スポンサーリンク
同じように生活していても、毎日ちょっとずつ変化している私たちの身体。
その変化の中で、本人でも気がつかないくらいの小さな変化を教えてくれるのが「おしっこ」です。その日食べたものや体調によっても尿は変化を見せますが、重い病気が体内で進行していることを知らせる場合もあります。
今回は、尿の異変から病気の存在を知る方法について特集していたテレビ東京『主治医が見つかる診療所』をまとめておきたいと思います。
異様に泡立つおしっこ
Iさん(74歳男性)は18年前、経営していた会社の事業拡大のため、昼夜を問わず仕事に打ち込む日々を送っていました。
そんなある日、トイレでおしっこをしているときに異変に気づきました。
おしっこをすると、トイレの水が泡立ってしまったというのです。
1センチほどの泡が重なりあうような感じで、粘り気が強く、流そうとしても流しきれないほどのしぶとい泡だったそうです。
今になって思えば実はその約3ヶ月前から身体に異変は出ていたそうで、身体がだるくて節々がこわばるような症状や、拳が握れないなどの症状が出ていたといいます。
それでも当時は、“若いころにやっていた柔道で身体を酷使したから、その後遺症かな。じきに治るだろう…”と考えてしまって、病院には行かなかったそうです。
しかし、その判断が間違っていました。
症状は次第に重くなっていき、一人で布団から起き上がることさえ出来なくなってしまったIさんはようやく病院を受診。そこで「腎臓ネフローゼ症候群」と診断されました。
腎臓ネフローゼ症候群とは、腎臓内の細い血管の壁がもろくなり、そこから血液中のタンパク質が尿に漏れ出してしまう病気です。進行すると腎臓が十分に働かなくなり、体内の老廃物を外に出せなくなってしまうという重病です。
おしっこが泡立っていたのは漏れだしたタンパク質が原因であり、腎臓ネフローゼ症候群に罹っている“サイン”だったのです。
それに気が付かなかったIさんは、病院を受診した段階で、人工透析の一歩手前でした。人工透析とは、血液中の余分な水分や老廃物を尿として排出出来なくなってしまった人の血液を機械に通して、ろ過してから体内に戻す治療です。週3回程度、1回あたり4〜5時間の治療が一生続くことになるので、少し病院に行くのが遅れていたら大変なことになっていました。
Iさんのように、自分が腎臓病になっていることに気がついていない人はとても多いそうです。
現在、日本には推定1330万人の「慢性腎臓病」の患者がいると考えられており、これは日本人の成人のおよそ8人に1人の割合です。
「慢性腎臓病」とは、タンパク尿などの異常や腎臓のろ過機能の低下が3ヶ月以上続くもののことで、これに分類される病気には以下のものなどがあります。
主治医が見つかる診療所より
毒素をろ過する腎臓の働きが健康な人の3分の1になった状態は「腎不全」と呼ばれ、さらに1割以下になると人工透析が必要になってくるそうです。先述の通り、いったん人工透析が必要になると、一生透析を受け続けなければなりません。
現在、人工透析患者数は約32万人いて、毎年4千〜6千人ずつ増えているのですが、その詳しい原因はわかっていません。高脂肪食や運動不足、過度の飲酒、喫煙などが危険因子と考えられています。
スポンサーリンク
どんな泡立ち方が要注意か
誰にでも“おしっこが泡立っているなぁ”というときはあると思いますが、
時間が経っても泡が消えない
水を流しても流れない
というような泡の時は要注意です。
腎臓から漏れだしたタンパク質は「アルブミン」という物質で、たとえば鶏の卵の卵白を構成している、とても粘り気のある物質です。卵ご飯を食べた後の茶碗や卵をかき混ぜたボールなどは、粘り気がいつまでも残るのでとても洗いづらいですよね。あの粘りがおしっこに混ざっているために泡が消えにくく、流れにくいのです。
座ったまま排尿をする女性でも、タンパク尿の場合は泡立つ事が多いそうです。
ただし、タンパク尿は様々な原因で生じ得るもので、高熱が出たあとや激しい運動のあとなどにも、一時的に出ることがあるそうです。そういう心当たりがまったく無いにも関わらず何日も続けてタンパク尿がでるときは、必ず病院を受診してください。
気になる方は、尿をカップなどに採取し、時間を置いても泡が残ってしまうかどうかを観察すると良いそうです。
スポンサーリンク
まとめ
もともと、尿はさまざまな要因で様子が変わるものなので、身体から発せられる異変の“サイン”も、見逃しやすいかもしれません。
しかし、発症してからでは手遅れになるような大病を知らせてくれるものでもありますから、今回得た知識を頭の片隅に置いておくとよいでしょう。
今回ご紹介したこと以外にも、おしっこからは様々な情報を読み取ることができます。
気になる方は、「おしっこの色が赤い・黒い~IgA腎症(腎臓病)~主治医が見つかる診療所より」の記事もあわせてご覧ください。