冷え性を劇的改善する交感神経のゆるめ方~ためしてガッテンより

寒い冬に、多くの人が悩まされる「冷え性」。
靴下を重ね履きしたり、カイロをたくさん貼ったりなど、対策に余念がないという方も多いのではないでしょうか。
もし冷え性を根本的に改善することができたら、生活の質は劇的に向上しますよね。
そこで今回は、NHK『ためしてガッテン』にて様々なアプローチから冷え性を改善する方法が紹介されていましたので、その内容をまとめておきます。

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体温を上げる「アミノ酸」

番組では、日本に存在する様々な「学会」に、冷え性を改善する方法を尋ねるメールを一斉に送信し、そのメールに対する医師らからの返答を踏まえて、冷え性改善のヒントを紹介していました。

最初に番組に登場した千葉大学大学院医学研究科(麻酔科学)教授の磯野史郎医師(日本麻酔科学会所属)は、冷え性改善につながるものとして「アミノ酸」を紹介していました。

人間は、手術時に麻酔をかけられると少しずつ体温が下がってくるそうで、その際にアミノ酸を投与するのだそうです。体温は1度下がるだけでも大変ですから、(その人の基礎体温によって変わりますが)36度をきりそうになるタイミングでアミノ酸が投与されます。

アミノ酸とは
私たちの身体のタンパク質を構成するアミノ酸は全部で20種類あります。自然界には数多くのアミノ酸が存在しますが、この中のわずか20種類が複雑に組み合わさることによってタンパク質をつくっています。
協和発酵バイオHPより

アミノ酸は身体の中で熱を生むのですが、その量は炭水化物を摂ったときの5倍、脂肪を摂ったときの8倍にもなるそうです。

冷え性の人がタンパク質豊富な食事をとると……

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ためしてガッテンより

1時間後には足先まで温まっているのがわかります。
冷え性の方は、アミノ酸(タンパク質)を豊富に含む食材を食事に取り入れると良さそうですね。

アミノ酸を多く含む素材

良質なたんぱく源の食品の指標としてアミノ酸スコアがあります。アミノ酸スコアが100点の食品は必須アミノ酸をすべてバランスよく含んでいる食品となります。以下にアミノ酸スコアと食品の例を挙げます。

100点の食品
鶏卵、牛乳、豚肉、牛肉、鶏肉、あじ、さけ、かつおなど

90点の食品
チーズ、そば、ベーコン、しじみなど

80点の食品
大豆、キウイ、さつまいも、昆布など

70点の食品
いか、くるまえび、とうもろこし、しいたけなど

日本人の主食である精白米は65点で、リジンが足りないために低い点となっています。このように他の必須アミノ酸はすべて満たしていても、一つのアミノ酸が不足しているとスコアは下がります。おかずに肉や魚の料理をプラスするなど、食品数を多くして、不足しているアミノ酸を補い合うと良いでしょう。

サプリメント大学より

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「お風呂」に入って血管を増やす

次に登場した獨協医科大学特任教授で和温療法研究所所長の鄭忠和氏(日本循環器学会所属)は、冷え性改善に「お風呂」を勧めていました。
当たり前の対策にも思えますが、自分が一番いい湯だなと感じる温度の湯に10分間浸かることで、血管機能がよくなるそうです。

心臓病の患者は血液の循環が悪く、頑固な冷え性になりがちです。その解消のために、サウナなどで10分間身体を温める治療法が確立されているそうです。これは「和温療法」といって、主に心不全の患者を対象に遠赤外線サウナで全身を温める治療法なのですが、これを入浴に応用した方法が「心地よい温度のお風呂に10分間入浴」することなのです。
身体を芯まで暖めると全身から血管を広げる物質が放出され、手足の血管周りに新しい血管が生まれるため、冷え性の根本的な改善が期待できます。

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ためしてガッテンより

10週間で血管が激増していますね。
ちなみに入浴時間は10分以上でも効果があるそうです。

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首を保温する〜日本獣医学会員など

家畜の子牛は身体が冷えやすいため、首周りを保温してかぜや肺炎を防ぐそうです。

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ためしてガッテンより

人間の首にも手足の血管を開くスイッチの役割があって、首を暖めると手足まで温まることがわかっています。
分厚く着こむよりもマフラーやレッグウォーマーをする方が効果的という場合もありそうです。

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気圧を下げる

番組では、気圧を変えられる部屋(気圧制御室)に冷え性の人たちを集めて実験していました。
気圧を標高1000mのレベルに下げてから、また元の気圧に戻すと、全員が「とても暖かい」と言っていました。

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ためしてガッテンより

身体の表面温度が3度以上も上昇しています。
気圧が下がると空気中の酸素が減少します。その酸素不足を解消するために血管が拡張するので、体全体が温まるのだそうです。

でも、これを日常生活に取り入れて治療に応用するのは難しそうですね。

交感神経をゆるめる

気圧を下げることはなかなかできませんが、これからご紹介する方法なら誰でも簡単にできて、しかも効果てきめんです。

冷え性対策を考える際に重要となるポイントとして、14学会の100人近い専門家が指摘したのが「交感神経」でした。

交感神経とは
交感神経は日中の活発な動作の源になる神経です。人は目が覚めると交感神経が副交感神経よりも活発になり、体がシャキッとして様々な活動を行うことができます。目の瞳孔は開いてより多くの視覚情報が脳に入るようになります。また、目がよく見えるように涙の分泌が減ります。より多くの空気(酸素)が吸えるようになるため、気管支を取り巻く筋肉がゆるみ、その内径が広がります。そして、活発な活動に則して全身に血液を送るため、心臓がドキドキとより一層働きます。血圧も上がります。このように交感神経は心身を興奮状態に置き、とっさの対応が必要なときにも備える体制を作ります。また、活動中に排尿や排便があってはならないので、膀胱の筋肉はゆるみ尿の貯留量が増えたり、肛門括約筋が締まって脱糞が起こらないようにしています。

山口内科HPより

交感神経は、全身の血管に張り巡らされています。

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ためしてガッテンより

寒いときには交感神経が血管を閉めて収縮させることで血流を少なくし、熱が体外に逃げていくのを防いでいます。
冷え性の人は常にこの収縮した状態にあるために手足の先に血液が行き渡らず、冷えを感じるのです。
そこで、現在は南極の昭和基地で冷え性の研究をしている及川欧氏が、交感神経をゆるめる方法を紹介していました。
交感神経の収縮の原因は主にストレスなので、リラックスさせて“ゆるめる”方法です。

1、 背筋を伸ばして楽な姿勢で座る。
2、 手のひらを太ももにのせて目を閉じる。
3、 心のなかで「気持ちが落ち着いている」「両腕が重たい」「両足が重たい」「両腕が温かい」「両足が温かい」と唱える。

これを5分間、1日3回継続すれば、体全体がぽかぽかしてくるそうです。

サーモグラフィーで見てみると…

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ためしてガッテンより

一目瞭然ですね。
太ももはもともと温かいので手のひらに熱を感じることができ、脳に「自分の手は温かいんだ」という安心感を与え、リラックスさせることができます。
すると交感神経がゆるんで、血行が良くなるというのです。
交感神経は手と足が同時にゆるむ仕組みになっているので、これをやると足まで温まるそうです。

まとめ

以上、様々なアプローチからの冷え性対策をご紹介いたしました。
もっとも根本的な方法がまるで脳をだますような方法で、しかもそれが大きな効果をもたらすというのはおもしろいですね。
気圧以外の方法はどれも簡単なものばかりですから、積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。


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