血管性認知症の原因は白質病変~たけしのみんなの家庭の医学”認知症予防の新発見!”より

近年相次ぐ高速道路での逆走事件、その数は昨年だけで224件に上りました。警察庁の分析によると、なんとこのドライバーの12.1%に認知症の疑いが確認されたそうです。

現在、認知症患者は年々増加しており、このままのペースだと10年後には65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症になるとの報告があります。

 

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血管性認知症とは?

そんな認知症の中で最も多く、全体の50%を占めるのが、脳が萎縮してしまうアルツハイマー型認知症です。そして、それに続いて現在急増しているのが、全体の30%にあたる血管性認知症です。

ただ、この30%という数値には疑問の声もあるようです。

番組内では認知症全体の30%が血管性認知症とされていたが、医師の診断レベルが低かったときに言われていた数字であり、現在は約20%前後ではないかと説が一般的であり、割合としてはむしろ減少傾向と言えそうだ。

認知症ねっとより

減少しているのであれば良いことですが、それでも20%程度はこのタイプということですから少ないとはいえなさそうです。

この血管性認知症とは脳梗塞や脳内出血などの血管の老化に伴って起こる認知障害です。主な原因は喫煙などの生活習慣の乱れや加齢であり、近年、この血管性認知症の急増が問題視されています。

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血管性認知症の早期発見には

近年の研究により、そんな血管型認知症を起こす一歩手前の血管の状態が徐々に解明されてきました。これによって、その前触れとなるサインもわかってきました。

番組では認知症予防法の一つとして、前触れとなる脳内の白質病変を紹介しています。

物忘れが気になる方は、ぜひご覧下さい。

 

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脳の白質病変

血管性認知症や脳梗塞を起こす前触れとして、脳の白質病変というものができているそうです。

この認知症の初期症状といわれる白質病変がある場合、脳のMRIは下の図のように脳の一部が白くなってしまっているのです。

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『たけしのみんなの家庭の医学』より

この白質病変について、物忘れの自覚のある50代〜70代の男女12名に対して番組でMRI検査を行ったところ、なんと12名全員の脳に白質病変が確認されたのです

では、どうすればこの白質病変の存在に気づくことができるのでしょうか。

最近、このような白質病変がある方には、ある特徴的な認知機能障害が出やすいということが分かってきました。

白質病変のある脳の状態とは・・・

白質病変は脳の細い血管のレベルで起こると言われています。

細い血管が硬くなると、自由に収縮・拡張の調整ができなくなり、血流が滞ってしまいます。そうすると脳に酸素が行き渡らずに、その血管部分の水分が外ににじみ出ていきます。

MRIの検査による白質病変はこの異常を捉えているのです。
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白質病変ができやすいのは、脳の深い部分であり、そこには神経細胞と神経細胞をつなぐ神経線維が張り巡らされています。血流が滞ると、この神経線維の働きが低下し情報が伝わりづらくなることで、物忘れなどの症状が現れます。

この白質病変に気づかずに放置すると、徐々にその範囲が拡大し、認知症を発症してしまいます。だからこそ、白質病変はその初期段階で発見することが大切です。

 

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白質病変による特徴的な物忘れ

では初期の白質病変による特徴的な物忘れ症状とはどのようなものなのでしょうか?

ある69歳の男性は、現在もサラリーマンとして勤務しており、趣味の宝くじとカラオケなど普段から精力的に活動しています。カラオケの歌詞も暗記しているこの男性ですが、ドリンクバーを入れにいく際に、行きつけのカラオケ店の階段の位置が分からなくなってしまいました。さらに、帰宅しようと部屋を出ると、再び階段の位置がわからなくなってしまったのです。

都内で宅配サービスの仕事をしていた別の男性も、ある日突然、道路マップを見ても目的地にたどり着くことができなくなってしまいました。車の運転は問題なくできるのに、地図を見るとどう回っていいのかわからなくなってしまうのです。

このような症状が、白質病変による初期症状の特徴である“まだら物忘れ症状”です。

上記の2名の男性の例では記憶力、判断力、計画力、空間認識力という4つの認知機能のうち、道順が分からなくなるという空間認識力だけが低下していました。

このようにある認知機能だけがまだらに低下する、まだら物忘れ症状こそが白質病変による特徴的な症状なのです。できることは残っているが、これはできなくなってきた、というように個人個人によって様々な認知機能の低下の仕方を示します。

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白質病変2つめのサイン

さらに、白質病変にはまだら物忘れ症状以外にも2つのサインがあります。

その1つが“ちょっとした段差につまずいてしまう”ことです。

人は歩く時に、障害物を目で見て、どれくらいの高さに足を上げて障害物を越えるか、瞬時に脳でイメージします。この目で見て、脳で考えて、動く、という連絡が白質病変によって阻害されるのです。

そのため、白質病変があるとちょっとした段差でもつまずくようになってしまいます。

白質病変3つめのサイン

白質病変があるときの3つめのサインは“食事の時に咳き込む”ことです。

通常であれば、食べた食事は食道を通って胃へと流れていきます。しかし、白質病変があると、口の中やのどの奥の機能が低下してしまい、食事が食道ではなく気管へと入っていってしまうのです。こうして、誤嚥を起こすことで、食事の時に咳き込んでしまいます。

この誤嚥は誤嚥性肺炎と呼ばれる肺炎の原因になり、お年寄りに非常に多いです。

このように、白質病変の早期発見には

①まだら物忘れ症状
②つまずき
③食事の時の咳き込み

に気をつける必要があります。

 

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高血圧に注意

白質病変は50歳くらいから少し出始め、60代以上で増加していきます。白質病変ができない人もいますが、日本人であれば約70%には白質病変ができてしまうそうです。

このように多くの人にできてしまう白質病変は乱れた生活習慣が原因であるとされています。中でも特に注意が必要なのが高血圧です。

白質病変の進行をストップし、認知症を予防するのには血圧を下げる必要があります。

そのためには、まず1日合計30分の散歩が効果的です。これは10分ずつを3回でも構いません。そうして運動をしていくことで、効果的に血圧を下げることが可能となります。

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地中海料理を食べると良い?

白質病変の進行をストップさせる方法としてもう1つ、食事による対処法も紹介されています。

2012年、アメリカのマイアミ大学がニューヨークに済む1000人以上の食生活を調査し、“地中海料理をよく食べる人には白質病変が少ない”という注目の研究成果を発表しました。

地中海料理といえば、パスタやパエリア、ブイヤベースなどが挙げられます。この地中海料理が白質病変に有効なのだそうです。

地中海料理の特徴は以下の3つです。

①オリーブオイルを使用
②魚介類が多い
③クルミなどのナッツ類が多い

このオリーブオイルやナッツ類に含まれるオレイン酸や魚介類に多く含まれるDHA・EPAが、高血圧や動脈硬化などの改善効果がみとめられている栄養素です。

これらの相乗効果で、地中海料理は白質病変の予防改善に役立つと考えられているそうです。

この地中海料理を毎日食べるということについて、あまり難しく考える必要はありません。私たちが普段食べている魚や野菜をしっかり食べること、そこにオリーブオイルやナッツ類をプラスしていくことで、地中海式の料理に近づくことができるのです。

 

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白質病変による認知機能低下を改善できるのか?

番組では実際に、1日合計30分の散歩と地中海料理で、実際に認知機能低下を改善出来るのか、検証を行いました。

対象となったのはMRI検査で白質病変が8個見つかった69歳の男性と2個見つかった54歳の女性の2名です。

まず、この2名に言語の記憶能力や情報処理の速さ、記憶の思い出し能力、判断力、抑止力、空間認識力、作業記憶力などの実際に医療現場で行われている13項目の検査をしてもらいました。

69歳の男性がクリアできたのは8項目のみであり、5項目は実年齢よりも認知機能が低下していました。また、54歳の女性も13項目中2項目で実年齢より低下している結果となりました。

ともに初期の白質病変による認知機能低下が疑われる結果です。

この2名に10日間、合計30分の散歩と3食の地中海料理を毎日続けてもらいました。

地中海料理については栄養士の先生のアレンジをもとに、
・いつものサラダにツナ(EPA)とヒヨコ豆(オレイン酸)を加える
・手製ドレッシングにもオリーブオイルを加える
・パンにもオリーブオイルをつける
・いつものパスタにアサリを入れ、ボンゴレ風にアレンジする
・パエリアにお好みの青魚を入れる

などの工夫を行いました。

10日後に再びテストを行うと、69歳男性は5/13項目のクリアから12/13項目のクリアへと改善、54歳女性も13項目すべてクリアとなりました。また、その他の多くの項目も、軒並み20代〜30代の認知機能へと若返っていたのです。

このように
①1日合計30分の散歩
②地中海料理を食べる

ことで、見事に白質病変による認知機能低下が改善しました。

物忘れにお悩みの方は、ぜひお試しください。


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