体臭を防ぐ!「口臭」「足の臭い」「ミドル脂臭」~あさイチより

先日の『あさイチ』は、体臭を特集していました。
番組のアンケートでは、「自分のにおいや、夫の枕のにおいが気になる」という人が約6割にのぼったそうです。
これは、近年注目されている「ミドル脂臭」というにおいで、汗のにおい、加齢臭に次ぐ“第3の体臭”として研究が進められています。ミドル脂臭は30〜40代で特に強くなるのですが、ミドル脂臭を発見した男性化粧品メーカーによると「自分では気づきにくい」という特徴もあるそうで、枕のにおいや枕カバーの変色などで確認するしかないといいますから、気をつけていないと人に「この人くさい…」と思われてしまうかもしれません。
今回はこの「ミドル脂臭」を中心に、気になる体臭についての情報をまとめていきたいと思います。

 

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ミドル脂臭

Oさん(32歳女性)はある日、ご主人の枕のにおいに気がつきました。
Oさんは「夫が私の枕で寝てしまっていたので仕方なく夫の枕で寝た。そうしたらくさくてびっくりした。油っぽいような、あまり嗅いだことのないにおいだった」と話していましたが、ご主人には自覚がなかったそうです。

番組ではこの臭いの原因を詳しく調べるために、においを研究している九州大学工学部教授の林健司氏のもとを訪れ、検査を依頼していました。
枕を見た林氏は「おそらく頭から出てくる臭い成分がついているので、(特殊なカメラで撮影すると)その部分は色が変わって見えると思う」と話し、センサーがついたカメラで枕を撮影していました。

すると案の定、枕ににおいが染み付いていることがわかりました。

林氏によると、緑色に表示されている部分は「ジアセチル」という物質がついていることを示しているといいます。
ジアセチルとは、汗に含まれる乳酸が皮膚の常在菌に分解されることで生じる臭い物質です。これが、ある年代の男性に特に多く発生しているというのです。

その事実は、ある化粧品メーカーが20代から60代の男性800人以上の体の様々な部位を実際に嗅ぐことで明らかになりました。

あさイチより

若い人は「汗のにおい」が強く、40代以降になると「加齢臭」が強くなっていきます。
そして、30代で急激に増えて40代でピークを迎えるのが「ミドル脂臭」です。

ミドル脂臭には後頭部の皮脂が関係していることが分かっています。ジアセチルは、おもに頭頂から後頭部にかけて発生し、皮脂と混ざることでミドル脂臭となります。このように発生部位と鼻が離れているため、ミドル脂臭は自覚がしにくいのです。

さらに、皮脂はミドル世代になると若い頃よりもドロドロになっていくため、洗っても落としにくくなり、枕などに付着しやすくなります。

また、ミドル脂臭には女性の方が気になりやすいという不思議な特徴もあります。
番組で街の人にミドル脂臭のにおいを嗅いでもらうと、女性は強く反応していましたが、男性は気にならないという反応の人がほとんどでした。(ただし、女性でもミドル脂臭が出ることはあるそうですから、注意しましょう。)

mametisiki※ジアセチルとは
ミドル脂臭の原因がジアセチルであることを発見したマンダムの研究によると、以下のような仕組みでジアセチルが発生するそうです。

“皮膚上の主要細菌である「表皮ブドウ球菌」、「黄色ブドウ球菌」が汗中の「乳酸」を取り込んで代謝し、ピルビン酸、アセトインに変化する過程を経て、悪臭を放つジアセチルがつくり出される”

この仕組みを知れば、工夫をしてジアセチルの発生を減らすことができます。
その具体的な方法は後述します。

参考:
男のにおい総研

 

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ミドル脂臭を抑えるには

・皮脂を増やさない方法
ミドル脂臭は、お風呂の入り方で抑えることができます。
日本福祉大学の西村直記氏はスポーツ科学を専門にしており、発汗と入浴について研究しています。
西村氏によると「入浴するときに臭いが気になってゴシゴシと洗う人もいるが、あまりゴシゴシ洗うとそれが臭いの原因になってしまう場合もある」といいます。
西村氏は、

① シャワーのみを浴びた場合
② 石鹸を泡立てて手で洗った場合
③ ナイロンタオルでゴシゴシ洗った場合

の3パターンで皮脂の変化を比較しました。
入浴後1時間ごとに皮脂の量を測定したところ…

あさイチより

シャワーのみの場合は洗った直後でも皮脂が残っていて、時間が経つにつれて増加していきます。泡で洗った場合は増え方が緩やかになります。

しかし、ゴシゴシ洗ってしまうと、最初はきれいに皮脂が落ちていますが、2時間後にはシャワーだけの場合以上に皮脂が急増してしまいます。

皮脂は体にとって不要なものではなく、肌を守るバリア機能も果たしているので、ゴシゴシ洗ってたくさんとってしまうと肌を守ろうとしてより多く分泌してしまうのです。

・ジアセチルを減らす方法
におい専門のクリニックを開く五味常明氏によると、人間の皮膚は弱酸性であれば雑菌が繁殖しにくいため、食用のクエン酸粉末をスプーン2.3杯ほどお風呂に入れて入浴すればジアセチルの発生を抑えることができるそうです。 (大理石など特殊な石でつくられた浴槽の場合は石のカルシウム成分が溶けてしまうため注意が必要です。)
ミドル脂臭は細菌が乳酸を分解してジアセチルを作るわけですから、皮膚表面の細菌が少なければミドル脂臭を抑えられるというわけです。
浴槽から出た後にシャワーを浴びても皮膚の表面は弱酸性のままなので大丈夫だそうです。

クエン酸は食品から摂ること も有効です。

あさイチより

上の図のように、クエン酸は基本的に酸っぱい食べものに入っています。ミドル脂臭は疲れている時に出やすいという特徴もあるので、疲れも取れて一石二鳥です。

・ミドル脂臭と加齢臭の違い
両者には出る場所に違いがあります。

あさイチより

加齢臭は皮脂が影響するという特徴があるので全身から発生する可能性があります。このため年代によってお風呂で洗うときに意識して洗うべき場所が変わるということです。(どちらの場合も、ゴシゴシ洗うことは逆効果になります。)

 

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口臭

口臭も多くの人が気にしているにおいです。
口臭は様々な原因で発生すると言われてきましたが、最近の研究によって原因はほぼ2つに絞られることがわかってきました。

3,000人以上の患者を診察してきた鶴見大学の中川洋一氏によると「口臭は歯周病が原因、とよく言われるが、それはかなり少ない」といいます。
口臭の原因としていちばん多いのは舌の汚れである「舌苔」で、次に多いのが歯の汚れである「歯垢」だそうです。

中川氏は患者の呼気を採取し、専用の機械で成分を分析しました。その機械では口臭の原因となる3種類 のガスの量が表示され、そのうち1つでも基準を上回ると「口臭あり」という判定になります。この機械を使った検査で「口臭あり」という判定が出た人がしっかりと歯を磨いてから再び測定すると、およそ2割の人が「口臭なし」という判定に変わったそうです。

中川氏によると「歯磨きで口臭がなくなったということは、歯の表面についているプラーク(歯垢)が除去されて臭いがなくなったということ」だそうです。歯を磨いても口臭ありという判定が出た人は、歯科衛生士に舌の汚れをとってもらった上で再び測定をしました。すると、ほぼ全ての人が「口臭なし」と診断されるようになったそうです。
この結果から、口臭のある人の2割は歯垢が原因、8割は舌の汚れが原因ということが明らかになったのです。

だからといって、舌の汚れを落とす際に歯ブラシでゴシゴシと落とすのは良くありません。正しいやり方をしないとむしろ口臭が上がってしまうといいます。

実際に口臭がある人に歯ブラシで舌を磨いてもらってから測定してみると、3つのガスのうち2つの値が上昇していました。これは、中川氏によると「舌の表面の汚れが落ち着いた状態だったのに、歯ブラシで擦ることによって巻き上がってしまたったため」だそうです。

そこで中川氏が勧めるのは、濡らしたガーゼによる舌の掃除です。濡らしたガーゼを指に巻きつけ前後左右に丁寧に拭き取ります。

あさイチより

朝1回きれいにしておけば、夕方まで他人にわからない程度の口臭に抑えることができるそうです。
様々な専用ブラシ等も販売されていますが、中川氏によるとガーゼの素材に近いものがいいそうです。

歯磨きをすることが難しい場合

食後すぐに歯磨きをするのが1番いいのですが、職場や外出先では難しいということもよくあります。そんな時に簡単にできるのが、今話題の「毒出しうがい」です。

歯科医の照山裕子氏は「食べかすが口の中に残っているということは、台所に生ごみをためているのと一緒。次第にヌメヌメした汚れになってにおいが発生する」と説明していました。

下の画像は、歯磨きをしている人の口の中の歯垢に着色したものです。

あさイチより

普通に磨いていても、このようにびっしりとついていることがわかります。しかし、歯磨きに加えて毒出しうがいを1週間続けると…

あさイチより

だいぶ歯垢が減ったことがわかります。

毒出しうがいのポイントは、小刻みに強く音を出しながらやることです。
「汚れを落とすには圧力が大事。音をしっかりと立てながらやる方が効果的」だそうで、歯に水を強く当てるイメージで上下右左それぞれ10回ずつゆすぐようにします。
イカスミパスタを食べた後に、普通のうがいをした場合と毒出しうがいをした場合を比較すると…

あさイチより

これだけ差が出ます。
緑茶で毒出しうがいをするとさらに良いそうです。カテキンの抗菌作用とフラボノイドの消臭効果が期待できるためです。ただし、やりすぎると茶渋で歯が着色してしまう可能性があるので1日1回にしましょう。

食後の口のにおい

ニンニクやお酒を飲んだあとなどは、口の臭いが気になると思います。
東海大学理学部の関根嘉香教授によると、食事の後のにおいは口以外からも出ているそうです。

「体の皮膚の表面からも様々なガスが出ている。これは皮膚ガスと呼ばれていて、体臭のもとになる」

摂取した飲食物は分解され臭い成分を生成します。それが血液に混じって全身を循環する中で皮膚から出てくるものが皮膚ガスです。関根氏によると「食べた後の口臭はわりと早く減衰していく。およそ1時間で減衰していくが、皮膚ガスの場合はじわじわと長時間にわたって出てきて、例えばニンニクのにおいは24時間出続ける」といいます。
関根氏は飲食後の口臭と皮膚ガスの変化を測定しました。被験者にお酒とニンニクを摂取してもらい、1時間ごとの口臭の変化を測定しました。さらに、特殊な吸着素材を皮膚につけて皮膚ガスも採取しました。お酒の場合、口臭は1時間後には人が気づくレベルを下回りましたが、皮膚ガスは5時間後まで他人が気づくレベルの匂いが続いたそうです。ニンニクは10時間後でも人に気づかれるレベルの皮膚ガスが出ていたといいます。

においを減らす、食べ合わせ

においが気になる物を食べた後に他のものも一緒に食べてごまかそうとしたことがあると思います。例えばカレーライスの後に牛乳を飲んだり、ビールを飲んだ後にコーヒーを飲んだりなどがよく知られています。
しかし、関根氏によるとそれは逆効果になることもあるそうです。
「カレーのにおいはクミンアルデヒドという物質が原因なのだが、これは牛乳を飲むと皮膚から出てくる量が増えてしまう。また、飲酒によるアセトアルデヒドの放散量はコーヒーを飲むと増えてしまう」とのことでした。

しかし、以下のような食べ合わせなら、気になるにおいを抑えることができるそうです。

お酒+しじみの味噌汁
…お酒を飲んだあとにしじみ汁を飲むと、1時間後の皮膚ガスの量がおよそ3分の1になったそうです。

ニンニク+牛乳
ニンニクを食べた後に牛乳を飲むと、1時間後には人が気づかないレベルまでにおいが落ちたそうです。

足の匂い

足の臭いの原因物質が特定されたのは最近のことです。
それを突き止めた製薬会社は、靴下とこもりやすい靴を履いた被験者に45時間普段通りの仕事をしてもらい、その後足の指の間に脱脂綿を挟んでさらに23時間を過ごしてもらう、という実験行いました。脱脂綿と靴下を回収してにおいを6段階に評価し、さらに、脱脂綿を専用の機械にかけて成分を分析しました。
その結果、臭いの強さと含有量が比例していたことから原因物質に特定されたのが「イソ吉草酸アルデヒド」という物質でした。
さらに研究を続けた結果、足の角層に含まれるアミノ酸と、皮膚の常在菌に汗が加わってこの物質が発生することもわかりました。

足の臭いの対策として、心がけるべきことは2つあります。
1つは角質をケアすること。
足にいる細菌が角質のアミノ酸を餌にして匂いを作ります。細菌に餌をやらないことがポイントになりますから、角質を適度にとっていくようにします。軽石でゴシゴシ洗うことは逆効果で、角質が厚くなってしまいますから、あくまで優しく洗うようにしましょう。
2つ目のポイントが蒸れです。
蒸れを作るのは靴です。靴の湿気をとるのに効果的なものとして紹介されていたのは使用済みの使い捨てカイロでした。カイロには活性炭などが含まれているため除湿や消臭の効果があります。ない場合は、お菓子の乾燥剤をガーゼなどに包んでまとめて靴の中に入れてみましょう。
同じ靴を続けてはかないことも対策になります。足は1日にコップ一杯分くらいの汗をかきます。その水分が靴に移るため、続けて履くとどんどん蒸れやすくなるのです。
理想は靴を3足用意して、三日間ローテーションで履いていくようにすることです。
靴下の素材もポイントになります。むれないような素材のものが出ていますし、天然のものでしたらウールが蒸れにくいそうです。

季節で変わる汗の性質

春先の汗は量が少なくても1番においやすいという性質があります。
冬の間はずっと汗をかいていないため、汗を出す「汗腺」の機能が落ちていて、乳酸などの成分濃度の濃い汗を出してしまうといいます。
これを防ぐためには、汗腺を普段からトレーニングしておく必要があります。
浴槽に43度ほどの熱めのお湯を、膝下がつかる程度の水位まで張ります。
浴槽椅子を入れて座り、膝から下を重点的に温めます。
それから、両腕の肘から先をお湯につけて10分ほどつかります。

あさイチより

こうすることで、のぼせることなく全身に汗をかくことができます。
その後は、ぬるめのお湯を足して、37度程度で10〜15分ほど入浴します。半身浴でも全身浴でもいいそうです。
お風呂上がりは、扇風機等に当たらず自然に汗を蒸発させるようにします。
春先に2週間ほどこれを続ければ、においにくい汗を出すことができるでしょう。

mametisiki※汗ができる仕組み
汗腺(エクリン腺)には、血液を原料として汗のもとをつくる「分泌部」という部位があります。ここで、血液から赤血球などを取り除いた「血漿(けっしょう)」という液体から汗のもとをつくり、皮膚表面に運ばれる途中の管(導管部)でミネラル等を吸収してから、汗として皮膚表面に排出します。
汗腺の機能が落ちている状態というのは、導管部でのミネラル等の吸収が十分にされない状態のことです。
ミネラルは体にとって必要な物質で、それが汗として出ていってしまうことにもなりますから、先述のように入浴で工夫をしたり、日頃から運動をして汗を出すようにしたりすることが大切です。

参考:
汗の基礎知識

まとめ

今回はにおいに関する常識が覆るような情報が多く紹介されていました。
どんな臭いも日常生活の中でしっかりと対策をすれば、気になるにおいも少なくすることができるということですから、今回ご紹介した情報を参考にしてにおい対策に取り組んでみてください。


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