咳がとまらない、息苦しい、結核、喘息、肺腺がん~駆け込みドクターより

先日の『駆け込みドクター!』では、「息が苦しい原因 解明SP」と題して、急増する肺の病気や、喫煙の肺への影響、そして肺の老化を防ぐ方法などについて特集されていました。

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駆け込みドクター!より

まずは呼吸器に関するクイズがいくつか出題されました。

問題 喘息は、継続的に○○を飲むと症状が和らぐ

答え トマトジュース
研究によると、トマトに含まれるリコピンの抗酸化作用により、炎症が抑えられ、継続的に飲むことで気管支喘息が改善されるそうです。摂取量の目安は1日320mlで、消化器科の大竹真一郎医師によると、リコピンは生のトマトよりジュースのほうが効率よく摂れるとのことです。

問題 煙草の副流煙を長期間吸うと高まるリスクはどれか?
A Ⅱ型糖尿病 B 認知症 C 乳がん

答え 全部。
アメリカのチャールズ・R・ドリュー医科大学の研究で、副流煙を日常的に吸っている人にⅡ型糖尿病の人が多いと判明。またカリフォルニア大学バークレー校の調査では、副流煙喫煙者ではアルツハイマー型認知症の発症率が3割高いことがわかったそうです。さらに厚生労働省によると、副流煙吸引者の乳がん発症リスクは2.6倍高いとの報告です。

問題 せきは、○○にハチミツを入れて飲むと和らぐ

答え コーヒー。
イランのビキヤタラ医科大学の報告では、長引くせきにはコーヒーにハチミツを入れたものを飲むとせきが緩和したそうです。内科の森田豊医師は、カフェインにせきを楽にしたり、たんを切れやすくする効果があると説明。また、コーヒーの香りにリラックス効果があることもわかっており、ストレスによるせきにも有効だとのことです。

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急増する肺の病気 その1 「せき喘息」

風邪が治ったあとも1ヶ月近く続くせきは、「せき喘息」の疑いがあるので注意が必要だそう。風邪などで起こった気管支の炎症により、ちょっとした刺激に過敏に反応するようになり、せきの発作が慢性的に起こるというのです。

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発作が続けば嘔吐失神、せきによる肋骨骨折まで引き起こす、恐ろしい病気です。気管がせばまって「ひゅーひゅーぜーぜー」する症状が出る、喘息の前段階のもので、放置すると30%が気管支喘息に進行するそうです。
せき喘息の急増理由について、順天堂大学呼吸器内科の児玉裕三準教授は、
『ストレスや不規則な生活により自律神経のバランスが崩れ、気管支の粘膜が敏感になることでせきが誘発される』
と解説しました。
生活習慣を整え、ストレスをためないことが予防法の一歩だと紹介されていました。

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急増する肺の病気 その2 「肺結核」

風邪と似た症状が、よくなったり悪くなったりを繰り返しながら2週間以上続く。そんな状態は、なんと肺結核の可能性があるのだそう。
結核は栄養状態の悪かった1950年頃、日本人の死因1位だったものの、その後は予防接種の効果により激減したそうで、過去の病気のイメージがあります。

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駆け込みドクター!より

その肺結核が今急増する理由について、児玉準教授は、
『超高齢化社会になり、昔結核を患って一度は治った人が、高齢者となって抵抗力が落ちるため、再度結核を発病している』
と指摘します。
結核は、空気中どこにでも存在する「結核菌」によって起こる病気。ただ、免疫力が高ければ発病することはありません。しかし、免疫力が低下していると、外から入ってくる結核菌や、元々体内に残っていた結核菌が増殖し、肺の組織を侵していくというのです。ひどくなると呼吸困難や喀(かっ)血が起こります。

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この肺結核が、今、若い世代にも広がっているというのです。その原因は、行き過ぎたダイエットなどによる免疫力の低下で、年間2万人が発病し、死者も2000人に達しているとか!初期症状は、だるさ、食欲減退など見過ごされやすいものであるという問題があります。

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急増する肺の病気 その3 「肺腺がん」

食欲がないだけで、特に不調というわけでもなかったのに、数ヵ月後、突然たんに血が混じり、胸の痛みを感じる・・・。そんなときは「肺腺がん」かも知れないとのこと。

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気管支の「肺胞」という部分にできるがんで、肺がんの種類の中では最も患者数が多いのだそうです。

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初期症状が大変乏しく、肺の病気なのにせきやたんがないことも多いそうで、症状が出た=すでに重篤な状態、ということです。また、児玉準教授は、肺腺がんはたばこを吸わない人でも発病し、女性に多いと解説。その理由ははっきりわかっていないものの、なんらかの女性ホルモンと大気汚染物質の関与が考えられるそうです。
番組では「定期的ながん検診の受診」を呼びかけていました。
森田医師は、
『肺がんは初期症状がないものが多いが、肺腺がんは特に気管支から離れたところ=肺の奥にできるので、相当大きくならないと症状が出ない』
と補足しました。
加えて児玉準教授は、
『血たんなどの症状があれば、早く受診する必要があるが、症状がない場合は定期健康診断を受けるしか調べる手立てがない』
と指摘していました。また、早期の肺腺がんは、レントゲン検査では発見が難しいので、「胸部CT検査」が有効であるとのことです。

せきの種類

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たんを伴うか伴わないかによって分類するそうです。

乾いたせき
ちりや煙、ストレスが原因で、たんを伴わない

湿ったせき
たんを伴い、結核や気管支ぜんそくが疑われる

せきのタイプによって、可能性のある病気がわかるということですね。
また、心臓ぜんそくでもせきが出ると、循環器科の池谷敏郎 医師が指摘しました。

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心臓ぜんそくとは、心臓のポンプ機能の低下により、肺のうっ血が起こるもので、激しいせきや動悸といった症状が出るのだそうです。池谷医師からは、夜中にせきが出ると外来を受診した患者が、実は突然死寸前の重篤な心不全の状態だったというエピソードが語られました。

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肺の老化を加速する要因

人が1日に行う呼吸は2万回以上にものぼるそう!肺の機能は25歳前後がピークで、加齢とともに下がりますが、特に喫煙者の場合は老化が早く、40歳の喫煙者と70歳の非喫煙者の肺機能が同じレベルなのだそうです。喫煙が肺によくないことがわかります。

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また生活習慣病や肥満でも肺の老化は進むそうで、息切れや呼吸困難などの深刻な症状に至らないためにも、肺の老化を防ぐことが重要です。
番組では、ゲスト5人の肺年齢を検査していました。実年齢からどれだけの隔たりがあるかを調べます。

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【出演者の肺年齢ランキング】
1位:岩崎恭子さん(37歳)
2位:香坂みゆき(52歳)
3位:乙葉さん(34歳)
4位:岡田圭右さん(46歳)
5位:布施博さん(57歳)

水泳で鍛えてきたので自信があると言っていた岩崎恭子さん(37歳)が1位だったものの、実年齢プラス2歳という結果にショックを隠せません。それに対し児玉準教授は、肺の若返りはほぼないので、実年齢に近いことは素晴らしいとコメント。

また、結果のよかった香坂みゆきさん(実年齢プラス3歳)と乙葉さん(実年齢プラス8歳)について、日常の肺ケアを比較していました。
まずは、8歳でぜんそくになり、現在でも発症するという乙葉さん。外出時や掃除のときは必ずマスクをしています。また毎日布団専用掃除機をかけ、寝るときはネックウォーマーをしてのどが冷えないよう対策した上で、鼻水や鼻づまり、花粉症に効くとされるユーカリやペパーミントでアロマテラピーも。さらに!においにとても敏感なので1日3回も洗濯するそうです。
ぜんそくの発作のつらさを知っている方なので、ケアに妥協がなく、すごいの一言です。

対照的に、何も対策をしていないという香坂みゆきさん。夫は日に20本の愛煙家で、たばこは絶対やめないと宣言しています。空気清浄機の使用も断念したとのことです。
その香坂さんに対し、内科・皮膚科の友利新医師は、『もともと肺が丈夫なタイプと思われるが、三次喫煙により将来的に大きな健康リスクがあるかも知れない』
と警鐘を鳴らしていました。

たばこに含まれる4000種類の化学物質のうち、200種類が有害物質、さらに60種類以上が発がん性物質なのだそう!肺がん、食道がん、心筋梗塞、脳卒中、神経障害、喉頭がん、認知症、関節リウマチなどたくさんの病気のリスクを高めるのだそうです。

三次喫煙とは?

一次喫煙・・・直接の喫煙
二次喫煙・・・他人の煙を吸う
では、三次喫煙とは何か?
産業医科大学健康開発科学研究質の大和浩教授が解説しました。
壁や洋服に染み付いた臭いから発生する有害物質を吸うことが三次喫煙なのだそうです。

たばこの有害物質は、「粉じん」と「有害ガス」のふたつに分けられ、二次喫煙では両方を吸いますが、

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主に有害ガスを吸うのが三次喫煙なのだそうです。

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有害ガスを吸うと、気管支喘息や化学物質過敏症の人は発作を起こすとのこと。三次喫煙は、直接たばこを吸っていなくても肺や呼吸器に異常をきたす恐ろしいものであることがわかりました。
どんな場所で三次喫煙が起こりやすいのか、番組では大和教授とともに街で調べていました。粉塵計で二次喫煙を、臭いセンサーで三次喫煙の影響を測り、禁煙エリアと喫煙エリアを比較します。

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まず屋外の禁煙エリアでの計測です。

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次に屋外の喫煙スペースで計測していました。粉塵は700で、基準値の20倍に達しました!臭いも禁煙エリアの5倍です。

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喫煙エリアから20m離れた場所でも正常値の3倍近い粉塵を計測し、臭いも高い数値を示しました。
続いて、室内での計測です。元々喫煙所だった場所を2ヶ月前に分煙にした、その禁煙エリアでは、粉塵は計測されないものの、臭いは高い値を示しました。壁に蓄積した長年の臭いで、三次喫煙にさらされていることがわかりました。

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大和教授の経験によると、臭いは3年ほど残るとのことです。
また、喫煙者の息も注意が必要だそうです。喫煙者の喫煙前後の息の臭いを計測すると、喫煙後は値が100も上昇。三次喫煙の影響だと大和教授は指摘します。たばこを1本吸うと、三次喫煙の有害物質がなくなるまで40分も必要なのだそうです。

有害物質は壁や服、カーペット、机、ソファーやクッションなどいたるところに蓄積するので、乳幼児のいる家庭では特に注意が必要だと言います。

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駆け込みドクター!より

換気扇の下で喫煙しても有害物質は3倍、扉を閉めて完全に屋外で喫煙しても2倍と、配慮して喫煙しているつもりでも有害物質は広がっているのです。

さて、ゲストの肺年齢検査で悪かったのが、実年齢プラス12歳の岡田圭右さんと実年齢プラス13歳の布施博さん。

13年前に禁煙に成功した岡田さんですが、運動が足りていないというのが児玉準教授のコメントです。

次に布施さんの肺が老けている原因を探ろうと、日常に密着していました。昨年末の密着では、酒のつまみがたばこで、1晩に吸うたばこの量は1箱。そのときは禁煙宣言したものの止められておらず、現在では喫煙歴37年、1日最低1箱は吸っているといいます。今までのトータルでは、なんと26万本のたばこを吸ってきた計算になるというから驚きです!

階段は上るのが苦しそうな様子。稽古場では禁煙のきまりがあるにも関わらず吸っています。ハードなウォーミングアップの直後にも一服します。夕食の場では、大量飲酒の合間に咳き込みながらもたばこ。

「本数を減らすことは効果があるか?」という布施さんの質問に、児玉準教授は、頑張ってきっぱりとやめるよう促します。それを受けて布施さんは「やめます」と再度、禁煙宣言しました。

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禁煙のメリット

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禁煙をどれぐらいの期間継続すると、どんな効果があるのかが紹介されました。

【禁煙の健康効果】
1-2ヶ月・・・せき・たんの改善
1年・・・COPD患者の肺機能が改善
2-4年・・・心臓病のリスク低下
10-19年・・・肺がんリスクが喫煙者の60%に低下
20年・・・口腔がんリスクが非喫煙者と同じになる

とても大事なのは10-19年で肺がんリスクが低下する点だとのことです。禁煙を始めてから著しい効果が現れるまで、それなりの期間が必要であり、長く続けることの大切さがわかりますね。

さて、COPDという言葉が出てきました。これは「慢性閉塞性肺疾患」のことで、日本の死因で10位、世界では3位という危険な病気です。

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別名「たばこ病」で、長期間の喫煙が原因で気管支の内部が炎症を起こし、進行すると肺胞が破壊されるそうです。そうなると肺がもろくなり、うまく呼吸できなくなります。

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COPDの初期症状は、せき、たん、息切れなど、風邪に似ているため気づきづらいので、早期での自覚は難しいそう。COPD患者全体に対して治療を受けている人はかなり少ないようです。

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長い時間をかけてじわじわと肺の機能を奪います。長く過酷な闘病生活を、実際のCOPD患者は「陸で溺れる感じ」とか「ひどいときは人生を終わらせたい苦しさ」と表現していました。肺に限らず、狭心症や心筋梗塞、Ⅱ型糖尿病、骨粗しょう症、睡眠障害、うつ病と、全身に影響を及ぼす恐ろしい病気なのです。

その対策は、何よりも「禁煙」だそうです。そのほかには、ブロッコリーに含まれる抗酸化物質「スルフォラファン」がCOPDを防ぐ可能性について、友利医師が触れていました。最近の研究で、スルフォラファンが環境汚染物質から肺を保護する遺伝子を活性化することがわかったそうです。

息切れの分類

COPDの症状のひとつが息切れですが、息切れの分類について児玉準教授が説明していました。

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加齢でも当然息切れは起こるものの、COPD患者は年齢に不相応に早く息切れがするのだそうです。「レベル1 平坦な道を早足で歩く」と息切れするようであれば、COPDの目安として要注意だそうです。

さて、番組中では慢性閉塞性肺疾患=COPDが何の略なのか触れられることがなかったので、調べてみました。Chronic Obstructive Pulmonary Diseaseの略でした。Chronic=慢性、Obstructive =閉塞性、Pulmonary=肺の、 Disease=病気、です。

また、COPDに効果のあるブロッコリーに含まれる抗酸化物質として紹介されていた「スルフォラファン」についても調べてみました。抗酸化作用のほかに解毒作用もあり、COPDだけでなくピロリ菌の除去や花粉症、悪酔いやメタボなどさまざまな病気の予防や症状に効果があるようです。成熟したブロッコリーに含まれる量は微量ですが、発芽直後のスプラウト(芽)に含まれる濃度は高いので、スルフォラファンを摂取する目的なら、ブロッコリーを食べるよりブロッコリー・スプラウトを食べたほうがいいようです。(参考サイト: http://www.murakamifarm.com/about/functional/sulforaphane/

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肺年齢の老化を防ぐには

肺の老化現象とは何なのか、東京有明医療大学副学長で呼吸法の権威である本間生夫教授に聞いていました。本間教授によると、呼吸には「残気量」があり、老化によりそれが増えていくと言います。肺は、息を吸うと膨らみ、吐くと縮みますが、吸った息を完全に吐ききれるわけではなく、肺に残った空気が残気量です。

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老化すると残気量が多くなる=呼吸できる量が少なくなるということで、これを「肺の老化」と言うのだそうです。残気量が多いと、息苦しさを感じ、浅くて早い呼吸になると本間教授は解説します。

呼吸筋ストレッチ

この残気量を増やさない方法があるのだそうです!呼吸筋のストレッチ体操をすると、肺の伸縮を行う肋間筋や横隔膜を含む20種類以上の呼吸筋が鍛えられ、残気量が下がるというデータもあり、肺機能が向上するといいます。1回やるだけでも効果が出るというので期待大です。

スタジオではそのストレッチを、東京有明医療大学健康学科の高橋康輝準教授が指導しました。
まず、普通にリラックスして立つ。この時点で手が前に出ていれば、肩甲骨が前に出ていて、息を吸おうにも吸えない姿勢なのだそう。
足を肩幅ぐらいに開き、肩甲骨をしっかり動かしながら、鼻から吸って、口から吐く。

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首を傾けたときにしっかり伸ばすことがポイントだそうです。
続いて、手を胸の前で組み、軽く吐く。お腹の前にボールをかかえるイメージで、吸う。手を胸の前に戻しながら、吐く。

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この一連のストレッチを3回するといいそうです。

まとめ

「せきぐらい」と思っていても、危険な病気の兆候かも知れないことがわかりました。肺がんには初期症状のないものもあるので、改めてがん検診の重要性を感じさせられます。また、「三次喫煙」という用語が取り上げられ、喫煙が肺、ひいては全身に悪影響を与えるものだということも改めて認識させられた特集でした。肺の病気は恐ろしいものですが、呼吸筋ストレッチで老化が防げるというのは、救いでした!

 


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