「眠らないといけないのに、どうしても眠れない…」
こういった経験は、どなたにもあることだと思います。
しかしこれが何ヶ月も続くと「不眠症」となり、健康に影響をおよぼすようになってしまいます。
そこで今回は、夜に寝つけない時の対処法を紹介していたNHK『きょうの健康』をまとめていきたいと思います。
不眠とは
「寝つけない」
「途中で目覚める」
「目覚めが早すぎて、しかも二度寝できない」
などの状態を不眠といいます。
これらは多くの人が経験することで、普通は数日から2週間ほどで自然に治ります。
しかしこれが慢性化する(3ヶ月以上続く)と、日中のひどい眠気や心身の不調によって仕事や家事に支障が出てくるようになり、「不眠症」と診断されます。
不眠症の人の睡眠を可視化した図を見てみると…
きょうの健康より
緑の部分は睡眠状態で、青の部分は目覚めている状態です。
寝床に長くいるわりに、眠っている時間が短いという特徴が見て取れます。
このような不眠が続くようになると、「今日もまた眠れないのか…」という不安や焦りが出てきて、更に眠れなくなります。
不眠を克服する方法
番組に登場した国立精神・神経医療研究センター部長の三島和夫氏は、不眠症の治療法として「認知行動療法」を紹介していました。眠りに対する強迫観念や思い込みを治し、その人の体質にあった寝やすい睡眠習慣を少しずつ見つけていく方法です。
睡眠を記録する
きょうの健康より
このような項目を記録することで、その人の睡眠習慣の問題が少しずつ見えてきます。そうして問題を把握した上で、以下の“3つの作戦”を実行します。
三島医師は不眠に関する多くの著書を出していますが、レコーディングダイエットならぬレコーディング快眠法という本も出版されています。
睡眠習慣を変える3つの作戦
三島氏は、睡眠習慣の改善方法として以下の3点を掲げていました。
きょうの健康より
1、寝床にしがみつかない
「寝床にしがみつかない」ことを実行するには、眠くなるまで寝床に入らないことと、10分間眠れなければ寝床から出る(寝室から出る)ことを心がけるべきだそうです。
不眠症の人にとって、寝床は眠れなくてつらい思いをする場所になってしまっています。すると寝床に行こうと考えるだけで、緊張感で目が醒めてきてしまいます。
本当に眠くなるまで寝床にいかないようにすることで、いわば“眠れた実績”をつくることができ、「寝床は眠れる場所だ」と自分を安心させることが出来るのです。
2、睡眠効率アップ
「眠っていた時間」を「寝床にいた時間」で割った数値を「睡眠効率」と呼んでいるそうです。
不眠症の人の例を見ると、このようになっています。
きょうの健康より
こうして睡眠効率を割り出したら、次に、「寝床にいる時間」を「眠っていた時間+30分」に制限します。
きょうの健康より
これで1週間様子を見ます。
1週間の睡眠効率の平均をとって85%以下であれば、まだ寝床にいるのが長すぎるということなので、さらに就床を30分遅くします。
90%以上であれば睡眠が改善されているということなので、就床を30分早くします。
85〜90%なら現状を維持します。
その変更した就床時間をさらに1週間続けて様子を見て見直し、また1週間続けて…というふうに続けていくことで、睡眠効率の上昇を目指します。
3、リラックス(筋弛緩法)
就床の直前に行う、カンタンな体操のようなものも紹介されていました。
まず、椅子に浅く腰掛けます。足の幅は肩幅程度で、膝は垂直の状態にしておきます。
拳を七分くらいの力で握って体に引き付け、肩をギュッと上にあげて5秒間キープします。
そうしたら力をふっと抜いてリラックスし、リラックス状態を20秒間保ちます。
次に、椅子に深めに座って背もたれに背をつけます。
足を伸ばして宙に浮かし、上げられるところまで上げて、指先を伸ばして脚全体に力を入れます。
これで5秒間キープし、力を抜いて20秒間リラックスします。
※高齢の方はこれをやった直後にふらつくことがあるそうなので、注意してください。
最初は1回ずつでよいそうですが、慣れてきたら3回ずつくらいやるといいそうです。
副交感神経が優位になって脈拍が落ち、血圧が下がって身体全体がリラックスし、睡眠しやすい状態になるそうです。
まとめ
不眠の主な原因は精神的なものであることがわかりました。
今回ご紹介したような方法を実践すること自体が安心感につながり、不眠解消に近づくはずです。不眠が続いているという方は積極的に生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。