血圧が高めの人にとって、冬は危険なシーズンです。
気温が下がると血圧が上がるので、冬から春にかけての時期は脳卒中や心筋梗塞の発生件数が急増します。
自覚症状がないからと油断していると日々血圧の急上昇を繰り返してしまい、知らないうちに血管がボロボロになっているかもしれません。
そこで今回は、10分で血圧を下げるテクニックなど血圧に関する情報を紹介していた『健康カプセルゲンキの時間』をまとめておきたいと思います。
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血圧について
血圧とは、心臓から送り出される血液が血管の壁に与える圧力のことです。
必要以上に勢い良く血液が流れ続けると血管壁がダメージを受けます。それを修復することで壁が厚くなっていくのが動脈硬化で、動脈硬化が進行していくと脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まります。
高血圧の基準値は以下の通り定められています。
・病院で計測したとき…上140〜 下90〜
場所によって基準値が変わるのは、緊張して血圧が上がることを考慮に入れてのことです。(病院で測ると血圧が上がることを「白衣高血圧」と言います。)
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生活の中で血圧が上がるタイミング
日常生活の中でいつ血圧が上がるかを見るために、以下の2名を被験者として24時間を通して血圧を計測していました。
・男性(46歳)上190、下111
・主婦(52歳)上140,下98
その結果を東京女子医科大学東医療センターの渡辺尚彦氏がチェックすると、血圧が急上昇する際の共通点が見えてきました。
・外出
急に寒いところに行くと血圧が上がる理由について渡辺氏は「血管が開いたままだと熱が放散してしまう(体温が奪われてしまう)ので、逃さないように血管が閉まって血圧が上がる」と説明していました。
ですから外出時の温度差には気をつける必要がありますが、マフラーなどをしてしっかりと防寒しているつもりでも血圧が上がってしまうことも多いそうです。それを防ぐために、外出する30分前から首にマフラーを巻いておくようにしましょう。
手足には動静脈吻合という動脈と静脈がつながる場所があるのですが、首にはその血管を開くセンサーがあります。外出前から首のあたりを温めておくとそのセンサーが「温かい」と感じて末梢の血管まで開いてくれるため、外出の際の血圧の急上昇を抑えることができるそうです。
帰宅時もすぐに上着を脱がずに、暖房をつけて30分くらい経ってから上着やマフラーなどを外すようにした方がいいそうです。
洗濯物を下ろすためにベランダに出るなど、ほんの数分の“外出”でも、Tシャツに裸足などの格好で外に出てしまうと危険です。必ず上着を羽織って、靴下や履物を履くなどして外気に身体を晒さないようにしましょう。
・ストレス
主婦の方は夕食の献立を考えるだけでもストレスで血圧が上がっていました。
特に夕食は家族が帰ってくることもあって焦りなどで血圧が上がりやすいそうですから、予め数日分の献立を考えておくなどするとよいでしょう。
渡辺氏はストレス対策として、ゆっくりと息を吐く呼吸を推奨していました。「ゆっくり息を吐くと静脈から心臓に戻る血液の量が減る。すると心臓から出る血液の量も減るので、血圧が下がる」といいます。仕事などで緊張する場面でも、息を大きく吐くことを意識するとリラックスできるそうです。
・盛り上がったとき
カラオケや打ち上げで盛り上がったときなどにも血圧が高くなっていました。
渡辺氏によると、あまりお酒を飲みすぎないことが重要だそうです。
お酒は飲みはじめて1〜7時間は血圧が下がるのですが、翌朝には逆に血圧が上がってしまいます。
しょっぱいおつまみが多いと喉が渇いて酒を多く飲んでしまいがちなので、おつまみは塩気の少ないものにするとよいそうです。
・脱衣所
寒い場所で脱衣すると、血圧が急上昇します。
入浴時の心肺停止発生件数は1月が最も多くなっています。
脱衣所にヒーターがない場合は、シャワーを出してから脱衣所で脱ぐようにしましょう。湯船にシャワーをかけて蒸気を脱衣所に充満させることで温度を上げることができます。
お風呂からあがる前にも、戸をあけて暖気を脱衣所に送り込んでおくとよいそうです。
・夜目覚めたとき
主婦の方は、夜に目覚めてトイレに行くときにも血圧が上がっていました。
渡辺氏は「排尿だけでも血圧が上がる。また、トイレの室温(が血圧を上げる)。いきなり寒いところに行くので」と話していました。夜中にトイレにいくときも必ずスリッパを履き、上着を羽織るようにしましょう。
ちなみに、トイレの電気をつけ放しにしておくだけでトイレの室温は上がるそうです。つけたままでも月の電気代に+80円くらいだそうですから、高血圧の人は実行してみてください。
・目覚め
1日のなかで血圧の変動がもっとも大きいのが朝です。
朝は就寝中に下がった血圧が急上昇します。しかも、寒い冬は血管が収縮しているので、より上がりやすい状況になります。
そのため、心筋梗塞の発生率が最も高いのが起床後1時間以内となっています。
朝はすぐに布団から出ないで、布団の中で横になったまま2〜3分手足をゆらゆらと動かし、血圧循環を良くしてから起き上がるようにしましょう。
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高血圧の種類
高血圧の原因の9割は「本態性高血圧」という、いまだに原因がよくわかっていない高血圧です。遺伝や生活習慣(塩分のとりすぎ等)、ストレス、運動不足、肥満、加齢などが関係していると見られているそうです。
それ以外には、腎臓やホルモン異常などが原因で起こる「二次性高血圧」というものもあります。
渡辺氏は、自分で血圧を計測する際には「脈圧」に注目すべきと指摘していました。
脈圧は、上と下の血圧の差をいいます。これが60以上ある場合は、動脈硬化が進行している可能性があるそうです。脳梗塞や脳出血が起きるリスクが高くなっているので、病院を受診するようにしましょう。
血圧を低下させる方法
「合谷(ごうこく)」というツボを押すと、血圧を低下させることができるそうです。
少し痛みを感じる程度の強さで押すと、上半身の血管が開いて血圧が下がっていきます。
1日3回、左右5分ずつ押すようにしましょう。
渡辺氏の患者さんの中には、これを毎日実行して2ヶ月後に24時間の血圧の平均値が4ミリ下がった人も居たそうです。
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まとめ
高血圧はこれといった原因が無いことも多く、はっきりとした自覚症状も感じにくいため、対策をとられないまま悪化していきやすい疾患です。
今回紹介されたような日常生活の中での心がけを意識して、心筋梗塞などに至らないようにしましょう。