんは在宅介護を選びます。
ある日、母親が孫(小金沢さんの子ども)に「仕事は大丈夫?」と話しかけているのを目撃。息子である自分と孫の区別もつかなくなっていることを知り、涙が出たと言います。

結局、母親が息子から下の世話をされることを恥ずかしがることをきっかけに、介護施設に入居させることに。アルツハイマー病であっても本人の尊厳や羞恥心は残っており、在宅介護は介護する側には負担、介護される側にもベストとは限らないと、吉田医師も言っています。プロの手助けを借りるのは大事ということです。

吉田医師はさらに、毎日顔を合わせている人ほど、変化に気づかず、認知症を発症していることに気づけないと指摘します。また、小金沢さんの母親が昔の話ばかりしはじめるエピソードについては、認知症の人は時系列がずれているからだと解説していました。

初期症状「時系列のズレ」

嗅覚の障害と並び、「時系列のズレ」もアルツハイマー病の初期症状にひとつなのだとか。
今食べているのが朝食か昼食か夕食かが、わからない。なので「とにかく食べる」ようになってしまうそうです。

「疲れ知らず」は認知症の兆候?

循環器科の池谷敏郎医師によると、認知症になると痛みを感じる感覚が鈍くなる一方、運動神経は保たれているので、痛みを感じないまま動けてしまうのだそうです。夜になると徘徊したり、夜通し歩き回れたり、それまでは痛いからと言って歩かなかった人が元気に動けるようになったりといったことがおこるのは、感覚神経が鈍くなることが理由だったのです。
徘徊による行方不明者として警察に届けられた数は、年間1万人にものぼるのだとか。疲れ知らずの高齢者は、認知症のサインサインを疑ったほうがいいようです。

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厚労省HPより

「生涯健康脳」を作る方法

東北大学 加齢医学研究所の脳医学者、瀧康之医師は、「生涯健康脳」を提唱しています。
16万人の脳画像を見てきた経験から、瀧医師は、日常生活のちょっとしたことを気をつけるだけで、脳をずっと健康に保つことができると言います。

まずは運動。
運動が記憶を助けるというのです。専門家の間でも、加齢により脳は衰えると思われてきましたが、有酸素運動(散歩やジョギングなど)によって、記憶をつかさどる海馬は、何歳になっても大きくなるというのです!運動をすると、海馬を大きくする物質が血液中に発生するからなのだとか。

瀧医師は、できれば毎日30分歩くこと、それが無理なら会社でエレベーターではなく階段を使う、一段飛ばしであがるといったちょっとしたことがとても有効だと言います。

次に、質のよい睡眠をとること。脳の老廃物は、睡眠中に血液中に流され、尿として排出されるのだとか。この老廃物には、アルツハイマー病の原因物質である「アミロイドβ」も含まれいます。質のよい睡眠により、有害物質の排出が促されるということなのです。

「いつもと違うことをする」のも認知症予防になるのだとか。いつも同じことをしていると、脳を使わないでできてしまうようになってしまうので、そこから抜け出すことが大切だと瀧医師は言います。いつもと違う道で帰るとか、食べたことのないものを食べてみるといった、ちょっとしたことで脳が活性化するのだそうです。

瀧医師が最も効果的だとすすめるのが、音楽なのだとか。例えば、カラオケで昔の歌を歌って思い出がよみがえるとすると、記憶が掘り起こされることにより海馬が刺激されるのだそうです。自分で歌うとか演奏するなど、主体的に関わることが非常によいとのこと。

<「生涯健康脳」を作る方法 まとめ>
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駆け込みドクター!より

若い脳を保つ「薬指体操」

脳細胞を増やして若い脳を保つおすすめ体操を、消化器科の大竹真一郎医師が紹介していました。薬指だけ動かすということは、普段あまりありません。まわりの小指や中指も動いてしまいます。普段動かすことのない薬指を動かすことで、脳を活性化しようというのが、体操の趣旨です。
やり方は次のとおりです。

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駆け込みドクター!より

無理のない程度にやってみようと呼びかけていました。

学習療法の効果

最後に、東京のとあるケアセンターに入居している認知症の男性、Sさん(75歳)の奇跡的な回復についてドキュメントしていました。

自分の名前もわからず、MMSEで30点満点中5点しかとれなかったSさん。センターのスタッフに「頭の体操をしましょう」と促され、全国1,600以上の施設で導入されている「学習療法」に週5日、1日30分ほど取り組むようになりました。
これは公文と東北大学の研究チームなどが共同開発したもので、簡単な音読や計算問題などで脳を活性化させようというもの。脳の前頭前野が活性化するので、認知機能の改善にも期待がかけられます。
Sさんが学習療法を始めて3ヶ月、前は書けなかった日付と時刻が書けるようになり、自分の名前すら言えなかったSさんが、スタッフの名前を言えるようになりました。

アルツハイマー病が発症する前にリスクを知ることができる検査や、予防法などがわかりやすく解説され、生活習慣を見直すきっかけにもなりそうな興味深い内容でした。Sさんのように、発症しても回復が認められる例もあるようで、認知症の方やそのご家族も希望が持てたのではないでしょうか?


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