脂肪肝・NASHの改善対策・治療~間食・お酒・ダイエットが原因~きょうの健康より

先日の『きょうの健康』では、脂肪肝・NASHの治療について特集されていました。脂肪肝はともかくNASH(ナッシュ)とは聞きなれない言葉ですが、NASHの恐ろしさ、そして脂肪肝やNASHの原因、治療法などについて詳しく伝えられていました。
解説をするのは、肝がんの診断と治療が専門の、武蔵野赤十字病院の泉並木消化器科部長です。

 

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脂肪肝とNASH(ナッシュ)とは

脂肪肝とは、肝臓の細胞の間に脂肪が貯まって、肝臓が膨れ上がったものです。

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きょうの健康より

この脂肪肝になっている人の一部が、NASHになるのだそうです。脂肪肝との違いですが、脂肪肝に炎症が起こったものがNASHです。NASHになると肝硬変になりやすくなったり、さらには肝がんにつながってしまう、恐ろしいものです。

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きょうの健康より

なぜ脂肪肝からNASHになってしまうのかは、実は解明されていないとのことで、しかも初期段階では普通の脂肪肝なのかNASHになっているのかを見極めるのは、検査によっても困難だそうです。

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聞きなれないNASHという病気。何の頭文字なのか調べてみました。こちらのサイト(http://www.doc-nozawa.com/mkog-0404.html)によると、Non-alcoholic steatohepatitis からとったもので、日本語では「非アルコール性脂肪性肝炎」というようです。
脂肪肝にもアルコールが原因のものと、アルコールを飲まないのに脂肪肝になるケースがあり、後者をNASHと呼ぶようです。

 

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脂肪肝・NASHの怖さ

泉部長は、
「脂肪肝=未病という認識ではなく、脂肪肝の時点で病気だという認識を持つことが大事。脂肪肝になると動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中のリスクが高まる」
と解説します。

肝臓に中性脂肪が貯まるとそれが血管に流れ、血中の善玉(HDL)コレステロールが減少し悪玉(LDL)コレステロールが増加します。こうして血管の壁にコレステロールが貯まり、動脈硬化が起こるそうです。
NASHでは動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中のリスクに加え、さらに肝硬変や肝がんのリスクも増えます。

 

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脂肪肝・NASHが起こるしくみ

食事で摂取した糖質や脂質、たんぱく質といった栄養素は、エネルギーに変えられます。ただ、食べ過ぎてエネルギーが過多になると、肝臓に運ばれて中性脂肪になってしまうのだそうです。
この中性脂肪の一部は血液に乗って全身に運ばれますが、処理しきれない中性脂肪は肝臓にどんどん貯まっていきます。肝細胞の3割に脂肪が貯まると「脂肪肝」と診断されるそうです。
さらに脂肪肝が進んで炎症が起こると、NASHと診断が変わります。NASHでは強い炎症が起こり、肝硬変に移行しやすくなり、肝がんになる可能性が高まるとのことです。また肝硬変にならずに直接肝がんになることもあるそうです。

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きょうの健康より

脂肪肝の原因について泉部長は、

―食べ過ぎや運動不足による肥満
―閉経後の女性(ホルモンの影響で脂肪肝になることがある)
―アルコールの取りすぎ
―ダイエット

を指摘しました。

急激なダイエットをすると食事のバランスが崩れ、肝臓から中性脂肪を運び出すのに大きな役割を果たす「超低密度リボたんぱく質(VLDL)」も足りなくなり、肝臓に脂肪が貯まりやすいというのです。ダイエットは肥満の対極なのでよさそうに感じられますが、思わぬ落とし穴ですね!
肥満、アルコール、ダイエットが原因の脂肪肝は、どれもNASHになる可能性があるものの、NASHは

糖尿病
脂質異常症
高血圧

の人が多く、これらの人は注意が必要だそうです。

 

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脂肪肝・NASHの診断

まず、血液検査と超音波検査で脂肪肝があるかどうかを調べるそうです。ただ、NASHか脂肪肝かは超音波検査ではわからないので、NASHかどうかを調べるには、肝臓の細胞を取って顕微鏡で検査します。

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きょうの健康より

脂肪肝の画像の白い部分は脂肪ですが、NASHの画像の白い部分は脂肪ではなく、肝細胞が風船のように膨らんでいるもので、そのあたりがNASHの特徴だということです。青い部分が「線惟」ですが、これが広がってくると肝硬変に進行し、がんが発生しやすいそうです。
脂肪肝と診断されてもすぐ細胞を取って検査するわけではなく、血液検査で炎症反応(CRP)が高かったり、血小板の数値が低いとNASHの疑いが高いので、こういう場合にのみ細胞をとっての検査をするとのことです。

脂肪肝の治療

脂肪肝の治療で一番大事なのは、生活習慣の改善だそうです。泉部長は、

―肥満の人は食事や運動で適正体重にする
―アルコールが原因の脂肪肝の人は、アルコールを控える

ことを挙げました。これらを実践するためのポイントとして泉部長は、
「間食をしないで3度の食事をバランスよく摂る、そして飲み物はお茶かお水。食事は寝る2時間前までに済ませることと、1日30分以上の早歩きをする」
ことを勧めていました。食事制限で体重を減らしても肝臓の脂肪は減りにくく、運動で減りやすいという特徴もあるそうです。

また、
「筋肉は第2の肝臓であり、肝機能が弱っているときに糖やアミノ酸の代謝を促し、肝機能を補ってくれる」
とも指摘していました。

 

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NASHの治療

食餌療法と運動療法は脂肪肝と同じで、このほかに糖尿病や高血圧、脂質異常がある人はそれぞれの治療を行うことになります。NASHの治療に使われる薬は、ガイドラインで次のように推奨されているそうです。

糖尿病
ピオグリタゾン=インスリンの分泌を促さないので、肝細胞の線維化が進まない薬

脂質異常症
スタチン もしくは エゼチミブ

高血圧
ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)=肝細胞の線維化を防ぐ

また、糖尿病や脂質異常症、高血圧という基礎疾患がないのにNASHであるという人には、ビタミンEが使われるそうです。ビタミンEには、貯めこんだ脂肪によって酸化が起こるのを防ぐという抗酸化作用があるそうです。

ただ、泉部長は

「脂肪を減らすことが何より大事なので、薬に頼ることなく、生活習慣の改善をしっかり続けてほしい。個人差はあるが、1ヶ月ぐらい食餌と運動に取り組めば体重も減り、数値もよくなるので、脂肪肝やNASHも改善する」

とのことです。

まとめ

NASHとは聞きなれない病気ですが、肝硬変や肝がんに進行する恐ろしいものだとわかりました。NASHにならないためにも、まずは脂肪肝にならないこと、そして脂肪肝の段階で病気であるという認識が大切ですね。食事に気をつけ運動をすることが脂肪肝を防ぐ一歩なので、しっかり取り組みたいものです。


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