善玉コレステロールを増やす!食事とウォーキング~~主治医が見つかる診療所より

あなたは「コレステロール」という言葉にどんなイメージをお持ちでしょうか?
もしかすると、「あぶらっこいものを食べると体内にたまるもので、身体にわるいもの」というイメージをお持ちの方が多いかもしれません。
しかし、コレステロールには「善玉コレステロール」という、体内に適正量存在しているべきものも存在します。これは血液検査で測ることができ、40〜90mg/dlが基準とされています。
今回は、あまり理解が深まっていない善玉コレステロールについて解説していた『主治医が見つかる診療所』をまとめておきたいと思います。

 

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脅威のHDL善玉コレステロール値74

番組では、自身のHDL善玉コレステロール値が74 mg/dlという南和友医師に密着し、善玉コレステロールの大切さと、この値を上げる方法が紹介されていました。

南医師は69歳の心臓血管外科医で、現在は群馬県渋川市の北関東循環器病院に勤務しています。ドイツへの留学後、世界最大級の心臓病センターの設立にも参加し、年間手術数6000件の心臓外科チームのトップとして、30年間心臓病治療の第一線で活躍してきた名医です。
これまで2万例以上の手術に執刀し、その中には移植手術も500例ほど含まれているそうです。2005年に帰国してからはノウハウを後進に伝えるべく、日本で活動していらっしゃいます。

そんな南氏が、いま注目しているのが善玉コレステロールなのです。
南氏によれば、

「心臓の悪い人には善玉コレステロール値が低い人が多い。心臓血管の病気には善玉コレステロールが関与している」

というのです。

それでは、どうしたら善玉コレステロール値を上げることができるのでしょうか?
南氏が実践している方法を具体的に見ていきましょう。

 

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善玉コレステロールを上げる方法

最近の研究から、血管中の「中性脂肪」が増えると善玉コレステロールが減ってしまうことがわかってきました。つまり、中性脂肪を減らすことばできれば、善玉コレステロールを増やすことができるのです。
それを踏まえて、南氏は以下の様なことを実践しています。

GI値の低い食べ物を選ぶ

南氏は毎
朝5:30には起床。
朝食のメニューの中に「ムスリ」というスイスやドイツでよく食べられているシリアルの一種が含まれていました。ドライフルーツやナッツが入っていて、それらを牛乳で軽く煮たものです。

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主治医が見つかる診療所より

さらにもう一つ特徴的なものが、ライ麦パンです。
ライ麦パンはふつうの白いパンよりも「GI値」という数値が上がりにくく、これが善玉コレステロールアップのポイントになっているそうです。
GI値とは、食品が体内で糖に変化して血糖値が上がってゆくスピードを表す数値です。この値が高いほど血糖値の上昇は早くなり、中性脂肪も上がりやすいそうです。

左がGI値の高い食品、右が低い食品です。

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主治医が見つかる診療所より

南氏はGI値の低い食品を意識的に摂ることで中性脂肪を抑え、善玉コレステロールのアップにつなげているのです。

 

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水を積極的に飲む

もう一つ、意識してとっているのが「水」でした。
水をしっかりととることで血流が改善し、身体全体の代謝が良くなります。それがコレステロール値の改善にもつながるというわけです。
代謝を上げるためには、1日最低1.5リットルの水分が必要だそうです。

タイミングにもポイントがあります。就寝中に発汗しているため、朝方は体内の水分が不足しています。一説によると就寝中に失われる水分は500ml~1Lにもなるそうです。体内の水分量が減ることで血液がドロドロになっているので、朝起きたらすぐに水を飲む必要があるのです。
南医師は、寝起きにコップ1杯の水とカップ1杯の紅茶を飲み、朝食と一緒にオレンジジュースと水をコップ1杯ずつ飲みます。さらに食後にも紅茶をカップ1杯飲むので、起床後2時間以内にあわせて800mlも水分補給しているそうです。

パワーウォーキング

今年70歳になる南医師ですが、年間100件以上の手術を担当しています。
手術は長時間立ちっぱなしで行うため、週に2,3回は体づくりのために勤務後の「パワーウォーキング」を続けているといいます。

パワーウォーキングとは、距離も時間も気にせずに「運動中の脈拍数」に注目して行うウォーキングです。
1分間の心拍数が以下の計算式ではじき出される目標心拍数の範囲内になるようにウォーキングすることで、安全かつ効果的に有酸素運動がおこなえるのだそうです。

目標心拍数の上限は220-年齢☓0.75
目標心拍数の下限は220-年齢☓0.6

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主治医が見つかる診療所より

脈は15分くらい歩いたタイミングで測り、あまりにも脈が上がっているようなら少しペースダウンするなどして、目標心拍数の範囲内におさまるようにします。
この範囲内でウォーキングを行えば、心臓が無理なく動く状態を保てるため、効率よく全身に酸素を送ることができるのです。
この範囲を逸脱して苦しい無酸素の状態になってしまうと、いくら歩いても中性脂肪を燃やすことが出来ないそうですから、注意しましょう。

かかとで着地してからつま先を着くように歩くのもポイントです。
踏み込む時にふくらはぎが収縮して血液が心臓の方に帰っていくからです。
ふくらはぎは「第二の心臓」とも呼ばれる部位なので、全身の血流が促進され、中性脂肪が燃えて善玉コレステロールがアップします。
腕を振って歩くことも意識しましょう。へその周辺で回すように振って、上げ過ぎないようにするといいそうです。

肉料理を食べる前にトマトを食べる。

帰宅後の夕食の時間。
食卓の上には、野菜としいたけの炒めものや、ブロッコリーとカプレーゼ、焼き鮭、ラム肉などが並んでいました。
南医師は「肉を食べる前に野菜を食べるのは鉄則。(カプレーゼの)トマトは善玉コレステロールを上げるので組み合わせとしていい。」と話していました。
食物繊維で血糖値の上昇を抑制し、リコピンの善玉コレステロールアップ効果を取り入れた組み合わせです。

ラム肉をチョイスしていることにも理由がありました。
ラム肉には、L-カルニチンという中性脂肪を抑える成分が多く含まれています。

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主治医が見つかる診療所より

週に1回はラム肉を食べるようにしているそうです。

トマトを用いたオススメ料理

トマトに含まれるリコピンには、熱に強いという特徴や、油に溶けると油の吸収をよくするという特徴があるそうです。この特徴を踏まえた料理である「トマト味噌汁」というメニューの作り方が紹介されていました。
まず、鍋にオリーブオイルをひいて火にかけます。
そこにトマト缶を入れて、軽くつぶしながら炒めていきます。
火が通ったら水を入れ、約2分煮込んでから味噌を溶き入れます。
最後に、具材となるフレッシュトマト入れてひと煮立ちさせれば完成です。
トマトの中にはグルタミン酸という旨味成分がたくさん含まれているので、ダシなしでも美味しいそうです。

もうひとつ、「トマトと納豆のアマニ油サラダ」という料理も紹介されていました。
トマトにはリコピン、納豆には納豆菌、アマニ油にはオメガ3脂肪酸が含まれています。これらを一度にとることで善玉コレステロールのアップが期待できるそうです。
まず、トマトをざく切りにし、納豆にはタレと辛子を入れて混ぜておきます。
トマトにキュウリのみじん切りと納豆を加えて、ボウルで混ぜあわせます。
これを皿に敷いたサラダ菜の上に盛りつけ、アマニ油をかければ完成です。

南医師は、このような善玉コレステロール値をアップさせる料理を毎日のように食べているそうです。

就寝前には、15分間のストレッチも欠かしません。
こうすることで全身の筋肉が柔らかくなり、血流が良くなるので、身体の代謝が良くなるそうです。

 

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善玉コレステロール値を上げる効果の高い2つの食材

つぎに、善玉コレステロール値を上げる効果が高い2つの食材についても特集されていました。
順に見ていきましょう。

アオサ

1つめの食材である「アオサ」を推薦していたのは、三重県の鈴鹿医療科学大学薬学部教授の鈴木宏治博士です。博士は食材の成分が血液に与える影響を研究している機関で心筋梗塞などの治療薬を開発している血栓治療薬のスペシャリストです。

アオサは、ヒトエグサとも呼ばれる海藻の一種で、鹿児島では「おさ」、沖縄では「アーサー」などとも呼ばれており、古くから味噌汁の具などにも使われてきた食材です。
鈴木氏によると、「アオサはたくさんのマグネシウムを含んでいて、アディポネクチンを増やすことが知られている」そうです。

アディポネクチンは、様々な生活習慣病を改善するホルモンです。
高コレステロール血症患者のコレステロールの高い値を抑制したり、HDLコレステロールを増やしたりする重要なホルモンだそうです。傷ついた血管を修復してくれるので、心筋梗塞や脳梗塞などの血管の病気の予防効果も持ち合わせています。

アディポネクチンについては当サイトでも何度か登場しています。

長寿ホルモンアディポネクチン~動脈硬化メタボ糖尿病予防~ためしてガッテンより
長寿ホルモン『アディポネクチン』を増やす!意外な飲み物
健康長寿のカギは慢性炎症とテロメア~きょうの健康より

鈴木氏は、「アディポネクチンを増やす要素として最近注目されているのがマグネシウム。これは蕎麦やわかめなどに含まれているが、一番多いのがアオサ。」と話していました。

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主治医が見つかる診療所より

番組では日本一のアオサの街である三重県志摩市を取材。当地の漁師さんたちの善玉コレステロール値なども紹介されていました。
アオサの全国生産量の3分の1 を占める志摩市では、栄養豊かな河川の水と黒潮由来の温暖な海水が内海で混ざり合っているため、質の良いアオサが育つそうです。収穫は1月から5月にかけて行われ、乾燥した状態で販売されています。

アオサ漁師の浜口さんのお宅の食事では、1ヶ月に20回以上はアオサが食材として使われているそうです。
お母さん(72歳)の善玉コレステロール値は69mg/dl(基準は40〜90mg/dl)で、LH比(悪玉コレステロール値を善玉コレステロール値で割った数。1.5以下がとてもキレイな状態。)は1.0でした。お父さん(74歳)の方も71mg/dlに1.5と、とても優秀な結果が出ていました。

アディポネクチンは筋肉に作用して脂肪の燃焼を促し、中性脂肪を下げます。加えてアオサにはビタミンB群も多く含まれているため、代謝まで促進してくれます。
このように善玉コレステロールを上げるのに最適な食材なので、アオサを毎日のように食べている方の数値が優秀なものになるのです。

シイタケ

次に登場した東京農業大学の江口文陽教授が、善玉コレステロールを増やすと注目しているのが「シイタケ」です。
シイタケがもつ「エリタデニン」という物質には血液中のコレステロールを変化させて肝臓に取り込みやすくする働きがあり、善玉コレステロールを増やして悪玉コレステロールを減らしてくれるそうです。
そしてこのエリタデニンは、およそ4000種類もあるキノコの中でシイタケに最も多く含まれているのです。

エリタデニンを効率よく摂るためには、しいたけの鮮度が重要になります。
鮮度が落ちるとエリタデニンが減ってしまうからです。

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主治医が見つかる診療所より

冷蔵保存しても、8日後には半分にまで減ってしまうそうです。

江口氏によれば、新鮮なシイタケを見分けるためには、傘の裏にあるヒダに注目するといいそうです。ヒダが立っていて、線がくっきり見えるものは新鮮です。

買ってきたシイタケを一度に使いきれないときは、冷蔵庫ではなく冷凍庫に保存するようにしましょう。
冷凍保存すると、15日経ってもエリタデニンの量があまり減らなかったそうです。

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主治医が見つかる診療所より

善玉コレステロールを上げるためには、シイタケを1日3枚以上食べる必要があります。
「それはちょっときびしいな…」と感じる人には、「粉末シイタケ」がオススメです。市販の乾燥シイタケをミキサーで粉末にすれば、家庭でつくることができるものです。
このように加工することで、保存してもエリタデニンの量があまり減らないのだそうです。
シイタケ1枚の重さはおよそ15グラムですが、乾燥シイタケにすると2グラムにまで減ります。粉末シイタケなら1日6グラム(スプーン3枚程度)で、生シイタケ3枚分のエリタデニンが摂れる計算になります。

味噌汁やスープに入れて旨みをアップさせたり、炒めものやパスタに一振りしたり、お湯で割ってシイタケ茶として味わったりなど、使い道は様々でお手軽な調味料になります。
ちなみに江口教授は、粉末シイタケをご飯にかけて海苔と一緒に食べることを勧めていました。シイタケのビタミンDが、海苔に含まれるカルシウムの吸収をアップさせるので、骨粗しょう症の予防にもなるといいます。塩と混ぜた「シイタケ塩」に天ぷらをつけて食べるのもいいそうです。

「シイタケはどうしても食べられない…」という方は、代わりにフレッシュマッシュルームの茶色いものを選んで食べるといいそうです。フレッシュマッシュルームも同じシイタケ属のキノコなので、エリタデニンを豊富に含んでいるそうです。

 

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まとめ

コレステロール値は血液検査をすれば知ることができますが、血液検査だけでは身体の状態を全部知ることはできません。
たとえば「動脈硬化が進行しているかどうか」などは超音波やCTなどを用いて詳しく調べないとわからないため、南医師は「(血液検査と、超音波やCTを)平行して行って欲しい」と指摘していました。
今回紹介された食品・食材やウォーキングなどで日頃から善玉コレステロール値を上げていき、血液検査やCT等の詳しい検査も定期的に行うことで、大病のリスクを確実に下げていきましょう。


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