関節痛・腰痛に良い漢方~きょうの健康より

すべての人と言ってもいいほど、多くの人が悩まされている腰痛や関節痛。
一度痛めてしまうとなかなか完治しない、やっかいな痛みでもあります。
しかし「漢方」を用いた治療なら、痛み止めの薬や湿布などの貼付剤でもとることができなかった痛みをとれるかもしれないというのです。
そこで今回は、漢方について詳しく解説していたNHK「きょうの健康」をまとめておきたいと思います。

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慢性の関節痛がおさまった例

番組に登場した福島県立医科大学教授の三潴忠道医師は、30年以上漢方での治療を行っています。
患者には西洋医学では治りにくい慢性の病気を患う人も多く、具体的には変形性の関節症関節リウマチ腰痛などを患っている方がよく相談に来るといいます。

慢性の関節痛では、痛みとともに冷えを感じる患者さんが多いそうです。
これは(東洋医学の捉え方である)「気」「血」「水」のうち「血」と「水」に異常が生じている状態ということになるので、これらのバランスをとっていくことで関節の痛みをよくしていくというアプローチで治療が進むのだそうです。

例として、71歳の男性患者Aさんのお話が紹介されていました。

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きょうの健康より

Aさんは10年前から関節リウマチに悩まされ、ステロイドを服用していましたが、それでも次第に関節の痛みが強くなってきてしまったため、三潴氏のもとを訪れました。
診察のなかで足の冷えを強く訴えたAさんには水滞があることもわかり、三潴氏はステロイドに加えて葛根加苓朮附湯(かっこんかりょうじゅつぶとう)を処方することにしました。西洋治療をやめるのではなく、漢方治療を加えた治療への変更をおこなったのです。
1〜2ヶ月で良くなってきましたが、もう一息、という状態であったため、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)という水滞をとる漢方を処方。だんだんと症状が軽くなり、2ヶ月後には腫れと痛みが軽減されたそうです。
ステロイドを減らしてもいいかなという状態になり、さらに1ヶ月後にはステロイドを使わなくても良い状態にまで回復したのです。

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関節痛に効く漢方とその基礎になる生薬

関節痛には「桂皮」「麻黄」という生薬がよく用いられます。

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きょうの健康より

桂皮はシナモンティーや八つ橋に使われるものと同じで、気を巡らせる効果があります。麻黄には関節の炎症や腫れを取る効果があります。

東洋医学では人間の身体を「表裏」に分類します。
「表」はおもに身体の表面のことで、口腔や上気道、皮膚、神経なども含まれます。
「裏」は内臓などの消化管をさします。

「表」に分類される関節には、桂皮や麻黄など表に効く生薬が有効です。「表」に効く生薬ですから、風邪の初期や神経痛、皮膚の病気にも使われるそうです。

これらを配合した漢方薬として桂枝加朮附湯(ケイシカジュツブトウ)あるいは越婢加朮湯(エッピカジュツトウ)などが、関節痛の患者に処方されます。

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これだけでは水滞が取りきれないようなときは、防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)を飲むこともあるそうです。

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関節痛に効く漢方の選び方

基本は、桂皮や麻黄の含まれた漢方の中から処方を選びます。
慢性症状の場合は冷えと痛みが出てくるため、その場合は附子(ぶし)が選択されます。
さらに水滞が生じていれば、関節の腫れをとる朮(じゅつ)が処方され、より効果を高めて水はけを良くしようという場合は茯苓(ぶくりょう)の入ったものが選ばれます。
Aさんの場合のようにこれでも治らない場合は、防已や黄耆を加えていく、というように、症状によって調節していくそうです。

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腰痛

腰痛の場合も基本的に関節と同じなのですが、腰痛の場合は心理的要因による痛みや、筋肉の炎症によって痛みが生じる場合もあるので、「腰痛の場合はこれを飲めばいい」という風に断言するのは難しいそうです。

たとえば急性期に筋肉のつっぱりによって引き起こされるものには「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」が処方されます。芍薬が筋肉を潤して伸びやかにし、甘草が過敏な状態をなだめてくれるそうです。
即効性のある漢方ですが、長期服用には注意が必要だそうです。また、甘草の副作用で高血圧や低カリウム血症の可能性もあるので、途中で検査をしたり違う薬に変えたりする配慮が必要です。

「ウエストラインの高さの痛み」には八味地黄丸(はちみじおうがん)という附子が入った漢方が有効である場合が多いそうです。大きな副作用はありませんが胃にもたれる可能性があります。

「腰骨より下の仙骨の痛み」には苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)という、ほとんど副作用がない安全な薬が処方されるそうです。

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まとめ

三潴氏によれば、身体全体のバランスを整えて内側から治していくのが漢方の基本ですが、万能ではないそうです。
西洋医学の検査もきちんと受けて、それで満足した結果が得られない時に漢方を選択肢に入れるようにすれば、治癒する可能性は広がるでしょう。


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