先日の『世界一受けたい授業』では、『肝臓病』について特集していました。肝臓の重要性、そして肝臓病の新常識、特に専門医以外は医師でも知らないという、C型肝炎治療の画期的な新薬の情報などが伝えられていました。肝臓病は自覚症状がないこともあり、自分には関係がないと思っている方にも是非知ってもらいたい内容でした。
[sc:アドセンスレスポンシブ ]ダイエットや不摂生が肝臓の異常につながる
野菜やフルーツばかりを食べるという極端なダイエットに走ると、「老化スイッチ」が入ってしまい、肌荒れやしわが目立つことになるといいます。
その原因は「肝臓」なのだとか。極端なダイエットが続くと、肝臓はそれを「食糧不足」と認識してしまい、筋肉を分解して脂肪を作り始めるというのです。外見だけ痩せても、肝臓はフォアグラ化=「ダイエット脂肪肝」になってしまいます。
飢餓で苦しむ子どものおなかが膨らんでいるのも、脂肪肝の影響なのだそうです。
肝臓は体の毒素を無害化してくれる大切な臓器。しかし、脂肪がついてしまうとその機能は落ちてしまい、
体に毒素が増える→老化が進む
というメカニズムなのです。
世界一受けたい授業より
不摂生を続けると、正常な肝臓が、脂肪肝→肝硬変→肝臓がんになってしまうこともあるのです。
世界一受けたい授業より
日本肝臓学会理事の泉並木医師は、肝臓に異常がある小学生が最近増えていると警鐘を鳴らします。香川県の小学4年生を調査したところ、肝機能、脂質、血糖値で異常値を示した子どもが10%もいたのだそうです。
その原因について泉医師は、夜遅くまでの塾通い、運動不足など生活習慣の乱れを挙げています。規則正しい生活や運動が肝臓によいことはわかりましたが、小学生にまで影響が出ているとは驚きです。
泉医師は、肝臓ケアの方法として、お酒を飲む人に対しては、できれば1日1合以下に、そして週2日は休肝日を設けるよう呼びかけています。
泉並木医師は肝臓治療のエキスパートとして世界的に知られています。長年ウイルス性肝炎の代表的な治療法とされてきたインターフェロン治療や、電磁波(ラジオ波)を用いた肝がんのラジオ波熱凝固療法の第一人者とされています。
【泉医師の著書】
肝臓病の新常識① 肝臓の硬さ検査が大幅改善
さて肝臓は、
硬さを調べることでどれぐらい「がん」に近づいているかわかる
のだそうです。肝硬度測定といいます。
その調べ方ですが、大変大きな注射針をおなかに刺し、肝臓の一部を抜き取るというのが従来のやり方でした。恐すぎます!
この大きな注射を使って肝臓の組織の一部を抜き取る肝生検と呼ばれる検査法が昔は一般的だったそうです。世界一受けたい授業より
しかし、最新の方法では、おなかに振動を送るだけと、痛みを伴いません!振動は、硬いものでは早く伝わり、柔らかいとはゆっくり伝わる性質があるので、伝わるスピードで硬さがわかるしくみです。所要時間は5分ほどだそうです。
世界一受けたい授業より
この検査はフィブロスキャンと呼ばれています。
肝臓病の新常識② 肝臓がん予防に役立つ食品
わずか3ヶ月前に名古屋市立大学が発表したのが、肝臓がんの予防に「エゴマ油」が役立つ可能性があるということ。エゴマに含まれる「ルテオリン」という成分を脂肪肝炎のラットに与えたところ、肝臓の繊維状に硬くなった部分が3ヵ月後にはなくなったというのです。
『エゴマ油には必須脂肪酸など肝臓によいものが豊富に入っているが、熱を加えると壊れてしまう。なので、サラダやマリネなどにかけて生で摂ってもらいたい』
と、泉医師は呼びかけます。炒め物などには使っては効果がないようです。
肝臓に良いとされる「ルテオリン」はフラボノイドの一種です。数あるフラボノイドの中でも最も強い抗アレルギー・抗炎症作用を持つと言われています。
ルテオリン自体はエゴマの他にも春菊やピーマン、ハーブ類にも含まれていますが、それらからでは吸収率が悪いのでルテオリンの摂取としては効率的ではありません。しかしエゴマに含まれるルテオリンは身体への吸収率が良いためあちこちで推奨されています。
エゴマ自体はスーパーでも買えますしアマゾンなどでもたくさんの種類が通販されています。
ちなみにルテオリンの吸収が良いのはエゴマの他にシソもあります。面倒ですがすりつぶして食べると吸収率が良くなるそうです。
いちいち調理するのが面倒という場合はサプリメントやカプセルタイプのものもあります。
肝臓がんの原因とは
肝臓がんの原因は、65%がC型肝炎ウイルス、15%がB型肝炎ウイルスと、合わせて8割がウイルス感染なのだそうです。
このB型・C型肝炎ウイルスは、血液から感染します。1992年2月以前に輸血を受けていたり、ウイルスに汚染された注射器で予防接種を受けたり、また感染している母親から出産時に赤ちゃんに感染するといったケースがあり、感染に気づかない人も多いそうです。
『1990年前半までに、当時の厚生省が検査や指導を強化したため、日本での感染ルートは限られている。さらに空気感染はせず、咳やお風呂、握手で感染することはないので安心してほしい』
と泉医師は説明します。
このように感染の機会は限られているにも関わらず、タトゥーやピアスが原因で若者がウイルスに感染するケースがあるのだそうです。
『海外では人の血液がついた針や道具を使いまわすお店もあり、そこで感染してしまうこともあるので、身に覚えのある人はウイルス検査をしてほしい』
と泉医師は注意を促します。
[sc:アドセンスレスポンシブ ]肝臓病の新常識③ C型肝炎治験で100%の効果を出した驚異的な薬
肝臓がんで亡くなる人は年間3万人にものぼります。その原因の第1位はC型肝炎ウイルスですが、自覚症状がほとんどなく、10年以上の長い時間をかけて肝臓を破壊し、肝臓がんを引き起こす恐ろしいものです。
これまでは免疫力を上げる抗ウイルス薬であるインターフェロンを注射することで、ウイルスを消滅させる治療法が知られていました。
45歳で感染を知り、インターフェロンの治療を行っていたYさん(56歳・女性)は、治療で髪の毛が抜けたり食欲の減退、体重の減少といった副作用がつらかったと振り返ります。しかも10年で3回治療を行ったものの、ウイルスを撃退することはできず、効果はなかったそうです。
しかし2015年9月、「ハーボニー」というアメリカで誕生した薬が日本でも発売されたそうです。なんと、
1日1錠、3ヶ月飲むだけでC型肝炎ウイルスが消える
というのです!治験では全員のウイルスが消えたそうで、Yさんもハーボニーでついに完治したそうです。
世界一受けたい授業より
Yさんはハーボニーについて、副作用も一切なく「これまでの治療はなんだったのか」と喜びを語りました。
『肝臓がんは予防できる時代になった』
と、泉医師は語ります。
この新薬のお値段、なんと1錠8万円するのだとか!3ヶ月飲むと672万円の計算です。ただし、保険もきき、国からの助成金も出るので、患者の自己負担額は月に1-2万円で、3ヶ月飲んでも6万円で済むのだそうです。感染者には朗報ですね!
この画期的なハーボニーですが、医師にすらまだ認知されていない状態なのだそうです。泉医師は、
『肝臓治療はここ数年で劇的に進歩しており、新薬も続々出てきている。肝臓の専門医は知っていても、他分野の医師には知られていないことが多い。』
と、言います。
また、ハーボニーのことを知らない医師に対し、患者から処方を依頼するのも非常に危険だとのことです。ハーボニーは、肝硬変が進んでいたり、腎臓が悪い人など飲んではいけないケースもあり、専門知識がある医師でないと処方できないのです。なので、
『感染がわかったら、すぐ「専門医」を受診してほしい』
と、泉医師は呼びかけます。
新薬「ハーボニー」ですが、正式商品名は「「ハーボニー®配合錠」で、一般名は「レジパスビル・ソホスブビル配合剤」です。アメリカ・カリフォルニア州に本社を置くギリアド・サイエンシズ株式会社により発売されました。
「ジェノタイプ 1 型の C 型慢性肝炎又は C 型代償性肝硬 変」に効く薬で、日本の C 型慢性肝炎患者の 7 割以上が、このジェノタイプ 1 型に分類されるとのことです。
(参考:http://www.gilead.co.jp/~/media/japan/pdfs/press%20releases/8-31-2015/20150831_final_harvoni_launch_release_jpn.pdf?la=ja-jp)
また、泉医師が「専門医」の受診をすすめていましたので、肝臓の専門医についても調べてみました。日本肝臓学会が肝臓専門医一覧を公表しており、お近くの肝臓の専門医を見ることができます。https://www.jsh.or.jp/medical/specialists/specialists_list
まとめ
肝臓病の検査や治療は、日進月歩で進んでいるとのことで、心強い限りです。ただ、テクノロジーが進んでいるからといっても、不健康な生活習慣を見直さないでいいわけではありません。重要な役割を果たす臓器ですから、不摂生をやめて肝臓をいたわるとともに、エゴマ油の摂取などで肝臓の健康を維持したいものですね。