先日の「きょうの健康」では、心不全の仕組みや検査方法、そして心不全と高血圧の関係について紹介していました。番組では、日本医科大学武蔵小杉病院部長の佐藤直樹先生(心臓の病気の治療と診断が専門)が「心不全パンデミック」と専門家たちが呼ぶほど患者数が急増している心不全について、一般の視聴者にもわかりやすく説明をしていました。
佐藤先生は、看護師などの心不全患者たちと関わる仕事をしている人たちに向けて、心不全の治療方法や看護師やその他の職種の人たちの役割などについて解説した本を執筆しています。
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佐藤 直樹
心不全の心臓の状態
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心不全とは、冠動脈がつまってしまったり、心臓の壁が厚く硬くなってしまったりして、心臓の機能が弱くなってしまっている状態だと番組では説明していました。心不全になると、心臓が十分に伸縮しないので、体に必要な量の血液を送り出すことができないそうです。
きょうの健康より
佐藤先生によると、日本の心不全患者は爆発的に増えていて、1年間に24万人が入院しているとのことです。また、心不全は、治療が難しく死亡率が高いそうです。心不全で入院中に6%が死亡、発症から1年以内に22%が死しています。また再入院する患者も16%います。
きょうの健康より
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心不全の原因となる主な病気と高血圧
心不全の原因となる病気には、血管の問題による狭心症、血管がつまることで起こる心筋梗塞、心臓の筋肉の厚さが問題の心筋症、心臓の弁の開閉が上手くいかないことで発症する心臓弁膜症などがあるそうです。
きょうの健康より
そして番組のテーマでもある高血圧は、心不全を引き起こす最も重大な病気と佐藤先生は説明していました。
高血圧になると、血管が硬くなります(動脈硬化)。例えば、ゴムの薄い風船は簡単に膨らますことができますが、ゴムの厚い風船を膨らますのは大変です。心臓も血圧が高いと体に血液を送ろうとするために健康な心臓よりも一生懸命働かなくてはいけなくなります。それで、心臓の筋肉が硬く厚くなってしまいます。筋肉が硬くて厚くなった心臓は、厚手の風船と同じように、血液を吸い込む力が弱くなってしまうとのことです。
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心不全を疑うべき体の不調
息切れは心不全の重大なサインだそうです。初期の段階では、平坦なところを歩いているときは息切れをしないのに、階段を上ると息切れをするというような状態です。そして、症状が進行すると、夜、床につくと咳が出たり、寝苦しくなって目が覚めたりするとのことです。さらに悪化すると、横になると苦しく、起きていると少し楽だという状態になると佐藤先生は説明していました。夜、横になると息切れがするのは、体を横にすると心臓に血液がたくさん戻ってくるからです。心不全の心臓は働きが悪くなっているので、通常の量より多い血液が送り込まれると対応できないそうです。また、睡眠中は心臓を休ませるという神経が働くので、さらに心臓の動きが鈍くなることが息苦しさにつながっているとのことです。
きょうの健康より
その他の心不全の症状としてはむくみや倦怠感もあります。
心不全のために、全身から運ばれてくる血液が心臓にスムーズに戻らない状態になっていることから足や顔がむくんでしまうそうです。そして、この次の段階では、腸や胃もむくんで食欲不振に陥ったり、食後にお腹がはってしまったりすることもあるとのことです。さらに心臓の働きが悪くなると疲れやすくなりだるさや倦怠感がでてくるという説明が佐藤先生からありました。
息切れ、むくみ、だるさ全ての症状がある場合は心不全を疑って心臓の専門である循環器内科、息切れが強い場合は、肺の病気(COPD)の可能性があるので呼吸器内科を受診することを佐藤先生は勧めていました。また、むくみが強い場合は、腎臓の問題の可能性があるので腎臓内科を受診すると良いそうです。
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心不全の検査方法
番組では心不全の検査方法についてもまとめていました。
きょうの健康より
胸部X線検査では心臓の形、大きさ、肺の状態を調べ、心電図検査では心臓の壁の厚さなどを調べます。また、心臓超音波検査では心臓の拡張や伸縮の状態を調べるそうです。さらに血液検査のBNP値で心不全の重症度がわかるとのことです。BNPは心臓に圧力がかかったときに分泌されるホルモンで、心臓の負担が大きくなると数値が高くなるそうです。BNP値が40から100の場合は軽度の心不全の可能性があり、100以上になると心不全治療の必要の可能性があることが下のグラフからわかります。
きょうの健康より
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まとめ
高血圧が心不全のような死につながる病気につながるということに驚きました。佐藤先生が番組で話していたように、高血圧が日常生活に支障がないからと放置しておかずに、医師に相談をすることが心不全のような重大な病気の予防と早期発見の鍵になりそうです。