多くの女性が、つらい冷え性に悩まされています。
女性の半数以上が手先や足先の冷えに悩んでいるといい、なかには「夏でも冷え性に悩む」という人もいるそうです。
近年の研究によると、冷え性の女性は血管の「血管年齢」が実年齢よりも老けていることが多く、なかには10歳以上老化していることもあるそうです。
そこで今回は、運動生理学と医学のアプローチから冷え性を改善する方法を紹介していた『ガッテン!』をまとめておきたいと思います。
わずか3週間で冷え性が改善されて血管年齢も若返るとのことですので、冷え性の方は注目の特集です。
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冷え性には種類がある
冷え性の方は発熱するインナーを着たりカイロを貼ったりなど、さまざまな対策をとっていても「それでも治らない」という方が多いと思います。
以前ガッテンでは太ももに手を置く方法(http://kenkouiji.info/?p=2932)などを紹介していましたが、今回紹介していたのは「血管をのばす」方法です。
血管をのばして血流を上げ、血流を増やして冷え性を解消するというアプローチです。
特にやってほしいのは、命に関わる“危険な冷え性”タイプの人だそうです。
まずはその危険な冷え性について見ていきましょう。
血圧異常のある冷え性は危険
危険な冷え性であるかどうかを見分けるのに使うのは「血圧計」です。
自治医科大学循環器内科の苅尾七臣氏によると「冷え性の人は血液の循環に問題があるので、血圧に異常が出てくる可能性がある」といいます。
番組と自治医科大学が合同で行った街頭調査では、「ふつうに血圧を計ったあと、一度立ち上がって、すぐに座ってまた計測する」という特殊な計測方法が採られていました。この測定で危険な冷え性の人が見分けられるというのです。
以下は、血圧異常のある人の、立ち上がる前後の測定の差を示したものです。
ガッテン!より
2回の測定の差がプラスマイナス10〜15未満なら黄ゾーン(注意)、15以上なら赤ゾーン(危険)と判断されるそうです。しかも、15を超えたら病院に行く必要があるほど危険なレベルだそうです。
Tさん(74歳女性)は20年以上冷え性に悩まされていました。
もともと血圧には気を使っていたTさんは、血圧を毎日測定して記録していただけでなく、味噌汁や漬物も食べなかったそうです。それでも、立って座ってから測定する方法で血圧を計ると数値が15以上も上昇するという、血圧異常のあるタイプの危険な冷え性でした。
そして約1年前の朝、脳梗塞に倒れました。
詳しく脳を調べると、小さな梗塞や出血が14箇所も見つかりました。知らないうちに病気が進行していたのです。
血圧異常のあるタイプの冷え性の人の脳梗塞リスクが上がる原因を知るために、番組では血圧異常が見つかった3人の主婦に24時間血圧計をつけてもらって、その変動を見ていました。
下図は、その中で一番わかりやすい血圧の変動を見せた方の1日の血圧の変動を示したグラフです。
ガッテン!より
比較的激しく上下動をしていることがわかります。
そもそも135を超えると高血圧とされていて、このグラフではそのラインを赤い点線で示してあるのですが、この方は全体的に血圧が高めであることもわかると思います。
特に、午後2時の急上昇が気になります。これは自転車に乗っていたときだそうです。他にも、掃除機をかけているときなどにも急上昇していたといいます。
正常な人の血圧変動を示したグラフは以下のようになります。
ガッテン!より
血圧異常のある方に比べて上下動が小さいことがわかります。
苅尾氏によると、昼間に比べて寝ている間は血圧がだいたい10〜20%下がるそうで、行動やストレスによって上がったり下がったりを一定範囲で繰り返すのは普通だそうです。
そんな正常な範囲を超えて血圧が上下動を繰り返すことも、一般的な高血圧(血圧の平均値が上がること)と並んで危険であることがわかってきたそうです。(上掲のグラフでは薄いグレーで変動幅を示してあるので、見比べてみてください。)
脳梗塞に倒れたTさんが梗塞を起こしていたのは、脳の深部の細い血管でした。
こういう血管は太い血管よりも血圧変動のインパクトを受けやすいのです。
冷え性を発生させる原因は、自律神経が乱れている場合と、血管が硬くなっている場合があるそうです。血圧の変動が激しいということは血圧を上手にコントロールできていないということなので、その結果として冷え性が生じている可能性があるのです。
24時間測定して血圧が180以上に上がる機会が何度もある場合は大変危険、とのことでした。
若くて血管が柔らかい状態ならある程度大丈夫だそうですが、ある程度の年齢(50歳以上)になってから冷え性が出てくると、その原因として血管の障害が隠れている場合もあるそうですから、病院で血管年齢(血管の固さや柔らかさを示す目安)を診てもらうことが大事になるそうです。
冷え性の原因や影響
現在の医学でわかっていることだけでも、体に冷えを引き起こす原因は多岐にわたります。
・ 筋肉量の低下
・ 塩分のとりすぎ
・ 緊張
・ 生理
・ スマホの見すぎ
などなど、挙げればきりがありません。
(ちなみに、「塩分のとりすぎ」が冷え性につながるのは、塩分をとりすぎることで細胞内のナトリウム量が増加し、細胞内に必要以上の水分が取り込まれることになり、そうして膨張した細胞によって血管が細くなるからだそうです。)
さらに、冷え性になることによって引き起こされる病気や症状などもたくさんあります。
・ 便秘
・ 眼精疲労
・ 薄毛、白髪
・ しみ、シワ、乾燥
・ たるみ
・ 免疫力の低下
このように、冷え性の影響については主に見た目に関することが注目される傾向にあったため、「冷え性」があまり深刻なものとして受け止められなくなったのかもしれません。
今回の特集で紹介されている「血圧異常」は認知症などの深刻な病気を引き起こすリスクも高まりますから、やはり注意して対策していく必要があります。
血管のばし
近年の研究から、若い人でも冷え性だと血管が硬くなっていることがわかりました。
立命館大学の家光素行氏は、2年前から冷え性の学生と健康な学生の血管の違いに注目し、研究してきたそうです。
血管年齢を測定してみると、冷え性の学生は血管年齢が40歳を超えたりすることもあるようで、年が経るにつれて平均との差が広がっていくこともわかりました。
ガッテン!より
そこで家光氏が考えたのが「血管のばし」です。
血管のばしとは、普通のストレッチよりも「血管を伸ばすことを意識したストレッチ」だそうです。
以下にご紹介するような部位にある血管を、痛くなるまでではなく“痛気持ちいい”くらいまで伸ばすようにします。
・大腿動脈
最初に紹介されていたのが、太ももの付け根あたりにある「大腿動脈」を伸ばすストレッチです。
まずは正座をします。
膝よりも前に手をついて、左足をまっすぐ後ろに伸ばしていきます。
腰を曲げずにそらすようにして、顔は真正面に向けます。こうすると、太股の付け根が伸びていくのが感じられると思います。後ろに伸ばすほど、大腿動脈を伸ばすことができます。
ガッテン!より
ストレッチをしている間は呼吸を止めないこともポイントです。
・膝窩動脈
膝の裏にある「膝窩動脈(しつかどうみゃく)」を伸ばします。
ガッテン!より
画像のように片方の足を下げて、もう片方の伸びている足の膝の上に手をのせて押さえこみ、腰を引いていきます。
こうすることで、ひざの裏がストレッチされていき、膝窩動脈を伸ばすことができます。
・ふくらはぎの血管
正座をしてから片足だけを立てます。立てた方の足の膝の上に両手をおいて、反対側の足を軽く開きます。
胸を太ももにくっつけるようにして前傾していきます。
ガッテン!より
立てた足のかかとを地面から離れないようにすると、ふくらはぎがよく伸びていきます。このストレッチでは、体重をかけすぎないようにするのがポイントだそうです。
・すねの血管
ガッテン!より
正座の姿勢から片方の足を伸ばして、反対側の足のかかとをお尻につけるポーズをとります。
・太ももの血管
太ももの裏側にある太い血管も伸ばします。
ガッテン!より
仰向けになってから片足を抱えて、太ももをお腹に近づると伸ばすことができます。
以上のようなストレッチで血管を伸ばすと、その刺激に反応して血管を柔らかくする物質が出てくるそうで、それが血管を広げて血流が増えるというのです。
ただし効果はあっという間になくなってしまうので、家光氏によれば「毎日継続していくことが大切」とのことでした。
そこで、冷え性の方たちに上記5つのストレッチを左右30秒ずつ、3週間継続して朝晩実施してもらっていました。
挑戦したのは、先程登場した冷え性の方や、「お腹にはるカイロが欠かせない」というほどの冷え性であるSさんです。
3週間経ってみると…
ガッテン!より
まるで別人のようです。Sさんは「気がついたらカイロをはっていなかった」と話していました。
血管年齢も軒並み若返り、12歳若返る人までいました。
血圧の変動が激しかった方も3週間ストレッチを継続したところ、上下動が安定するようになっていました。
ガッテン!より
・運動も大事
ランニングなどの有酸素運動をこまめに行うことも、血流を改善するためには欠かせません。
これは有酸素運動をすると血流がアップするためで、なかには2年で冷え性が改善したという女性もいるそうです。
まとめ
「冷え性」というと“ちょっとした体調不良”という感覚があるので、脳梗塞になるかもしれないと聞くとギョッとしてしまいます。
冷え性にお悩みの方はまず「計って、立って座って、また計る」という方法で血圧測定を行い、変動が激しいタイプであることがわかったら、ストレッチや運動を習慣化するようにしましょう。