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先日の『きょうの健康』は、膀胱(ぼうこう)がんがテーマでした。泌尿器科の中では前立腺がんに次いで多いがんだそうです。その膀胱がんについて、典型的な症状やかかりやすい人、治療法などについて解説されていました。素人目には治ったように見えても治っていないことがある、自己診断は危険な病気だということがわかりました。
解説の専門家は、泌尿器科で泌尿器がんの診断・治療が専門の、日本医科大学大学院の近藤幸尋教授です。
膀胱がんの特徴
膀胱がんが急に増えて来るのは60歳を過ぎてからで、特に男性は女性に比べ4倍もかかりやすいのだそうです。たばこの中の発がん物質が尿中に出て、膀胱の壁をがん化するんので、喫煙も膀胱がんと関連が高く、このことから60歳以上の喫煙する男性は特に気をつけなければいけないようです。
このほかにもアニリン系色素やベンジジンといった染料や化学薬品を使う工場で働く人は、膀胱がんの発がんが2-40倍にものぼるそうで、注意が必要です。
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膀胱がんの典型的症状と早期発見・検査
血尿が出ても痛みがなく、そのあと通常の尿に戻るといったことがあるようです。
この「血尿が出る」そして「痛みがない」というのが膀胱がんの典型的症状だと言います。自分では通常に戻ったように見えても、顕微鏡で見ると肉眼ではわからない血尿が出続けているのだとか!尿が正常に戻ったように見えても、治ったと安心せず、血尿が1度でも出たら受診をするようにと近藤教授は呼びかけます。
早期発見には検診で尿検査をするのが一番だそう。痛みのない血尿は、膀胱がん以外の病気の可能性もあるので、きちんと検査することが大切です。
膀胱がん以外に血尿が症状である病気にはどんなものがあるか調べてみました。こちらのサイト(http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20130911.html)では、血尿を放置していてある日救急車で病院に搬送されると「急性腎炎」と診断されたケースが紹介されています。この方は以後、人工透析を受ける生活を送らなければならなかったようです。血尿は膀胱がんに限らず腎臓関係の何らかの病気である可能性があるので、痛みがないからとか、1回だけで治まったからと言わず、受診することが大切なようです。
血尿が出たときは、腎臓、尿管、膀胱を調べるために次のような検査を行います。
超音波検査
膀胱の血流を超音波で検査することで、できものの有無がわかる
膀胱鏡検査・内視鏡検査
CT・MRI検査
膀胱鏡検査でがんがあるとわかった場合、どれぐらいがんが深いところに到達しているか調べる
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膀胱がんの進行度と治療
膀胱の壁は粘膜、粘膜下層、筋層、脂肪の4層でできていて、そのうちのどこまでがんが達しているかで進行度を測ります。
粘膜か粘膜下層でとどまるものは「早期がん」で、膀胱がんの8割を占めるそうです。
筋層やそれより深いものは「進行がん」に分類されます。
きょうの健康より
早期がんと進行がんでは治療法が異なります。
早期がんでは内視鏡手術でがんをとり、膀胱を温存することができます。手術時間は麻酔等も含めて1時間ほどで、入院も3-4日で済みます。ただ、膀胱がんは再発も多く、腫瘍だけをとっても膀胱が残っていると再発するリスクがあるそうです。
再発予防のためには、BCG、すなわちツベルクリン反応が陰性だったときに打つ薬ですが、それをを膀胱内に注入することが行われます。BCGが体の免疫を高めるので、それを膀胱の免疫を高めるのに用います。
進行がんになると内視鏡手術では除去しきれないので、膀胱を全摘出することになります。開腹手術ではなく腹腔鏡(ふくくうきょう)手術が行われるようになってきているそうです。腹腔鏡手術だと穴を開ける程度なので、手術の次の日には歩けるとか入院期間が短くて済むといったメリットがあります。
また転移や浸潤を防ぐために、膀胱だけではなく、場合によっては男性では前立腺、女性では子宮、そしてリンパ節を摘出し、抗がん剤を全身に使うということもあります。
最近では、進行がんでも筋層の全体ではなく一部にだけかかっていて、ある程度の深さまでのものであれば、内視鏡手術でがんを削りとり、放射線や抗がん剤治療で膀胱を温存するケースも増えてきているようです。
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膀胱をとったらどうなるか?
膀胱をとってしまった場合は、尿路を変更して遊離させた小腸につなぎ、腹壁の外に人工膀胱をつけ、そこから尿を出すようにします。
きょうの健康より
腸を使ってその一部を袋状に縫うことで膀胱を作る方法もあるそうです!男性で尿道を残せる人で、この方法がとられるとのことです。
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まとめ
近藤教授は「とにかく早期発見が大事」と指摘します。定期健診を受けるとともに、血尿が1回でも出たらすぐに受診することが大切ですね。