肝臓検査について~ALT、AST、γ-GTP~きょうの健康より

肝臓は異常があっても自覚症状がなかなか現れないことから「沈黙の臓器」と呼ばれています。そのため、定期的な健康診断を受けて、肝臓の病気を早期発見することが大切だと言われています。
先日の『きょうの健康』では、肝臓の病気別の検査方法を東京大学大学院教授の國土典宏先生(肝臓外科医)が説明していたのでまとめておきます。

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國土先生は、肝臓の専門家として最新の肝臓がんの治療方法を一般の人にもわかりやすく解説した本の著者の1人です。

名医が語る最新・最良の治療 肝臓がん (ベスト×ベストシリーズ)
高山 忠利

肝臓の働き

肝心要という言葉もあるように、肝臓は人間が生きていくために、なくてはならない臓器です。肝臓は体の中の「化学工場」とも呼ばれ、有害物質(アルコールなど)の解毒する、栄養素(アミノ酸など)からたんぱく質を作る、胆汁を作る働きがあるそうです。

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きょうの健康より

國土先生によると、肝臓は余力が大きいので、健康な人は肝臓の能力の30%しか使っていないとのことです。そのため、肝臓は多少のダメージであれば、余力で機能できるので、病気が悪化するまで自覚症状が出ないそうです。

 

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肝臓病の原因と進行

原因

國土先生によると、肝炎や肝硬変の一番の原因となるのは肝炎ウイルスだそうです。加えて、アルコール、肥満(メタボリックシンドローム)、一部の薬も肝臓の炎症や障害を引き起こすとのことです。

進行

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きょうの健康より

慢性肝炎は肝臓が慢性的に炎症を起こしている状態です。そして、慢性肝炎が進行すると肝臓の繊維化が起こり肝硬変になるとのことです。

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きょうの健康より

肝硬変になると健康な肝臓に比べて、肝臓の正面がでこぼこになっているのが画像から分かります。このような状態になっても、肝硬変の初期では自覚症状がほぼないそうです。これが悪化して、肝不全の状態になると腹水や肝性脳症が現われるとのことです。そして、肝硬変が悪化をすると肝がんになると國土先生が解説していました。

 

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肝臓の病気別検査方法

番組では、肝臓の病気別に血液検査のどの数値に注目するべきかを説明していました。

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きょうの健康より

慢性肝炎

慢性肝炎を調べるためには、血液検査のALT(GPT)、AST(GOT)、γ-GTPの数値を見ます。

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きょうの健康より

ALT(GPT)とAST(GOT)は肝臓で作られる酵素で、肝臓の炎症によって肝細胞が壊れると、この酵素が血液の中に混ざり数値が高くなるそうです。γ-GTPは肝臓と腎臓で作られる酵素でアルコールに敏感です。胆石や胆管ガンでもこの数値は高くなることがあるとのことです。番組スタッフのように、ALTがASLよりも高いと肝炎や脂肪肝の疑いがあるので、さらに詳しく検査をする必要があるそうです。
脂肪肝の肝臓は、健康な肝臓よりも白っぽく、脂肪が沈着しているので縁が丸くなり、全体に大きくなっているのが画像からわかります。

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きょうの健康より

mametisiki体に良いと思って実践している食習慣が脂肪肝を招いていることもあるようです。「脂肪肝を招く危ないその習慣」では、脂肪肝を予防・改善するための食事や生活習慣が紹介されています。

脂肪肝を招く危ないその習慣 (英和ムック)
林 泰

B型肝炎・C型肝炎

血液検査で、B型肝炎はHBs抗原、C型肝炎はHCV抗体のどちらかが陽性であれば、肝炎ウイルスに感染している可能性があるので、さらに詳しく検査をする必要があるそうです。肝炎ウイルスの検査は、健康診断の項目に入っていないことが多いとのことです。この検査は無料で受けることができるので、各自治体や保管所に問い合わせてみることを國土先生は勧めていました。

肝硬変

肝硬変の可能性を知るためには、ALT(GPT)、AST(GOT)、γ-GTPに加えて、アルプミン、血小板、総ビリルビンの数値を見ます。
血液のたんぱくの半分以上を占めるアルブミンは、肝臓でのみ作られるため肝機能が悪くなると数値が低くなるとのことです。また、血小板には肝臓の繊維化を防ぐ役割があるので、肝機能が低下するとこの数値も低くなるそうです。肝硬変が悪化すると総ビリルビン(古くなったヘモグロビンの老廃物)の数値が高くなります。それは、肝硬変や胆石によって胆汁の流れが悪くなると総ビリルビンが血液の中に増えるからです。

肝がん

血液検査

肝がんの血液検査では、腫瘍マーカー、AFP、PIVKA-IIの数値を見ます。ガンができると普通はできない異常なタンパク質が血液中に増えるそうです。この量を知ることができるのが腫瘍マーカーだそうです。けれども、腫瘍マーカーが少し基準値よりも高いだけではガンとは確定できないそうです。それは、この数値は慢性肝炎でも上がることがあるからだとのことです。また、肝ガン患者の3分の1は、腫瘍マーカーの数値が上がらないので、そのような場合は画像検査をすると國土先生から説明がありました。

画像検査

肝がんの画像検査には、造影剤を使った超音波検査、CT検査、MRI検査があります。超音波検査は、一番簡単で患者への負担も少ないそうです。

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きょうの健康より

画像の赤い丸で囲まれた部分に1cmぐらいの肝がんがあるとのことです。この検査では、血管との関係や肝がんがどれくらいの深さのところにあるかなどがわかると國土先生は説明していました。
肝臓の位置や肥満などが原因で、超音波検査で肝がんが確認できない場合は、CTやMRI検査を受けるそうです。

番組で紹介されたCTの画像には2cmほどの肝がんが写っていましたが、國土先生によるとCT画像では、1cm以下の肝がんもはっきりと見えるとのことです。

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きょうの健康より

 

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まとめ

肝硬変などは自覚症状が出た時には、かなり重症化しているというというのは衝撃的でした。会社などに所属していれば、定期的に健康診断を受ける機会がありますが、そうではない人で体に不調がない場合は、面倒だから検診を受けていないという人も多いと思います。自覚症状がなくても病気が進行している場合はあるので、年齢に応じて必要な検診は受けたほうが良さそうですね。


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