多くの人が悩まされている肩こりや腰のハリ。簡単にはなくなりませんよね。
しかし近年、医学界では「筋膜」に注目が集まり、肩こりなどの症状の改善につながる新たな事実が明らかになっているといいます。さらに最新の報告では糖尿病患者にも有用な側面があるとの指摘も出ています。
そこで今回は、筋膜について特集していた『ゲンキの時間』をまとめておきます。解説は筋膜について詳しい首都大学東京の竹井仁教授です。
筋膜リリースに関する竹井教授の著書としては以下のものが代表的です。
筋膜とは?
まずは「筋膜」についてご説明します。
筋肉の表面を覆うように「筋外膜」という膜が存在しています。
繊維の束がバラバラになってしまわないように筋肉を包み込む役割を果たしています。
イメージしやすいものだと…
ゲンキの時間より
ちょうど、鶏もも肉にある透明の膜が「筋外膜」です。
さらにその上には「深筋膜」という膜があり、全身をまるでボディスーツのように覆っているのだそうです。
これらが今回のテーマである「筋膜」で、肩こりや張りの原因にもなるというのです。
筋膜は伸縮性のある「エラスチン」と伸縮性のない「コラーゲン」によって構成されているのですが、これらが何らかの影響によってねじれ、筋膜自体の伸縮性がなくなるとコリが生じるというわけです。
こり・はりの原因
番組には肩コリ等に悩む3人が被験者として登場。筋膜に詳しい首都大学東京の竹井仁教授に身体をみてもらっていました。
一人目はベーシストのYさん(48歳男性)。竹井教授はYさんの姿勢を指摘しました。
ゲンキの時間より
ベースを弾くときのように背中が反り、右手が前に出ています。
竹井教授が腕に超音波を当てると…
ゲンキの時間より
青い部分がこっている部分です。通常は柔らかいはずの腕の内側が、日頃のベース演奏によってこりきってしまっています。
竹井教授によると、腕の前面がこっている状態だとダイレクトにつながっている肩の筋膜が引きつり、肩こりが生じるのだそうです。
次に登場したTさん(42歳男性)は右腰に張りがあるとのこと。そこで、左右の腰に超音波を当ててみてみると……
ゲンキの時間より
右腰だけ赤い部分(血流の良い部分)がまばらです。
Tさんは学生時代に野球をやっていたそうで、当時のバッティングフォームのクセが全身の筋膜に残ってしまっているのだそうです。
ゲンキの時間より
左右の筋膜のバランスが崩れて、右腰に負担をかけていたのですね。
学生時代にうち込んだスポーツだけでなく、日頃の動作・クセも、筋膜に影響を及ぼします。
例えばカバンを持つ手や重心をかける足、携帯電話を持つ手、そして足を組む際にどちらの足を組むかなど、日常の小さな積み重ねが全身の筋膜のバランスを崩し、コリや張りを生じさせてしまうのです。
様々な動きを、左右交互にすることを意識して生活するようにしましょう。
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続いて登場したAさん(39歳女性)は、背中のこりに悩まされているといいます。
痛みを意識して姿勢が前に傾いているAさんは、この姿勢によって表情にも影響がでているそうです。
顔が前に出っ張ることで顔の筋膜がつっぱり、表情が乏しくなってしまうのです。
ゲンキの時間より
このような症状を改善するために、筋膜の広い範囲でコリをほぐしていく「筋膜リリース」という方法が紹介されていましたので、以下にご紹介いたします。
[sc:アドセンスレスポンシブ ]筋膜リリース
・背中に効果的な筋膜リリース
まず、足を肩幅に開いてテーブルに両手をつき、ゆっくりと両手を前にすべらせます。
ゲンキの時間より
身体は90度にするのがポイントです。
この状態で30秒キープするのを1日3回。慣れてきたら時間を長くするのも効果的だそうです。
・肩こり改善に効果的な筋膜リリース
まず、左足を前に出して、右手をテーブルにつきます。
次に、左手を天井に向かって伸ばし、この状態で15秒キープします。
後ろ足の膝を曲げてはいけません。
ゲンキの時間より
そして、あげている腕の方向に顔と身体をひねり、気持ちよく感じる所で15秒キープ。このとき、指先を見るようにすると、首周りまで伸ばすことができるそうです。
ゲンキの時間より
さらに、その姿勢を維持しつつ肘をテーブルにつけて15秒。
ゲンキの時間より
このとき、置いている肘が肩の内側に入るくらいまでひねるのがポイントです。
ゲンキの時間より
左右1セットで、1日3セット行うとよいそうです。
・顔を若返らせる筋膜リリース
こちらは座ったままでもできる方法です。
まず、両手を肩の高さにあげて伸ばします。肩甲骨を前に押し出すイメージで伸ばし、10秒キープ。
ゲンキの時間より
次に、肩甲骨をうしろにひきつけるように肘をL字にして10秒キープ。このときも肘は肩の高さのままです。
ゲンキの時間より
この状態から、両手を上げてまた10秒キープ。肘は90度のままです。
ゲンキの時間より
この姿勢を保ちつつ、眼と口を大きく開けて5秒キープ。
ゲンキの時間より
そして、腕を前に倒してから、眼と口を顔面の中心に集めるようにして5秒キープ。
ゲンキの時間より
これを3セット繰り返します。
・肩から身体の側面に効果的な筋膜リリース
右手を頭の後ろに、左手を背中の後ろに回して肘を90度に曲げ、肩甲骨を反時計回りに回すイメージで両手を反時計回りに30秒間回し、引っ張ります。
ゲンキの時間より
次に、右足を左足の前で交差させて、身体を左に倒して30秒キープします。
ゲンキの時間より
これを左右おこないます。
毎日続けて、少しずつリリースしていくといいそうです。
まとめ
筋膜は全身つながっているものだと理解することが重要です。
部分にある痛みをとるために、全身の筋膜を正常な位置に戻すイメージで筋膜リリースを行うと良いでしょう。