お酒と胃もたれ・胸焼け対処法、ピロリ菌と頭痛~ゲンキの時間より

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年末年始を始め、一年のうちにはついつい暴飲暴食をしてしまい、胃の調子が悪くなってしまうシーズンがあります。今回は「ゲンキの時間」で特集していた

「胃もたれと胸焼けの仕組みと対処法」
「胃の不調を改善したら治る病」

についてまとめておきます。

何故ビールはたくさん飲めるのか?

お酒の飲み過ぎは、胃もたれや胸焼けの原因の一つです。では、水は一度にたくさん飲めないのに、何故ビール等のアルコール飲料は何杯も飲めるのでしょうか?

東海大学医学部付属病院院長で消化器肝臓センター長の松嶋成志先生によると、水は胃では吸収されませんが、アルコールは胃と腸で吸収されるので胃に溜まりにくいそうです。さらに、アルコールには利尿作用があります。それで、アルコール飲料は、たくさん飲んでも水のようにお腹が膨れることがないのです。もちろん、美味しいということも、たくさん飲めてしまう理由の一つなのだそうです。

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アルコールは胃で約2割、残りが小腸から吸収されます。吸収速度は非常に早く、飲酒してから2時間も経つとほぼすべてが身体に吸収されると言われています。特に、小腸での吸収は非常に早いため、胃に何も入ってない空腹状態でお酒を飲むと飲んだお酒は胃から小腸に一気に流れ込んでいくためアルコールを一気に吸収してしまい、悪酔いするなどの症状が現れます。ツマミなどと一緒にお酒を飲むよう推奨されるのはこのためです。

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胸焼けとは?

胸焼けは、胃酸が胃から食道に逆流することでおこります。なぜ、胃酸が逆流すると胸の辺りが焼けたように感じるかというと、胃は胃自身が出す粘膜によって守られていますが、食道の粘膜では胃酸から食道を守る強さがないからです。番組でも実験していましたが胃酸はコンクリートを溶かしてしまうほど強酸性です。その胃酸が食道に入ってくると炎症を起こしてしまい胸焼けを起こしてしまうのです。

胸焼けの仕組み

番組では、お酒が好きで、週に1回から2回は胸焼けを感じるというTさん(55歳)に協力してもらい、どのようにして胸焼けが起こるのかを調べました。

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ゲンキの時間より

Tさんは酸性の度合いが測れるpHモニターを装着して飲み会に参加しました。飲み会中に酸度が上がれば反応するからですが、実際、この飲み会中に、Tさんの酸度は何度か上がりました
まず、最初は、すでにビールを4杯飲んでいるTさんがゲップをした直後に数値の変化がありました。松嶋先生によると、ゲップをしたことによって胃酸が空気と一緒に胃から食道まで上がってきたからだそうです。

また、アルコールやこってりとした料理は、噴門(食道と胃の境目にあり、胃酸の逆流を防ぐ役割がある)を緩めてしまうそうです。アルコールを飲んで噴門が緩んでいるところに、追い打ちをかけるように甘い食べ物、さらなるアルコールを入れてしまうと、胃酸の分泌量が増え、結果、逆流することが多くなって胸焼けになってしまうそうです。

さらに、暴飲暴食の後で胃を圧迫する行動(靴を履くためにかがむ、カラオケで熱唱する等)をすると胃酸が逆流し胸焼けになります。

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健康な食道と炎症のある食道

健康な食道
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炎症のある(Tさんの)食道
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ゲンキの時間より

二つの画像を比べてみると健康な食道は色の差が少なく引き締まっていますが、炎症を起こしている食道は、胃と食道の境界が赤くなっているのがわかります。
さらに、Tさんの食道の粘膜の一部が、胃酸が逆流しすぎたために胃と同じような粘膜に変わっています。

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ゲンキの時間より

この状態は、バレット食道と言われ、食道がんの原因にもなるので注意することが必要だそうです。

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食道と胃のつなぎ目、接続付近が胃と同じような細胞に置き換わってしまうのがバレット食道です。このバレット食道は実にその8割が食道がんの発生に関係しているといわれる腸上皮化生を含んでいます。かなりリスクのある状態ですから医者にかかって食生活や生活態度の見直しをすることが重要になってきます。

胸焼けの対処法

松嶋先生によると、胸焼けを防ぐには、暴飲暴食を控えることが大切だそうです。また、胸焼けになってしまった場合は、ホットミルクを飲んだり、ガムを噛んだりすると胃酸を中和させる効果があります。

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ガムを噛むことで出てくる唾液は弱アルカリ性です。強い酸性の胃酸(胃液)を中和させる効果をもっており、炎症の程度を軽くしたり防いだりすることが期待できます。さらに、唾液にはアミラーゼというデンプン分解酵素が含まれていますから、唾液が多ければ消化もより早く進みます。胃酸がたくさん分泌される食後2時間以内を目安にガムを噛むのが効果的です。

このように、暴飲暴食による一時的な胸焼けは、番組で説明されていた対処方法で緩和できますが、慢性的な症状(逆流性食道炎等)がある場合は、医師の受診をお勧めします。

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胃もたれの仕組み

胃もたれは、胃の 蠕動運動能力が低下したとき、胃酸の分泌が弱まったときや消化しにくい食べ物をたくさん食べた時に、胃の中に食べ物が長い時間消化されずに残ってしまうことで起こります。

番組では、胃もたれに悩むMさん(44歳)に協力してもらい、飲み会で暴飲暴食をした翌日の胃を内視鏡で調べました。

その結果、Mさんの胃の入り口部分には何もありませんでしたが、胃の奥の方に前日の飲み会で食べたコーンバターが残っていました。
さらに、Mさんの胃の中には炎症を起こしている部分もありました。

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ゲンキの時間より

Mさんの胃もたれの原因は、消化不良とアルコール等による刺激で胃にできた炎症だったのです。

胃もたれの予防方法

松嶋先生によると、食べ物によって消化にかかる時間はかなり違うそうです。

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ゲンキの時間より

ですから、胃もたれの原因となる消化しにくいものを食べるときには、消化を助ける食べ物も一緒に食べることを勧めていました。

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ゲンキの時間より

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大根、山芋、かぶ。
これらの食材には先に出てきたでんぷん分解酵素、いわゆるアミラーゼが大量に含まれており、その働きで消化を促進させると言われています。アミラーゼは上記の食べ物から摂るだけでなく胃腸薬などにも使われています。

また、胃の粘膜を守る成分ムチンを含む食べ物(オクラ、なめこ、レンコン)を食べるのも胃もたれを防ぐ効果があるそうです。

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胃もたれからピロリ菌感染症へ

番組では、胃もたれがピロリ菌感染症へ繋がっていくという話がありました。ピロリ菌は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんの原因になります。胃がんになる人の9割が過去または現在ピロリ菌に感染していた人とのことです。

ピロリ菌を除去すると慢性頭痛や蕁麻疹が消える?

さらに、ピロリ菌が引き起こす病気は、胃の病気だけではないとのことです。

消化器内科医の江田証先生によると、ピロリ菌を除去することで、貧血、慢性頭痛や蕁麻疹等の体の不調が改善することがあるそうです。

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江田証医師は胃のエキスパートで、以下の書籍を著しています。

先生の患者さんの例では、ピロリ菌除菌で貧血が劇的に改善し、薬が不要になった人もいるそうです。実はピロリ菌は、胃が鉄分を吸収することを邪魔するだけでなく、ピロリ菌自身が増殖するために鉄分を吸収してしまう働きがあるそうです。つまり、ピロリ菌が貧血を引き起こす原因になっているわけです。

また、私たちの身体には、ピロリ菌を退治する働きがあるサイトカインというタンパク質の一種が分泌される機能が備わっています。しかし、このサイトカインはピロリ菌だけでなく健康な細胞をも攻撃してしまいます。そしてこのサイトカインが血流にのって全身に巡ると頭痛や蕁麻疹の原因となるそうです。

これだけではありません。ピロリ菌はアルツハイマー型認知症の発症や、動脈硬化・糖尿病を進行させる原因になるということもわかってきているそうです。

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ゲンキの時間より

松嶋先生は、ピロリ菌に感染していた場合は必ず除去してほしいと言っていました。以前と比べてピロリ菌に対する医療機関の対応もかなり変わってきており、最近ではピロリ菌感染症の認定医制度ができたり、ピロリ菌専門外来ができたりもしています。保菌していて良いことはありませんから持っていることがわかっているのであれば早く除菌するにこしたことはありません。

ちなみに、ピロリ菌を除去するためには、胃酸の分泌を抑える薬と2種類の抗生物質を1週間ほど服用することになります。胃潰瘍や慢性胃炎の患者は健康保険が適用されます。ただし、胃カメラによって慢性胃炎と診断されたときのみ保険適用となるので、もし胃カメラを受けずに、ピロリ菌の検査だけを受けた場合には、検査費用を全額自己負担することになります。

まとめ

ちょっとした胃の不調が重い病に繋がっているということがわかりました。外食する機会が多い時期は、胸焼けや胃もたれを起こさないように気をつけたいものです。

 


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