先日の『羽鳥慎一モーニングショー』では、最新の腸内フローラ情報について特集していました。腸内フローラと長寿、そして肥満との関係、さらに「マイヨーグルト」の選び方についてわかりやすく伝えていました。腸内フローラは病気とも深い関係があるので、しっかり知識を身につけて、健康的な食生活を送るためにも取り入れたいものです。
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わかってきた菌の「多様性」の大切さ
さまざまな病気と関連があるらしいことがわかり注目を浴びてきた腸内フローラ。テクノロジーの進化により全容がわかりつつあり、異分野の研究者までもが参入して腸内細菌の重要性が明らかになってきているとのことです。
腸内細菌の理想的なバランスは、善玉菌が2、悪玉菌が1、日和見菌が7なのだそうです。悪玉菌もいなければいけないという点が興味深いですね!また、この割合が保たれているだけではなく、菌の「多様性」、すなわちいろいろな種類の菌がいることが健康にとって大切だとわかってきたのだそうです。
羽鳥慎一モーニングショーより
慶應大学先端生命科学研究所の福田真嗣特任准教授は、
「悪玉菌に分類されている菌の中にも体によい働きをするものもあれば、善玉菌であるビフィズス菌にもいろいろな種類があり、中には健康に効果がないものもある。つまり、個々の菌の働きが重要だとわかってきた」
と解説します。
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日本人の腸内フローラの特徴が長寿に関係?
福田特任准教授によると、腸内フローラを決定しているのはその人の食習慣や生活習慣です。日本人の腸内フローラは世界的に見ても優れていて、日本人の長寿にも影響していると考えられているそうですが、食の欧米化で腸内フローラも変化しつつあるとのことです。
日本人の腸内フローラの特徴
①炭水化物を酢酸(さくさん)という「栄養素」に変えることができる
外国人の腸では、炭水化物が不要なメタンに変わってしまうのだそうです。
②日本人の90%が、血圧を下げたり血栓予防に役立つ「海藻類のぬめり成分」を吸収できる遺伝子を持つ
外国人でこの遺伝子を持つのは15%だそうです。
③腸内のDNAが傷つきにくいため、病気のリスクが低い
これら特徴が日本人の長寿と関係していると考えられ、さらに研究が進んでいるとのことです。
羽鳥慎一モーニングショーより
日本人の腸内フローラが優れているということが語られましたが、他国の人たちの腸内フローラはどのような感じなのでしょうか?番組ホームページ(http://www.tv-asahi.co.jp/m-show/topics/etcetera/20160504/7689)によると、
アメリカ 善玉菌0.2: 悪玉菌0.4: 日和見菌9.4
フランス 善玉菌1: 悪玉菌1: 日和見菌8
中国 善玉菌0.1: 悪玉菌0.6:日和見菌9.3
ロシア 善玉菌0.1: 悪玉菌1: 日和見菌8.9
とのことで、概して善玉菌が大変少ないことがわかります。日本の伝統食は腸内フローラを整える観点から見て優れているということが言えそうです。
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腸内フローラが肥満にも関係?
腸内フローラは長寿だけでなく、肥満にも関係ありそうだとか。
同じ体重のマウスに、一方は太った人の腸内フローラ、もう一方にはやせた人の腸内フローラを移植したところ、太った人から移植されたマウスは太ってしまったそう!肥満に関係する腸内細菌の存在が裏付けられそうです。
さらに、腸内フローラと肥満の関係を裏付けるデータとして、BMIが30以上の肥満である人が、アメリカでは30%であるのに対し、日本では3%と大きな差が出ました。ここには腸内フローラの関与が疑われ、腸内フローラを整えることの大切さが改めてクローズアップされます。
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腸内フローラを多様化するには
腸内フローラを多様化することが大切とのことでしたが、この方法について福田特任准教授は、
「食習慣を変えると腸内フローラも変わるが、そのためには長期的な取り組みが必要」
との意見を示しました。この「長期的」というのがどれぐらいの期間を指すかについてですが、急にベジタリアンになるとか、肉しか食べなくなるなど、食習慣を極端に変えると1ヶ月ぐらいで変化するものの、主菜だけ変えてみるといったゆるやかな取り組みでは、ある程度長い期間がかかるとのことです。
自分にあったヨーグルト選びの方法
腸によいとされ、多くの人が食べているヨーグルト。夜に食べたほうが効果があるといったことも知識として浸透しつつあります。ただ、多くの人が疑問に感じているのが、「どのヨーグルトがいいのか?」ということです。
自分にあうヨーグルト=調子がいいと自分で実感できるものを選ぶには、毎日いろいろな種類を試すより、同じヨーグルトを一定期間試すのがよいそうです。福田特任准教授によると、
「自分にあったものを認識するには、同じものを続けてあっているかチェックしなければならない。バラバラに食べていると、どれが自分にあっているかわからない」
とのことです。また、一番いいのは、いろいろな種類のものを混ぜて、それをずっと食べ続けるのがいいかもしれないとも発言していました。
マイヨーグルトを見つけるポイント
①同じヨーグルトを1-2週間食べる
②食べる量は最低でも1日100-150グラム
③便をチェックして、色が黄褐色、形がバナナ状であれば、ヨーグルトが自分にあっている
逆に、食べて軟便になったり食べても効果が感じられないとなれば、別の銘柄を試すのがおすすめとのことです。
腸内フローラで変わる医療
研究が進む腸内フローラですが、腸内フローラを移植するということが、臨床試験の段階まで来ているそうです。抗生物質による治療では30%しか効果がなかった偽膜性腸炎が、健康な人の腸内フローラの移植で90%以上の人に効果が出たそうです!偽膜性腸炎は欧米に多く、下痢や発熱が伴う、10人に1人が死に至る病気なので、患者には朗報ですね。
また「腸内フローラカクテル」という、複数の腸内フローラをカプセルにして体内に取り込む医療も大変に注目を浴びているようです。
さらに、福田特任准教授は「腸内フローラバンク」の設立を目指しています。健康なときの腸内フローラを保存しておき、病気になったら移植するというものだそうです。
「自分の健康なときの便をとっておいて、病気になったときに自分自身に便移植をするか、もしくは便から有効な腸内細菌を取り出してカプセルで摂取することを想定している」
と福田特任准教授は語ります。
「腸内フローラカクテル」についてですが、具体的にどのようなものか調べてみました。こちらのサイト(https://welq.jp/8040)によると、慶応大学の本田賢也教授が17の腸内細菌を混合したものを薬剤(クロストリディアル・カクテル)として腸の感染症に実用化しようとしているとのことです。この取り組みには世界的な科学雑誌である「ネイチャー」も注目しているようです。
番組内で「腸内フローラカクテル」を実用化しようとしているベンチャー企業の株価が急騰していることが伝えられていましたが、これはベダンタ・バイオサイエンシズ(Vedanta Biosciences)という会社のことと思われ、本田賢也教授も役員になっているのだそうです。ちなみにベダンタ・バイオサイエンシズ社のウェブサイトはこちらです。
http://www.vedantabio.com/(英語)
実用化の動きに目が離せませんね!
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まとめ
最後に福田特任准教授は、
「腸内フローラは人によって違うので、活用方法も食べ物も人によって合わせる、パーソナライズドな対応が必要だ」
と指摘しました。一人ひとりが自分の腸内環境をデザインすることが大切だということがわかりました。自分にあったヨーグルトの見つけ方もわかったので、一人ひとりが腸内環境を整えて、病気にかからない、健康な生活につなげていけるといいですね!